2005年04月26日

レトロゲーム万里を往く その28 〜ドルアーガの塔〜

いきなり何の関係もない話から入ってしまうのだが、三国無双には「貴重品」という代物がある。

敵を倒せばぽろぽろ落とす肉まんやら剣やらと違って、貴重品はある一定の条件を満たさないと取れない。出るステージも決められている。例えば4において、「発破伝書」の取得条件は「虎牢関の戦い」において劉備・孫堅・曹操・公孫サンを撃破することが条件だし、「無双鎧」の条件は南中平定戦で虎戦車を全部破壊することだ。

その貴重品の中に、絶影鐙というものがある。Web上でも最後の最後まで出し方が分からなかった代物で、「涼州の戦いで胡診と張済を50秒以内に撃破」という取得条件にたどり着くまで、多くのプレイヤーがありとあらゆる試行錯誤を繰り返した。ある面で二千人斬りを試みたりとか、ある面でステージ中の洗濯台を全てたたき壊したりとか。

この条件を突き止める過程で、あちこちのページで色んな情報交換が見られた訳だが、これを見て私はこう思った。

あ、ドルアーガだ、と。


「ドルアーガの塔」。FCでは1985年8月、ナムコから発売。業務用からの移植作だった。最近リメイクされたりとか、他ナムコゲームのおまけに付けられていたりしていたのでレトロ畑でない人でもご存知の方は多いのではないか。

ダンジョン見下ろし型のアクションRPG、というジャンルになるのだろうか。数あるナムコのレトロゲームの中でも、おそらく最高峰の一本だろう。

主人公の「ギル」は、悪魔ドルアーガにさらわれた恋人「カイ」を助け出す為、60階建ての「ドルアーガの塔」を登っていく。ドルアーガを倒しカイを助け出す為には、三本のクリスタルロッドを取り戻す必要がある。その間ギルは各階に隠された様々なアイテムを集めて、強くなったり色が変わったり足が速くなったりタイムが減るのが早くなったり剣が抜けなくなったりする。この辺りのアイテムを集めてギルが強くなっていく感覚と、敵を倒すときの操作感(実にやっていて気持ちがいい効果音を伴う)があいまって魔的な魅力を生み出していると言っていいだろう。

最終的に、必要なアイテムを全て集めて59階のドルアーガを倒し、60階でカイを救い出すことが出来ればゲームクリア。ファミコンではおそらく初であろう「スタッフロール」を有したゲームであることも、以前のエントリーで述べたと思う。

この辺り、私なんぞがくだくだしく紹介するよりも、ネットではもっと詳しく説明して下さっている方がたくさんおられる。「OKINIIRI」のBabsikaさんのエントリーを引かせて頂こう。

http://babsika.cocolog-nifty.com/okiniiri/2004/10/post_1.html

いつも引っ張ってごめんなさいごめんなさい。

それはそうと、アイテムの話だ。ドルアーガの塔のエッセンスは、8割方この「アイテム集め」に凝縮されている。

まずは、ドルアーガにおけるアイテム集めの特殊性に言及しておくべきだろう。


一言で言うと、「分かんねえ」。これ。これだ。これに尽きる。


既に書いた通り、ドルアーガの塔は60階建てである。一階一階にアイテムが隠されており、アイテムは様々な手順を踏まないと出現しない。手順には簡単なものから複雑なものまである。
そして、アイテムの中には「取らなきゃ一生クリア出来ねえ」というものが少なくない。

専門用語が混じるので分からない人には申し訳ないが、なんとなくそーゆーものだと思って聞いて頂きたい。

例えば45階には、「エクスカリバー」という重要アイテムがある。取らなくては何をどうがんばってもドルアーガには勝てない必須アイテムなのだが、これをとる方法は「最初から見えている宝箱は放置したままリザードマン、ハイパーナイト、ミラーナイト、ブラックナイト、ブルーナイトの順に敵を倒し、後から出た宝箱→始めからある宝箱の順にアイテムをとる」というすげえ手順だった。繰り返すが、このアイテム必須。ないとドルアーガにボコられる。


分かるかボケ。


そう思う人がいたとしても、それは仕方のないことである。確かに、当時の感覚で考えてもこれはちょっとばかり厳しい手順だったと思う。はっきり言って「裏技」とか「隠しキャラ」とかのレベルの話である。実際、純粋に自力だけで60階をクリア出来た人間というのは、業務用発売当初にも文字通り数える程しかいなかった筈だ。今このゲームが当時のままの難易度で改めて発売されたとして、果たして普通にプレイ出来る人が数多くいるかと言われると、正直首を縦には触れない。


「ドルアーガの塔」を好む人間は、厳然と二種類に絞られる。アーケード時代の「祭り」を体験出来た者と、体験出来なかった者である。

このゲームは元々業務用のゲームである。当然ゲーセンに流通した訳ではあるのだが、無論のこと最初の内はクリア出来る人間などいよう筈もなく、40階から先を見ることの出来る人間さえ少なかった。ギルの速度が上がる「ウィングブーツ」やゴーストが見える様になる「パーマネントキャンドル」辺りならまだしも試行錯誤で出すことが出来たが、先の階に行くにつれてどんどんアイテムの出現条件は難しくなる。


しかし、ドルアーガの塔が秘めていた魔的な魅力と、「何が出るのか分からない」という名の謎めいた迷宮は、ゲームセンターに祭りを起こした。見も知らぬ人間同士が情報交換を行い、どの階で何が出ただのこのアイテムの効果はこーだのという情報が飛び交い、ゲーセンに共用ノートがおかれる様になり、しまいには「宝箱が設定されていない面」に関する都市伝説まで出現した。例えば呪文を受けても死ななくなる「ゴールデンアーマー」であるとか、ローパーの速度で歩ける「ジェットブーツ」であるとか。

やがて、数多くの不確かな情報やデマから徐々に徐々に各階が攻略されていき、遂に必要な情報が全て集められ、初めてドルアーガが倒される時が来る(その後イシターをサキュバスと勘違いしてZAP)。これはまさに、一種の叙事詩であるとまで言うことが出来るだろう。

インターネットなどという便利なものが出現する遠い遠い以前の話である。三国無双の攻略はネット上で見ることが出来たが、ドルアーガの塔は、ゲーセンという怪しげな場所に、化け物めいた一つのネットワークを現出させるに至ったのだ。「伝説のレトロゲーム」と呼ばれる所以である。

私は残念ながらこの「ドルアーガ祭り」には参加出来なかった人間である。ファミコン版が発売された頃にはドルアーガは既に一通りの攻略をされていたし、攻略本で宝箱の出し方を知ることも出来た。無論、これを知った上でも十分に面白いという点がドルアーガの恐ろしい点ではあるのだが、やはり「祭りに乗り遅れた」人間としては、当時の盛り上がりを実際に体験してみたかったな、という思いはある。


さてさて、今回は続きものというかなんというか、ちょっとあまりに長くなりそうなので一旦区切る。やはり個人的に思い入れの強いゲームには色々と書きたいことがある。次回はもうちょっと具体的な内容と考察に踏み込んで、いつもよりはもうちょっと早く書くと思うので、よろしければお読み頂ければと思う。
posted by しんざき at 23:55 | Comment(9) | TrackBack(3) | レトロゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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この記事へのコメント
いつもTBありがとうございます。
最近更新が滞っておりますが…。
三国無双は未経験なので今度遊んで見ようと思っておりまする。
Posted by バブシカ at 2005年04月28日 02:43
ついにドルアーガですね!!
待ってました。
いつも楽しみに読んでますよ。
また呑みましょう。
Posted by nei at 2005年04月28日 02:54
>(その後イシターをサキュバスと勘違いしてZAP)

あーやったやったw
Posted by End at 2005年04月28日 11:40
商業レベルで出た最初の攻略本って
コレじゃなかったっけ?
Posted by sei at 2005年04月28日 12:16
情報交換の祭りといえば、SIREN(PS2)もそうでした。ただ、SIRENの場合、クリアに関しては複数の方法があり、「知っていれば割と楽に突破できる方法」というものでした。
あと、アーカイブ集めとか、SIRENの背景世界や人物に関する推論などが話題でした。(これはひぐらしのような感じ)
SIRENのディレクターの外山さんもドルアーガを意識したと言っています。
昔のゲームなら、スーパーマリオのワープゾーンや、ドラクエの紋章や鍵の場所なども情報交換されてましたね。
今度SIREN2が発売されたら、その祭りにまた参加できるチャンスがあるかもしれませんね。
Posted by にゃあ at 2005年04月28日 20:03
>バブシカさん
いえ、こちらこそありがとうございます。バブシカさんのエントリーの幅広さにも舌を巻いています。
三国無双、なかなか面白いですよ。なんか3Dファイナルファイトみたいで。

>neiさん
すごい勢いでのみます。っつーかこの前ガイちゃんも誘ったんですが、最近どんなご様子ですか。

>Endさん
あれはあらゆるナムコゲーの中でもっとも凶悪なトラップだったんではないかと今でも思っています。
Posted by しんざき at 2005年04月28日 22:40
>Seiさん
んー、ゼビウスはどうだったでしょうか。当時本屋に並んでる攻略本で、同人誌と商業誌の区別がついてなかったんで、正直よくわかりません。同人でも色々出てましたよね。

>にゃあさん
あー、Siren評判でしたねー。残念ながら私は未プレイなんですが、仕事もひと段落ついたんで機会をみてやってみます。

>昔のゲームなら、スーパーマリオのワープゾーンや、ドラクエの紋章や鍵の場所なども情報交換されてましたね。

ドラクエ2は、学校での情報交換網が物凄かった覚えがあります。なんか中学生に攻略法聞いてくる奴がいたりとか。アレも凄かった。
Posted by しんざき at 2005年04月28日 22:44
しんざきさん
はじめまして。

ドルアーガの塔で一番思うのが、ゲーセンがゲームするだけの場所ではなかった世代があったことです。私の世代でもそれを少しは味わえたのですが、このころと比べるとダンチでしょう。

そう思うと、ドルアーガリアルタイムの世代がうらやましくてなりません。

レトロゲーム万里を往く、応援しています。頑張ってください。
Posted by lispermoto at 2008年07月25日 20:12
>lispermotoさん
コメントありがとうございます。
ゲーセンのネットワークというか、妙な人間関係が色々面白かった時代でしたよね。

レトロゲーブログのくせにレトロゲーネタは不定期極まってますけど、のんびりお待ち頂ければ幸いです。
Posted by しんざき at 2008年07月30日 09:41
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