ファミコン版ロックマンのお話。主に1及び2を元にした話であって、近年のロックマンは計算に入っていないのでご承知おき頂きたい。
まず考えなくてはいけないのは、「Dr.ライトの設計思想がよく分からない」という問題である。
ロックマン1において、中ボスになるのは「Dr.ライトが開発したが、Dr.ワイリーによって暴走してしまった工業用ロボット」である。そのストーリーや登場キャラクターについては、「げーむのせつめいしょ」様やWikipediaから詳細を確認出来る。
げーむのせつめいしょ:ロックマン
Wikipedia:ロックマン (ゲーム)
ロックマン1に登場する中ボスは、カットマン、ボンバーマン、ファイヤーマン、エレキマン、アイスマン、ガッツマンの6体である。ストーリーから読み取る限り、この6体は、ワイリーに暴走させられる以前は、元気にそれぞれの工業用ロボットとしての仕事をしていたのだろうと思われる。
まず誰しも気になるところであろうが、「南極大陸の探査ロボットとして開発された」アイスマンの能力が、一体何故「口から零下200℃の「アイススラッシャー」を吐いて、何でも凍らせる」なのか。お前は一体何のために南極に派遣されるのか、ただでさえ凍ったものだらけの南極でそれ以上物を凍らせて一体何を探査するつもりなのか、南極探査用ロボとしての自覚はあるのか、と6時間くらい問い詰めたい勢いである。
エレキマンについても相当おかしな話になっている。「原子力エネルギーの電圧制御作業をしていたロボット」であるところのエレキマンの能力は、「両手から放つ「サンダービーム」」であり、みなさんよくご存じの通りサンダービームは思いっきり高威力の電撃を思いっきり広範囲にぶっ放すものであって、原子力エネルギーの電圧制御中にサンダービームを使用するとどうなるかは想像に難くない。
ちなみにこの二体、ロックマンのボス格6体の中でも最強の二体である。ライト博士は、一体何を考えて、結構工業用ロボットとしても重要なポジションを占めていそうなこの二体に、笑いごとで済まない戦闘力を付与したのか。制御とか探査をする為のロボットだということをちゃんと認識していたのか。もしかするとライト博士、あんまり人の話を聞いていなかったのではないか。「あ、ごめん、あんま要件聞いてなかったけどまあ強いロボ出来たからいいか!!」というノリだったのではないか。
他のロボットに目を移してみても、廃棄物処理場で働くファイヤーマン、森林伐採用のカットマン、土木作業用のボンバーマンとガッツマン、共通項として全部基本的には力技で出来る仕事という要素が見いだせる。速い話、ライト博士が作った6体のロボットは、全て力技ロボットなのである。力こそパワー。パワーこそ全て。どうなんだコレは。
ここから、
・ライト博士は、配備されるロボットの要件から必要な性能を導き出す要件定義・外部設計の能力に若干欠けているのではないか
または、
・実はライト博士は要件とかあんまり聞いておらず、取り敢えず力技ロボ作っちゃうぜヒャッハーな人なのではないか
という二つの可能性が浮かび上がる。なんということでしょう。人類の平和利用のためのロボット研究に力を注ぎ、ロボット工学の第一人者であるところのライト博士に、浮かび上がる黒い噂。いや、ロック→ロックマンの設定とか見てると後者はどうなんだという話ではあるのだが。
一方その頃、ワイリー博士の技術力にも目を移してみたい。
元々は工業用ロボットだった「ロックマン1」のボス達に対して、「ロックマン2」のボス格は全員、元々対ロックマン用に開発された戦闘ロボット達である。
(参照Wikipedia:ロックマン2 Dr.ワイリーの謎
で、よく見るとこいつら、どう見ても1の連中よりも工業用ロボットとしての実用性高そう。
「時を止める」という完全チート能力のフラッシュマンは言うに及ばないとして、メタルマンのメタルブレードはどう見てもカットマンのローリングカッターよりも伐採能力が高そうだし、「7000°から8000°までの炎を自由に操ることができる」というファイヤーマンに対し、ヒートマンは「12000℃にも及ぶ高熱(実際には炎が12000℃に達することはなく、プラズマ化する)を発生させ」などと設定されている。
クラッシュマンは「ガッツマンとボンバーマンの特徴を受け継いだロボット」とか言われているし、バブルマンは水中環境という目的に適した装備をしていることから考えると、アイスマンよりもまともな探査ロボットとして活躍出来そうだ。企業は、ワイリーロボットを採用した方が高い採算性を確保出来るのではないか。
二つ言えそうなことは、
・ワイリー博士は、すげえ高い技術力と、コンセプトを引き継いで発展させることの出来る発展的応用力を兼ね備えている
・世界征服とかアホなことを言っていないで、ライト博士のロボットが配備された職場にコンペ仕掛けていればワイリーロボットの方がシェアとれたのではないか
という点である。ワイリーさん、中二病も大概にして、もうちょっと有用な方向に頭を使ってください。
つまり、ワイリーさんは専門バカというか残念天才であって、ライト博士に色々負けて性格歪まなければライト博士より適切なロボ制作が出来ていたのではないか、という可能性が浮上する。
以上の議論をまとめてみると、
・ライト博士のロボットシリーズは、ロックやロール以外基本力技万歳であるように思える
・アイスマンの「極低温で何でも凍らせる」という、どう考えても南極探査用ロボとして間違えている能力を誰か何とかしろ
・ライト博士実はあんまり人の話とか要件とか聞いてないんじゃあ
・ワイリー博士は技術力すごい
・ロックマン2のロボをむしろ工業用ロボにするべきである
・ワイリー博士は世界征服とか頭悪いことを言い始めなければ色々といい線言ってたんじゃないだろうか、という点で残念過ぎる
・ワイリーさんは、戦闘用ロボットなんかよりまずマーケティング用の広報ロボットを開発した方がいいのではないでしょうか
・「Dr.ワイリーの謎」は一体何が謎なのか問題については、上記のワイリー博士の商業的手腕の残念さの要因が謎である説を推す
という、想像を絶してどうでもいい結論が導きだせる訳である。良かったですね。>私
今日はこの辺で。
参照:
Wikipedia:トーマス・ライト (ロックマンシリーズ)
Wikipedia:アルバート・W・ワイリー
この二人が、おそらく「鉄腕アトム」の御茶ノ水博士と天馬博士をモデルにしたキャラである、というのはあまり関係ない話なのでここでは置いておく。
2013年02月11日

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超天才にしか分からない用途を想定していたのかもしれません。
南極で突然火山が噴火した時にマグマを固めて環境を保全するとか。