2013年03月06日

Web上での喧嘩好きの人には是非囲碁をお勧めしたい

囲碁を知らないが故に損をしている人、というのは割といるかも知れないしいないかも知れない、と思う訳です。


我々は囲碁において、Web上で喧嘩をする時に必要なたくさんの知識を学ぶことが出来ます。

例を挙げると以下のようなものです。

1.喧嘩を売る・買うにもタイミングというものが重要だし、最初に大きな意思表明をすることがとても大事
2.細かいところにこだわり続けてると全体ではすっげえ損するし、視野がある程度広くないとボロ負けする
3.急を要するポイントは真っ先に判別して押さえないと割と死ぬ



あなたが囲碁をある程度知っている人であれば、以上の諸点は常識なことばかりだと思いますし、以下は読まなくても大体私が何を言いたいのか想像出来ることと思います。この記事では、囲碁をよく知らない人の為に、web上の喧嘩や戦略における囲碁の汎用性について、簡単に例を挙げながら解説してみたいと思います。

一応前提として私の立ち位置を明示しておくと、学生の頃にちょこちょこと碁石を握っておりまして、日本棋院主催の大会でアマの初段は頂きましたが、ここ十年程は碁石に触れていない為、今は6級とか7級くらいで踏みとどまれてればいい方なんじゃないかなあ、くらいの実力だと思います。へっぽこと判断して頂いて何ら差し支えありません。間違ってることを書いていたらてきとーに突っ込んでください。


1.喧嘩を売る・買うにもタイミングというものが重要だし、最初に大きな意思表明をすることがとても大事

そもそも囲碁のルール自体よく知らない人もいらっしゃるかと思いますが、囲碁というのは要するに陣取りゲームです。「囲っているところが自分の陣地」「陣地が広い方が最終的には勝ち」「縦・横が全部相手の石に囲まれちゃうと石がとられて相手のポイントになっちゃう」と、ざっくりその程度に覚えておいて頂ければいいのではないかと思います。

ちょっと画像を見てみましょう。(画像生成には、フリーの「碁盤ソフト「碁」」様を利用させて頂いております)


hu01.png


石と石同士がまだ随分離れてますね。これ、囲碁の最序盤、「布石」という重要な段階でして、黒はその一つの代表的な構え、「小林流」という進め方をしています。

上で書いた通り、囲碁は陣取りゲームであって石取りゲームではありませんので、「いかに自分の陣地を確保するか」というのが重要なポイントとなります。その為、序盤は要所要所に石を置いて、ざっくりと「この辺が俺の領地だぞ」という意志表明をすることが大事なんですね。これをすることによって後々広い領地を確保することが出来ますし、囲碁というゲームはこの意思表明をした場所同士がぶつかり合って展開していくことになります。

「まずは立ち位置と主張点を作らなくてはいけない」というのは、割と普遍的なセオリーだと思います。

例えばの話、布石をガン無視していきなり

hu02.png

こういう感じで喧嘩を売ってしまうと、常にとはいいませんが、大体において損をします。まあ、この場合、黒は多分相手にしないで他の大きな隅っこを確保しにいってしまって、序盤の貴重な布石機会を一手先んじられた白しょぼーん、という展開になる訳です。

勿論、囲碁においても、上のように相手の石に自分の石を叩きつけて喧嘩をするべき局面、というものはあります。よくあります。

ただ、その際もとにかくタイミングは重要で、「今喧嘩を売るより、もっと足場を固めてからの方が有利なのではないか」であるとか、「喧嘩を売るよりも先にこっちを確保しておいた方が有益なのではないかであるとか、色々な戦況判断をしてからでなくてはなりません。これも、割と普遍的な話だと思います。



2.細かいところにこだわり続けてると全体ではすっげえ損するし、視野がある程度広くないとボロ負けするる

1番とも関連する話なのですが、囲碁をする際に一番重要なのは「視野の広さ」です。大局観とか言われることもあるアレです。

今一番ポイントが高い手はどれなのか?最優先にするべきなのはどこなのか?自分はどんな構想でこの碁を戦いたいのか?そういった戦略的な視野が囲碁には求められます。囲碁は戦略観同士の戦い、などと言われることもある所以ですし、まだまだ人間にコンピューターが全く勝てない理由でもあります。

それに対して、細かいところにずーっとこだわり続けていると、びっくりするくらい簡単に勝負に負けることが出来ます。

分かり易い例ということで、1995年の、大竹秀雄九段と依田紀基九段の対局の序盤を見てみましょう。

kyo01.png

左下の方で黒石と白石が接触していますね。白石は下辺に根拠を求めて立場を強くしました。今まさに喧嘩をしている黒は、左下の白っぽい陣地に更に突っ込んでいくべきなのでしょうか?

というと勿論そんなことはなく、

kyo01.png
こうして左辺での構えを強くして、左辺での陣地を広くとろうとする方が、手としては遥かに有力な訳です。これをしないと、左上の方の白が下の方に下りてきて、左下の黒は一気に危なくなります。序盤なのに超大ピンチです。

軽くぶつかり合ったからといって、そこにいつまでもこだわり続けるのではなく、最終的により広い陣地がとれる手を打つ。こういった戦略観を養う為に、囲碁という素材は割とうってつけです。




3.急を要するポイントは真っ先に判別して押さえないと割と死ぬ

囲碁の格言の一つに、「大場より急場」というものがあります。大場、つまり広い根拠をとれる手を打つことは勿論重要だが、場合によってはもっと重要な、絶対押さえておかないといけないポイントというものがあるよ、という意味の言葉です。

画像を見てみましょう。

kyo01.png

まだ布石段階ですね。大きな根拠地を求めるという話になると、例えば左辺の白の間に割り込むとか、上辺の白の間に割り込むとかしたくなります。

ただ、この局面、実は最優先で打たないといけない手がありまして、

kyo01.png

右上の黒に手を入れないと死ねます。これ、白二つの石に挟まれてる状態から、更に出口をふさがれたり、根拠を奪われたりすると、右上の広大な陣地を丸々奪われるか、近隣の他の陣地が死にそうなことになるか、いずれにしてもエラいことになります。


「何をおいても塞がなくてはいけない穴」がある場合というのは時折ありまして、そういう時にはそれを最優先にしなくてはいけない。難しいのは、「それが本当に最優先にしなくてはいけないものなのか」ということを判断することであるのですが、そういう点でも囲碁というゲームは色々と適しているなあ、などと思う次第なのです。


あと、「最低限の前提知識は身につけておかないとそもそも同じ土俵に立てない」といった、これもWebでは割と重要と思われる内容も囲碁で学ぶことは出来るのですが、まあこれについては他のゲームでも色々当てはまりそうなので割愛します。


ということで、盤面を見ながら、ざっくり三つくらいの要素について解説して参りました。

何はともあれ、囲碁は超楽しいのでみなさん囲碁に手を出されるのもよろしいのではないかと思います。実際のテクニックについてはさっぱり解説する自信がないので専用サイトにいってください。


今日はこの辺で。
posted by しんざき at 12:53 | Comment(5) | TrackBack(1) | 雑文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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この記事へのコメント
社会にはボロ負けでも良いって時はあるよね。
Posted by at 2013年03月07日 10:57
>社会にはボロ負けでも良いって時はあるよね。

一生負けとけ。
Posted by とおりすがり at 2013年03月07日 12:03
>一生負けとけ。

オマエガナーw
Posted by at 2013年03月07日 13:25
>社会にはボロ負けでも良いって時はあるよね。
それは、一時的な勝負で負けようとしても最終的に得られるものが大きいほうがいい、ってことでしょ。信頼とか平和とか。
しんざきさんはまさにそういうことを囲碁に喩えて言っているのでは。
Posted by at 2013年03月07日 18:20
そんなに囲碁に興味なかった自分は
どうしてそのように石を置いていくか分からなかったけど、
こういう基本的な戦略があってのことだったのね
Posted by at 2013年03月07日 20:17
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