この記事を読んだ。
で、その後、Twitter辺りで「クソゲー談義」に華が咲いているのを見て、ちょっと思ったこと。
先に何点か前提を敷いておく。
・上記記事から読み取れる範囲では、神ゲー・クソゲーの評価基準、定義の明示もなければ、調査方法もさっぱりわからない
・その為、そもそも実際にアンケート的なものが行われたかどうかが怪しい
・そこから考えると、上記の記事自体はそもそも真面目に突っ込むに値する記事ではないような気がする
・あるゲームがクソゲーであるかどうか、というのは遊んだ個人の主観であり、ケチをつけるべきことではない
・同様、上記で挙げられているみうらじゅん氏の見解にも何の文句もない
上を前提として。
上記の記事、及びクソゲー談義について、
「ちゃんと遊んでないけどなんかクソゲーって聞いたからクソゲー」
という気配を感じとって、それがなんか気に食わないのでブログに書いてみたくなった。
順を追っていこう。
○クソゲーという言葉は、そもそも定義が固定化されず、100%人それぞれであること
Wikipedia:クソゲー
上記の「具体例と理由」を参照すればわかるが、そもそも統一的な定義がないのだ、この言葉。言葉の発案者であるみうらじゅん氏からして、クソゲーという言葉に複数の意味を持たせている。
その為、あるゲームが「クソゲーかどうか」という評価基準は人によって異なる。
例えば、上記URLでも挙げられているスペランカー。
私は、スペランカーというゲームを「ドット単位の精密な操作が必要とされるアクションゲームの嚆矢」と捉えている。どこまでも耳に残るBGM、上下スクロールの為一気に視界が開けるゲーム展開なども合わせて、ファミコン初期アクションゲームの名作と考えていいと思っている。
しかしそれでも、例えば「スーパーマリオ」と同じような感覚でスペランカーを遊んだ人が、「何これすぐ死ぬ。クソゲー!」と考えたのだとしたら、それは妥当な評価だと思う。文句はない。
同じようなことは、例えばたけしの挑戦状にも、バンゲリングベイにも、いっきにも言える(みうらじゅん氏も言われている通り、ベースボールをクソゲーと評価するのはちょっと理解し難いが)。
例えばたけしの挑戦状は、シナリオ的に理不尽ゲーと評される向きもあるが、あれ以上の理不尽ゲーは山ほどあるし、そもそも当時の広告展開などを観れば、あの理不尽は明らかに「狙った」ものだ。操作感だって別に悪いものではない。操作は直観的であり、ジャンプを始めとしたキャラクターの動作は軽快だ。
それでも、そういった背景を勘案しなければ、あのシナリオは訳が分からないし、宝の地図を出す難易度は非常に高い。実際に遊んでみて「クソゲー」と評する人がいるのに文句はない。
例えばバンゲリングベイは、フライトシミュレーターの嚆矢であり、基地を落としていく戦略思考、補給基地確保の重要性、対戦艦を始めとした戦術思考まで、やり込めばやり込む程滅茶苦茶深い。はっきりと「名作」と断言していいゲームだと私は思う。
それでも、当時の小学生がバンゲリングベイを遊んで、「ゼビウス」や「ギャラクシアン」の直観性と比較して訳が分からないゲームと判断したとすれば、「クソゲー」という評価は無理からぬところだろう。
例えばいっきは、設定の不自然さこそあるものの、アクションゲームとして普通にみればごくごくスタンダードだ。画面の四方八方から押し寄せてくる忍者を鎌で撃墜するゲーム感覚は、「シェリフ」の進化形と言っても差し支えないだろう。
それでも、強化アイテムである筈の竹やりが罠であったりとか、鎌の自動照準が融通効かなかったりとか、アクションゲームとしてアラがあるのは確かなので、「クソゲー」と呼ぶ人がいるのであれば別段文句はない。
「ほしをみるひと」でも、ロマンシアでも、コンボイの謎でも。いや、ゲームに限らず、全てそうだ。そのゲームをちゃんと遊んだ上で、「これはクソゲーだ!」と言うなら、文句をつける筋合いは一切ないと私は思う。
○人の尻馬に乗ってけなすのはあんまりかっこよくないよね、ということ
例えば、ある音楽について、「聴いたことないけどひどいって聞いたからひどい曲だ」と論じている人がいれば、アレ、なんかおかしいな、と誰でも思うだろう。
ある漫画について、「読んだことないけどつまんないって聞いたからつまんないマンガだ」と論じている人がいれば、ちょっと違うんじゃないかな、と誰でも思うだろう。
これは経験主義だろうか?そうかも知れない。しかし、「何かを批判するなら、最低限対象について知っておくことが礼儀」だと私は思うし、「けなすんなら人の言葉を借りてきてないで自分の言葉でけなせよ」とも私は思う。
その点で、「遊んだことないけど、なんかスペランカークソゲーって話前読んだからスペランカーはクソゲー」というスタンスを私は忌む。
冒頭の記事についていえば、なんだろうな、「取りあえず、たけしの挑戦状」とか、「取りあえず、スペランカー」みたいな、クソゲーチョイスに作為を感じるというか。記事的に、なんかクソゲーとして話題になりそうなタイトルをなんとなくチョイスしただけなのではないか、という、妙な気持ち悪さを感じた為に、この記事を書いた、という訳なのである。
勿論、私の感覚が単なる邪推であって、きちんとした調査、きちんとした基準、きちんとしたアンケートに基づいて上記記事が書かれた可能性もある。その場合は邪推についてお詫びする所存である。
話は全く変わるが、クソゲーオブザイヤーWikiの総評を書いてる人達なんかは、徹底的にそのゲームをいじり倒した上でDisっているというのが凄く伝わってきて、この人達物凄いなーと思ったりもする。
自分の話をすれば、私は「操作している時の気持ちよさ」「直観的なインターフェース」を最重要視する人間なので、インターフェースがよろしくないゲームは評価が下がる場合がある。自分が遊んだゲームで、最もお勧めしないゲームを一本挙げろと言われれば、ディスク版のレリクスを選択するだろう。あのゲームは辛かった。
まあ、個人的には、あるゲームのダメな部分を探すよりは、面白い部分を探して少しでも探して味わう方が好みだけど。
今日書きたいことはこれくらい。
2013年05月08日
この記事へのトラックバック
非常に同意です。
まあギリギリ「たけし」をクソゲーという人の気持ちは解らなくもないのですが、
「スペランカー」や「バンゲリング・ベイ」をクソゲーと認識する人は、当時も
そんなに居なかった気がします。
そんな意味で2003年位書かれたらしいこの記事
http://kakutei.cside.com/game/kusog.htm
を昔読んで、なるほどな〜と思った事があります。掘り下げ方は深くないです
が、面白い記事です。
コンボイの謎とかが代わりに入ってても同じように感じるんでしょうけど。
ちなみに自分はミシシッピーやナムコ版スターウォーズ等をリアルタイムで触れましたが、理不尽な難易度でも
「自分には手に負えない難し過ぎるゲーム」という感想止まりでクソゲーという感想を持つ事自体がそもそも無かったですね。
自分で買ってもらったのではなく、親が買ってたゲームを遊んでたってのも大きいですが…
上記タイトルがネタ・クソゲー扱いになっているのを知るのは10年ほど経ってネット巡回するようになってからでした。
単純に「つまらない」「ゲームとして遊べない・ストレスが溜まる」だけではなく、「笑える」「イッチャってる」ゲーム
おそらく『ベースボール』が入っているのは、コネクタをいじってのバグ技を指してのことかと思います。
クソゲーを楽しく語っている中には入りたい
という心理があるような気がします。
何しろクソゲーを語る面白さというのは下手に面白いゲームを語るより盛り上がるものなので…
こいつ実際やってないくせに周りの話を聞いただけで評価してるなって感想を見ると苛立たしさがありますね
そもそも、それをしないと、「自分にとって何が『クソゲー』なのか?」も生まれてこないわけで。ゲームだけじゃなく何でもそうですよねぇ。
クリアの敷居はクソ高いけど、随所のダークさもあいまって操作している楽しさは当時でも白眉だったと思う。