2013年06月27日
レトロゲーム万里を往く その118 我々はバレンヌ帝国の国家戦略に何を学ぶべきか
ロマサガ2の話だが、先に断っておくとヨタ話である。
今更いちいち言うまでもなく、ロマサガ2はスクエニの代表的RPGシリーズの一角であり、帝国の歴史をなぞるという広大なスケールの世界設定を背景に、高い完成度を誇った名作である。
このゲームにおいて、プレイヤーはバレンヌ帝国の「皇帝」を操り、自ら各地を巡って、帝国の敵を打ち倒したり、よそ様の内政問題に首を突っ込んで半強制的に問題を解決したり、ルドン高原で行方不明になったり、人魚と駆け落ちしたりする。
最終的にはバレンヌ帝国は、西はアバロンから東はヤウダまで、(ゲームの進め方にもよるが)かつての繁栄以上の広大な版図を治めることになる訳であって、その国家戦略・拡張戦略には学ぶべきことが多そうだ。
本記事では、バレンヌ帝国の国家戦略を分析することを通して、現代を生き抜く為の英知を抽出することを目的としてみたい。
三つのテーマに分けて考えてみる。
・バレンヌ帝国の人事・軍事戦略の特徴
・バレンヌ帝国の外交戦略の特徴
・バレンヌ帝国の経済戦略の特徴
以下のお話は、ゲーム本編から見て取れる内容のみを参考に妄想しているものであり、ゲームの表面に現れていない要素を類推するのは避けていることを予めお断りしておきたい。
○バレンヌ帝国の人事・軍事戦略の特徴
一言で言うと、バレンヌ帝国では皇帝及び側近の命が驚異的に安く、皇帝を中心とした恐るべき少数精鋭体制で全てを回しているということが言えるのではないかと思う。
皆さんよくご存じの通り、バレンヌ帝国皇帝は、レオン-ジェラールの時代から最前線に立ちまくりの純度100%特攻魂の持ち主ばかりである。ロアーヌの特攻侯爵として著名なロマサガ3のミカエルですら、遠出する時は影武者を置いていたことを考えると、影武者ってなんですかソレ食い物ですか、的なその特攻魂には瞠目させられる他ない。
ゲーム中読み取れる限り、バレンヌ皇帝は、外征、策敵、偵察、治安維持、調略から外交使節や軍事防衛に至るまで、対外活動のほぼ一切を自分及びごく少数の側近で取りまわしており、お前は本当に国のトップなのか、為政者の仕事というものを一体どう心得ているのか、という説得すら空しく感じられる超過密労働を実施しているのである。ナポレオンも裸足でバックダッシュするであろう過密っぷりである。
当然のことながら、激務はリスクと隣り合わせである。バレンヌ皇帝及びその側近の死亡率は、およそ帝政をとっている国として本当に許されるのかというレベルのハイアベレージを保っており、ルドン高原やサバンナのような他国危険地域においてすら、プレイスタイル次第ではマンボウの稚魚のような勢いで皇帝及び側近の遺体が積み上がることになる。言うまでもないことだが、国のトップが他国で死にまくるというのは、国家として尋常な状態ではない。皇帝職としては他に類をみないブラック職場といえるのではないだろうか。
地上戦艦のくだりでは、軍師自らが「囮として戦艦を作るけど、ボクオーンに突っ込むのは帝国最強戦力のあんたです」という内容をしれっと発言しており、しかも皇帝もそれに簡単に同調している。普通に考えれば、「お前敵に突っ込めよ」と部下に言われて納得する指揮官って組織上どうなのという話になると思うのだが、アバロンでは一般的な考え方とはだいぶ違う思考法が定着してるらしく、皇帝は「お前が味方で良かった」などと軍師を褒めたりしている。バレンヌ帝国の軍師の質が心配されるのだが、実際これで上手くいってしまうので仕方ない。
その根底にあるのは、伝承法を背景にした、「能力があるヤツは徹底的に使い倒せ」及び「どうせ能力が失われないんなら死んでもいいんじゃん」の魂である。死んでも死んでも雨後の竹の子のように生えてくる(8人で1ループ)各地の精鋭人材もこれを助長しているといえる。
少数精鋭主義にも程があるというもので、げに恐ろしきはオアイーブといえる。
「朕は国家なり」というのはルイ十四世の言葉であるが、バレンヌ皇帝の前面への立ちっぷりは、はっきり言ってルイ十四世の比ではない。ただバレンヌ皇帝は、内政面ではどう考えてもお買い物の指示と同じ程度の仕事しかしてないので、極めて外征に偏った行動をとっているとはいえるだろう。恐らく内政は内政でそれに特化した人材(今の所持金を教えてくれるじじいとか)が配置されているのだろうが、ここではそれを類推するのは避ける。
○バレンヌ帝国の外交戦略の特徴
バレンヌ帝国の外交戦略はシンプル、かつ革新的である。その内容は、「人助けをするといつの間にか領土が増えてしまう」という端的な一言で表せる。
とかく、皇帝が諸国を漫遊しているとなんだかんだで困った状況に巡り会い、皇帝自らその困った状況を撃砕すると、僅か数十年、場合によってはたった一年で当該地域がバレンヌ領になってしまうという状況は、普通に考えると異様な国家拡張である。
後継者問題に直接干渉した上で外征を行ったカンバーランドや、曲がりなりにも地域の統治主体と思われる武装商船団を従属させたロンギット辺りはまだしも、なんか暴れている地上戦艦を撃破するだけで帝国領になるステップ、自分で原因を作った火山噴火を自演的に食い止めただけで軍門に下ったコムルーンは言うに及ばず、ナゼールやメルーに至っては言ってしまえば一回モンスター退治をしただけである(たまに七英雄と交渉したりやりあったりもするが)。
地域ごとの政体が不明確であること、治政基盤がぜい弱に見えることをおいても、この行動/成果比は驚くべきパフォーマンスだといえる。
実際のところ、ヤウダのアト王が言った「人助けのようなふりをしてあちこち占領している様だな」というのは完全に図星であって反論の余地がないと思うのだが、そんなことを全く気にせずにワグナスをしばき倒し、ついでにヤウダを併呑してしまうバレンヌ皇帝の潔さには清々しさすら感じる。バレンヌ帝国には、「人助けをしたら徹底的にその恩を利用せよ」という国是があると解釈する他ない。
ここでは、バレンヌ帝国の外交戦略を、諸国漫遊ご老公に倣って「水戸黄門型外交」と呼ぶことを提唱したい。
○バレンヌ帝国の経済戦略の特徴
経済戦略に関しても、皇帝が担う役割は極めて大である。
バレンヌ帝国の国庫にお金が入るタイミングは、基本的には二種類しかない。
・皇帝が戦闘をする(この際、その時点の税収分の金額を入手)
・皇帝が各地の宝箱を漁ってお金を入手する
これ以外では、例えば宿屋に何百日宿泊しても、国に税収が入る様子はない。ここから考えると、バレンヌ帝国の収税システムは時期的な収税ではなく、皇帝が戦闘することに対する報酬的な意味で収税が行われていると解釈する他ない。
端的に言って、「皇帝が領土を広げると税額が増える」「肯定が各地で戦ったり財宝を漁ると収入が入る」という二柱がバレンヌ帝国財政の根幹をなしており、ここでも殆ど皇帝が一人で仕事してるという状態を呈しているといっていいだろう。もうちょっと収税方針を考えてあげて!皇帝のLPはもう0よ!と財務省に言ってあげたい状態である。
一部の皇帝は、アバロンのシティシーフの上前をひたすらハネ続けることで巨万の富を築いたなどという話もあり、なかなか黒いうわさもつきまとうバレンヌ財政であるのだが、支出の機会が極めて限定されている(施設を作ったり武器や術法を開発したり)ことでなんとか健全な財政を保っているといえるだろう。実際のところ、普段のバレンヌ財政がどんなキャッシュフローをとりまわしているのかはさっぱり分からないが、ゲーム内で解釈出来ない部分を類推することはここでは避けたい。
ということで。
ここまでの議論を簡単にまとめてみると、
・バレンヌ帝国は、伝承法に裏打ちされた驚異的な少数精鋭主義で全てを運営している
・「能力がある人に仕事が集中する」ということを国家規模で実現するとバレンヌ帝国になる
・人助けはタダではないし、タダではないような人助けをしなくてはいけない
・バレンヌ皇帝は和民も裸足で逃げ出すブラック職場
・シティシーフの集金能力が驚異的過ぎる
・ところで前にも書きましたが陣形道場の人達が無能過ぎるのでなんとかしてください
という、まったく何の参考にもならなさそうなどうでもいい結論が導きだせるわけである。よかったですね。>私
今日はこの辺で。

この記事へのトラックバック
モンスターという存在がいる世界と考えたら動物を狩って村長になるようなものだと思いますよ
皇帝以外にもその地域を治めてる人間に力が求められるのは当然かと
現代でいう単純な為政者じゃないので、特攻魂じゃなく世界観的に代表としての責任です
それと伝承法は関係ないですね、レオンの代から皇帝がモンスターの巣を潰したりしてます
ミカエルの影武者は王が他国をうろうろする出来ず世界観的に別物ですね
また世界観的に皇帝が単独で攻めるのも理にかなってます
無理やり現代に当てはめて組織としておかしいとかブラックな職場ってのは的外れです
外交はその地域を支配してる人間の手助けになり、それを支配下においてます
ステップは支配してるノーマッドを助ける事になり、メルーは男達を助ける事になる
一回モンスターを退治したって、ゲームでは戦わなくて済みますがモンスターに支配されてる場所を潰したりしてますからね
それに人助けをしたら徹底的にその恩を利用せよ、じゃなく手助けをした上で相手側から支配地域にすすんでなってくる
これは魔物に対して武力が必要な世界観で武力で一度敗れてる訳ですから、より強い者の下につくのは当然な流れでもあります
七英雄を危険視して戦うついでに参加が増えてるだけです
そもそもゲーム機の限界やバグ、プレイヤー救済やゲームのためのシステムを使った考察が変な形になるのは当然で
表示限界があるだけで、研究所・開発所・インペリアルガードとか考えたら国にそれなりの人数は居ます
皇帝は死亡者多数とありますが元々はこんなに死亡する国ではなく(物語の七英雄の関係で死亡者が出てるだけ)
それも七英雄を危険視する出来事があったため仕方のない事で全て殺すのは出来るだけで想定人数ではない
基準にするなら年代ジャンプ最大数などで考察するべきかと
収入に関しても寝ただけでお金が稼げたらタダで寝れるのでゲームになりません
考察するならモンスターとの戦闘=開発期間経過=時間の経過となるので時間が経過しての税収入とも考えられます
陣形道場が無能なのはわかりますw
ただフリーファイトの1人が一歩前に出たとかは間違ってますね
ラピッドストリームはフリーファイトより全員が前に出てますから
面白い考えだと思いますが、結論って程論じてる風には見えなかったです