2013年09月19日

「言いにくいことを言う」ことはもの凄く大事だし、「言いにくいことを言える環境作り」は上司の責任だ、ということ


「言いにくいけれど言わなきゃいけないことを言う」のは物凄く大事です。どんな場面でもそうだけれど、特に仕事の場合そうです。

それは何故かというと、「言いにくいこと」というのは大抵の場合何かの問題を孕んだものであって、問題は公開して対処しないと、時間をおけばおく程必ず傷口が広がるから。

例えば、「自分の担当範囲の進捗が遅れている」ということは言いにくいです。けれど、始めの内なら人員を増やしたり担当分野を勘案したりして対処出来ることでも、遅れを公開しないでいればいる程、対処する為の余裕は少なくなります。残り数日、というところで大幅な進捗遅れが判明した時の阿鼻叫喚は言うまでもありません。

例えば、「自分の担当範囲で大きなミスをした」ということは言いにくいです。けれど、ミスをすると大抵の場合他の業務に影響が出るような問題が発生しますし、すぐにそれがバレなかったからといって黙っていると、問題はどんどん拡大し、同じくリカバリがエラい大変になります。


だから、「言いにくいこと」は一番最初に言わなくてはいけません。本来、これに例外はありません。自分一人だけで発生した問題を全てフォロー出来るなら別ですが、それならそもそも余り「言いにくいこと」にならないでしょう。


昔、こんな記事を書きました。

入社して二ヶ月程経って、五月病をそろそろ脱出出来たかも知れないあなたへ

新入社員の内に、「言いにくいことを言う練習」を積むのは大事なことだし、「言いにくいことを相談出来る相手」を確保しておくのは大事なことです。これはそう思います。結構なベテランでも、「言いにくいことを言う」のが苦手な人はいます。

ただ、「言いにくいことが言えない」のは、必ずしも本人だけの問題ではないなあ、と。


「言いにくいこと」を共有しやすい環境を整えておくことは上司の仕事であり、上司の責任です。「言いにくいこと」を言ったからといって、何も考えず部下をただ叱責したり、罵倒したり、まして評価を下げたりしては、社員は「言いにくいことを言ったらまずいことになる」ということばかりを学習し、言いにくいことを共有してくれなくなります。

具体的にはおそらく、上司はこういう風にしなくてはいけないんだと思います。

・「まずい状況を共有した」ことについては、しなくてはいけないこと、かつ感情的にやりにくいことをした、ということで評価・称揚しなくてはいけない。

・その上で、その部下も含めて、問題に対処・リカバリする方法を考え、実施しなくてはいけない。

・その上で、問題が再発することを防止する方法を考え、実施しなくてはいけない。


「ミスを共有する」ということは、「その後、同じミスを防止する道筋を作る」ということでもあり、それは「功績」なんですよ。ミス自体は失敗ですが、ミスを共有することは失敗じゃない。

ミスをしたり、手際が悪かったりしたことを叱責する必要があるとしたらその後です。もっとも、問題が再発することが防止出来るのであれば、叱責する必要もないんじゃないかとは思いますが。


いや、当たり前のことだと思うんですよ。ミスや進捗遅れは必然的に発生するものですし、それを吸収して、結果に責任をとるのが上司の仕事です。であれば上司は、自分の仕事をし易い環境を整えて然るべきです。

けれど、例えば

JR運転士がミス隠し…ATSたたき、蹴り破壊

こういう記事を見ていると、さぞかし「言いにくいことが言いにくい職場」なんだろうなあ、とか思ったりする訳です。

自分自身も一人の上司として、「言いにくいことが言いにくい職場」だけにはしない様にしよう、と思う次第です。


今日言いたいことはそれくらいです。
posted by しんざき at 09:30 | Comment(5) | TrackBack(1) | 雑文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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この記事へのコメント
はてブより来ました。
読みやすい記事でよかったです。

ですが、読んでいてわからなかったところがあって、
『 「まずい状況を共有した」ことについては、しなくてはいけな いこと、かつ感情的にやりにくいことをした、ということで評 価・称揚しなくてはいけない。』
という内容についてもう少し詳しく書いてほしいです。
また、この評価・称揚のコツみたいなこともできればお願いします。
Posted by at 2013年09月19日 20:21
大失敗大賞という社内制度が話題になったりしましたが
ヒントになるかもしれませんね
Posted by at 2013年09月20日 10:25
>Posted by at 2013年09月19日 20:21
そんなおおげさな話ではなく、単純に

「よく早めに報告してくれた」とか、「ちゃんと報告してくれたのは偉かった」とか、「評価している」ということが伝わればなんでもいいんじゃないか、と私は思います。

いや、褒め方は関係性にもよるんであまりコツみたいなことは書けないですが。

普段から、気軽に褒められる関係性を築いておくのも大事なのかも知れませんね。
Posted by しんざき at 2013年09月20日 15:44
なるほど。

でも、言いにくいことも言いやすいことも持っておらず、言いたいことも特に持っていないなら
何も言いませんよね?言うべきことも、言い方も、ネタすら思いつかないわけだし。

自発的には何も思わず、人から何か言えと言われても何も分からない人っていますよね。進捗会議でも、何をどんな順序でどう発言すべきか分からない人。

ところが、時が経ってみると、なんか上手くいってないってことで雷を落とされるわけです。「なんで言わなかった!」と、後出しじゃんけん風に。
分かってない方からすると、なんで怒ってるんだか訳が分からないわけです。「未来予知などできるわけないだろ!超能力なんか持ってねーよ、イミフ!!」と。

よくあるわけですよ、こういうの。指示の下手な上司と、自分のタスクすら見えてない新人。

プログラムをコーディングするかのように、一字一句言った通りに(意訳的解釈なしに)機械的にやるだけで仕事が完結するように指示を出せば、まあ間違いは大きく減るわけですが。特に、ゆとり世代には効果的。

そういう具体的な指示を出せないアホが社歴だけで上司になってる例が多いのもまた事実。
Posted by ばしくし at 2013年09月21日 00:17
しんざき先生の意見に反対する部分がなくてコメントしづらいですw
例の事件についても同意見過ぎて。
こういうモラル的な問題は個人じゃなくて組織(集団あるいは社会)の問題だよね、と。

>ばしくしさん
この事例だと「新人も自分の仕事分かってないけど、上司も自分の仕事分かってなくて同罪。どれだけの能力を見込まれてるかということも考慮に入れると上司のほうが5倍以上罪が重い」という感想ですね。
具体的な指示を出さない系上司がよく「自分で考えて動け」とか言いますが、いやあんた部下が好き勝手な判断で動いたら結局あんたが困るだろうよ、とか、そうやって勝手にさせといてそれが自分の想定と1ミリでも違ってたらあんたキレるだろうよ、とか、まあ色々と言いたくはなりますよね。
Posted by NOBIE at 2013年09月22日 01:43
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