2014年01月26日

レトロゲーム万里を往く その121 クルクルランドと、ドットイートゲームの「工夫」の変遷


「レトロゲーム五大「丸に手足がついた系」キャラクターがメインのゲーム!」
「いえー!!」
「カービィ!!」
「ナッツ&ミルク!」
「ドアドア!」
「エッガーランド!」
「バボちゃん!」
「いや、それ多分パチ夫くんと勘違いしてる」
「マジで!?じゃあ建ちゃん
「それは多分ロックマンのメットールと勘違いしてる」



まず最初に、「ドットイートゲーム」について考えてみよう。

ドットイートゲームとは、端的に言うと「パックマンみたいなゲーム」である。

1.迷路上のマップを、
2.(基本的には)倒せない敵キャラクターを避けながら探索し、
3.所定の目標上を全て通過するとステージクリア


ドットイートゲームの特徴は、大雑把にいうと上の3つにまとめることが出来る。恐らく元祖は1979年、セガの「ヘッドオン」である筈だ。


ハングオンと間違えてはいけない。

で、ヘッドオンよりも展開がマイルドで、キャラクター性と敵の撃退要素が加わった上で、世界中でメガヒットを飛ばしたドットイートゲームが、言わずと知れた「パックマン(1980 ナムコ)」だ。


大ヒットゲームの例にもれず、パックマンも種々様々なフォロワーを生み出し、一つのジャンルを形成してのけた。例えばルート16、例えばシティコネクション、例えばクラッシュローラー。質量ともに充実したフォロワー群によって、ドットイートゲームは「ブロックくずし型ゲーム」「インベーダー型ゲーム」に続く、恐らくは「第三のスタンダード」と呼べるゲームジャンルになった、と言ってしまっていいだろう。


この「ドットイートゲーム」というものの初期の変遷を見てみると、「ゲームの進化」というものを凄く分かり易く追っかけることが出来て大変興味深い。ちょっと、ヘッドオン・パックマンから始まった色々な「工夫」を追っかけていってみよう。

例えばラリーX(1980 ナムコ)。このゲームの「工夫」ポイントは、「迷路上の目標が、迷路に敷き詰められたドットではなく、要所要所に配置されたフラッグになった」ということだろう。「迷路を塗りつぶす」という形式だったクラッシュローラーなどと同様、「目標」の要素を工夫したゲームである、と解釈することが出来る、と思う。

これを更に推し進めると、例えばマッピー(1983 ナムコ)やボンジャック(1984 テーカン)になる。マッピーは、「倒せない敵と追いかけっこ」「所定のポイント通過」という要素はそのままに、重力とトランポリンという「工夫」を付け加えたことで、横スクロールアクションに近い形にたどり着いた。ボンジャックは、「ジャンプ」という操作をどんどん発展させていくことによって、鬼ごっこ要素を更に奥深いものに発展させた。

迷路状のマップで、敵をかわしながら所定のポイントを通過する」というゲーム要素は、言ってみれば後のアクションゲームの基点だ。「迷路状のマップ」という要素はそのままに、目標をもっとシンプルにしたり、敵の撃退要素をより強化することで、例えばドンキーコングが生まれたり、ナッツ&ミルクが生まれたりする。パズル要素をより強化するとロードランナーが生まれたりもする。


一方。84年、ファミコン時代の初期に任天堂から送り出されたソフトの中で、ドットイートゲームと結び付けて語るべきソフトが二本ある。一本が「デビルワールド」、一本が「クルクルランド」である

デビルワールドは、パックマンに対して「迷路が動く」「パワーアップ(十字架の取得)」「展開の変化(バイブル面の存在)」といった「工夫」を導入して生まれたゲームだ、と解釈することが出来る。2P同時プレイの導入と合わせて、かわいらしいキャラクターとゲーム展開を並立しつつ、「パックマンの亜流」に留まらない佳作に仕上げる手際は流石任天堂と言うべきだろう。


一方。ここでようやく題意に戻ってくる訳なのだが、「クルクルランド」で起きたことは一体なんなのだろう、というのが今回の記事の残りのテーマな訳である。


クルクルランド。1984年11月22日、ファミコンにて任天堂より発売。球に手足が生えた系キャラクターである「グルッピー」が主人公で、軽快な音楽の中、固定画面の中を跳ねまわって隠れた金塊を見つけていく、固定画面型アクションゲームの佳作である。

グルッピーは、基本的には「一度走り出すと止まれない」というキャラクター特性に支配された生き物である。その為、敷き詰められた柱を使って方向転換することで画面内を探索し、敵キャラクター「ウニラ」を時にはかわし、時には撃退しながら画面内に隠された金塊を探し出していく。

ゲーム内容とゲーム展開については、百聞は一見に如かずということで、youtubeの動画を参照させて頂く。


ついでにWikipediaのリンクも貼っておく。「ゼルダの伝説と同じ世界観なのでは」という説はこれを読んで初めて知った。ホントかよ。
Wikipedia:クルクルランド

さて、ゲームの話をしよう。


・そこにあったのは、「マップを作る」要素の淵源。

実際のところ、話は単純だ。クルクルランドの最大の「工夫」は、一言でまとめることが出来る、と思う。つまり、


「目標が不可視になったことによる宝探し要素」


である。

まず、冒頭に挙げた「ドットイートゲームの三つの特徴」をもう一度振り返ってみよう。

1.迷路上のマップを、
2.(基本的には)倒せない敵キャラクターを避けながら探索し、
3.所定の目標上を全て通過するとステージクリア


これらをクルクルランドについて考えると、

・マップの形状に多少バリエーションはあるが、「迷路」と言える程の複雑さはない
・「目標」が最初は見えない。グルッピーを通過させることで、「発見された金塊」として画面上に表示される
・「発見された金塊」は、ハートマーク、家の形など、様々な図形を構成する


といった点が特徴的だと言えるだろう。

つまり、クルクルランドにおいては、「迷路状のマップ」と「目標通過」という、ドットイートゲームの二大要素が直接結びついているということになる。

この要素を、グルッピーを操作する際の独特な操作感・操作方式がサポートする。

プレイヤーは、ウニラを痺れさせる衝撃波の発射以外には、基本的には「ひたすら進み続けるグルッピーの進行方向を変える」という操作しか出来ない。この点は「ルートを選択することしか出来ない」ヘッドオンに似ているが、「段々見えてくるマップから、残りの金塊の位置を推測する」「金塊がある筈の位置になんとかグルッピーを誘導する」「あちこちに「アイテム」が隠れている」という三つの「宝探し」要素が、クルクルランドをただのドットイートゲームでは無くしている。


そこにある筈の金塊に、なかなかたどり着けないもどかしさ。

邪魔なブラックホールと、突如として牙を向くゴムのトラップ(時々ハマる)。

マップが出来上がった時の、「ああ、こういう構成だったのか!」という純粋な驚きと感動。



言ってしまえば、これらがクルクルランドの全てだ。

「フラッグを通過し、消していく」のではなく、「マップを創り上げていく」ドットイートゲーム。これは、丁度「マップを削っていく」のではなく「マップを作り出していく」パズルアクションだった、「ソロモンの鍵」の立ち位置と相似している。「ソロモンの鍵」の画期性には及ばないかも知れないが、クルクルランドも、「ドットイートゲーム」というジャンルの中にあって、特異な立ち位置を占めているタイトルなのである。



・「丸に手足」系のキャラクターは何故レトロゲームに多いのか。

上記のお話とは、全然、全く、1ミリグラムも関係ないのだが、グルッピーは某バレーボール大会のマスコットキャラクターに大変似ている。

やはり、初期のレトロゲームにおいて「キャラクターの描画」というのは最大の障壁、かつ最大の重要ポイントであり、制限されたグラフィック能力の中で、最も描写しやすい形の一つが「丸に手足」ではあったのだろう。それについては、例えばナッツ&ミルクのミルク、エッガーランドのロロ、ドアドアのチュン君などを見てもよくわかる。(カービィはだいぶ後期なのでちょっと事情が別かも知れないが) パックマンにしても、キャラクター造形の基本にあったのはシンプルな「円」である。

私としては、パックランドで魅せたパックマンの進化から、エサとパワーエサといじけもんすたーをたくさん食べるとパックマンに手足が生えるという可能性、パックマン進化論の提唱をしたいのだが、クルクルランドとは何の関係もないので深くは立ち入らないでおく。

ここでは、「ステージクリア時にグルッピーがやっている乾布摩擦っぽい行為は一体なんなのか」「何故グルッピーは乾布摩擦の後に欠かさずキメ顔をするのか」という疑問を呈するにとどめたい。なんなんでしょうね。



何はともあれ。大概長くなったので、「一見そこまで派手には見えないが、実は十分特筆すべき工夫を秘めている」というのは、初期任天堂のファミコンソフトに共通する特徴だと思うが、「クルクルランド」も、その例に漏れない佳作である、という点を結論として、本項を閉じたいと思う。今日はこの辺で。


次回は多分またタイトルものです。
posted by しんざき at 14:13 | Comment(2) | TrackBack(0) | レトロゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
このエントリーをはてなブックマークに追加
この記事へのコメント
幼児期の私のゲームの最古の記憶のゲームの1つです、クルクルランド。あとはバルーンファイトとか。
ドットイートゲームの系譜、なんてことは当時は当然思いもしませんでしたが、とても面白かったことは記憶しています。

>邪魔なブラックホールと、突如として牙を向くゴムのトラップ(時々ハマる)。
ここで笑っちゃいました。狭い間隔で2つおいてある間にはまるとどっち向いているかわからなくなって「えいやっ」と出たら逆方向で...
Posted by TAB at 2014年02月01日 16:37
懐かしいゲーム名のオンパレードな記事でしたね。
ゲームクリエイト科の初期講義に使えそうな話だなぁ。

ゲームの内容が複雑に表現できる時代の現代でも、多くの人がハマる要素は昔と左程変わっていないように感じるのは俺だけかなぁ。
Posted by ジロー at 2014年02月08日 11:39
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック