一般には知られていない事実。それは以前どこの教室にもテレビがあり、教育テレビも見られれば、デジカメやビデオをテレビにつなげて自由に授業ができた。ところが今はどこの教室にもテレビがない。NHKが1台ごとの視聴料を請求したからだ。学校での視聴は無料と文科省が動けば済んだのに。怠慢。https://twitter.com/naka8952/status/509672439509303296
言うまでもなくこれは純度100%の単なるデマでして、学校や社会福祉施設などの機関は受信料免除対象なので、「NHKが1台ごとの視聴料を請求」などという事態が発生する訳はありませんし、それによってテレビが教室から撤去されるということも起こり得ません。
1 全額免除
(学校)
(2)
別表2に掲げる学校において、児童、生徒または幼児の専用に供するため、その管理者が受信機を設置して締結する放送受信契約
別表2日本放送協会放送受信料免除基準
学校
学校教育法(昭和22年法律第26号)に規定する学校のうち、小学校、中学校、中等教育学校(前期課程に係るものに限る。)、特別支援学校および幼稚園
[平成23・7・1 施行]となってますが、これは対象者の拡張に伴うもので、免除基準自体はずっと昔からあるものですね。
というか、まあ学校によっては視聴覚室にテレビを移したりとかしてるのかも知れないですが、現在でも普通に学校にテレビが置いてあることは、ちょっと調べれば2分くらいで分かります。
学校におけるテレビを活用した教育の事例調査(pdf)
平成21年の調査ですが、「テレビについては、小学校では91.5%が全教室に1台以上あると答えている」ときっぱり書いてありますね。ちなみに、私の息子が通っている小学校でも各教室にテレビがあります。「一般には知られていない事実」も何もねーよ、と思わないでもないです。
ただ、上のリンクをご覧いただければわかる通り、当該ツイートは(記事を書いている時点で)4000件弱のリツイート、1000件弱のお気に入りを受けております。免除基準について指摘されている方も勿論多いですが、脊髄反射でNHKに対して噴き上がっている方も相当数いらっしゃるようです。多分、このツイートを見て、誤解を抱えたままになってしまう人もそれなりにいるのでしょう。人によっては、更にネット・オフライン問わず、この情報を拡散して誤解を広める人がいるかも知れません。
誤解が誤解のままで広まってしまう状態は、あまり望ましいものとは言えません。
これら、誤解を元に噴き上がっちゃってる人が、皆が皆脊髄反射ばかりしている訳じゃない、と思うんですよ。多分。ただ、ある特定の情報に触れた時、脊髄反射指数が瞬間的に上がりまくっちゃう人が凄く多いんです。
以前も何度か書いたんですが、「分かりやすい悪役が含まれた情報」に触れた時に、ガードを大幅に下げてしまう人って、やはり物凄く多いんだなあと。そんな中でも、特に、「特定の藁人形を悪役にした情報」ではより一層その傾向が強くなるなあ、と。そんなことを考えています。
私が観測する限り、「NHK、電通、JASRAC」の三つが、Web上で藁人形役になる機会はかなり多いような気がします。webにおける藁人形三兄弟です。
あと、テレビ、新聞、政府や政党なんかも非常に頻繁に藁人形になりますね。ちょっと性格は違うかも知れませんが、場合によっては個人が藁人形になることも勿論あります。
勿論、これら団体や組織に問題がないかというとそんなことは全くなく、改善すべき問題、指摘すべき問題なんて山のようにあるに決まってるんですよ。これは当たり前です。
けれど、それらの議論、それらの指摘は、正しい情報、正しい認識のもとに行われなければ意味がない。
「大本が悪いんだから、デマや誤情報に乗っかって批判してたって別に問題ない」なんて大間違いです。デマ、煽り、誤解のもとに、それら組織に対する憤慨を噴き上げたって、本来あるべき有益な議論の邪魔になるばかりで、いいことなんて一つだってないんです。
けれど、WebやSNSには、取り敢えずてっとり早く注目を稼げれば満足、というような人がいて、そういう人は「燃えやすい藁人形」に対するデマや誤情報を量産してまで反応を稼ごうとするんですよね。確認に2分使えばデマだと分かるような、質の低いデマで大量に人が釣られる、というのは、正直非常に残念な状況です。
だから私は、「「分かりやすい悪役」がいる話を見た時は、ちょっと身構える」というルールが広まってくれるといいなあ、と思っています。誰か、注目中毒の人なり、特定思想に偏りまくった人が、手段を選ばず「藁人形」を悪役にした時、それに対して噴き上がる人が一人でも減ってくれますように。間違った情報で皆を噴き上がらせようと思っている人が、なるべく失敗してくれますように。
誤解や誤認識を元に、見当はずれな批判や非難を展開する人が、一人でも少なくなることを、祈っています。
「分かりやすい悪役がいる話には一見で飛びつかない」ルールを皆様導入するべき