素で感動しました。
ファイナルファンタジーUSA(ミスティッククエスト)についてのWikipediaの記載が優しいです。日本的優しさに満ち溢れています。満ち溢れまくっているのです。
我々は、ミスティッククエストにおけるWikipedia的記載を今後のインターネット生活のテキストとするべきではないでしょうか。
wikipedia:ファイナルファンタジーUSA ミスティッククエスト
知らない人もいるかも知れませんので簡単に説明しますと、ミスティッククエストはSFCでスクウェアが出したRPGでして、別名の「ファイナルファンタジーUSA」の名の通りメリケン発祥です。
既に聖剣2が発売されている時期、「スクウェアから新作RPGが!しかもファイナルファンタジーシリーズ!!?」と色めきだった当時のゲーマー小僧たちは、ファミマガのおまけ漫画(おちよしひこ先生作。なお面白い)などを読みつつ、グラフィック面での若干の肩すかし感に首をひねったといいます。(要出典)
ここで、ちょっとWikipediaの記述を引用してみましょう。
メッセージのテキスト量の少なさはFFシリーズ随一であり、会話よりもキャラクターの動作で感情を表すなど、多言語移植を前提としているような作りも見られる。最大パーティ人数が2人(主人公と仲間1人)と少なく、仲間がころころと入れ替わる。苦悩などのシーンは殆どなく、みな決断力と理解力に優れている。凄い。凄いですよこの記述。間違ったこと何も書いてない。それでいてゲーム自体は全然落としてない。声に出して読みたい日本語。
特に強調したいのが「苦悩などのシーンは殆どなく、みな決断力と理解力に優れている。」という記述です。
ミスティッククエストのオープニングの展開はこんな感じです。
・地震で村が沈む
・雲に乗った謎の老人ホワイト、唐突に登場。
・「あれが黒幕ダークキングの居城じゃ!」「お前にはやつを倒す素質がある!」みたいなこと説明される
・主人公、「えっオレに!?」みたいなこと言う。その後出てきたモンスターを倒す
・ホワイト、「わしのカンは当たったようじゃな」とか言う。勘かよ。
・主人公、一応突っ込むが、「とにかくオレにはゆうしゃのそしつがあってダークキングをたおせるんだな!?」超話早い。
・その後、「よーし!おれがダークキングをたおすぜ!」的なノリでオープニング終了。
このゲーム全編こんな感じで、皆さん凄く話が早く、面倒くさい状況説明とか理由付けとかを求める頻度がものすげー低いです。ゲームもサクサク進みますが、ストーリーも超サクサクです。ストーリー構成の省エネ化。
それを、「ああ、シナリオ作成の人面倒くさかったんだね」とか言うのではなく、「苦悩などのシーンは殆どなく、みな決断力と理解力に優れている。」などというプラス志向の言葉を使う辺り、このWikipediaを書いた人は只者ではない、と私は思うわけです。
同じ事象を、マイナス面ではなくプラス面から照らし出す。私もこうありたい。
こんな記載もあります。ヒロインの一人「フェイ」についての記載なんですが、
無鉄砲に飛び出したかと思えば物事をひどく絶望的に考えたり、感情の浮き沈みが激しい。FFシリーズの女性キャラの中ではかなり変わった性格。これ、フェイのセリフが
「もうだめだわ ぜつぼうてきよ!
まちが ぜんぶ こおってしまって……
まちのひとは びょうきになるし おじいちゃんは
とじこめられちゃうし…… 」
といったいきなりの状況説明から始まり(この間主人公のセリフ一切無し)、その後もたまに「ぜつぼうてきよ!」という言葉が出てくるというところからの記載なんですが、単に台詞設定と英語訳が微妙なだけなんじゃないかな、といった感想を感じることなく、「FFシリーズの女性キャラの中ではかなり変わった性格」といったオブラートに包んだ表現をするのがつくづく素晴らしいと思います。
あ、関係ないですがフェイはかわいいです。あと魔法が超強力です。このゲーム結構仲間がころころ入れ替わるんですが、最終ダンジョンのお供も彼女です。
仲間のレベルや装備品は新規加入時ごとにそれなりに強い能力で固定されており、経験値を得てレベルアップが行われるのも主人公のみのため、場合によっては常に仲間キャラクターの方が強いという事態も起こり得る。はい。
ここでは「〜という事態も起こり得る」という記載になっていますが、起こり得るというか普通にプレイしてると、最初に仲間になる森の少女「カレン」から始まり、ロック、フェイ、レッドに至るまで、殆ど全て仲間キャラの方が強いです。オート操作で、どかすか敵キャラを駆逐してくれます。うっかりすると主人公何もしなくてもあんまり苦戦しない。
流石にボス戦は多少手こずることもありますが、このゲーム、敵に負けてもノーペナルティでその場復活することが可能な上、仲間キャラが最初からそのダンジョンを攻略するのに十分な強さで設定されているので、「詰む」という機会はほぼ皆無と考えていいです。今、RPGは優しさの時代へ。
ストーリー展開に負けず劣らずの、ゲーム展開のさくさくっぷり。この辺もミスティッククエストの味の一つです。
ラストバトルでは4段階に変身する。しかしケアルの回復量がオーバーフローしてしまうバグがあるため、アンデッドではないにも関わらず、主人公がケアルを連発するだけで数万のダメージを与えてあっさり倒すことが可能となってしまっている。そうですね。
何回かケアルをかけるとラスボスが倒せる、というのもミスティッククエストの味のひとつです。これは多分、ダークキングが「優しい言葉をかけられると逆に卑屈な気分になっていたたまれなくなる」的な繊細さの持ち主か、主人公が「一見優しい言葉だけど実はぐさぐさ相手の心を抉る言霊の使い手なのか、どちらかなんだと思います。
とまあ、好き勝手書いてきましたが、二点確実に言えることは、
・ミスティッククエストの音楽は超ガチ。
・私はミスティッククエスト大好きですけどそこまで積極的にはお勧めしません。
ということのみで、他に言いたいことは特にない、ということは申し添えておきます。音楽いいです。マジいいです。
今日書きたいことはそれくらいです。