2007年05月11日

作者から見た漫画と小説の違い。

要は、開かれた作業か一人での作業か、というところが最大の違いらしい。で、それに伴って色々影響があると。


この前の続き。編集者さん愚痴の補足なのだが、ちょっと面白いなと思ったので紹介してみる。例によって、又聞きなんで結論が出る様な話ではない。

以前、「ラノベの隆盛によって、小説の創作過程は漫画のそれと共通する部分が多くなっている」みたいな文章をどっかで読んだ。ぱっとソースが提示出来ないんだが、ほー?と思った覚えはある。2ちゃんだったかも知れない。

ただ、創作活動としてみると、漫画と小説の間には、当然のことながら色んな厚さの壁がある。

まあ作者によって例外は幾らでもあるんだろうが(富樫さんとか)、絵と文章の違いとか当然のことを除くと、
・漫画の創作は基本的には複数人による共同作業であることが多いが、小説の創作は基本的には一人で完結する作業である

・漫画の創作はいくつかのステージ(ネームとかペン入れとか)に明確に分けることが出来るが、小説は各ステージ間が不分明であることが多い

この辺の違いが大きいと思う。当然ジャンルにもよるのだが、ざっくりと作業過程だけ見ると、おそらく小説の方が「煮詰まりやすい」構造になっている筈だ。

で、こっから編集者さんサイドの話。

一人の編集者さんが漫画家と作家を同時に担当するということは、そもそもあんまり一般的じゃないんじゃないかと思うんだが、彼の話では「漫画家に対する気遣い」と「小説家に対する気遣い」は全然質が異なるそうなのだ。

漫画家は編集者以外にも相談出来る相手がいることが多い(アシさんとか)が、小説家は執筆過程では人に相談出来ない場合が多い。必然的に、小説家は編集者への依存度が漫画家のそれよりだいぶ高くなる、んだとか。一言で言うと、小説家へのケアは漫画家へのケアより大変なことが多い、ってことになるだろか。


この際、要注意なジャンルが小説と漫画に一つずつあるとか。曰く、小説では「推理小説」、漫画では「4コマ漫画」

推理小説についてはなんとなく分かる。推理小説というものは、一つのトリックが作品全体を成立させる程、独創的なトリックへの依存度が高い。故に頭も激しく使うし、「ネタ被り」「ネタ切れ」への恐怖感も非常に大きい。要領のいい人は適当に手を抜くらしいが、真面目な人にはさぞかしキツいだろう。神経症を患う人の話もしばしば聞く。

一方の4コマ漫画についてなのだが、コスト対効果の問題で、「作業工程は割と多いのに一人で書いている」という漫画家さんがどうも結構いるらしい。へーって感じなのだが、特にギャグ系の4コマなんて、一人で書き続けるのは相当大変だろう(やってみるとわかるが、ギャグ系の創作というのはすげー神経を使う)。

4コマ漫画誌には「体を壊すことによる入れ替わり」がしばしばあると聞くが、アシさんを使わずに一人で続けている人が危ないのかも知れない。まあ勿論、ある程度以上売れてる人は話が別なんだろうが。

じゃあ、一人でやってる4コマ漫画家さんのケアってどんな感じなんですかね、と聞いてみると、

「まあ先生の性格によるんだけどねー。基本的には、愚痴はきちんと聞いてあげるってのと、頻繁に声かけするってのと、助けて欲しそうなサインがあったら見逃さないとか」

なんか、子育てにストレスを感じてる奥さんに接する旦那さんみたいですね。

「ああ、似てるのかもね。前、父親不在気味になったらギャグ系だった子供がものすげえグレた作家さんがいたし」

話し方からすると私も知っている人らしかったんだが、誰のことかは怖くて聞かなかった。


しかし、母子家庭どころか子供が行方不明になったジャンプの某漫画家さんとか、編集者さんは一体どの様に接してたんだろか。ちょっと気になる。

誰か集英社にコネがある方、今度こっそり聞いてみてください。
posted by しんざき at 00:49 | Comment(2) | TrackBack(1) | ゴーストライター | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
このエントリーをはてなブックマークに追加
この記事へのコメント
一番の違いは「競争システム」があるかどうかじゃないですかね・・

マンガは競争システムが確立してるから、ネット時代の今でも、200円〜300円の対価を払って買ってもらえる価値がある気がします(紙媒体でネットと戦えるのは新聞とマンガのみ)

小説も、最近はネット小説とか、ちょっと競争システムが確立しはじめてるように見えます。軽めの小説だけでもいいから、競争システムができてほしいなと考えてる昨今
Posted by L at 2007年05月13日 19:35
>Lさん
コメントありがとうございます。
「競争システム」の話、私の認識からは抜けてました。例えば漫画のアンケート制とかのことでしょうか?

小説と漫画では、流通経路もだいぶ違いますよね。漫画は週刊誌がプレ・コミックスの展示場みたいな収支形態になってるみたいですけど。
Posted by しんざき at 2007年05月15日 23:35
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック


Excerpt: 推理漫画推理漫画(すいりまんが)とは、日本における漫画作品のジャンルのひとつで推理小説の漫画版である。主人公が探偵(素人)である場合が多いことから、別名探偵漫画とも呼ばれる。また、犯罪漫画を内包するこ..
Weblog: このマンガが読みたい!
Tracked: 2008-02-01 20:23