どうも、「作らない」ではなく「今更2Dに戻せない」事情が色々あるらしいのだな。
私の仕事とは直接関係ないのだが。大学時代の友人が某ゲームメーカーに勤めていて、4年振りくらいに連絡をとったついでに聞いた話。他のメーカーさんでも当てはまるのか、という保証は残念ながらない。そんなケースもあるのか、という程度で。
1.グラフィック部分は、非常に工数(開発に要する労力)がかかる割にある程度作業工程を切り離すことが可能。その為、まとめてオフショア(海外発注)に出されるケースが結構ある(これは、開発チームの事情ではなくてどちらかというと経営側の事情らしい)
2.海外の協業さんには、そもそも2Dのグラフィックを描く技術を持っている人が少ない(オフショア開発が一般的になってきた時期、既に3Dゲーが主流になっていたことが一因らしい)
3.海外の協業さんとの連携が非常にやりにくい。細かい指示が届かず、仕様書の読みミス、こちらは確認したつもりでも向こうが聞いていなかった、仕様書の不備のせいにされた、といったケースがひっじょーに多い(私の業界でもよく聞く話。お隣の大きな国が発注先になった場合に頻出するとか)
4.↑の理由の為、細かいドットパターンの2Dグラフィックなどとても頼めないらしい(ここはよく分からなかったんのだが、3Dモデルだとある程度3の理由をフォロー出来るんだろか?)
5.そもそも、2Dグラフィック開発にかかる工数は3Dモデル開発よりもはるかに多く、作業工程も一般化出来ないなどの経営上の問題の為、企画段階で「無理だよね」という話になる場合が殆どらしい
6.↑の理由の為、現役で働いている2D専門グラフィッカーさんも既に稀な存在らしい(出世して現場から外れているか、3Dグラフィックの技術も身につけているか、リストラされている、のほぼ三択だとか)
以下補足。
ドット絵職人さんが希少なのかなー、というのは外野から見ていて心当たるところだったんだが、オフショアとか開発工数の話は「はー」と思った。フレームワークの普及で現場の職人技が減少傾向、とかいう話についてはあんまり他人事ではない。
6番については、「出世して現場から外れている」ってのは結構ありそう。ピーターの法則ですか。違うかな。
古き良き時代のドット絵は大好物なのだが、近年はなかなか難しいのかなあ。大手メーカーさんからはたまに発売されたりしてるみたいだが、ボリューム的には大変物足りない。(余談だが、近年最も「2Dグラフィッカー」を確保している会社は、RPGじゃなくて格ゲーに強いところではないか、とか。某C社辺り強いのかも知れない)
ついでの話で、止め絵が多用出来るジャンルのゲームに関しては、最近エロゲ上がりのグラフィッカーさんが採用されることが増えてる、という話も聞いた。人材交流みたいなもんでもあるのかな。
以上、知人の許可を得てエントリ。既出話だったらすいません。
2007年06月03日
この記事へのトラックバック
[ゲーム]不倒城: 最近2DのRPGが希少化している幾つかの理由。(from 明日は明日の風が吹く)
Excerpt: う〜ん、ドット絵どんどん見なくなっていきますよね…。好きなので結構寂しいです。
Weblog: 愚者のニュース
Tracked: 2007-06-08 06:38
[Computer][Work]2Dのゲームは確かに少なくなってきていると思う
Excerpt: 不倒城: 最近2DのRPGが希少化している幾つかの理由。 現象として、2Dのゲームが少なくなってきたな、というのは確かにそう思う。 2.海外の協業さんには、そもそも2Dのグラフィックを描く技術を持っ..
Weblog: おろかな日々
Tracked: 2007-06-10 14:29
【日々】:現場はいつも板ばさみ
Excerpt: PRESIDENT (プレジデント) 2007年 6/18号 [雑誌] 新しい...
Weblog: 白石運送
Tracked: 2009-07-06 22:27
オフショア、やっぱ苦労されてますか。
なんか色々評判聞いてると、「コスト削減の為なのに、却って余計にコストかかってね?」とかそんなケースが結構あるみたいですね。
ちなみにドット絵師は今は携帯機やケータイのアプリなどに流れているようです。
あ、そういえば昔、ニュースで読んだ様な。
えーと、えーと。じゃあ、Cというのはコンパイル・・・いや、ココナッツジャパンの略だったんだよ!!ということで一つ。どっちも格ゲー関係ないけど。
>山本さん
なるほど。じゃあやっぱり、ドット絵職人さんがそのままコンバートしてるんですかね。
まぁ他社に比べて人材は多いのでしょうけどね
準看板シリーズだったブレスオブファイアはIII以降3D化が進んで結局全部ポリゴンだよ
どんなに経営が苦しくても2Dグラフィッカーの
首は絶対切らなかったのか・・・ナットク。
そーなんですか。大手会社のグラフィッカー→大挙して流出or独立、とゆールートは聞いたことがありますが、そのケースでしょか。
>準看板シリーズだったブレスオブファイアはIII以降3D化が進んで結局全部ポリゴンだよ
あー。ブレスオブファイアなんか多分、「2Dに戻せない」シリーズの代表格っぽいですね。
というか、あれのグラフィックって社内でやってるんでしょうか。
>どうりで知り合いの会社の経営者はどんなに経営が苦しくても2Dグラフィッカーの
>首は絶対切らなかったのか・・・ナットク。
会社が作ってるゲームの方向性にもよりますが、今2Dグラフィッカーを手放さないのは、やっぱり「もう他に出来るヤツがいないから」なんでしょうね。
>と言うことは、ヴァニラウェアは希少価値高し?
あんまり詳しくないんですが、ヴァニラウェアもどこかのグラフィッカーさんが会社辞めて立ち上げた会社じゃありませんでしたっけ。アトラスかどっか。
元会社にいたらもう2Dのゲーム作れねえ、という判断で辞める人も割といるみたいですね。
特に、エロゲーからパチンコに流れる人材がものすごく多い。
というか、エロゲー会社そのものがパチンコの液晶部分開発チームになったりもありますな、某エロゲーメーカーみたいに。
オフショアについてはおっしゃる通りで、某大国への発注では本当に大変なことになりました。現場ではほぼ一致して「頼むからやめてくれ」と言ってきたんですが、経営側が余りのコストの違いに聞く耳もたず。
2Dグラフィッカーは、リストラというよりは、好きな仕事がやらせてもらえず自分からやめていった人の方が多いと思います。
4番は多分、3Dモデルの開発だったらある程度までは「こういう形でやってくれ」というテンプレのすり合わせがしやすいからじゃないでしょうか。ドット絵の場合、手法は専門的でテンプレ化が難しい上、ダメなものが上がってきたら本当に一からやり直しですから。
ちなみに4の3Dの方がというお話ですけど、
ドット絵と違って3Dモデルはベクターデータなので
拡大縮小における劣化が少ないというのもあるんじゃ
ないでしょうか。
まあ、実際中の国でも米の国でも、日の国でさえ
アウトソーシングすると、変なとこにポリが
残ってたり仕様違いや2重ポリ等々、結局かなり
の時間手直しに費やされるんですよねぇ
>ドット絵の場合、手法は専門的でテンプレ化が難しい上、ダメなものが上がってきたら本当に一からやり直しですから。
>ドット絵と違って3Dモデルはベクターデータなので
拡大縮小における劣化が少ないというのもあるんじゃ
ないでしょうか。
皆さん情報ありがとうございます。私が疎かった話が多くて勉強になります。
オフショアについてはまあ、なんとゆーか、色々ありますね。組織ぐるみで投げるといかんのかな。
ス パ ロ ボ は ?
やっぱ大変なのか?アレ
って思ったのは私だけじゃないよね?
あそこもそれなりに2DのRPG出してるイメージあるけど?
どーなんでしょ?スパロボは、なんかグラフィックとは違ったところで色々大変な開発事情がありそうな気がしますが。声優さんとか。
>あそこもそれなりに2DのRPG出してるイメージあるけど?
そーですね。
C社に関しては、販売元はC社でも製作会社が違うのでは?
あとスパロボも2Dぽい格ゲーも、最近は2Dぽく見える3Dを使っていることが多いようです。
3Dのデータを元に2Dのドット絵をプログラムが自動的に作ってるというわけですな。
トゥーンレンダリングという技術が発展したものかと。
特に最近のゲーム機には、その程度の処理をさせられるだけの性能がありますし。
信じられないなら、大神でもやってください。あれは良い「2Dに見える3D」です。
ああ、いやまあ、トゥーンレンダリングなら勿論知ってますので信じられないなんてことは全然ありませんが。ドリキャスでもよくやってましたね。
C社の話については、最近のラインナップはあんま分かりませんが、当然他社開発の製品もあるんじゃないでしょうか。
それの大半はアートディレクターの立場にある人が
直に描いて作ってるみたいですね。
直に描いて作ってるみたいですね。
「職人さんが出世したけど第一線でも働いてる例」ですかね。そういう柔軟な体制ばっかりならいいんですが。