「こういう面白い問題があるよ!」じゃ目を引きにくいからって、「IQ○○以上」とかいう無根拠なラベルつけるの、IQに対する誤解に拍車をかけそうなので正直やめて欲しいです。
と、言いたいことはタイトルと上の一行で完結してしまったんですが、一応若干補足してみます。
こういうこというと、「あんなの本気にしてるやつなんかいるの?」とか、「いいじゃん単なるお遊びなんだから」とか擁護する人、大体いるんですが、「本気にしてる人」は必ず一定数以上いるんですって。問題としては、(無根拠なものに一見科学的なラベリングをしているという意味で)血液型による性格診断とか、ニセ科学みたいなものに近いです。変な差別感情を生んでしまいかねないところとか、本来科学的に信頼できるものの信頼度を巻き添えで落としてしまったり、といったところも同じです。
今更いちいち説明するまでもないことかもしれませんが、一応念のため、念のために書いておきますと、
・IQにはいくつかの種類・いくつかの計測方法がありますが、いずれも複数の(一般的にはかなり大量の)質問に答えて統計的に結果を導くもので、「これが解けたらIQいくつ」とか言えるものではありません
・必然的に、「IQ○○の問題」「IQ××以上の問題」とかいうものもこの世に存在しません
・「IQを計測する」という場合には、「それがどんな種類のIQで」「どの計測方法を用いるのか」が必ず明確に存在する筈です(明示されているかはともかく)
・そういう基準がないものは単なるおまじない、ないし占いです
「何当たり前のこと書いてんだ」と思われるかもしれませんが、「当たり前のこと」が案外「当たり前のこと」として認識されていないことを、我々は何度も眼前に見ています。
元より、「IQ」とか「知能指数」というのは、扱っている領域が領域であることもあり、色々と誤解・混同されがちです。
たとえば、一番大きな括りでも、IQには「生活年齢に対して精神年齢がどれだけ成長しているか」を基準としたもの(いわゆる従来のIQ)と、「同じ年代の集団の中でどの程度知能が発達しているか」を基準としたもの(DIQ)の二種類があります。で、それに対して、例えばビネー式とかウェクスラー式とか、ウェクスラー式の中にも更に何種類もあったりとか、いろんな計測方法、統計基準があるわけです。細かく知りたい人は後で挙げる参考書籍でも読んでみてください。
IQが高いからといって無条件に勉強が出来るわけではありませんし、IQと相関がある分野もない分野もあります。なにせ「頭の良さ」「知性」という、ただでさえ曖昧な領域の話なので、IQの意味や概念というのは非常にデリケートなのです。
そんなところに、PVやRT数稼ぎなんて目的で、変なものを叩き込んで欲しくないなあ、と。
別に「こういう面白い問題があるよ!解いてみて!」でいいじゃん、と思う訳です。「これ解けた人すげえ!」だけで十分じゃん、と思う訳です。
それだけだとなかなかRTしてもらえなかったりブクマがもらえなかったりするからといって、「IQ」というれっきとした科学的な指数、しかも色々と誤解されがちな指数を客引きに利用するのはやめて欲しい、と思う訳です。それだけです。
単にパズル問題を楽しんでいるだけの人には申し訳ないですが、こういう指摘は継続的にした方がいいと思ったので書いてみました。いや、問題としては面白いんですけどね。ホントに。
ちなみに、もし知能指数や知能検査についてある程度まとまった情報が欲しいという方がいたら、個人的には下記の書籍をお勧めします。
特に、知能検査の毀誉褒貶や様々な問題点にまで触れた、辰野先生の「知能検査基本ハンドブック」は良書だと思います。上記で触れた、知能指数に関する様々な誤解についても触れられています。
滝沢先生の「発達心理学からみたIQ」は、元々教育心理学寄りの方ですので、教育心理学に興味がある方には面白いと思います。
今日書きたいことはそれくらい。
其りゃ、abc予想が解けたってなら、其の方面で独創的で傑出した知力知能を有ってるのは間違い無いと想うけど。 でもIQ80から云えば、暗算の天才が芸として以外振るわ無く成り、囲碁の天才が人間同士の対戦見せ物としてのみ機能する様に成ったのと同様に、数学者が問題を計算機に訊いたら、分かり易く証明しときましたよ、って電話帳並みの厚さで定義定理論証のぎっちり詰まった論文を出力する、理解に一生で追っ付か無い、其んな時代も直ぐ其処だ、とルサンチマンしてる今日此の頃。