2016年08月20日

レトロゲーム万里を往く その132 幽☆遊☆白書 (SFC版)


「キャラクターものをどうゲーム化するか」って、ファミコン時代の黎明期から、ずっとゲームメーカーの主要なテーマの一つであり続けていたと思うんですよ。


ファミコンにおける「キャラクターものゲーム」の歴史をちらっと振り返ってみましょう。

まず、キャラクターもののゲーム化における、もっともシンプルな回答は「何も考えずにアクションゲームにしてしまう」というものでした。

ファミコンにおけるキャラゲーメーカーの雄といえばバンダイとハドソンかと思いますが、特にファミコン初期、バンダイは幾つもの「キャラクターものアクションゲーム」を出しています。


たとえばキン肉マンマッスルタッグマッチ。

たとえば オバケのQ太郎 ワンワンパニック。

たとえば ゲゲゲの鬼太郎 妖怪大魔境。

たとえばドラゴンボール神龍の謎。


勿論、バンダイ以外にもアクションキャラゲーは山ほどあります。ハドソンの「ドラえもん」「忍者ハットリくん」、ジャレコの「うる星やつら ラムのウェディングベル」、コナミの「火の鳥」東映の「北斗の拳」あたりは代表的なところでしょう。

ファミコン初期はまだゲーム化の引き出しが少なかったとはいえ、「取り敢えずアクションゲーム」というのが、キャラゲー化の一つの定番だったことは間違いないでしょう。名作もあれば、「うーん?」というゲームもありましたが、何はともあれ「漫画やアニメのキャラクターが動かせる」というのが、ファミコン小僧にとって一つの喜びだったことは間違いがありません。

ただ、「原作あんまりアクションと関係ないのにアクションゲームにしてしまっている」という例もままありまして(オバQもその口だったと思います)、その極端な例が東宝による「タッチ」のゲーム化だったと思います。まさか「野球ラブコメ漫画」が「ボールを投げまくって敵を倒す」ゲームに変貌するというのは、当時想像の範囲外の出来事でした。いやホント、あのゲームなんで野球ゲームじゃなかったんでしょうか。ファミスタの丸パクリの方がまだ原作ファンは納得したと思うんですが。


もうちょっと時代を下ってみると、「ビジュアルを活かしてアドベンチャーゲームにする」というソリューションが出てきます。これは、アクションゲームよりもだいぶ「ビジュアル的な原作再現度」を上げることが出来るという点もあり、ファミコン中盤から終盤にかけて名作も生まれました。

たとえば「めぞん一刻」。たとえば「ビー・バップ・ハイスクール」。たとえば「孔雀王」。たとえば「おそ松くん バック・トゥ・ザ・ミーの出っ歯の巻」。たとえば「かってにシロクマ」。

ただ、アドベンチャーゲームの欠点は「シナリオとテキスト次第では簡単にゲームがぶっ壊れる」というものでして、「AKIRA」や「美味しんぼ」などはだいぶ賛否が別れる内容になっていました。私も正直「美味しんぼ」のアレはどうかと思います。


ジャンルとしてはアクションとアドベンチャーの比率が高いと思いますが、他のジャンルを選んだキャラゲーも色々あります。

STGというジャンルを選んだ「機動戦士Ζガンダム・ホットスクランブル」「超時空要塞マクロス」「ガルフォース」、RPGというジャンルを選んだ「ドラえもん ギガゾンビの逆襲」「悪魔くん」「天地を喰らう」、他にはSLGやボードゲーム(おぼっちゃまくんとか)なんてのもありました。あるキャラクターものを、「そう来るか」でゲーム化するのは、一つのアイディア勝負でもあります。


そんな中、サッカーゲームをコマンドRPGに近いビジュアルゲームにした、「キャプテン翼」と「キャプテン翼2」が一つの『キャラクターものの到達点』だったことは間違いありません。

レトロゲーム万里を往く その5 〜キャプテン翼〜

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「漫画的なビジュアルと、サッカーというジャンルを両立させており、ゲームとしてもちゃんと面白い」というのは一つの奇跡だったと思います。このゲームを作れたというその一点だけで、テクモというメーカーの物凄さが分かります。


で。


めちゃくちゃ前置きが長くなりましたが、スーファミにおける「幽☆遊☆白書」も、私にとっては一つの「そう来るか!!」のゲームだったわけです。


幽☆遊☆白書。ジャンルは「ビジュアルバトル」。1993年12月22日、SFCでナムコから発売。

その最大の特徴は、「アクション性を大部分オミットして、完全ビジュアル重視の対戦ゲーにした」というところでしょう。

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これが、「幽☆遊☆白書」の対戦画面です。
御覧いただける通り、ビジュアルはSFCゲーの中でも相当頑張っていた部類だったと思います。しかも結構動くんですよ、これ。

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プレイヤーは、十字キーとX/B/Y/Aのボタンの組み合わせで、そのターンの行動を選びます。選べる行動には「攻撃」「防御」「技」「霊撃(いわゆる必殺技)」の大きく4種類がありまして、更に使うボタンとキャラクターによって、ビジュアルと技は枝分かれします。

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で、技の相性や使ったタイミングによって、当たる、かする、よける、技が成功する、失敗するなど、様々な結果が出ます。これによって、最終的に相手の体力を削りきったら勝ち、というわけです。

技を使うタイミングや、相手の技との駆け引き要素などは勿論ありますが、アクション性は殆どありません。「ビジュアルバトル」の名の通り、そのゲーム内容はどこまでも「ビジュアル重視」でした。

幽☆遊☆白書は格闘マンガです。そして、当時まだ、メガドライブの名作「幽☆遊☆白書 魔強統一戦」は発売されていませんでした(あっちは1994年です)。当時が、1991年のストIIを端緒とする格ゲーブームまっさかりであることを考えれば、「幽☆遊☆白書」のゲーム化をするとき、普通に考えれば「じゃあ格ゲーにしよっか」というのが自然な流れであるように思います。

しかし、ナムコはその道を選びませんでした。ナムコは、独自の「ビジュアルバトル」というシステムを開発し、それに幽白を乗っける方を選びました。

これは私の推測なんですが、恐らくナムコは、「格ゲーファンじゃなくて、漫画の幽白ファンが一番喜ぶゲームはどんなのかな?」というところから始めたのではないか、と思います。そして、原作の格闘要素を削ることなく、幽白独特のキャラクター、独特のビジュアルが最も映えるゲームシステムを選んだ。


ここには、「キャプテン翼」でテクモが起こしたイノベーションと通じるものがあるんじゃないか、と私は思うのです。


ゲームとしては、格ゲーはかなり忙しいシステムですし、プレイヤーを選ぶ側面も正直あります。特に、当時幽白のファンに多かった女性読者の中には、格ゲーブームと無縁に過ごしていた層もかなり多かったでしょう。

それに対して、「シンプルな操作でビジュアルが楽しめる」というシステムを用意することによって、「ゲーム慣れしていないファンでも、十分にビジュアルが楽しめる」というゲームを作り上げる。これも「キャプテン翼」と同じく、ナムコの一つの大英断だったと思うわけです。


後にトレジャーが送り出した「幽☆遊☆白書 魔強統一戦」は、今でも愛好する人がいる程の、「深く、どこまでも遊べる」格ゲーに仕上がっていました。一方、SFCの「幽☆遊☆白書」は、「誰でも遊べて、ビジュアルが楽しめて、しかもちゃんと面白い」ゲームに仕上がっていました。

二つの、全く違った「幽☆遊☆白書」。これもまた、「キャラクターもののゲーム化」における好対照、歴史に残る分岐だと私は思います。




もうちょっとSFC版「幽☆遊☆白書」の話をしますと。なによりもそのキャラクターの選択にセンスを感じます。

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メインキャラクターの5人は当然として、プレイアブルキャラクターの中には六遊会チームの是流だの、魔性使いチームの吏将だの、「そいつが来るか」というキャラクターもかなり含まれています。是流なんて、原作中での戦闘シーンはめっちゃ短かったですけれど、ちゃんと技作りこまれてますよ。すばらしい。

そして、なんといってもキラリと光る「美しい魔闘家・鈴木」の存在。彼の美しい技の数々も、流石に限定されてはいますがきちんと再現されまくっており、開発者の愛を感じること大なわけです。鈴木いいですよね。このゲームではめっちゃ性能低いですけど。

キャラクターごとの性能差は結構極端でして、飛影なんて黒龍波は強力なんですけど他の技が軒並み近接なんで飛ばれると全部スカされたり、相手の行動をキャンセルする技がやたら強かったりと、対人のバランスには正直少々難がありました。あと100%戸愚呂めっちゃ強い。


このゲームの続編では「幽☆遊☆白書 特別篇」も発売されており、ストーリーモードがなくなった代わり、キャラクターバランスの改善、魔界の扉編キャラの追加などが行われています。ドクター神谷とか、刃霧要とかめっちゃいい味出してます。あと、若幻海がそのまんま使えたりします。


私の疑問は正直たったひとつで、「このゲームのシステムってキャラクターものゲーム化するのにはすごい適してると思うのに、なんでフォロワーがほぼいないんだろう?」という点です。なんでしょうね?ゲームとしても結構面白かったと思うんですが…。


と、長々書いて参りました。

結論として、

・キャプテン翼と「幽☆遊☆白書」はキャラクターものをゲーム化する際の革命児
・「幽☆遊☆白書」面白かったですよね
・ただ「剣よ伸びろ!」が強かったためにプレイヤーキャラでは桑原がやたら強かった印象
・魔強統一戦もすげー面白いですよ!!
・全然関係ないけど若幻海かわいいですよね

という5点だけを申し添えて、本エントリーの結びとさせていただこうと思います。


今日書きたいことはそれくらいです。


posted by しんざき at 09:00 | Comment(7) | TrackBack(0) | レトロゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
フォロワーとしてアニメバトル 烈火の炎 〜Flame of Recca〜 FINAL BURNINGがありますね
こっちはコナミですが
Posted by at 2016年08月20日 19:53
>フォロワーとしてアニメバトル 烈火の炎 〜Flame of Recca〜 FINAL BURNINGがありますね

すいません、不勉強でこのゲームのことは存じませんでした。
見た感じ、幽白のシステムを若干簡略化したものみたいに見えますね。なるほど、これは幽白フォロワーと言えそうです。ありがとうございます。
Posted by しんざき at 2016年08月20日 22:22
この手のキャラゲーだとMDの修羅の門とか好きでした
Posted by 撃 at 2016年08月21日 00:08
>この手のキャラゲーだとMDの修羅の門とか好きでした

あ、セガのヤツですよね。
あれもビジュアルや原作再現度すごかったですよね。
Posted by しんざき at 2016年08月21日 07:26
何分昔の話ではっきり断言できいませんが
幽々を作ったのはテクモからナムコに転職した人で
キャプ翼作ってた人だった筈ですよ。
(無印からだったか2からだったか)

当時のナムコのSFC版に軒並みテクモシアターっぽい
のが追加されてた覚えがあります。
Posted by 事情通っぽい人 at 2016年08月21日 21:53
>幽々を作ったのはテクモからナムコに転職した人で
キャプ翼作ってた人だった筈ですよ。

おお、その情報は知りませんでした!ありがとうございます。
ちょっと調べてみます。
Posted by しんざき at 2016年08月23日 08:08
私もこのゲーム好きで結構プレイしていました。

>ただ「剣よ伸びろ!」が強かったためにプレイヤーキャラでは桑原がやたら強かった印象

「伸びろ!」は若干命中率が低い様な気がするので、霊力上げて「曲がれ!」にして使ってましたね。
Posted by at 2016年09月08日 08:59
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