2007年06月08日

レトロゲーム万里を往く その64 バブルボブル

固定画面アクションゲームの粋が、そこにあった。


練りこまれた敵配置も、考え抜かれた面構成も、点稼ぎの爽快感も、飽きることのない操作性も、マニアックなテクニックも、掘っても掘っても底が見えない奥深さも、100面をクリアした時の達成感も、そこにはおよそ望みうる全てがあった。


「固定画面アクションゲーム」というジャンルが、ゲーム界の主要なシーンとして隆盛した時代が、多分あったと思う。1970年代末から、まあ大体1980年代の中盤くらいまで、だろう。

古くは「シェリフ」の様なSTGの発展形や、「ヘッドオン」やパックマン、ラリーXなどのドットイートゲームを祖として、ペンゴやドンキーコング、マリオブラザーズやロードランナー、あるいはディグダグやボンジャックなどを輩出する内、そのジャンルはパズル的な方向とアクション的な方向の二つに分かれていった。

その一方の到達点に「ソロモンの鍵」が君臨している。「削る」のではなく「創る」パズルアクション。パズル要素とアクション性の完全な融合。パズルアクションという土俵でソロモンの鍵と勝負し得るタイトルは、そうそう多くはないと思う。

もう一方。アクションとしての楽しさを追求していった固定画面アクションゲームの、一つの究極の形が「バブルボブル」だったのではないかと私は思うのだ。


バブルボブル。1986年、「フェアリーランドストーリー」に続く固定画面アクションゲームとしてタイトーから業務用発売。X68000、FM-TOWNS等の様々なハードに移植されたが、翌87年の10月「ディスクシステム」を舞台に発売された、ファミコン版に触れた人が多いかも知れない。タイトーとしては数少ない、コンシューマー畑でのキラーソフトでもあった。

上記でソロモンの鍵の名前を挙げたが、ソロモンとバブルボブルは丁度同年、1986年にアーケード版が発売されている。1986年という年は、業務用・家庭用共、冗談抜きで大豊作の年だった。中でもこの2タイトルは、丁度同じ時期に出現した、固定画面型アクションゲームの双璧と言っていいだろうと思う。

ゲームの解説は、いつもの通り「OKINIIRI」様の詳説をご参照頂ければと思う。業務用の画面も掲載されている。
OKINIIRI:バブルボブル

Wikipediaの関連項目も挙げておこう。
Wikipedia「バブルボブル」

さて、ゲームの話をしてみよう。

・泡とジャンプと、まとめ割り。

このゲームの凄い所は、初心者からマニアまで、ターゲットとなり得る範囲が物凄く広い所ではないかと思う。

バブルボブルは固定画面型アクションゲームである。

プレイヤーは、泡吐きドラゴンに姿を変えられてしまった「バブルン」「ボブルン」を操り、泡を吐いて敵を閉じ込めたり、泡に閉じ込められた敵を体当たりで泡ごと退治したり、ステージクリアの直前にボーナス果物を必死で集めたり、泡の上に乗って画面上段に移動しようと必死になったり、地形にハマって抜け出せない内にすかるもんすたに捕まって死んだりする。


泡を吐いて、敵を閉じ込めて、割る。

泡を吐いて、ジャンプして、泡を足場にして移動する。

この二種類のアクションと、そこにまつわる数々のテクニックと、豊富極まる敵キャラ・アイテム群が、つまりバブルボブルの楽しさの中核である。まとめ割りの爽快感も、気流を有効利用したステージ構成も、特殊バブルのおもちゃ的感覚も、全ては「泡」というギミックあってのものなのだ。

タイトーのアクションゲームの多くは、操作性という面でナムコや任天堂に一歩を譲ると思う。だが「バブルボブル」に関して言えば、「動かしていて楽しい」という操作性の要件に関して、この2大メーカーの数々の名作に勝るとも劣らない。

「泡」という一つの小道具を最大限に使い切ったゲーム性は、一面「ソロモンの鍵」の換石の術とも通じる部分がある。単純にして、懐は深い。一つのアイディアを最大限活用し切るゲームデザインには感嘆する他ない。鬼才・MTJ氏の面目躍如といったところだろう。


・「音」が作り出した世界観。

タイトーゲーにおいて「音と世界観」というテーマが明確に浮上し始めたのも、多分この前後の時期からなのではないかと思う。

1986年に発売されたタイトーゲーというと、なんといっても「アルカノイド」「ダライアス」そして「奇々怪界」だ。

以前も書いたが、奇々怪界は私にとって音ゲーである。BGMのみならず、一つ一つの効果音からデモに至るまで、奇々怪界の「音」は一つとして浮くことなく、ゲームの雰囲気を形作っていた。

それと同じことが、多分バブルボブルにも言えると思う。

クレジットを投入してスタートボタンを押した直後、画面に浮かぶストーリーと、泡に入ったバブルンボブルン。流れ始めるオープニングミュージックは、軽快なリズムをそのままにゲーム本編の音楽に繋がる。

奇々怪界もバブルボブルも、「浮いた効果音が殆どない」というのは特筆してしかるべきだろう。敵の入った泡をまとめ割った時の駆け上がっていく様な効果音も、すかるもんすたが出る時のおどろおどろしい音楽も、全体としては「遊園地」とでも表現すべき、ポップで賑やかな雰囲気を形作っている。

キャラクターの可愛らしさもあいまって、女性にもかなりの人気があったという話を聞く。実際うちの奥様に聞いてみても、「ファミコンのバブルボブルはかなりやりこんだ」という言葉が返ってくる。ディスクシステムという極めて特殊な媒体であったことを考えれば、このゲームの「雰囲気作り」の上手さが伺い知れるだろう。


・時代の趨勢と「隠れキャラ」

1980年台中盤というのは、いわゆる「隠れキャラ」が華々しく隆盛した最後の時代でもあったと思う。

この時代以降、例えばかつてのボンバーマンやスターソルジャー、グーニーズ等に存在した「ゲーム自体とは全然関係ない隠れキャラ」というものは段々姿を消していき、隠しアイテムというものはゲームの展開・あるいは攻略と密接にかかわる様になっていった。

その草分けとなったのは恐らく「ドルアーガの塔」だが、本格的な転換点はバブルボブルと、あと「ソロモンの鍵」にあったのではないかという印象がある。

「隠れキャラ」というものは開発者の遊び心というか、元来おまけ的要素が強いものだった。また、ゲームが発売された当初は眠らせておいて、後々雑誌などの公告媒体で「実はこんな隠れキャラが!」といったうたい文句でゲームの再燃を図る、あるいは攻略本や攻略誌の目玉とする、という向きもあった気がする。

特に多かったんではないかと思われるのは後者の使い方で、出版社向けのマッチポンプというと言葉は悪いが、「隠しキャラが見たいので攻略本を買う」という需要を作り出す、という一面は明らかに存在したと思う。

それがだんだん目立たなくなっていったのがおそらくこの時代だ。ソロモンやバブルボブルといった、「攻略と密着した隠しキャラ」が多数出るゲームの存在によって、逆に隠れキャラの「目玉度」というものはだんだん薄くなっていった。明らかにゲームから浮いている隠れキャラは次第に入れ辛くなってきた訳である。

ゲーム全体の世界観というものが考慮される様になっていった、という事情も多分あるのだろう。これ以降しばらくの間、「隠れキャラ」は小技、あるいはゲーム性と密着した当たり前の存在として、一時期ゲーム史に埋もれることになる。

時代に埋もれた「隠れキャラ」が再び脚光を浴びるのは、ストIIXにおいて豪鬼がベガをボコった後、格闘ゲームの「隠しボス」がメジャーとなってからの話である。

まあ、隠れキャラについてはいずれ独立して、「裏技」などと一緒に取り上げたいと思っているので、これ以上は項を改める。


・そして、バブルン達のその後。

「バブルボブル」以降も、タイトーは佳作アクションを次々と打ち出していった。とはいえ、アクションゲームの潮流自体は既にスクロール型アクションに移り、一時代を築いた「固定画面型アクションゲーム」というジャンルは、この後、少しずつ潮が引く様に消えていった。

86年以降のタイトーのアクションというと、勿論バブルボブルの続編「レインボーアイランド」や「ニュージーランドストーリー」「地獄めぐり」辺りがすぐに思いつくが、全てがスクロールアクションである。

94年の「バブルシンフォニー」はもとより、89年の「ドンドコドン」が発売された時期すら、残念ながらお祭が終わった後だったというべきなのだろう。90年以降の業務用アクションゲームのシーンは、落ちものと格闘ゲームに完全に遷移する。ナムコからティンクルピットが発売された時には結構驚いたが、それも大ヒットには至らなかった覚えがある。

固定画面型アクション隆盛の幕切れは、ごく静かなものだった。



と、また長くなったので今回はここまで。次回は引き続き、ゲームタイトルを主軸にした万里を書く予定です。

posted by しんざき at 17:08 | Comment(4) | TrackBack(0) | レトロゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
バブルボブルははまりましたね〜。
DSのあれやそれは絶対認めませンっ(笑)

それはともかく黎明期からのビデオゲームを懐かしく思い出せるのは運がよかったと思いながらトピを読む今日この頃です。
Posted by 朱凰 at 2007年06月08日 22:49
>朱凰さん
コメントありがとうございます。

毎度凄絶に話がそれてますが、レトロゲームがメインのブログですので、引き続きまったりとごひいき頂けると嬉しいです。
Posted by しんざき at 2007年06月11日 19:16
確かに、固定画面アクションといわれると新しいのは思いつきませんね(思いつくので新しそうなのはタンクフォースくらいでしょうか?)
寒風吹きすさぶスーパーの店頭でひたすら頑張っていた時期を思い出しました。
始めからパワーアップの方法を知る前と後でプレイ時間に大きな差がでたのも懐かしい思い出です(笑)。
Posted by そうてん at 2007年06月12日 20:06
>そうてんさん
固定画面型アクションはホント、ある時期からふっつりと見なくなった印象がありますよね。私の感覚では80年台後半なんですが。

タンクフォースは、タンクバタリアンやバトルシティに血道を上げた私には素敵なゲームでした。
Posted by しんざき at 2007年06月13日 15:58
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