昔ファミコンで、ゴーストバスターズというゲームが出ました。発売年は1986年、発売元は徳間書店です。
言うまでもなく「ゴーストバスターズ」は84年のオバケ映画(文字通りの意味で)でして、北米では大ヒット、確か日本でもかなりのヒットを記録していたと思います。「コミカルなお化け退治映画」ということで、今の視点でみるとB級感もあるんですけど、それでもその軽妙な展開とラストのマシュマロマンは十分楽しめる内容です。すいません、リブート版はまだ見てないんですが。
で、そんな「ゴーストバスターズ」のファミコン版なんですが、元映画のB級感だけをただひたすら煮詰めたような内容になっていました。ちょっと動画を引っ張ってみます。
基本的には、
・ゴーストを捕まえるためのアイテムを店で購入
・レースゲームのようなドライブ面を通過して各ビルに移動
・アクション画面でゴーストを捕獲
・ゴーストを捕獲することで報酬get→またアイテム購入
・最終的にズール寺院にいってゴーザを倒せばクリア
という流れのゲームですね。細かくは上の動画を見てみてください。
Webでは「クソゲー」として取沙汰されることが多いタイトルなんで、ご存知の方も多いと思うんですが、よく挙げられるのは
・全体的にグラフィックがチープ
・マップ画面が意味不明、かつ説明不足
・ドライブ面のバランスが理不尽。すぐガス欠になるくせに、急ぐために加速すると他の車にぶつかりやすくなり、ぶつかると金が減る
・なぜかショップに行くときまでドライブ面を通過するハメになる
・ズール寺院に入る条件がよくわからない(実際にはお金を$15000貯めることが条件なのだが、説明書にもその明示がない)
・ズール寺院でやることは、ゴーストをかわしながらひたすら連打で進んでいくこと。23階もあり手が疲れる
・ズール寺院では、こちらから攻撃をしてゴーストを倒すことが出来ない
・エンディングで処理がバグっており、エンディングメッセージが正常に表示されない(いわゆる「りり」問題)
この辺りでしょうか。
いや、「面白いか面白くないか」で言えば、多分面白くないんですよこのゲーム。今の視点で遊べば十二分に面白くない感が楽しめますし、当時の視点だってそこまでは面白くなかったかも知れません。そこに異存はないんです。
ただ、正直言いますと私このゲーム大好きなんです。すげー好きなんです。
このゲームは、私にとっては「お買い物ゲーム」でした。Shopに行ったときに画面に並ぶアイテムに、「$2500」とか「$12000」とか値段がついている。ただこれだけで、当時は十分面白かったんです。「あーこのアイテム買うのにこれだけ金がいる!あーあとちょっとで溜まる!溜まったーーー!!」という、せこせことゴーストを捕まえてお金が溜まっていく感。これが、無意味に好きだったんですよ私。
アイテムにしても、スーパートラップを初めて買った時にはその便利さに感動しましたし、ハイパービームを買った後はゴースト捕獲がサクサクと楽になりました(そんだけ貯めたなら先にズール神殿いけよって話ですが)。
その辺、「アイテムを買うことで明確に便利になってる感の演出」は結構上手かったと思うんですよね。サウンドジェネレーターはあんまり意味なかったですが。
このゲーム、徳間書店が出しているだけに、当時の「ファミリーコンピューターマガジン」では結構特集もされていまして、それと合わせて「このアイテム買えばこんな効果があるのかー!」とか考えながらお金を溜めるのも楽しかった。
アクション画面だって、ゴースト捕獲パートについて言えば決してつまらないものじゃありませんでした。
画面上部でふよふよしているゴーストたちにビームを当てて、トラップに放り込む。で、お金ゲット。確かにやることは単純ですが、単純というだけで言えば他にも単純なゲームはいくらでもあります。ゲーム&ウォッチだって、ギャラクシアンだって見方によっては単純でしょう。ゴーストを捕獲すると同時に右下のお金表示が溜まっていく、その辺も十分楽しみになっていました。
批判が激しいズール寺院の階段画面だって、「ひたすら長い」という点を除けば(正直これについては弁護の余地ないと思います)、やってることは「山登りゲーム」の「タイミング測って連打」と同じようなものです。
ラスボス戦について言えば、明確に「遊びどころ」のあるシューティングになっていまして、敵弾をかわしながら一発一発ゴーズに打ち込む感覚は、ここだけ言えば十分に「楽しい」ゲームになっていました。
当時、ゲームをしていない間は攻略本や説明書を舐める様に読んでゲームをやった気になっていた勢の皆さまにはわかって頂けると思うんですが、カーチェイスだってショップだってガソリンスタンドだって、またマップ画面の仕様だって、説明書には全部記載されていました。このゲームに、「意味不明」な要素なんてなかったんです。
断っておきたいんですが、「このゲームはクソゲーじゃない!!」と言いたいわけでも、「このゲームバカにすんな!」と言いたいわけでもありません。実際に遊んで、「なにこれつまんねー!!!」という人がいれば、そこになんの文句もないんです。実際大多数の人はそう感じるでしょう。
ただ、
・当時視点で言えば、「〇〇が意味不明」という批判は当たらない点が多い(この頃のゲームで、説明書がない状態を意識して作られているゲームなど滅多にない)
・決して「全く遊べない」ゲームではなかった。質の高い低いはともかくとして、遊びどころもちゃんとあった
・私はこのゲーム好きです(賛同者滅多にいないけど)
という三点だけは言っておきたかったんです。
ところで以前、こんな記事を書きました。
「ほしをみるひと」でも、ロマンシアでも、コンボイの謎でも。いや、ゲームに限らず、全てそうだ。そのゲームをちゃんと遊んだ上で、「これはクソゲーだ!」と言うなら、文句をつける筋合いは一切ないと私は思う。
例えば、ある音楽について、「聴いたことないけどひどいって聞いたからひどい曲だ」と論じている人がいれば、アレ、なんかおかしいな、と誰でも思うだろう。
ある漫画について、「読んだことないけどつまんないって聞いたからつまんないマンガだ」と論じている人がいれば、ちょっと違うんじゃないかな、と誰でも思うだろう。
これは経験主義だろうか?そうかも知れない。しかし、「何かを批判するなら、最低限対象について知っておくことが礼儀」だと私は思うし、「けなすんなら人の言葉を借りてきてないで自分の言葉でけなせよ」とも私は思う。
ここ最近、また「やってないけどクソゲーって聞いたからこれクソゲー!!」的なレビューをたまに見かけるようになりました。どこかで面白おかしくプレイ実況している動画を引き写して、そこから面白おかしいところだけを抽出しているような感じの記事です。アクセス流したくないのでリンクはしませんが。
むかーしむかし、「スペランカー」「バンゲリングベイ」「たけしの挑戦状」「星をみるひと」といったタイトルで、同じようなことは頻繁にありました。ただ、面白おかしくクソゲーをけなしている人の言葉だけ借りてきて、つなぎ合わせてお手軽クソゲー批判記事に仕立てる、みたいな手法でした。
正直、かっこ悪いなー、と。「面白くない!!」ということだけでも自分の言葉で語れないのか、と。
以前から書いてある通り、私は「人の尻馬にのってけなすだけけなす」というスタンスが嫌いなので、「面白くない!!」ならせめて自分の言葉で「面白くない!!」と言えよ、とは思ってしまいます。
別にクソゲー批判してもいいと思うんですよ。クソゲー談義、全然いいと思うんですよ。馬鹿ゲーならガンガンバカにしていいと思うんですよ。
ただ、少なくとも自分で遊んで、自分で思ったことを書いて欲しいなーと。そうしてこそ、レトロゲーム談義界隈がもっと面白くなるんじゃないかなーと。遊んでないなら、そもそも「クソゲー」としてバカにする必要は一体どこにあるのかな、と。
そんな風に思った次第なのです。
某ブログはちょっと酷いですね
同感。同感。同感。
コンボイの謎にしろ、ゴーストバスターズにしろ、「このゲームを自分なりにモノにできた瞬間」ってのがあると思います。(自分の場合はワープマン)
当時のゲームで「お金」の概念があるだけでアガりましたよね。
もう物を叩くのに理由すらいらなくなってきているということなんだね
無償で趣味でやってる個人ブログにいちいち噛みついてる奴もじゅぶんカッコ悪いw