2016年11月18日

ポケモンGOの「プレー率激減」という記事がいい加減過ぎる

別にそこまでポケモンGOを擁護する意図もないのですが、ちょっと筋が悪過ぎるんじゃないかなーと思ったので。

ポケモンGO、まだやってるのは「中年だらけ」? 10、20代のプレー率「激減」
調査はソフトウェア開発会社のジャストシステムが行い、2016年11月16日に結果を発表した。スマホを所有する10〜50代の男女を対象としたインターネット調査で、アンケート期間は11月10日から14日まで。1106人が回答した。「ポケモンGO」をはじめとした位置情報アプリの利用実態について尋ねたものだ。
「ポケモンGOの使用状況」の設問をみると、以前プレーしていたが「今はしていない」と回答したのは全体の31.4%で、「継続的に利用している」の23.7%を上回っている。こうした傾向は10代で顕著で、44.7%がプレーを止めたと回答している。

これを見た時、最初に思ったのが「え、継続率滅茶苦茶高くない?」ということでした。


一般的に、ソーシャルゲームなどのアプリは、「リリース当初から時期が過ぎるごとに、継続してそのアプリを使っている人が大きく減少する」という傾向を持っています。最初だけ遊んですぐやめちゃう、という人がどんなアプリでもたくさんいるんですね。

そこで、多くのソーシャルゲームは、「継続率」という指標を使っています。「ある日付にそのアプリを使い始めた人が、〇日後にどれだけそのアプリを使っているか」という指標ですね。この継続率が高ければ、そのソシャゲは長く遊んでいる人が多い(=継続的な収益が見込める)優秀なアプリである、という話になるわけです。勿論、数ある指標の中の一つにすぎませんから、これだけで何かが判断出来る訳ではありませんが。

ちょっとSociAppさんから引用させて頂きます。

ソーシャルゲームを考える上で筆者が最も大事にしているのが継続率。
この継続率とは今日インストールしたユーザーが○日後に何人ログインしているかと言ったものです。
例えば、今日インストールした100人が翌日に100人ログインしていれば翌日継続率は100%です。
さらに7日後に50人がログインしていれば7日後継続率は50%になります。

MobageやGREEといったPF上のヒットタイトルであればこの継続率が
翌日45%/3日後40%/7日後35%/14日後30%/30日後25%ぐらいになります。
※ちなみに上記の数字は超優秀なゲームになります。「神撃のバハムート」とかはこれぐらいある模様。

こちらはアプリマーケティング研究所さんの記述。

アプリのダウンロードから1週間後の継続率(リテンション)を、カテゴリ別にまとめているのが以下のグラフ。
高めにでているのが、
・ゲーム(iOS 16%、Android 14%)
・ソーシャル(iOS 17%、Android 13%)
・ビジネス(iOS 13%、Android 15%)

早い話、「一週間後の継続率が20%を越えるようなアプリは極めて稀」なんですね。最初ちょっと遊んですぐやめちゃう人、というのは、一般的なアプリにおいて8割から9割を超えるんです。アプリを継続して使い続ける人は、当然期間を経るごとに純減しますので、30日継続率、60日継続率はもっと低くなるでしょう。

最初に挙げた記事はそもそも、「いつ初めていつ辞めたのか」という情報を全く掲示していないので、客観的に判断出来る指標とはいいがたいんですが、

「ポケモンGOの使用状況」の設問をみると、以前プレーしていたが「今はしていない」と回答したのは全体の31.4%で、「継続的に利用している」の23.7%を上回っている。こうした傾向は10代で顕著で、44.7%がプレーを止めたと回答している。

という文章を単純に「アプリをインストールして、今でも遊んでいる人の率(つまり、期間を無期限にとった継続率)」と考えた場合、23.7%というのは「なんの冗談だ」と思うくらい優秀な数字です。それこそ神撃のバハムートとかモンストとか、ごくごく一部のオバケアプリと比べてなんの遜色もない、ということになります。

勿論これ、上記記事に書いてある「23.7%」というよくわからない数字をそう解釈すれば、という話ですよ。元になる統計がリンクされてないので、これだけだと「よくわかんない数字」としか言いようがないんです。実際にポケモンGOが優秀なアプリなのかどうか、という客観的な判断にはなりません。ベンダーが発表している一週間継続率が分かれば別なんですが、すぐには見つかりませんでした。他の統計は色々あるんですが。

ただ、ちゃんとした記事として、ポケモンGOが「飽きやすい」アプリかどうかという話をするのであれば、

「少なくとも指標を統一して」
「かつ他のアプリと比較しないと」

なんの意味もないんじゃねーの?ということは言えると思います。

上のような話を全部まとめてぶっ飛ばして、「ツイッターやネット掲示板の声」とか題して

「ポケモンGOやってるのは若くない人ばっかり」
「都内だとポケGOやってるの本当に中年だらけ」
「街歩くと年寄りほどポケモンやってるのに遭遇しまくる 万歩計ゲームみたいなノリなんだろ」

とかいう印象操作を行おうとするのは、いくらなんでも無理筋なんじゃないんですか、と思う訳なんです。(その後、エクスキューズのように「これだけ継続されてれば十分」みたいな声も紹介されてはいますが、リンクをクリックした直後になかったことにされているので文脈上の意味はないと考えます)

仮にも企業が作っている記事なんだから、せめてもうちょっとなんとかして欲しいところです。


なんですかね?リリース直後からある、こういうよくわからないポケモンGOくさし。そこまで頑張ってケチつけなくてもいいんじゃないかと思うんですが…

取り敢えず、今日書きたいことはそれくらいです。

posted by しんざき at 12:14 | Comment(12) | TrackBack(0) | レトロでもないゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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この記事へのコメント
そういう記事を書いてる人が、アプリの事を何にも知らないんでしょうね。
専門家でもないのに、えらそーに語るのは
TVもネットも同じです。
私も一週間後20%を切るなんて知りませんでした。
Posted by かなみん at 2016年11月18日 17:59
違うと思う。そういう記事を書く人ではなく、読む人がアプリの事を何にも知らないんだと思う。だから記者は何の問題もなく受け入れられるだろうと予測して、その記事を書いたのだろう。人気や勢いのあるものが凋落していくさまを見るのが、皆さんお好きですから。
Posted by at 2016年11月18日 18:49
そんな訳ないじゃんてクリックするのを狙ってタイトル書いてるんでしょ
Posted by at 2016年11月18日 18:53
記事には目的と方向性がある物、それがヘイト記事ならなおさらだし、それをするのがジャーナリストとかライターとか言われる人のお仕事だということ。
Posted by   at 2016年11月18日 19:58
数字に弱いんだからいじめてやるなよ()
Posted by at 2016年11月19日 03:18
広告を通じて金渡さないと徹底的にネガキャンで潰すってことでしょう。
サイゲとガンホーとコロプラあたりが効果あるのか謎なCMを打ちまくってるのはその点よくわかってたんだなと。
もうテレビで顔と名前出していい加減なこと言ってる連中を炎上させていくしかないのでは
Posted by   at 2016年11月19日 03:19
あれが「激減」だったら
他は「死滅」になっちゃいそうですね…
Posted by   at 2016年11月19日 12:10
記事の内容とはほぼ関係がなくて恐縮なのですが、しんざきさんの使われている「くさし記事」の「くさし」というのはどんな意味でしょうか?紙の辞書、web、ともに調べてみたのですが、どうにも適当と思われる語義が見当たりません。
よろしければご教授下さい。
Posted by at 2016年11月19日 13:51
くさし > 腐す > けなす
Posted by at 2016年11月19日 15:25
「プレー率」と「継続率」を混同して語るこの記事もどうかと思うけどな

若者の車・酒離れが進んでるというニュースに対して「でも今でも車乗ってるやつ多くね?」って反応と同じ

あくまでもプレー率が減った事実に対する反応で他のアプリと比べた継続率が低いなんて誰も言ってない。ただの論点ずらし
Posted by at 2016年11月20日 18:10
ポケモン叩きだけが酷いからな。
わざとだと思うよ。
それだけプレーされているなら邪魔になるだろうし。
Posted by at 2016年11月30日 11:59
記者は記者の仕事として記事を書いているわけでね、そこにはある種の限界がある。
もちろん記者として責任がないとは言わないよ。
ただこのブログの記事だって十分な検証が尽くされているとは思えない。
それは「アプリ情勢研究家」ではないからであってね、時間は有限だし全ての事柄に対して深く研究できるわではないの。

それを踏まえた上で言うけど印象操作、くさし、ケチつけるとバッサリ断定するのは踏み込みすぎ。
Posted by at 2016年11月30日 19:26
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