大変面白いのです。
「日々我人間」は、週刊文春に玉吉先生が連載している、半ページ日記漫画を単行本化した一冊。いつ出るかはたまた出ないのか、とやきもきしていたのですが、ついに手にとれる日がまいりました。
個人的に近所の本屋を応援しているので近所の本屋で購入。横長、箱状のカバーつきのちょっと面白い装丁です。
一緒に写っているのは同じタイミングで購入した、小林銅蟲先生の「めしにしましょう」。こちらもおもしれーです。
漫玉日記の各シリーズもそうなんですが、桜玉吉先生の日記漫画の特徴を一言でいうと「恐るべきリアリズム」という言葉になるのではないかと思います。私生活垂れ流し、手加減無用直球勝負、「ああ、これ本当にそのまんま書いてるんだろうなあ」と感じさせまくること大なわけです。
前半は漫喫日記でもあった「漫画喫茶での生活」をひたすらそのまんまに描写、後半は伊豆の山荘での生活をリアリズムたっぷりに描写、という構成になっているんですが、始まり当初こそ「文春での連載」ということに若干の手探り感があったのかな?と思わせる部分も多少あるものの、途中からどんどんページを埋め尽くしていく玉吉節。かつての「しあわせのそねみ」の遺伝子を如実に感じさせるその作風は、長年の玉吉ファンをして「これだよこれ!」と言わしめるに十分な玉吉ワールドです。いや本当、冷静に考えるとメインキャラクターが玉吉先生一人しか存在しないわけですが、どんどん入り込んでしまう感は素晴らしい。
ちなみに、伊豆編の後半は完全に「周囲の色んな生き物との闘い日記」みたいな感じになっていて非常に面白いです。ムカデ擬人化シリーズ笑いました。あと、「運転していてつらかった経験」のトップに、しあわせのかたちで出ていた「カエルが多い田んぼ道」の話が出ていて懐かしさ満開でした。
玉吉先生って、特に私のような昔からのファンにとっては「親戚のおじさん」のようなイメージが強い部分があるんじゃないか、と思うんです。なかなか会えないけれどたまに消息を聞く親戚の面白いおじさん。だから、話全体がすごく身近に感じられるようなところがあるんですね。以前も書きましたが、玉吉先生くらいファンが頻繁に体調の心配をする漫画家さんもなかなかいないだろうと思いますので、是非健康に漫画家活動を続けていっていただきたいと思うところ大です。
なにはともあれ、本が売れて玉吉先生が多少なりと潤ってくれるといいなーと私は思いますので、皆さんもいかがですかぽちっと。50代漫画家おじさんのリアルな生活が観測できることは保証します。
今日はそれくらいで。