2007年06月13日

何故Webで揉め事が盛り上がるかというと

何よりそれは「分かりやすい」からなのだな。


ある頭のいい人が、何か頭の良さそうなことを言っている。頭が良さそうな文言は往々にして難しいから、ついていけない人は興味をもたない。

その頭のいい人に、誰かが喧嘩をふっかける。当然二つの立場からの議論になる。対立が起きると、議論は途端に分かりやすくなる。分析もしやすくなる。

何故かというに、大体の場合において、相対評価は絶対評価より遥かに容易だからだ。自分で基準を考えるより、基準を元に比較する方がずっと楽なんである。論文のテクニックに「対立軸の明確化」ってものがあるのはその為だ。


参照:数日待ったが全然はてブが付かねぇ。どーなってんだ。

理事長のお言葉より、対立軸が明示されている痛いニュースの方が分かりやすい。いい例というべきなんだろう。


議論が揉め事に発展すると、双方がお互いの弱点を指摘し始めるから、議論は更に分かりやすくなる。この辺になってくると、「どちらが好きか」「どちらに肩入れするか」というレベルでの分かりやすさも味わえる。この分かりやすさを「臨場感」と言い換える人もいるだろう。プロ野球を観戦するのと似た様なもんだ。

臨場感という意味では、「自分が軽く手を出す口を出す」なんてことをすると、更に揉め事は楽しくなる。プロ野球のテレビの中で、自分が打席に立てる様なもんだ。多くの人は野球の素人なんで当然三振するけど、参加すること自体は非常に楽しい。だからブログは炎上する。


なんかまだ分かりにくい気がするな。いつも通り少年漫画でたとえてみることにする。


少年漫画の基礎テクニックにも、「対立を明確にしよう」というものがある。別に善でも悪でもなくてかまわないから、とにかく「○○対××」という構図を作る。泥門対王城とかそういう。

すると物語にメリハリが出る。キャラが動き出す。他にも幾つもメリットがある。少年漫画の編集者さんが、必ず「少年漫画には強い敵が必要」というのはその為だ。

聞きかじりだが、幾つか挙げてみよう。

・対立から生じる対比によって、双方の強さ・弱さを明確に出来る。
・読者に対して、「どちらに肩入れをするか」という面での臨場感を与えることが出来る。
・双方のパワーバランスの変化を描写するだけで起伏に富んだ物語が作れる。
・最終的に、「勝負が終わった」ことによるカタルシスを読者に与えることが出来る。

「悟空が一人で飯食ってるだけのドラゴンボールはただのニート漫画だけど、べジータと戦い始めるとなんだか面白いよ理論」とでも言おうか。

まあ、「フリーザ様が一人で「ほっほっほ」とか笑ってるだけだとただのキモ漫画だけど、悟空と戦いはじめると神漫画だよ理論」でも勿論構わないし、固有名詞がワンピースや幽遊白書に換わっても特に文句はない。

結論としては、揉め事が盛り上がる理由は、少年漫画に対立が導入される理由とほぼイコールであるということになるんじゃないだろうか。


ただ、少年漫画の登場キャラ達は、往々にしてモブに優しくない。揉め事が時に荒野を作り出すのはその為だ。

揉め事に中途半端に口を出した挙句、当事者に過剰反応されてエラい勢いでボロボロになってる人などを時折見ると、「邪魔だ!」の一言で舞台から排除される通行人Aが想起されて涙が止まらない。

天下一武道会を観戦するのは楽しいが、自分の戦闘力は十分把握した上で、口を出すにしても戦闘の余波で消し炭になったりはしない様、重々注意したいものだ。どうせ突っ込むなら徹底的に、というところ。

私自身はラディッツに「ゴミめ!」って言われる程度の戦闘力しかないから、テレビを見ながらぽかんと口を開けている的ポジションでいいや。


しかし一つだけ気になるのだが、Webの揉め事に「終わった後のカタルシス」ってものは大抵の場合皆無ですな。あれはなんでだろ。登場キャラが皆フリーザ様なんかな。


参照:少年漫画と少女漫画の境界線はどこにあるのか・その一。
posted by しんざき at 02:09 | Comment(2) | TrackBack(3) | ネットの話やブログ論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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この記事へのコメント
> Webの揉め事に「終わった後のカタルシス」ってものは大抵の場合皆無ですな。

お互いが言いたいことを言い合って噛み合わないまま、勝敗が付かずに時間経過で流れると言うパターンが殆どだからじゃないでしょうか。
Posted by yoosee at 2007年06月15日 22:20
>yooseeさん
そうですね。
うやむやっていうか、まあ、端的に言うとカタルシスを演出できる程潔い人がそもそも存在しないから、ってことじゃないかと思います。
Posted by しんざき at 2007年06月18日 14:12
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