2007年06月16日
私にとっての中二病
ガキの頃、「○○になったら分かる」と言われるのが好かなかった。
「大人になれば分かる」とか、「子供をもってみないと分からん」とか、昔よく言われた。大抵の場合、私が何かしらの事項に疑問をもった時だ。
こちらは理屈で考えて真面目に議論しようとしているのに、その時点では絶対に手に入らない「経験」というシールドで議論を跳ね返されるのはどうにも納得がいかなかった。
私はガキの頃から理屈をこねるのが得意な方だったので、まあ相手にしてみればまともに反論するのも面倒だったんだろう。
その頃の記憶からなのかどうか、「経験」を盾にして議論を打ち切ろうとする、あるいは一方的に相手が間違っていると主張する、そんな文言があると今でもなんとなく眉根が寄る。
百聞は一見に如かずという言葉もあるし、実際に「経験しないと絶対に手に入らない感覚」というものがあるのは、勿論分かっている。子供をもってみて子育てに苦労しないと分からない感覚、というものも実際にあるんだろう。それも無論分かる。子供の屁理屈に付き合うのは大変に疲れる、というのも、まあ分かる。
だが、「お前には○○の経験がないから分からん」と議論を打ち切るのは、要は「私の経験に基づくと君は間違っていますが、間違えていると判断している論拠は説明しません。納得しなさい」という発言と同義だと私は思うのだ。
相手が間違っていると指摘する時、ヒトは相手が間違っているきちんとした理由を説明する義務を負う。それが最低限の礼儀だと、少なくとも私は考える。その論拠が経験に基づくものなら、その内容をきちんと解説するべきなのだ。
Webでの話に例えるなら、「恋愛経験が少ないお子様がなんか言ってるよ」的な発言をするヤツは、自分が恋愛経験を経て得た論拠を恋愛小説バリに綿密に説明せよと。
例えば、「童貞が何をドリーミーなことを言ってますか」的な発言をするヤツは、自分が童貞を捨てることで得た精神的論拠をきちんと官能小説バリに詳述せよと。官能的な記述がどこにもなくて見てる俺はキレそう、ってこと。
別に「○○の経験がないと」という跳ね返しに限らず、「相手の間違いを指摘する際の論拠」というのは常に必須である、べきだと思う。論拠の明示もなしに、ただ「間違ってます」とか「もっとよく調べて書いて下さい」などというコメントを、Web界隈では残念ながら頻繁に見る。なにこの言い逃げ、と思う。幸い不倒城では殆どないが。
私の中には、かつて私に「大人になれば分かる」と言ってきたヤツらに、「分かりませんでしたが何か?」と言ってやりたいという願望が、確かにある。まあ、こんな願望をもっている時点で大人と言えんのかも知れないが。
これが、多分今でも私が保持し続けている「中二病」だ。
残念ながら、この中二病を発散出来る相手は、もう私の手の届くところには存在しない。
だからまあ、せめて私自身は、「○○になったら分かる」という経験シールドを張らない様にしよう、と思う。
例えば子供相手でも、議論で間違った部分があると思ったらテッテー的につきつめてやる。私は子供相手でも手加減はしない。相手が子供だから、ということで手加減するのは子供に失礼だと私は認識している。かつて私自身がそう思っていたから。
子供は何度でも同じ様な質問を繰り返すって?上等だこの野郎、付き合ってやる。納得いかない事に関するつきつめ方では年季が違う。屁理屈のこね方の戦歴も違う。一時間や二時間で音を上げる様なやわな鍛え方はしていない。
というように、父は十分に迎撃の準備をしているので健康に生まれてきてください。>奥さんの中のヒト。
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あったあった……現在進行形かも
Excerpt: こちらは理屈で考えて真面目に議論しようとしているのに、 その時点では絶対に手に入らない「経験」というシールドで 議論を跳ね返されるのはどうにも納得がいかなかった。 (from 不倒城「私..
Weblog: はなとりや通信
Tracked: 2007-06-17 22:19
[コラム][教育]不倒城: 私にとっての中二病(fromまなめはうす)
Excerpt: うーん、よく使っちゃうなぁ…orz でも、実際に勉強が足りてない人も多いと思うんだよなぁ…。経験も大事だし。聞いただけでは理解出来ないところが必ずある。 つまり、一番いいのは口でも説明した上で、やっ..
Weblog: 愚者のニュース
Tracked: 2007-06-18 22:55
私も子どもの頃「大人になったらわかる」って言われもやもやしてました。今思えば、自分は徹底的に議論したいのにそう言ってかわされるのが悔しかったんですね。
私も「やればわかる」ではなくてちゃんと説明するよう心がけたいと思います。
お子さん、元気に産まれるといいですね
これからもがんばってください
しんざきさんを親に持てるこどもが羨ましいかも。お子さんが無事に誕生される事をお祈りします。
すばしっこい子に育ててくださいね。
また、夏頃には改めてめでたいご報告が出来ればと思います。