id:orangestarこと小島アジコ先生の、この記事を拝読しました。
どんどんと、コンテンツとか話題の消費速度って上がって行ってるし、(もし、適宜流行の話題について行こうとするならば、だけれども)情報を提供する側も、それに合わせた速度が要求される。何か話題になるような出来事があったら、その6時間後には、もうそれに対する文章なり記事なりを投下しないと、見てもらえない。3日あいたら、「なぜ今更その話を…」って思われるし1週間もたてば「そういえばそんな話題もあったな…」みたいな感じ。みんなが、コンテンツや話題をものすごい速度で後ろに放り投げるようになるのも時代の流れかもしれない。
ちょっとざっくりした話になるんですが、ご容赦ください。
これ、小島アジコ先生のおっしゃるところも分かるんですが、個人的にはちょっと違う所感を持っておりまして。
つまり、「コンテンツ消費速度が速くなったと言うより、元々一瞬で消費される様なネタでも、webのドーピング効果で可視化されるようになった」ということなんじゃないかなあ、と思っているんです。また、「webでコンテンツが定着するには、再利用性が何より重要である」ということもあるのかも知れません。
現在のwebで長く残るコンテンツやネタが存在しないかというと、実際のところそういう訳ではないんですよね。ミーム化、テンプレ化して長く消費され続けているネタって、Web上にはたくさんあります。
例えば様々なネットスラング。なんJ発のアレとか、淫夢ネタのそれとか、いい悪いはおいておいて、取りあえず完全に定着はしましたよね。
電車の車内における男性の発言がミーム化して定着したりとか、ドラマで頻繁に出てくる擬声語が定着したりとかも、webなんかではよくある話です。アニメや漫画発のも多いですね。まどマギネタとか、カイジネタとか。「ヤツは四天王の中でも最弱…」とか。最近だとけもフレのしんざきお兄さんネタとか、もう完全にwebで定着したと言ってしまってもいいんじゃないでしょうか。
あるいは、なんらかのエピソードを核にした、種々のテンプレや定型句。2ch発のミームがwebで定着した、みたいな例もありますよね。「ちょっと田んぼの様子みてくる」とか、「※ただしイケメンに限る」とか、既に「当初は2chで発祥したネタテンプレだった」ということ自体認識されていないものも今じゃ多いんじゃないでしょうか。
あるいは種々の画像ネタ。横山三国志の色々とか、神々の山嶺の食事シーンとか。デスノートの「ダメだこいつ…早くなんとかしないと…」やらヒストリエの「よくもだましたなああああ!」みたいに、漫画の一部分が定型文的に使いまわされるようになっている現象も、いい悪いはともかく「コンテンツが定着して長く消費され続けている」と言っていいんじゃないでしょうか。AAネタもこれに該当するかも知れないですね。
これ、何がキーワードになるって、多分「発展性」とか「汎用性」みたいなものがキーワードになると思うんですよ。もうちょっと言ってしまうと、「いじりやすい・使い勝手がいいネタは定着しやすい」。
例えばTwitterでもfacebookでもSNSでも、ちょっとずつテンプレをいじって面白い文章を作って、それを展開して、みたいな消費形態って結構一般的ですよね。場面場面に当てはめて、二次的にウケをとれるネタは再利用しやすい、あるいは定着しやすい。二次利用が、更にどんどん拡散して、様々な人が共通してそのネタを使うようになる。そういう意味で、「ネタの消費速度が上がった」とは一概に言うことは出来なくって、むしろ一部の分野では「ネタの再利用率が以前より遥かに向上して、一つのネタが使いまわされる度合いが増えた」とすら言えると思うんですよ。
それに対して、例えば「例のセーター」って言われるものとか、「例の紐」って言われるものって、「ネタとしての再利用性、再利用の容易さに劣る」とはいえると思うんですね。絵師さんならまだ話は別ですが、一般の人があれ改変して再利用するのって無理じゃないですか多分。頑張っても、実際にその服買ってきて、着てみて、画像アップして、とかそれくらいのネタ利用しかできないわけですよ。それだけのネタに数千円払いますかっていうと、やっぱ結構ハードル高い。
つまり、例えば「奇抜な服」的なネタは、一回「うわなんだこれエロい」ってなるとその先がない。絵師さんであればその服をテーマにしてキャラクターに着せて、といった感じで再利用できるかも知れないけれど、一般の人はそういう再利用をすることが出来ない。だから定着しにくい。
これに限らず、「元々長く定着するようなコンテンツではなかった」ものってたくさんありますし、そういうのは以前からすぐ消えてた、と思うんですよ。話題にすらならなかったかも知れない。
けれど、元来「再利用できない」ことで一瞬で消えるようなコンテンツであっても、瞬間風速的には盛り上がっているのが可視化されるから、「一瞬盛り上がってすぐ消えた」ように見える。
一部のコンテンツが「一瞬で消える」ように見えているとしたら、その理由はむしろ、消費速度の速さよりもそういった「webにおける可視化」と「webでの再利用性の有無」というところにあるんじゃないかなあ、と。私はそんな風に思うわけです。
こうして考えてみると、webで何かのコンテンツを定着させたかったら、何よりも「再利用性」を重視するべきなのではないか、ということが言えるような気がしてきます。ただこれについては、もうちょっとちゃんと材料を集めないといけない気がするので、また機会を改めようかと思います。
今日書きたいことはそれくらいです。
>ヒストリエの「よくもだましたなああああ!」
これ、実は「よくもだましたぁぁぁ」で、「な」はここでは入ってないんですよね
まちがえてくれたなアアアアア!!