2017年06月22日

「俺が嫌いだ」を「社会の為に、こんなものは存在してはいけない」と混同してはいけない

あんまりまとまらないかも知れませんが、ちょっと書いてみます。

子どもが出来てから、「子どもが可哀想なことになる話」がほんとーーにダメになりました。実話、創作問わず、触れるだけでダメです。見たくもないし、勿論読みたくもない。出来ることなら視界に入って欲しくない。

実話の話をするならば、無論、たとえば児童虐待なんかは法律でも禁止されていますし、あってはならないことだと思います。出来ることなら可哀想なことになる子どもがゼロになって欲しいし、社会はそうあるべくリソースを注がなくてはならない。これは、私の「見たくない」が、社会の規範と一致している例です。

けれど、例えばその手の創作についての話をするならば、「法律で規制して、存在出来ないようにするべき」だとは、私は思いません。「社会にそういう創作が存在してはならない」とも思いません。


何故なら、私の「子どもが可哀想なことになる話」に対する感情は私的なものであって、それが即「社会に存在してはいけない理由」にはならないから。私の好き、嫌いは、社会の規範とイコールではないから。


「ある創作を禁止する」というのは表現の自由に規制を入れる大事(オオゴト)であって、余程の論拠、余程の根拠が必要です。社会から何かを排斥する、というのはよっぽどのことです。

勿論、きちんとした時間ときちんとした議論を重ねて、法的な問題も当然クリアして、その結果として「ある表現に規制が入りました」ということはあり得るでしょう。それは別に問題ないと思います。


けれど、単に「俺が嫌いだ」という理由だけであれば、それは「表現の自由を規制する」論拠にはなり得ない。


ちょっと思うのは、「世の中には、私憤と公憤を区別できない人が結構多いなー」という話なのです。本当は「俺が嫌いだ」というだけの理由なのに、それをうまいことお化粧して、「こういうものは社会に存在してはならない!みんなの為だ!子どもの為だ!」と声高に叫ぶ人たち、結構頻繁に観測出来ます。

私は、そういう人たちがあんまり好きではありません。結果的に利害が一致するとしても、私はそういう人たちが嫌いです。


だって、それは私憤じゃん?と。

お前が言ってるのは、実質的には「俺が嫌いだ!」だけじゃん?と。

「俺が嫌いだ!」を、「社会の為に!」「みんなの為に!」「子どもの為に!」とうまいこと言い換えてるだけじゃん?と。

それは単に、存在しない数の力で自分の言葉を説得力ドーピングしてるだけじゃん?と。


そういう人たちがいう「〇〇な創作が社会に存在してはいけない理由」は、往々にして穴があったり、ダブルスタンダードになったりします。例えば、「こういう創作に影響されて、××な犯罪が発生するかも知れない!」という主張であれば、「いや、影響されるだけだったらこういうテレビでもこういう報道でも影響されそうだけど、そっちは何でいいの?」という話になったりします。「こういう表現が子どもを傷つける!」という主張であれば、「こっちの表現は何で傷つけないの?そのファールラインは誰がどう決めるの?」という話になったりします。

これは結局、その主張が私憤に根ざしているだけであって、きちんとした検討にも法的な論拠にも立脚していないからです。


繰り返しになりますが、「何かの表現を規制する」というのは大事なんです。少なくとも、一人の人が、ほんの数行の主張で、過不足なくその論拠を説明出来るような話ではない筈なんです。

なのに、自分の私憤を公憤にすり替えて、まるで一言で「社会に存在してはいけない理由」を必要十分説明出来たようになっている人は、ちょっと何かを勘違いしていると思います。


「俺が嫌いだ」だけなら自由です。何の問題もない。誰かが何かを嫌うのに、それこそ文句をつける筋合いはない。私だって「そういう」創作や表現は嫌いだし、見たくもありません。

けれど、「俺が嫌いだ」と「社会の為に存在してはいけない」を混同してはいけない。あなたの好き嫌いは、社会の規範とイコールではない。


私はそんな風に思うのです。


今日書きたいことはそれくらいです。
posted by しんざき at 18:14 | Comment(10) | TrackBack(0) | 雑文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
反イルカ・クジラ漁についても同じロジックが見受けられるように思います。あちらは相当な昔に既に国際問題にまでなってもはや収集つかないですけど・・・
Posted by at 2017年06月22日 18:58
 往々にして、社会の安寧を盾に採って規制更には禁圧を声高に叫び、果ては運動化して領導を目論み、剰えは実力行使に迄及ぶ輩って、底辺ルサンチマンの安全地帯からの少数者虐めの色彩が濃厚に感じられ、扨其のあらまほしき社会たるは推するに全体主義に帰結んだよね、本人の認識如何に関わらず。 で、支配層の番犬達は或は擁護し或は温かく見守る、と。
Posted by 甕星亭主人 at 2017年06月22日 22:48
表現の自由は民主主義の根幹、民主主義そのもの。
民主主義国家においては議論しようとすること自体が間違い。
Posted by 原理主義者 at 2017年06月22日 23:45
「自分が嫌いだからみたいな私的な理由で相手の表現を容易に規制できるのが許される世の中になったら、その行き着く先はありとあらゆる表現が死に絶えた世界でした」という結果になるのも決して大げさな話じゃないと思うんですよね。
過去にエログロナンセンスの規制から始まって、やがて大規模な言論統制に繋がっていったケースがありますので。
Posted by at 2017年06月23日 08:29
「俺が嫌いだ」ではなく、実際に社会に悪影響を及ぼしているから言っているのですが。

女性の裸体が性的な意味で子どもの眼に触れることが、悪影響を及ぼさないとでも考えているんですか?

そんな表現をするべきではない、なんて自明のことではないですか。
Posted by at 2017年07月06日 11:35
「自明ではない」からこそこのようなエントリがあるとはお考えにならないのでしょうか
Posted by at 2017年07月06日 12:18
この世に理由の説明が要らないモノゴトなど、そうそうありはせんのだ。
人が人を殺してはならない理由さえ、そうとうの言葉を尽くさねばならん。
本当に自ずから明らかであるなら誰も揉めはせんし、そもそも言葉を使う必要すらないだろう。

ところで、女性の裸体が「性的な意味」で子供の目に触れると「悪影響を及ぼす」とは?
「性的な意味」などと気軽に言うが、具体的にはどういった意味を指しているのか?
子供に何かしらの影響を及ぼしたとして、それを悪影響というのは主観にすぎない。
良い影響と悪い影響の境界線を引けるという正当性はどこからくるのか?誰にそんな権利が?

また、これだけ少子化問題が叫ばれている(もはや手遅れとさえ言われている)世の中で、生殖に関する情報を遮断された子供が、子供を生んで育てることができると思うのか?
遮断しただけでキレイに育つと、本気で考えているのか?
いったい誰の都合か知らんが、生殖に関する情報を隠すだけ隠して本当のことを教えないのは、先達の義務たる教育の放棄であり、むしろ虐待であるとさえ言えるぞ。
Posted by at 2017年07月06日 12:41
これだけは言っておく
エロはいけないもんだと子供に教えて子供から徹底的にエロを取り上げ続けるとその子は将来
いわゆる普通のSEXにはほぼ興味を持たない筋金入りのフェティシストになる
ソースはお察し下さい
Posted by at 2017年07月07日 03:12
影響が有るか無いか? 有るに決まってます。
あらゆる表現は他者に何らかの影響を与える為に存在していると言っても良い。
誰にも何も影響を与えていない表現なんて有り得ないし、有ったとしたらそれは既に表現ではない。

だからと言って未熟な者に何でもかんでも見せて良いのかと言えば断じてそんな事は無いわけで。
子供は判断基準も判断能力も未熟で、極端な影響を受けやすくなるのは少し考えれば解りましょうに。

だからこそ、販売側ではゾーニングされているではないですかと。
一般ゲームならレーティング(全年齢とか15歳以上推奨とかのあれです)が有るし、いわゆる成年ものならR-18(いわゆる18禁物)とかR-21なんてものまであったりする。そして成長の度合いに応じて段階的に開放してゆく。

その上で、これは自分には合わないなと感じて敬遠するのはそれはそれで当然でしょう。
Posted by 鴉鳥 at 2017年07月07日 04:53
わざわざ求めて見たくない人の目にまで入ってしまうのは暴力的だし問題があるので、それを回避するためにゾーニングの概念はあってもいいと思う
ただし見たくない人がいるからといって、見たい人からも見る機会を奪うことは、逆ベクトルでこれもまた暴力的で非常に問題がある

最近では寺で地獄絵を子供に見せることにすら反対する大人がいるらしいことに驚きを隠せない
グロとか見たくないという子供に無理やり見せるのは良くないと思うが、もし子供の方から興味を示して見たがるのならば躊躇なく見せてやりなさい
そんなもん見せたら子供が歪む?
んーなわけない、昔の人なめんな
むしろそんなに子供を信用しないビビリな大人の情けない姿を見ながら育つ方が歪むんじゃないかね
Posted by at 2017年07月07日 18:06
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