ちょっと遅ればせながらのネタなのかも知れないが。
SCEI 久夛良木社長インタビュー(2)
僕らはコンピュータだとずっと言ってるのに、同じ業界の中で任天堂さんが外に向かって玩具だ玩具だと言い切っている。だから、こちらはスーパーコンピュータ並みで輸出入管理が必要なモノを作っているのに、役所とかには玩具だと思われてしまう。
なんだよそりゃあ。んなこと言ってっからDSに置いてかれるんだよ、と思ったのは一人私だけであろうか。どうもこの社長さん、不良品問題の時の答弁もそうだったけど、ソニーの「悪い意味でのプライド」みたいなものをちらつかせることが頻繁だな。技術者出身者としての側面なんだろうか。っつか、ゲームで大きくなった会社の人間がンなとこで気取ってどうするか、と。
かつては企業内ベンチャーであったSCEが任天堂に勝ったのは何でかというと、まあ時期の問題とか任天堂がSFCにこだわり過ぎたこととか色々あるっちゃあるが、要はサードパーティーの待遇において「任天堂よりSCEの方がいいべ」と多くのサードパーティー(四角とかドラクエの会社とか含め)が考えたからだ。ぶっちゃけた話、任天堂傘下よりもゲーム作りに金がかからなかった。中身がなけりゃただの箱、というのがゲームハードの宿命であって、良質な作り手を多く抱え込んだ側が勝つのは当たり前っちゃ当たり前なのだ。
任天堂からSCEIに鞍替えしたメーカーが多かったのは、当然のことながらファミコン時代から続く任天堂の締め付け、というか任天堂の「商売上手」が直接的な原因なのであって、つまりは任天堂の商才に対してソニー畑の技術者魂というか開発者重視体制が上回った、という様な構図になる。無論かなり単純化しての話だが。
そのアドバンテージは、今はもうない。当時のもの作りの環境と今のもの作りの環境はぜんっぜん違う。その情勢下で、妙な芸術家魂みたいなモンを後生大事に保持し続けて一体どうするというのか。
こんな発言もある。
今回、我々は(PS3は)スーパーコンピュータですという位置づけにする。でも、コンピュータとして申請しないとコンピュータとして見ない人がいるから、OSを走らせる。CellはマルチOSが同時に動く。だから、OSをそのまま動かして、はいコンピュータですというためにHDDがいる。
だから、最初から(HDDに)Linuxを載せちゃうんじゃないかと思う……、おまけでね。コンピュータとして申請するために。
ノンリニアの編集システムってすごいけど、あれCellの上に持ってきたら、もっとすごいことになる。PCの上でもなんとかできるけど、PS3の上ならスパンとできるといった風に、違いが見えてくる。
うげ、気持ちわるっ。とか思うのは一人私だけであろうか。
この人、プレステ3ってものを一体誰に売りたいノダ。高級PC欲しい人か、すげえ動画が山ほどみたい人か。っつーか今以上にハイクオリティな紙芝居を増やしてえのか。要らねえよそんなもん。いいからゲームやらせれ。ゲーム機なんだから玩具として作って玩具として売れっての。シェア負けの意味全然わかってねえな。
というか、開発コストを上げるものはいー加減お腹いっぱいだから、下げる施策をとるべきだろと。例えば低コストのライブラリの充実とか、と思いながら一番「うげ」だったのが、
今までは、僕らがライブラリを提供したり、ゲームソフトメーカーがインハウスで作ったりしてやってきた。でも、もうそれは無理でしょう。何するにしても、もっと広がりが必要。
言ってる場合かと。
任天堂の商才というものは何かというと、一言で言ってしまえば「玩具の売り方」を知っているところだ。まあ玩具業界のノウハウを、良い面も悪い面も、風土として身につけてしまっている。ファミコン時代からずーっとそうだった。そこを長所として売り上げに生かせるのが、任天堂の恐ろしさである訳なのだ。
それに対して。技術力に対する妙なプライドが商売を邪魔する、というのは、かつてソニーが何回かやらかした失敗譚の構図に実に実に良く似ている。別に「ゲーム機じゃなくてコンピュータエンタテインメントがやりたい」と息巻くのはぜーんぜん構わねえのだが、ここに来て「ゲーム機」の部分おいてきました、とかそーゆー事態に陥るのだけは勘弁してもらいたいものだ。
どんなにリアルで壮大でも、スペースインベイダーやスーパーマリオブラザースのスゴさは変わらない。
「ゲームはつまんなくてもコンピュータとして使えるから良いでしょ?」という逃げ道作ってるようにも見えます。
技術者が作って面白いゲームじゃなくて、ユーザが遊んで面白いゲーム作ってくださいSONYさん。
>映画で失敗したスクウェアと同じ道を歩んでる気がしますな。
方向性としては似てるけど、あの映画に関してはちょっと、技術力とかそーゆーものの遥か以前の場所で失敗することが宿命づけられていた様な気も若干。
ゲーム以外のトコ(作り手はゲーム以上だと考えている)に興味示して失敗、みたいな側面ではイヤな同調を見せているかも知れないですな。
>よっしーさん
>PS3=ゲーム機、だとプライドが許さないのでしょうか…
プライドだとしたら妙なプライドですね。っつか、何で「玩具」をイヤがって「コンピュータエンタテインメント」などという意味不明な造語にこだわるかと。
>技術者が作って面白いゲームじゃなくて、ユーザが遊んで面白いゲーム作ってくださいSONYさん。
それに関しては微妙なところですね。技術者が面白くゲーム作りが出来ること、は割と重要かも知れないです。ただ、現在は「面白く、よりまず安く」の方が急を要する課題の様に思いますが。
>技術者が作って面白いゲームじゃなくて、ユーザが遊んで面白いゲーム作ってくださいSONYさん。
失礼いたしました。この文の意図は「技術者のプライドだけを重視するのではなく、ユーザのための製品を作ってくださいSONYさん」ということです。誤解させて申し訳ないです。
PS3、開発コスト上昇分をソフト価格に上乗せして1本1万円、とかならなければいいのですが…
でよろしいですか?
>この文の意図は「技術者のプライドだけを重視するのではなく、ユーザのための製品を作ってくださいSONYさん」ということです。
おっしゃる通りですね。技術力に妙にこだわり過ぎないで、ちゃんとユーザーの方向け、という辺り同感です。こちらこそ失礼しました。
ほうほう、そうなんですか。税金対策、みたいな面もあるのでしょうか。
ちなみに提訴当時の関税率は 2.2% でしたが、どうも判決が出た時点で、かなり下がってた (0.6%) みたいですね。これは多分 WTO に絡んだ話だと思います。2001年にWTOで「電子製品は基本的に無税」という国際的な合意 (ドーハ宣言) がなされており、比較的関税が高かった欧州でも、各種の関税引き下げ策が取られています。最終的にはさらにゼロに近づくでしょう。(日米間の電子製品輸出入は既に無税でした。これはビデオゲーム機であっても変わりません。)
早い話「SCE空気読めよ」ということでよろしいかと…。
税の話は、勉強になりました。どーもです。
空気読め、は、むう。yahooで丁度↓な記事も出てましたね。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050624-00000003-inet-sci
僕としては、こういうより玩具のほうを下にみる発言は嫌いですねぇ。
私の価値観では、玩具の方がよっぽど高等なものなんですけどね。
悪い意味で「大人」な人たちは、遊戯性というものを疎かにしがちで、わかってねえなぁと。
で、コンピュータとゲーム機の関係に限っていえば、ゲーム機も確かにコンピュータのいちジャンルですが、「遊戯にしか使えないコンピュータ」ということになるわけで、まことに結構なことだと思いますね。
それって、ちゃんと余計な枝葉を落としてツールとしてデザインされてるということですから。
汎用品ならではの使いにくさやつまらなさってのはありますから。
デザイン・設計って、枝葉を切り落としてポイントを浮かび上がらせる作業だと私は思っています。
余談のグチですが、ウチの現場の大将も、いつも機能てんこ盛りの汎用品ばかり作りたがってトホホです(笑)今回の現場になんでそれが必要なんだっていう。
「わかってねえなぁ」(笑)
>僕としては、こういうより玩具のほうを下にみる発言は嫌いですねぇ。
一概に玩具を下に見ているかどうかは分からないんですけど、元がこの人社内ベンチャーの技術者ですから、技術至上主義みたいなところは結構あるんでしょう。それに「おもちゃ」という名前がつくのが我慢できない、みたいなことなのかと。ゲームででかくなった会社が何言うとるか、とは思いますが。
>「遊戯にしか使えないコンピュータ」ということになるわけで、まことに結構なことだと思いますね。
同感です。技術屋だったら、一つの目的に特化した専門機をつくることには燃える筈なんですけどね。
>余談のグチですが、ウチの現場の大将も、いつも機能てんこ盛りの汎用品ばかり作りたがってトホホです(笑)
あー、時計付ドライヤー付ラジオ付洗濯機、みたいなシステムを作りたがる人はどこの業界にもいますね(苦笑