2017年09月26日

中高生の読解力テストの問題は特に悪い問題ではありません

この記事を読みました。

1.「輸出が伸び悩む中でも、和牛が人気の牛肉や、和食ブームを反映した緑茶や日本酒などは好調だ。」

という文と、
2.「輸出が伸び悩む中でも、和食ブームを反映した日本酒や緑茶、和牛が人気の牛肉などは好調だ。」

という2つの文の指す意味は同じかどうか、という問題。
答えは「同じ」らしい。

簡単に解説します。

この問題は、一言で言うと「文章の構造を読み解く力を試す問題」です。文章の構造というのは、具体的には「どの言葉がどこにかかるのか」という話です。

例文となっている文章を改めて並べてみましょう。

1.「輸出が伸び悩む中でも、和牛が人気の牛肉や、和食ブームを反映した緑茶や日本酒などは好調だ。」

2.「輸出が伸び悩む中でも、和食ブームを反映した日本酒や緑茶、和牛が人気の牛肉などは好調だ。」

最初の「輸出が伸び悩む中でも」というのは、どちらの文にも共通している言葉なので一旦除外して考えていいでしょう。

除外した上でもう一回並べてみると、

1.和牛が人気の牛肉や、和食ブームを反映した緑茶や日本酒などは好調だ。

2.和食ブームを反映した日本酒や緑茶、和牛が人気の牛肉などは好調だ。


ぱっと見ごちゃっとした文章を比較しつつ読み解くには、まず共通した結論部分を見るのがポイントです。

この文章の結論は、「〇〇は好調だ。」という形になっています。何かが好調みたいですね。何が好調なんでしょうか?

ここで、「AやBは好調だ」という、二つの言葉に対して共に「好調だ」という結論がついている構造に気が付けるかどうかがポイントです。「Aは好調だ」と「Bは好調だ」という二つの文章を合体させて、「AやBなどは好調だ」という一つの文章にしているわけですね。

となると、例文1と例文2、それぞれでAとBの中身が変わっているかどうかを考えれば、二つの文章が同じ意味になるかどうかが分かります。この問題のポイントはそこだけです。


で、例文1において、AとBの中身はそれぞれ下記のような感じです。

・和牛が人気の牛肉
・和食ブームを反映した緑茶や日本酒

これらはそれぞれ、「和牛が人気の」「牛肉」というペア、「和食ブームを反映した」「緑茶や日本酒」というペアの二つに分けることが出来ます。


じゃあ、例文2の方は、AとBの中身はどうなっているでしょう?

・和食ブームを反映した日本酒や緑茶
・和牛が人気の牛肉

これ、例文1と変わらないですよね。単に「日本酒や緑茶」と「緑茶や日本酒」で順番が違っているだけでして、言っている内容は等価です。

つまり、例文1と例文2は、「AとBは好調だ」と「BとAは好調だ」といれかえているだけであって、意味としては「同じ」と判断できる、ということになります。


以下、冒頭の文章の方の疑問にお答えします。
「輸出が伸び悩む中でも、和牛が人気の牛肉や、和食ブームを反映した緑茶や日本酒などは好調だ。」
「輸出が伸び悩む中でも、和食ブームを反映した日本酒や緑茶、和牛が人気の牛肉などは好調だ。」
2の文では、[和食ブームを反映した]のは[日本酒][緑茶][牛肉など]ということになるが、
1の文では、[和食ブームを反映した]のは[日本酒][緑茶]であって、
[牛肉]は和食ブーム以前から好調であるというふうに読み取れる。
通常、読点は言葉と言葉の関連を区切るために使われます。一般的には、読点で区切られている部分で言葉の関連は一旦切り離されます。おそらく、この点を明確に意識されていないことが誤解を生んでいるのかな、と思いました。

この文章において、「和食ブームを反映した日本酒や緑茶」と「和牛が人気の牛肉」の間は読点で区切られている上、「日本酒や緑茶」にかかるのは「和食ブームを反映した」という言葉、「牛肉」にかかるのは「和牛が人気の」という言葉で、それぞれ充足しています。言い方を変えると、読点でわざわざかかりが明確にされています。

つまり、2の文であっても「和食ブームを反映した」という言葉は「日本酒や緑茶」にしかかかりません。「和食ブームを反映した日本酒や緑茶」と「和牛が人気の牛肉」は読点で区切られているのでそれぞれ独立した言葉だ、ということになります。(ちなみに、ちょっとややこしいのですが、仮に「和牛が人気の」という言葉がなく、「和食ブームを反映した日本酒や緑茶、牛肉などは好調だ」という文章だった場合、「和食ブームを反映した」という言葉は牛肉にもかかります。これは読点の使い分けですが、この問題にはあまり関係しないので割愛します)


「和食ブームを反映した緑茶や日本酒などは好調だ。」という文。

「和食ブームを反映して、緑茶や日本酒などは好調だ。」なら通ります。

上で書いた通り、通常読点は言葉と言葉の関連を区切るために使われます。元の例文の場合、「和食ブームを反映した」という言葉と「緑茶や日本酒」の間に読点がないので、「和食ブームを反映した」という言葉は「緑茶」と「日本酒」両方にかかるものだ、ということが分かります。特に文法的におかしなところはありません。

後者の「和食ブームを反映して、緑茶や日本酒などは好調だ。」も、別に文章として問題はありませんが、和食ブームという言葉は緑茶や日本酒に直接はかかっていない形になるので、ニュアンスは若干変わってきます。「和食ブーム」という広い言葉をふわっと使って、その中の例として緑茶や日本酒を提示する、ということなら後者の文章の方が適していると思います。

上記の例文だと、「和食ブーム」と「緑茶や日本酒」を直接関連づけているので、後者の文章よりも言葉同士の関連が強くなります。


ブームというのはにわか人気のことですから、
2つの文は”牛肉が好調な時期の長さ”という点で違うと言えるはずです。

上で書いた通り、「和食ブームを反映した」がかかるのは「日本酒や緑茶」ですので、牛肉には直接関連しません。また、ブームがにわか人気という意味だということは、文章の構造を読み解くというこの問題とは特に関係がありません。


緑茶や日本酒はもともと和食のものなので、和食ブームを反映するというのは常識的に考えたら不思議な文章です。

和食が和食ブームを反映して好調になることは特に不思議ではないと思います。洋食が和食ブームを反映して好調になった場合は不思議です。

また、「和牛」が特定のブランドを指す名前で、「国産牛」とは違うということをどれだけの人が知っているのだろうかとも思いました。
「和牛」=「国産牛」のことだと思っている中高生には、
「和牛で人気の牛肉が輸出で好調」という文章は難解になると思います。

和牛が特定のブランドを指す名前だというのは、「文章の構造を読み解く」という点ではこの問題と特に関係がありません。



ということで、国語的には特に悪問ではないと思われるところ、「問題が悪い」と断言されるのはちょっと違う気がしたので解説させていただきました。

以上、簡単にご説明しました。よろしくお願いいたします。

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続きを書きました。



posted by しんざき at 16:50 | Comment(18) | 雑文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
あー、なるほど。
これ、「和食ブームを反映した」のかかる対象として「牛肉」だと「和牛が人気」によって別の理由が示されているので和食ブームが理由ではないと読めますが、「和牛が人気の牛肉」という纏まりで捉えると、それも「和食ブームを反映した」の対象として読みようがありますね。
そのように理解すると、「和食ブームを反映した」対象が緑茶と日本酒だけなのか和牛が人気の牛肉まで含むか、という差があるように思える、と。
Posted by 芹沢 at 2017年09月26日 17:13
元のブログで、『僕の育ってきた環境では教科書も読めない中3なんていなかったけど、
僕が出会わなかったような底辺の中学校・高校ではそんなこともあるのかと思い』って言っているのがまた・・・
リーディングスキルテストを全世代でやるとまたおもしろい結果が出そうですね
Posted by m at 2017年09月26日 17:28
 答えは同じらしい、でばーかと頁を閉じました。 彼のレベルの日本語理解能力なら確かに噛んで含める御高論も必要なのかも知れませんね。
Posted by 甕星亭主人 at 2017年09月26日 18:12
元記事のヤツフルボッコで笑ったwwwww
Posted by at 2017年09月26日 18:19
すこし気になるのは「緑茶や日本酒『など』」。
この『など』は"和食ブームを反映した"にかかるのか"輸出が伸び悩む中でも好調"にかかるのかが確実に判断できない。
つまりこのエトセトラ・アイテムが、必ず"和食ブームを反映した"属性を持っている前提で考えて良いのか、悪いのかを読み解けない。

対して「和牛が人気の牛肉『など』」の『など』は"和牛が人気"カテゴリに入るものが牛肉以外考えづらいことから、"輸出が伸び悩む中でも好調"にかかることがほぼ確実である。
つまりこのエトセトラ・アイテムは、"和牛が人気"属性を持つとは限らないアイテムだと判断できる。
Posted by at 2017年09月26日 19:43
下から15%って言ったら偏差値で言うと39以下
そりゃそういう人種は読めないのもやむなしという気もする
Posted by 某団体 at 2017年09月26日 23:10
採点者のレベルが落ちているから、こういう問題しか作れないだけ。
労力を惜しんでマル・バツを即座に判断したいという問題作成基準もレベルが落ちている証拠。
そんないまの教育者達に付き合わされ馬鹿に育つ子どもがかわいそうだ。
Posted by at 2017年09月27日 00:53
「和牛が人気の牛肉」という表現に強烈な違和感を感じる。普通こんな表現はしないしgoogle検索しても全く出てこない。
文章の構造自体が一般的な日本語様式からかけ離れているのだから悪問とみなさざるを得ない。
Posted by at 2017年09月27日 04:19
>「和牛が人気の牛肉」という文章の構造自体が一般的な日本語様式からかけ離れている

そんなことはないのでは……
「萌えが人気の日本アニメ」とか「携帯ゲーム機が人気の任天堂」とか、いくらもそんな表現あるでしょう。

もしかしたら「国産牛肉はすべて和牛なんだから『和牛が人気の牛肉』という表現はおかしい、とお考えかも知れませんが、和牛というのは和牛種の肉を指すのであって、たとえば国産でもホルスタイン種は和牛に入らないので、この表現はこれでいいんですよ。
Posted by 芹沢 at 2017年09月27日 09:06
問題はこの1文で全ての内容を表現する際のA,Bの意味が同じか、を問うているので「修飾語が多すぎて読みづらい(だから悪文だ)」という指摘はもっともかもしれないが、論点はそこではないのだと感じます。
(個人的な肌感覚では、長いが、許容範囲)

この文章を読みやすくしなさい、であれば
「輸出が伸び悩む中でも、日本酒や緑茶、そして牛肉など(の輸出)は好調だ。
日本茶と緑茶(が好調な理由は)は、日本食ブームを反映している。
また、牛肉は和牛人気を反映している。」
などに内容ごとにぶつ切りにするとよい気がしますが、
この問題で指摘する内容ではないなと感じました。
Posted by    at 2017年09月27日 09:10
ほぼ同じ/全く異なる の2択であれば「ほぼ同じ」であることには異論ないのですが、
同じ/異なる であれば、ほんの僅かな差異でもあれば「異なる」だと思うんですよね。
語順が違うというのは筆者がそこに意味を込めている(かもしれない)わけなので、
「同じ」と断言することには違和感がありますね。
Posted by すぎ at 2017年09月27日 11:11
すみません、これだと単にイチャモンを付けてるだけみたいなので補足します。

単に「同じ」「異なる」と言われても、どのレベル(細かさ)で? となっちゃうと思うんですよね。
だから「大意が同じ」という表現で「細かいことは目をつぶっていいよ」としたりとか、
「次の中から内容が同じものを選べ」というふうに「次の中に答えがあるよ(一番近いものを選んでね)」
というのであればまあいいと思うんですが、そこをすっ飛ばして単に「同じか異なるか?」だけだと
答えようがないというか、どちらとも答えられてしまうかなあと思いました。
Posted by すぎ at 2017年09月27日 12:42
プロの編集者に添削してもらったら修正されてしまうだろうか。 
憲法解釈みたいで笑ってしまうよ
Posted by P助 at 2017年09月27日 13:28
そもそも言葉ちょっと入れ替えて、同じか異なるか聞くだけで、読解力を測ろうなんてのがアホらしいっすわ
Posted by at 2017年09月27日 15:19
「上記の文が表す内容と以下の文が表す内容は同じか。」で文章中に出てくる単語は同じ、つまり文章の構造が一致しているか?というところが問われる問題で、「どのレベルで聞いているのか分からないので答えようがない」と躓いている人は端的にいって読解力がないのでは
Posted by m at 2017年09月27日 15:33
リンク先のサイトに飛んだらウィルス感知したんだけど他の人は大丈夫だったのかな
Posted by at 2017年09月28日 13:15
リンク先のサイトに飛んだらウィル ス感知したんだけど他の人は大丈夫だった?
Posted by   at 2017年09月28日 13:16
ごめん、重複した
Posted by at 2017年09月28日 13:17
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