そらちょっと違うんじゃねえかなあ、と思うんですよ。
ちょくちょく思いついたことを書いて寄稿させて頂いているBooks&Appsさんに、こんな記事を書かせて頂いたんです。
この記事自体は、
・保守運用の仕事分かりにくいよね
・けど、分かりにくいってだけで表層な理解しかされずに、経営サイドに切られちゃうことがあるよ
・そういう場合大抵大炎上してめっちゃダメージになるよ
・切るなら切る、評価しないなら評価しないで、そうすることによるリスク、ベネフィットってものはきちんと把握した上でやらないといけないよね
・けど、分かりにくいってだけで表層な理解しかされずに、経営サイドに切られちゃうことがあるよ
・そういう場合大抵大炎上してめっちゃダメージになるよ
・切るなら切る、評価しないなら評価しないで、そうすることによるリスク、ベネフィットってものはきちんと把握した上でやらないといけないよね
ということが言いたかった記事でして、どっちかというとマネジメント側の話として書いたんですが。
この記事に対しての反応として、例えばtwitterとかで
・保守・運用をする側が、もっとその仕事の重要さをアピールするべき
・作業員が自分の必要性や専門性を主張するべき
・作業員が自分の必要性や専門性を主張するべき
とおっしゃる方がいまして。実のところ、以前からそういう風に、「評価されてない・必要性を認識されていないのは仕事をしている側の責任」という文脈に触れるケースは結構多いんです。
それ、本当にそうなのかなあ?と。もうちょっといっちゃうと、それは個人の評価の問題と、企業や組織のリスク・ベネフィット評価の問題をごっちゃにしているんじゃないかなあ?と思ったんです。
確かに、それが個人の評価の問題の話であれば、「自分はどれくらい貢献した」「自分の仕事はどれだけ重要なんだ」というのを評価する側にアピールするのは、ビジネスパーソンとしての個人の職責の内です。評価されたかったら、評価されるべき材料を提示しなくてはいけない。そこは間違いありません。
しかし、今回問題になってくるのは、「システムの保守運用」という仕事、それ自体です。
そのシステムに対する保守運用があることで、会社はどのようなベネフィットを得ているのか?
保守運用を切った場合、会社にはどのようなリスクがあるのか?
それは、切った場合のコストと見合うものなのか?
これらは全て、そこに働いている人個別の評価とは関係なく、組織を運営する上でのリスク評価、コスト評価の話です。
それ、何をどう考えても、主体となるのは経営側、マネジメント側なんじゃないかなあ?と。その評価が出来るか出来ないかっていうのはマネジメント側のリテラシーの問題であって、その責任を現場側に求めるのはおかしいんじゃないかなあ?と思うんですよ。
勿論、保守運用は上記記事でも書いた通り、そこそこ専門的な仕事であって、「何をやっているのかよく分からん」というのはある程度致し方ないところではあります。そりゃそうです。
ただ、「その仕事をすることでどんな効果があるのか」「何が守られているのか」「それをしないとどんなことが起きるのか」という諸要素を把握する時に、仕事の細かい内容なんて把握する必要ないと思うんですよ。少なくとも、保守運用を行わないとシステムの維持管理が出来ないこと、そのシステムがまともに動かないと何が起こるのか、その程度のことを把握しておくのはマネジメント側の当然のリテラシーなんじゃないでしょうか?
百歩譲っても、そういった情報、リスク、コストの把握、それはマネジメント側が主体となってヒアリングするなり情報収集するなりして把握するべき問題であって、「主張しなかった現場が悪い」となるべき問題ではない。「現場が主張しなかったんだから切られても仕方ない」なんて結論をつけるべきではない。
私はそんな風に思ったんです。
私自身、立ち位置を考えるとすればどちらかというとマネジメント側の問題であって、恐らく価値を理解出来ていない仕事も、重要性を把握出来ていないスキルも色々とあるんだろうなあと。
ただ、それについては、マネジメント側の責務としてきちんと把握しにいって、自分のリテラシーを高めていかなくてはいけないと。
そう考える次第です。
今日書きたいことはそれくらいです。
そもそもシステムの運用とか保守の内容を知らないシステムやさんが多すぎます。作る人は作り終える事ばかり考えていて、作った後の動かし続けることの重要さを知らない人ばかり。自分でシステムの維持管理をしてみればわかると思うのですが、システムに一部を作って終わりの人ばっかりで話を理解しない人ばかり。
その昔、システムの維持管理部門の管理者が、システムリリースのあとで”これから果てしなき消耗戦が始まる”と言っていましたが、まさにその通りだった。
システムの維持管理に光を当ててほしいものです。
業界は全く違うんですが、マンションの管理会社に学ぶべき点が多々あるように思います。
例えばマンションの植栽業者に見積りを取ると、単発作業と通年メンテでキッチリ見積りを提示してくるんですよね。あまりにも高いと伝えると、メンテ頻度を減らした割安プランまで用意してきます。
さらに15年毎に大規模修繕が義務付けられているので、管理会社は積立金を把握して、頃合いを見て予算目一杯の提案をしてきます。
敷地内には昇降式の駐車場があり、これまた経年劣化するので松竹梅の保守プランと単発の部品交換があり。。
発注交渉する時にいつもウンザリするんですが、結局はマンション管理会社が儲かるというノウハウが蓄積されていることに感心します。
ITの保守も中長期のプランを事前に提示して顧客とライフサイクルコストについて議論できれば良いのですが、そうすると割高に見えてしまい失注するという悪循環ですかね。
善意の世直しなら好き勝手リテラシーの低さを愚痴ってりゃ良いけど、仕事にしたいなら営業のコストは必要ってだけでしょ。
そんな弊社は、保守運用部隊を華麗にリストラして外注化した結果、更なるコストを投入することになりましたとさ。
ちょっと前に話題になった様に、パスワードメモるな毎週変えろ、みたいなことをドヤ顔で言い切るタイプの多い業界でもある。
社会やシステムなどの大きな問題に対して抗議している人にどこまでも自己の能力で対処させるのは酷な気がします。
この社会は椅子取りゲームみたいなもんですけど、素早く他者を押しのけ椅子をとらせるのではなく、椅子自体を増やす発想があってもいい気がします