すいません、最初に断っておきますが結論は出ません。
ラ・ムラーナを遊んでいて、ふとどうでもいいことに気づきました。それは、「買う物を3つの中から選ぶ店が出てくるアクションゲーム/アクションRPGって、なんか昔から多い気がするな?」ということです。

例えばゼルダの伝説。

例えばがんばれゴエモン。

その他、ちょっと考えただけでも、
・ワルキューレの伝説
・迷宮組曲(ヒントを含めての選択肢がどの店も3つ)
・月風魔伝
・魔鐘
・聖剣サイコカリバー
辺りはすぐに思いつきます。錚々たる面子ですよね。探せばもっと色々あると思います。
いや勿論、例えばイースとか、ワルキューレはワルキューレでも冒険の方とか、そうじゃないアクション(RPG)もあるんですけどね。ただ、これだけ有名作が共通して採用している仕様ってことは、旧作を参考にしていたりとか、あるいは「3」という選択肢がちょうどいい理由があるとか、何か共通した仕様上の理由みたいなものがあったりはしないかと思いついたんです。
勿論、そもそもの前提として、
・アクションゲーム、アクションRPGは、一般的なコマンド型RPGよりはアイテムの種類が少ない傾向がある
・その為、店で手に入るアイテムの種類は限定される
・その為、店で手に入るアイテムの種類は限定される
ということは認識しておかなくてはいけないでしょう。
その上で、例えば
・ファミコンの描画性能的な問題
・アイテムデータの管理仕様的な問題
・選択肢としての「3」の汎用性が単純に高い(2だと少なすぎ、4だと迷ってしまう)
・アイテムデータの管理仕様的な問題
・選択肢としての「3」の汎用性が単純に高い(2だと少なすぎ、4だと迷ってしまう)
などといった理由があったりしないかなーと考えたわけです。
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Twitterでうだうだ呟いていたら、いくつかご意見を頂いたりしました。一部引用させていただきます。
操作上の制限があるためでは?という説。
shinzaki / しんざき
RT @ohtaryun: @shinzaki ワルキューレの伝説は左、上、右でそれぞれのアイテムを買って、下で店から出るって操作だったからじゃないかなーと at 09/12 13:27
選択肢のサイズとしてちょうどいい為では?という説。shinzaki / しんざき
RT @hanane_ko: @shinzaki トップビューの画面でキャラクターをアイテムに重ねて獲得する方式の場合、4つ以上だと移動が煩雑になるというのはあるかもしれないと思いました。 at 09/12 13:27
在庫データの持ち方上の問題なのでは?という説。shinzaki / しんざき
RT @5diva: @shinzaki 「選択肢が三つ未満だと少なすぎて強制されている感じがして、四つ以上だと検討するには多すぎる」みたいな話を、ゲームシナリオ論か何かで見たような記憶がありますが…… (出典失念) at 09/12 13:27
それぞれ説得力がありますし、どれか一つの理由というわけでもないのかも知れないとも思います。
例えばワルキューレの伝説であれば、単純にレバーを入れる方向によって商品選択と店を出る選択が出来たので、四方向に設定するのがごく自然だった、と考えることが出来そうですよね。その辺の事情はゲームによっても違うと思うんです。
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ただ、勿論こういうのは、実際に作った側の方にお話を聞かないと本当のところは分かりません。
思い余って、私が個人的に「ファミコンの探索型アクション全てを見渡しても最高峰の一作」と考えている「迷宮組曲」の開発者、笹川敏幸さんに、質問のメールを投げさせて頂いたら、なんとお返事を頂いてしまいました。子どもの頃から大好きなゲームの開発者さんにお話を伺えて感激の至りです。インターネットすごい。
ご許可を頂いて、下記、引用してみます。
>当時、様々なゲームが、お店での購入について「三つの選択肢」というものを採用されているように思いまして、そうでしたか。特に他のゲームを意識したことはなかったように思います。>何か仕様上、ないしゲームデザイン上の理由などあるのだろうかショップの存在はゲームの流れを制御する為でした。これによってどこまでゲームが進行しているのか、目安になります。
(いわゆるフラグが立つ、という状況になり、ゲームの進行が変化します)あのゲームは最終画面でボスキャラを倒す、面クリアのストーリー展開。それと楽器をあつめて「曲を完成させる」というゲームの進行とまったく関係ないストーリー展開があります。ひとつのアートとして作ったゲームなので、ただの面クリアにしたくなかった。そこはこだわりです。
それと、当時、ハドソン社内で「ゲームの難易度設定」は、高橋名人が基準になっていましたので、彼がクリアできるレベルを目安に調整していました。でも、それでは運動神経のにぶい子や小さい子は絶対にクリアできないわけで(笑)。実のところ、あれば作りての我々も「素手でクリアできなかった」ので、開発中は常に連射パッドを用いていました。(つまり、連射パッドを売りたいという魂胆でした。)
ファンタジーなゲームなのに、難易度設定でスターソルジャーレベルなわけですから。そこをなんとかしたかった。なので楽器集め、の要素をいれてそこで楽しむのもあり、ということにしたわけです。ショップの3つの選択肢というのは、ゲームの進行を制御するのにちょうどよかった数だったからだったように思います。十分に洗練された仕様ではなかった気がしますが、当時、自分の能力、センスではそれでせいいっぱいだったようです。
ほぼ30年前の作品です。20代前半の若者だった自分にしては、よくがんばったな、という気がします。楽しんでくださってありがとう。
不躾な質問にすごく丁寧に答えてくださって、本当に恐縮汗顔の至りであります。
ただ、上の「店の三択」という話について言えば、迷宮組曲は
・既存のゲームを意識したりはしなかった
・技術的・ハード的な制限の問題でもなかった
・ゲームの進行を制御するのにちょうどいいサイズだった
ということになりそうです。
実際、迷宮組曲におけるショップって、「進行に関わるアイテムが一つ」「ヒント・パワー・ゴールドなど、おまけ的な選択肢が一つ、ないし二つ」というパターンの店が多いので、「先に進む為のキーアイテムを手に入れる場所」として、選択肢が多すぎてもしょうがない、ということだったのだろうと推察します。
個人的には、「高橋名人が基準」「連射パッドを売りたいという魂胆」というところは大変面白いと思っていまして、実際迷宮組曲って連射要素が色々組み込まれていましたよね。タイトル画面の連射機能とか、それをボーナスステージに持ち込む裏技とか。連射数がゲーム中のアイテムで増えたりとか。メダマルゲやクロウみたいな敵も、「近づいて連射する」という操作が要求されたりしてましたね。
あと、「ひとつのアートとして作った作品」という言葉も心に残ります。迷宮組曲って、音楽や楽器箱みたいな要素も含めて、ゲーム全体の統一感というか、「すべてをひっくるめての「組曲」」という感覚がすごいんですよね。この辺は、最初から計算されてそのようにされていたのかなーと思えました。
何はともあれ、お忙しい中大変興味深いお話を頂き、笹川さんには感謝しかありません。誠にありがとうございました。
ということで、すみません、結局「三択の店が多い理由ってなんなん?」という話については「共通する理由はなく、ゲームによって違う」というあまり面白みのない結論になってしまいそうではありますが。個人的に笹川さんからメールを頂けたことが望外だったので、うれしくなって記事にしてしまいました。
「三択」についての情報、何かあればお寄せ頂けると喜びます。よろしくお願いします。
今日書きたいことはそれくらいです。
今迷宮組曲のBGMを聞きながらコメントを書いてます。
今聞いても素晴らしいです。
私も幼い頃ファミコンで育ち、今色々あってゲームを作っておりますが、この当時の開発者の皆様は、正真正銘のアーティストだったんだなと思います。ジャンルがゲームだっただけで。今は業界の商業化の熟成が進み、なかなか芸術性を押し出すことは難しくはなってきていますが、それでもこの時代を経験したことを忘れずに仕事をしようと思います。
それを再確認できる貴重な記事をありがとうございました。どうかお体にお気をつけて。