2019年01月25日

レトロゲーム万里を往く その145 消えゆく「ふっかつのじゅもん」的インターフェースと消えゆくノウハウの話

次女に、「パパなんでそんなにえらぶのはやいの?」と言われました。

なんの話かといいますと、コントローラーによる文字入力の話です。

いや、実は最近無線LANルーター替えまして、色んな機器でLANの設定やり直してたんですよ。

で、SwitchでLANのパスワード入力してた時、横で見てた次女がふと口にしたのが上の疑問でして。我が家ではSwitchを基本テレビに接続していて、入力はプロコンでやってるもんで、タッチパネルではなく、コントローラーで画面上の文字を選択していく形式なんですが。

で、次女は「パパの、画面で文字を選んでいくペースがやたら速い」ということにびっくりして、冒頭の言葉を発したようなんですね。

そんな速いかな?と思ったんですが、取りあえず「パパこういうの慣れてるからねー」と言っといたんです。

ただ、その後ちょっと思い出したんですが、次女、何かのゲームで「自分の名前」を画面上から入力しようとしたとき、文字をみつけて選んで、また次の文字をみつけて選んで、っていうのにちょっと時間がかかったみたいなんですね。もしかするとその時の印象があったのかもなあ、と。

私自身は、こういう「コントローラーで文字を入力する」という時、殆ど無意識でこういうやり方をしています。多分同じようなやり方をしている人は多いと思います。

・入力する文字は、数文字〜十文字くらいの単位で頭の中で覚えてしまう
・ある文字を入力している時、次の文字の位置を事前に探しておく
・どうカーソルを動かせば次の文字まで最短でたどり着けるか、を事前に把握しておく(画面の上下ループの有無も考慮する)

いや、しょーもない話なんですけどね。そんなん出来てどうすんだって話です。ただ、よくよく考えてみると、これも「ノウハウ」の一種ではあるなあと。しかも、もしかしなくても「この先消えゆくノウハウ」かも知れないなあ、と。

だって、今文字入力なんて殆どタッチパネル、及びフリック入力でやっちゃいますしね。「コントローラーで、カーソルを動かして、画面の文字を選ぶ」なんてインターフェース、今一部のゲーム機以外では殆ど残ってないんじゃないでしょうか?

自分を振り返ってみると、こういう「ノウハウ」をどこで身に着けたかというと、疑う余地なくファミコンのパスワード入力です。「ふっかつのじゅもん」的なアレです。

Dragon Ball - Dai Maou Fukkatsu (J)-1.png

いやこれはドラゴンボール大魔王復活ですけど。ちなみにこのゲームの場合、画面左右・上下がループしていないので、次の文字への最短距離を考えるにはそこを考慮しないといけません。「ぽ」から「あ」とかめっちゃ遠い。

Getsufuu Maden (J)-1.png

こっちは月風魔伝ですね。これは「左右はループしているけど上下はループしていない」というタイプです。しかも左右ループがちょっと特殊で、「一つ前の文字に戻る」という形式なので、「あ」で左を押すと「ん」にジャンプする。だから「む」の次が「ん」だったりすると地味に面倒。

これ、ファミコン時代でも、時代の変遷に伴ってだんだん見なくなっていったインターフェースなんですよね。バッテリーバックアップが便利過ぎたし、データ量が増えるペースが速すぎた。パスワードはコントローラーで入力出来る文字数ではなくなってしまったし、その必要自体もなくなっていった。

いや、場面やデータ量を限定出来るゲームであればまだまだパスワードの使いではあったし、バッテリーバックアップの最大の弱点は「電池切れ」ですから、何十年経っても問題なく記録が保存できるという点で、パスワード入力の優位性は最後まで消滅してはいないと思うんですけどね。

かつて我々は、「ふっかつのじゅもん」で散々「パスワード間違い」の悲哀をやらかしました。「め」と「ぬ」とか散々写し間違えましたし、その為にロンダルキアの洞窟に費やした数時間の努力が一瞬で無に帰したりしたわけです。じゅもんを入力するのもひたすら面倒だったし、無情にも「じゅもんがちがいます」と言われたら、一文字ずつ間違えそうな文字を総当たりで試したりもしていた。

あの時の絶望感、あの時の無駄な努力というものは、今でも私の中に、苦い記憶として刻まれています。

だからこそ、バッテリーバックアップやその他のクイックセーブ形式で、ファミっ子たちが「パスワードの記録と入力」の苦行から解放されたことは、ゲーマーにとって福音だったとは思うんです。(今度は「おきのどくですがぼうけんのしょはきえてしまいました」の悲劇が発生するわけですが、まあそれは一旦おいておく)

ただ、ふと振りかえってみると、あの「ふっかつのじゅもん」的なインターフェースで培われたもの、育った文化というものも、確かになくはなかったなあ、と。冒頭で書いた「ノウハウ」なんかも、その一側面ではあるなあ、と。

ある意味では、アレも、どこかに記録しておくべき時代のひとかけらだったのかもなあ、と思いつきまして、本当にちょっとしたことなんですが書いてみた次第なんです。

皆さん、最近「コントローラーで文字入力」しましたか?

もし、もう数年コントローラーで文字入力してない、という人がいたら、たまには「ふっかつのじゅもん」を振り返ってみてください。案外面白かったですよ、あの文化。

あと、全っ然関係ないんですが、「ファミコン業界で一番エロいパスワード入力形式」はメタルスレイダーグローリーの「寝ているエリナに話しかける言葉」というインターフェースだ、という厳然たる事実を皆さんにお伝えしつつ本項を閉じたいと思います。よろしくお願いします。

今日書きたいことはそれくらいです。




posted by しんざき at 07:07 | Comment(3) | レトロゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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この記事へのコメント
コントローラーとか少し違いますが、リモコンで操作する機器(レコーダーやTV、ゲーム機でキーボードやタッチなしで入力、FireTVとかも)検索やタイトル編集のための文字列入力というのは、今でもやる機会がある人はいると思います。
私の場合は、レコーダーの操作やPS4なんかでID入力するときにキーボードつなぐのが面倒でコントローラーで入力したりすることはありますね
Posted by sparrow at 2019年01月25日 16:24
「復活の呪文はビデオデッキで録画しておけば間違える心配が無い」というノウハウ。
もはや失われた文化の一つ。ちっブルジョワめ。

近年だとホワイトボードに書いた者でもスマホで撮影ですもんね。

デジカメ内蔵が普通すぎて、「電話機で撮影?イミフw」なんて言う人はもはやいないでしょうねえ。
90年代までは、デジカメ単体だって夢の未来的ガジェットだったというのに!
Posted by ふっかつのじゅもんがちがいます at 2019年01月30日 19:23
ps4で撮った動画をツイッターに上げるときにかかかっとコントローラーで入力していますねー
頭の中で想像している速度に対してコントローラーのカーソルがついてくるのが遅くてあああああーってなりますね
Posted by ああああ at 2019年02月10日 01:26
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