女性の心ない言葉の暴力に殺された男たち[鬱文書注意]
はてなブックマーク :女性の心ない言葉の暴力に殺された男たち
敢えて釣られるべきだと思ったので、釣られる。今回に限って、既出だろうが何だろうが構うか、と思っている。
ひどいな、と思った。勿論、この記事の内容に関してではなく、この記事に描写されている様な「虐げられた」男性の姿に関してでもなく、この記事につけられたブックマーク数に関してである。
家庭がうまくいっているかどうか、というのは勿論個人の問題であり、上手くいっている家庭もあれば上手くいっていない家庭もある、という一語以上の結論は要しない。幸せな結婚もあればそうでもない結婚もあるのだろう。広い世間にはもしかすると、冒頭エントリーの様に妻に虐げられている男性も存在するのかも知れない。まあ、個人的には妄想、よく言って誇張に見えるが。
昨今、色んなブログやソーシャルブックマークなど見ていると、結婚に関するエントリーが目に止まることはよくある。そして、私の見る限り、「結婚に関するデメリット」「結婚後の暗い人生」について語っているものが過半を占めている様に思う。これは決して、私が「暗い結婚生活」について語っているものばかりを印象に残している為ではない、ということは断言出来る。何故かというと、私は人ののろけを聞くことを比較的好む方で、「幸せな結婚生活」風の文章は、割と頭が沸いている様なボケ文書であっても記憶の一隅にメモしておく場合が多いからである。
じゃあ、何で「暗い結婚生活」的エントリを良く目にするのか、というと、二つの理由が考えられると思うのだな。
・Web上の多くの人々にとっては、「幸せな結婚生活」よりは「暗い結婚生活」の方が印象・あるいは記憶に残りやすい為。
・書く側の心理的に、愚痴を書くのは抵抗が少ないが、のろけを書くことに関しては抵抗が大きい為。
まあ、構造的には仕方ない、とは思うのだ。
のろけを書くことによって期待出来ることはそれ程ない。現実世界の飲みの席ならともかく、Web上でのろけを幾ら語っても、得られるものはせいぜい身内からの中身の無い共感、僅かなアクセス、時には嫉妬、まあ大体の場合は「はいはい幸せ幸せ」という程度の生ぬるいスルー。結婚生活に満足している様な人が、そもそも結婚生活について積極的に開示しようとする動機は薄い。まともな感性をもっている人なら羞恥心のブレーキもかかる。
構造的に、「結婚生活に関する、経験者によるプラスイメージのエントリ」というのはアップされにくい様になっているのだ。
その一方、愚痴、あるいは結婚に対する負のイメージを書くことに関して期待出来ることは山ほどある。概して、Web上の人々は「これはひどい」的な、負の匂いにひきつけられやすいものだ。愚痴に対する同情、あるいは共感、時には反論(丁度、今この私が書いている様な、だ)、場合によってはそこから発する揉め事、山の様なアクセス数。
かくして、Webには結婚に関する負のイメージの山が築き上げられる。それを、結婚を経験していない人が拾い上げる。
その結果どうなるか。大げさな話ではなく、「結婚なんか、しないで済むならしない方がいい」という集合的なイメージが、少なくともWeb上では形成されていくんじゃないか。
この文脈で個々の話をしても仕方ないかも知れないが、承知の上で書く。
私の友人には、もう数年彼氏と付き合っていて、本人は結婚を希望しているのに、結婚を避けられているヤツがいる。私は彼女の愚痴を何度か聞いたし、彼女の涙も何度かは見た。別れちゃえばいいじゃん、というのは簡単だし、私自身何度もそう思ったが、問題なのはそんなことじゃない。私は彼女自身から、「大抵の男は、メリットがないから結婚したがらないものだと思ってた」という言葉を聞いたのである。
実際の所、何故その男が結婚をしたがらないかについては、私は勿論当事者ではないから分からない。結婚観なんてものはそう単純なものではなく、本人の家庭像や、両親のイメージの影響も当然大きいのだろう。
だが、その上で、何故ここまで「結婚に対する良くないイメージ」が広がっているのかに関しては、「よくないイメージの方が広まりやすいから」ではないのだろうかという疑問を、私は捨てることが出来ない。厚生労働省の統計を参照してみるといい。結婚を「当然するべきもの」とする常識が消滅した時、そこに残るのが「よくないイメージ」だけだったとしたら、私の友人の様なヤツは一体いつ幸せになれるのだろう。
少なくとも、「結婚に関する暗いイメージ」だけが広く流布される様な状況は、それ自体は別に間違ったことを言っている訳ではないということを考慮に入れても、看過してはいけないと私は思うのだ。必要なのはバランスだ。結婚をする・しないはそれぞれの問題であるとしても、「暗いイメージ」しか持たないが故に、本来得られる筈だった幸せを逃す様なことがあるとすれば、それこそ不幸としか言い様がない。
個々人の結婚観に関しては、大した意味をもたないかも知れない。私に限って言えば、メリットがどうとかデメリットがどうとか、それがどうしたと思うし、二人で努力する限り、幸せになれない結婚なんてものは存在しないとも思うが、「人それぞれ」の壁は余りにも厚い。
だから、私はこう書こう。のろけろ、と。幸せな結婚生活をしているヤツは、ちゃんと幸せを主張しろ、と。罵倒されようが嫉妬されようが知ったことか。スルーされるならスルーを許さない程に書けばいいのだ。私は幸せだよ、ときちんと声を挙げるヤツが、今のWebには絶対に必要なんだと、私はそう信じている。
罵倒されることを承知で、私は書く。結婚してすげー幸せだ、と。もうすぐもっと幸せになるぞ、いいだろう、と。
「幸せな結婚生活」のイメージが積み重なることで、何かが変わるかもしれないと信じている。
2007年07月01日

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全然幸せそうじゃないですよ
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Tracked: 2007-07-06 22:46
最近のネットのニュースサイトもそんな感じのが多いですし。何かしら叩く物を常に探しているような感じ。
下世話な欲求、というものは強いですな。
俺はこんなに不幸だけど頑張っているんだ、というような。
個人的には大嫌いだし、不幸は比べあうものではないと思うけど、
それでしか他人に対する差別化や優越感を抱くことが出来ない人がいる。
哀れだ。
奥様の許可が出たらいろいろお祝いしましょうね〜!
興味深く読ませていただきました。
男性がここまで結婚観について書いているのははじめてみたもので。
結婚って相手が好きで結婚するのが一番だと思うのですが、色々と外的要因が邪魔する場合がありますよね。
外的要因を一番に結婚してしまうと、色々と問題が生じることが多いように思います。
だから、後続の方への戒めのためにも結婚を悪くかくのではないでしょうか。
純粋で好きで結婚できるほど、今勇気のある人は少ないと思います。
結婚の弊害を知っていても、好きだから結婚するという大きな決断を自分自身でする。そのためにも結婚の弊害を知っていたほうが私はいいと思います。
結婚してみて「なんだけっこう楽しいじゃん」のほうがいいですよね。
長くなりました。ごめんなさい。
お子様ご誕生おめでとうございます。
>単に暗いネタのほうが人の目を引きやすいから
それは大きいんでしょうね。
「注目される(発言者も含めて)明るいネタ」の比率ははっきりと少ない様に思ってはおります。
>g3閣下
不幸自慢を好むメンタリティの人は不幸から抜け出せないかな、と。
>しょうたさん
飲みましょうーー。
>hさん
>男性がここまで結婚観について書いているのははじめてみたもので。
そういえばあんまり見ませんね。男性にとっての結婚観、ですか。
私に関していえば、
>結婚の弊害を知っていても、好きだから結婚するという大きな決断を自分自身でする。
勿論これは前提なのですが。「結婚せずに年をとっていくリスク」というものは当然女性の方が大きい訳で、男性は少なくともそれは勘案してあげなくちゃならんのでは、と思ってます。
少なくとも、ある程度長く付き合っていて、別れる気がないのに、結婚の弊害を理由に男性側がうじうじするのは違うだろ、と。そんな感覚ですね。
幸せな結婚・生活に水を注すつもりはありませんが、
>二人で努力する限り、幸せになれない結婚なんてものは存在しない
その「努力」を怠るなと言う警句としての文章だと思うのです。
いやこれは恥の文化なんだろうかね。
やったら誇りばかり見せ付けられる文化も食傷気味だけれども、
もっと素直な気持ちで語られてるといいなぁ、と思います。
はい、新婚です。
>その「努力」を怠るなと言う警句としての文章だと思うのです。
んー、どうなんでしょう。少なくとも引用したエントリーーに関しては、あんまり「警句」の部分が感じられなかったりもします。警句を含んだエントリーも、勿論ある、とは思いますが。
>bari氏
恥の文化、については、なんか一言で括れない様な気もします。
こっちが落ち着いたら飲もうー。今月は無理っぽいけど、来月か9月くらいに。
来月からは案件変わるからわからんが、
状況わかったら連絡します
このエントリーも禿同です。
でも、周りに結婚しそびれた人がいると、やっぱ幸せなことは書けないですねえ。そういう人たちを傷つけずに書けるものなら、いくらでも書きたい。
ときどき見に来ます。
コメントありがとうございます。
本来レトロゲームブログなんですが、頻繁にわき道に逸れます。よろしければごひいき下さい。
>でも、周りに結婚しそびれた人がいると、やっぱ幸せなことは書けないですねえ。
なんというか、幸せになる人を増やす為にも、そういう部分を吹っ切る必要もあるのかもな、とか思うのです。
ブログ覗かしてもらっています。
ヨロシクお願いします。