見てきました。
いや、実は3/1から公開されていたということを完全に失念しておりまして、土曜ぽっかり予定が空いていたところ「何しようかねー」と子どもたちと相談していたら、ふと検索に引っかかったドラえもんが「もうやってるじゃん」ということに気づき、その日の内に観に行くことを決めた、という行き当たりばったり感なわけですが。
なんだか今回、脚本を辻村深月さんが担当されているということで、辻村深月さんの作品を愛読している奥様も楽しみにしていたようで。一家5人で、六本木のTOHOシネマズまで行って参りました。
結論から先に書きますと、映画は面白かったですし、大人も子どもも十分に楽しめる内容だったと思います。奥様と私の感想はというと、それぞれ
奥様「伏線が全てきっちり回収されていて満足感高い。満点」
しんざき「作品の展開全体が昔の大長編ドラえもんの文法に則っていて、昔からのドラファン向けのオマージュがこれでもかってくらい詰め込まれていてすごい」
でした。個人的には、子どもの頃に大長編ドラえもんをご覧になっていた大人、特に「大魔境」「海底奇岩城」辺りがお好きな人は、本作を見て損はしないのではないかと感じています。勿論子どもたちも大変楽しんだらしく、長女次女は翌日早速「ルナ・ルカごっこ」をやっていて、代わりばんこにルナ・ルカを担当していて楽しそうでした。
ということで、以下の記事では「本作のどの辺が「昔からの大長編ドラえもん」の文法に忠実なのか」という話をしたいのですが、話の性質上どうしても重要なネタバレを避けることが出来ませんので、本作未視聴、僅かでも視聴する可能性がある、という方には以下を読み進めることを非推奨とさせていただきます。良かったら映画館行ってから読んでください。
ということで、以下は折りたたみます。
私大長編ドラえもんの重要な味って三つあると思っていまして、これが揃えば揃う程大長編は面白くなる、と考えているんですよ。
具体的には以下の通りです。
1.密道具が使えない・ないし制限される状態で大ピンチになったところからの大逆転
2.メインキャラクターの才能(ジャイアンの歌、のび太の射撃、スネ夫の工作など)が重要な役回りをする、ないし逆転の決め手になる
3.序盤〜中盤でさりげなく出てきたひみつ道具が、最後の最後にキーアイテムになる
2.メインキャラクターの才能(ジャイアンの歌、のび太の射撃、スネ夫の工作など)が重要な役回りをする、ないし逆転の決め手になる
3.序盤〜中盤でさりげなく出てきたひみつ道具が、最後の最後にキーアイテムになる
1点目。例えばの話、大魔境では主要なひみつ道具を全部おいてきてしまいましたし、小宇宙戦争ではスモールライトが解除できない状態になってしまいました。日本誕生では、敵がドラえもん以上の技術力の持ち主だった為、ドラえもんのひみつ道具が十分な効果を発揮しない場面がありました。
大筋、ドラえもんのひみつ道具は殆どがチート性能な為、そのまま使わせていると主人公たちがピンチに陥りにくいし、ピンチに陥ってもご都合展開に見えてしまいがちなんですね。ドラえもんの「慌てると狙ったひみつ道具を出せなくなる」というのもこの為の設定だと思いますが、流石にそればかりでも無理があります。だから、なんらかの形でドラえもんのひみつ道具の力を相対的にでも減殺して、のび太たちのピンチを説得力のあるピンチにする、というのが一つ目の重要な要素です。
2点目。例えば、「宇宙開拓史」ではのび太の射撃の才能が縦横無尽に発揮されましたし、「小宇宙戦争」ではスネ夫の工作が大活躍しました。「魔界大冒険」では魔物の歌による魅了をジャイアンの歌がかき消すシーンがあります。
ゲストキャラが活躍し過ぎるとレギュラーキャラの活躍が霞んでしまって、この辺ちょっとバランスが難しいんですが、個人的にはやはり最後はメインキャラに決めて欲しいなーと思うところでして、そういう点でのび太やジャイアン、スネ夫の持ち味が生きてくると面白さ度合いがアップするなーと思う訳なんです。
3点目。たとえば恐竜のきび団子、宇宙開拓史のタイムふろしき、大魔境の先取り約束機などなど、「途中でさりげなく出ていたひみつ道具が、最後の最後で大逆転の決め手に」という展開が個人的に超大好物でして、これがちゃんとした形で展開に組み込まれているとそれだけで「やられたーーー!!」ってなって満足感ゲージが一桁上がります。これ、F先生の色んな作品に共通する味の一つでもあると思います。
で、今回の「のび太の月面探査記」なんですが。1点目の「ひみつ道具が使えなくなって大ピンチ」については、正直もうちょっと引っ張っても良かったなーと思わないでもなかったんですが、他2点についてはほぼ完璧でした。お見事。お見事にござります。
これ、話の展開のあちこちに、色んな旧作のオマージュなのかな?と感じられるような形で紛れ込んでまして、ちょっと終盤の展開に限って列挙してみますと、
・終盤、ドラえもんが四次元ポケットを失い大ピンチに
・その時、一人戦線を外れてルナの手当てをしていたのがしずかちゃん(多分鉄人兵団のオマージュ)
・虫の知らせアラームでのび太たちのピンチを知り、ふと目に入ったひみつ道具で打開策を閃く(多分大魔境のオマージュ)
・ラスボスのディアボロはどう見ても海底鬼岩城のポセイドンのオマージュ
・最後にディアボロにとどめを刺すのはのび太の射撃を利用したゲストキャラの突進
・その時、一人戦線を外れてルナの手当てをしていたのがしずかちゃん(多分鉄人兵団のオマージュ)
・虫の知らせアラームでのび太たちのピンチを知り、ふと目に入ったひみつ道具で打開策を閃く(多分大魔境のオマージュ)
・ラスボスのディアボロはどう見ても海底鬼岩城のポセイドンのオマージュ
・最後にディアボロにとどめを刺すのはのび太の射撃を利用したゲストキャラの突進
とまあ、特に「最後の逆転のきっかけを作るのがしずかちゃん」だとか、そのキーアイテムになるのがなんということはなく途中で出てきたひみつ道具とか、「大長編ドラえもんの美しい終盤」文法を網羅しきってるのホント凄いと思うんですよ。すばらしい。ホント素晴らしい。個人的な評価としては、ここ数年の大長編ドラえもんで一番かも知れません。
勿論、上記は飽くまで終盤の展開だけの話であって、これ以外にも旧作のオマージュとおぼしき描写は山ほどありますし、そもそもオマージュというか展開の下敷きにされた原作も色々あるわけでして、「昔のドラえもん好き」の方でも十分楽しめる作品だったのではないかなーと考える次第です。
粘土を使って作る地底人の回とか、のび太が作りそこなった粘土が怪獣になって出てくるとか、いろいろ懐かしいですよね。いや、しんざき家だと長男長女次女全員現役で原作ドラえもん読んでるんで、皆元ネタを知っているというなかなかディープな状況だったんですけど。
あと、今回スタッフロールの演出がめちゃ好きでした。ぜひ注目してみていただけると。
まあ何はともあれ、今回の映画ドラえもんもなかなか楽しかったのでお勧めです、という話でした。
しかし次回作の予告のアレ、何が来るんでしょうね?恐竜は一度リメイクやってるんで多分違うと思うんですが…竜の騎士?
今日書きたいことは一旦それくらいです。