2019年08月01日

文章を書く人間にとって、基礎教養とは「防御力」である

周回遅れもいいところだと思うんですが、そもそも30年前のゲームを今更遊んでその感想を喜んで書く人間にとって、「周回遅れ」というのは「デフォルト」と読む言葉なので、思ったことを書きます。


私が考える限り、「基礎教養」というのは文章を書く人間にとって「防御力」であって、それ以上でも以下でもありません。


どんな分野でもそうですが、人間には得意分野・不得意分野というものがありまして、文章というフィールドも例外ではありません。ドラクエに「ちから」「かしこさ」「うんのよさ」「すばやさ」があるように、文章書きにも様々な能力値があります。

例えば、論理構成力が高くて、文章構造がやたら緻密な人がいます。

例えば、ユーモアセンスがあって、何を書かせてもめちゃ面白くなる人がいます。

例えば、着想が鋭くて、読む側に「その発想はなかった」と思わせる人がいます。

例えば、とにかく手が早くて、短い時間で記事を量産できる人がいます。

それぞれに得意・不得意があるという話であって、これは「どれが良い」という話ではありません。中にはこれらステータスの内複数に秀でている人というのもいて、ガープスでいうとCP350の化け物キャラかよと思わないでもないんですが、まあ一般的には、得意能力もあれば不得意能力もあると考えていいでしょう。

さて、このステータスの中で、「基礎教養」と言われるものはどこに働くでしょう?ゲームで言えば、例えば「昔の著名ゲーム、有名ゲームを漏れなく遊んでいる」ということは、どんな強みになるでしょう?

勿論、ゲームについての知識が広いことは、それだけで引き出しの広さに繋がります。そういう点で、「着想」や「発想」に基礎教養が利く部分もあるんですが、大筋、基礎教養の最も強い部分は、「書いていることに隙がなくなる」という点だ、と言っていいでしょう。


例えばの話、基礎教養がない人、この場合過去の著名ゲームをやっていない人には、あるゲームのある素晴らしい特徴が、「全く新しい新機軸」なのか、それとも「過去の作品の巧みな本歌取り」なのかを判断することが出来ません。

多少のリスクを推して「ゲーム業界でも他に類をみない」であるとか、「過去に全くない斬新な発想」といった表現を使ってしまうと、斬新警察の手によって「アホか!昔の〇〇と同じアイディアやないか!!」とか、「××も知らんのか知ったかぶり野郎!」といった、手ひどい罵倒が寄せられることも起こり得る訳です。正直なところ心が狭い話だなーと思ってしまうこともありますが、webの個人の寛容さを期待するわけにもいかない以上、無理からぬ部分もあります。

つまり、文章表現に「隙」が出来てしまう。これを避ける為には、例えば「全く新しい」とか「新機軸」といった言葉を封印しなくてはいけない。

相手の「攻撃」を気にして、防御的な姿勢をとらざるを得なくなるわけです。これは、ゲームで言うと、防御力に不足があるのでやむを得ず攻撃の手を弱めて回避に回らないといけない、といった状況と近似しています。


いわゆる「基礎教養」というものを抑えている人は、あるゲームのある特徴が、ゲームの歴史においてどんな立ち位置を占めているのか、ということを最初から理解出来る。だから、それについて描写する際、言葉使いに気を遣う必要が低減する。防御力が高いから読者の「攻撃」を気にする必要がなくなるわけですね。

そういう意味で、「基礎教養」をステータスに分類するとすれば、「防御力」がもっとも近いな、と私は考える次第なのです。


上記した通り、これは飽くまで「得意・不得意」の話ですので、必ずしも「基礎教養が必要か」というとそういう話でもありません。防御力が多少低くても、着想やユーモアといった攻撃力に自信があれば、十分りゅうおうを倒すことは可能でしょう。また、文章力という「わざ」が高ければ、地雷を踏みそうなワードを巧みに避けつつ、必要十分な表現をすることが出来るかも知れません。実際そういうライターさんはたくさんいます。

そういう意味では、「基礎教養」というものは、文章の隙を除く為に入手する価値がある能力だが、だからといってないと戦えないという訳でもない、という話になるのではないかなーと。私などは単純にそう思うのです。


ところで、先日こんな催しがあることを知りました。


私自身の考えは上記のような感じなのですが、別に私はゲームライターでもなんでもなく、単なる一レトロゲーマーに過ぎません。長年のライターの方々が基礎教養についてどんな話をするのかは大変興味深く、仕事の都合もつきそうなのでお邪魔しようと考える次第なのです。というか、先にこちらのイベントに興味がわいて、テーマについての思考を事前に整理しておきたくなった、という方がむしろ正解ですが。

お邪魔するのが楽しみです。

全然関係ないんですが、ガープスってアレ、キャラクターメイキングだけで1日かかりますよね。集まって取り敢えずキャラクター作るかー、ってだけで数時間潰れたりする。あれは一種の沼だと思います。

ずっと昔、ガープスで「貧乳はプラスCPなのかマイナスCPなのか」「それは周囲の嗜好によるのではないか」「容姿/魅力的で統一すればいいんじゃない?」といったトンチキな激論が発生したことがありまして、結局「貧乳が有利な特徴になるか不利な特徴になるかは、文化的嗜好に依存する」という結論になり、「どうなんだGM!!」「知るか、お前ら貧乳好きなら貧乳萌えの文化ってことにすればいいだろ」ってことに落ち着いて、世界観に「貧乳萌え」という文言が追加されたんですが、本論とは1ミリグラムの関係もないことを深くお詫び申し上げます。

今日書きたいことはそれくらいです。


posted by しんざき at 07:00 | Comment(1) | 雑文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
このエントリーをはてなブックマークに追加
この記事へのコメント
突然のガープス。セッション初回はキャラクター作って終わりどころか、作り切れないのがパターン
Posted by at 2019年08月04日 09:51
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: