こんなまとめを読みました。
私が受けた印象とはちょっと違ったので、きっと学校ごと、先生ごとに色々な事情があるんだろうなあと感じまして、思ったことを書いてみたくなりました。
アクティブラーニングに該当するのかどうかは分かりませんが、うちの長男が通っている小学校でも、ワークショップ形式の授業はやっていました。いくつかのグループに分かれて、決められたテーマについてディスカッションして、それについて発表する、というような授業です。で、学校公開の日程でもその授業は行われていました。
私が感心したのは、「喋る子が固定化することを避ける工夫」というものが色々と組まれているなあ、と感じたことです。
・グループごとに明確なタスクを持ったロールが設定されており、かつロールが持ち回り制になっていた。
ロールといっても、「喋る係」とか「調べる係」とか、そんな漠然としたものではありません。例えば「調査役」というのは、「百科事典を調べて、それに関係したことを見つけて、所定の書式にまとめて他の皆に伝える役割」でした。「聞き取り役」というのは、「その人が話した内容について、疑問に思ったことを確認して、その内容を書き留める役割」でしたし、「どんなことを確認すると良いよ」というのもある程度事前にポイントとして列挙されていました。発表する時の発表役も、記録を残す筆記役もありました。
特に良いなーと思ったのは、ある程度「テンプレ」が作られているということです。丁度こちらの記事でも書かせて頂きましたが、「子どもの自由な発想」なんてまず「表現の仕方」がある程度身についてからの話で、何もないところから「さあ自由に考えて」なんて言われても、自分の考えを上手くまとめられる子なんてそうそういません。もしかすると「もっと自由に考えさせてあげては?」という意見も出たのかも知れませんが、私はある程度「考え方」の基本を身に着けさせてあげる為に、「型」は教えてあげた方がいいよなーと思っていました。
・話し合わないでそれぞれの考えを消化する時間が作られていた。
話し合いや発表はターン制になっていたんですが、数分とはいえ、それぞれの発表の前に、自分たちの作った成果物について咀嚼して、それぞれ考えをまとめる時間が作られていました。その間に先生が各グループを回って発表のフォローをする感じになっており、考えるペースがゆっくりな子にも配慮したいい工夫だなーと思いました。
・「スキップボタン」というものが作られ、各机に置かれていた
これ特に面白い工夫だなーと思ったんですが、わざわざ「スキップボタン」とかいう段ボールの工作が、グループごとに置かれていたんです。押すとちゃんと音がするんですよ。
これ、「言葉が詰まった時、考えをまとめる為に一旦スキップする」という宣言の為に置かれていたものなんですが、先生が「言葉が詰まった子に対して「あとにする?」と助け船を出す」のではなく、あくまで「自分の意志で一旦スキップする」という形式にしてある上、見た目もキャッチーな工作になっているので、子どもとしても押すことに抵抗がない。
喋るのが苦手な子、考えをまとめるのにちょっと時間がかかる子は、当然言葉に詰まってしまうことも頻繁にあるわけで。一方、言葉に詰まってしまって、皆の視線が自分に集まり、先生にせかされる時間って物凄いプレッシャーなんですよね。子どもによっては、そのプレッシャー自体で発表が嫌になってしまう。
そんな時でも、ちゃんと制度化された「一回休み」システムがあれば、ある程度喋るプレッシャーも軽減されるのかもなーと、観ていて思ったんです。
とはいえ、長男は既に中学年でしたし、先生はベテランでしたし、かつある程度時間に余裕もあったからできた工夫なんだろうなーとは思います。これを1コマだけでやらないといけないとしたらそれは流石に無理ゲーでしょうし、先生の負荷も相当なものだったでしょう。
ああいう工夫を考えて実行に移すこと自体も恐らく大変でしょうし、多分私が見ていて気付かなかった工夫も色々とされていたのでしょう。それには感銘を受けるばかりなんですが、同時にそういうの先生の個別裁量になってしまうのも良くないなーと思うんです。
私の所感としては、
・やりようはあるし、グループディスカッション的な授業はうまく回ればとても良い授業になる
・けれど、時間はある程度ちゃんととらないといけないし、先生の負荷も恐らく凄い
・かつ、低学年に無理やりやらせるのも多分うまくいかない
・授業形式のテンプレを作りつつ、ある程度学校側・先生側にやるやらないのトリガーを持たせてあげるとよいのでは
・けれど、時間はある程度ちゃんととらないといけないし、先生の負荷も恐らく凄い
・かつ、低学年に無理やりやらせるのも多分うまくいかない
・授業形式のテンプレを作りつつ、ある程度学校側・先生側にやるやらないのトリガーを持たせてあげるとよいのでは
という程度です。
ただ、小学校の先生なんて何やっても叩かれがちで、非常に損な役回りである一方、「頑張っている先生は本当に頑張っている」というのは常々思うところで、そういうのは可能な限り可視化していきたいと思うんです。
小学校の先生の負荷なんて、現状既に無理ゲーに近いと思うので、上手くやってくれている先生には深く感謝しつつ、これ以上新しい負荷がかからないような工夫は皆で考えていくべきだよなーと。
そんな風に考えた次第です。
今日書きたいことはそれくらいです。
これどう思う?という意図なのかも知れないですが、以前書いたことの繰り返しになるので、特に追加で書くことはないです。