下記、二本の記事を拝読しました。
上の記事が、Books&Appsに掲載された雨宮さんの記事。下の記事が、それに反応したシロクマ先生の記事ですね。
まず上の記事についてなんですが、私一読、「あ、これFF14の話だ」と思ったので、ちょっとそれについては反応しちゃったんですよ。
「8人で挑む超強いモンスター」「DPSチェックをクリア出来ず何度も全滅」「罠を解除したりする人は攻撃が減る」「外部ツールでダメージチェック」辺りがキーワードでして、まあこれ多分FF14の「零式」か「絶」あたりの高難度コンテンツだろうなーと。
雨宮さんの記事は、大筋「スタンスが違うメンバー同士で高難度コンテンツに挑んだことによる人間関係の崩壊」がメインテーマになっておりまして、まあこれについてはMMOに限らず、対人戦・協力戦が絡むコンテンツあるあるだなーとは思いつつ。
それに対して、一般論として「オンラインゲームにおいても、高度な社会性や計画性やコミュニケーションの機敏が必要とされる」という内容を書かれたのがシロクマ先生、という構図になると思います。
ただ、反論という程のことではないんですが二点だけ、
・最近のMMO、というか少なくともFF14については、社会性やコミュニケーションの機微を極限まで必要としない作りになっている
・そういったものが必要となってくるのはコンテンツの範囲で言うと1〜2%くらいの分量であって、一生それを遊ばなくても特に問題は発生しない
ということについては、最近FF14をプレイしている人間として指摘させて頂きたいなーと思いました。
MMOをある程度やったことがある方であれば恐らくご理解頂けると思うんですが、MMOには「エンドコンテンツ」というものがあります。一通りキャラクターを育成し尽くして、一般的なコンテンツには手ごたえを感じられなくなった人が、いわば「最後の目標」とか「頂点への挑戦」として挑むコンテンツ、ということですね。
FF14においてもこのエンドコンテンツというものはありまして、これが上記した「絶」とか「零式」とか言われるものです。これらのコンテンツについては、確かに「全員が極限まで動きを最適化しないとクリア出来ない」ようになっておりまして、しかも内容がチームバトルですので、チームメンバー間のコミュニケーションとか息を合わせての練習なんてものも必要になってきます。特に零式の早期攻略とか、絶の攻略については、通常のチームビルディングに類するものがほぼ必須になると言っていいでしょう。
恐らく冒頭の雨宮さんの記事も、ここで躓いたものだと考えられます。そういう意味で、「オンラインゲームでも社会性が必要になる」というのは間違いではありません。
ただ、「社会性が必要になってくるのは本当にエンドコンテンツのごく一部であって、それ以外の部分については昔より遥かに社会性とか必要なくなってますよ」という点については一応言っておきたいなーと。
確かにFF14もMMOであって、全く人と関わらないでプレイすることは出来ないんですが、その手間やコストについては昔からはちょっと想像出来ない程縮小されています。
例えば、FF14にはコンテンツファインダーという仕組みがあります。遊びたいコンテンツについてぽちっとチェックしておくと、システムが勝手に他の人とマッチングしてくれまして、チームプレイで攻略をさせてくれる仕組みです。
昔なら、ジュノやらダンバートンやらで「〇〇攻略パーティ募集 @3」とか「当方ナイト どなたか一緒に××にいきませんか?」とか、がんばってパーティ募集をしなきゃいけなかったり、あるいは何かしらのチームに入らないとコンテンツの攻略が難しかったりしたんですが、そういう手間が基本的には一切捨象されているんです。ギルド的なものに入るゲーム上のメリットって基本的には殆どなくて、コミュニケーションは「したい人がやりにいく」という構図です。
しかもコンテンツ攻略上のコミュニケーションコスト自体も極小、基本的にはどのコンテンツでもパーティ開始時に「よろしく」クリア後に「お疲れ様でした」とか一言言うだけで(別に言わなくてもよい)、あとは殆どコミュニケーションを求められません。初心者でも、ロールの違いによって多少は差異があるものの、基本自分のロールに注力しつつ仲間についていくだけでクリア出来ます。
「それ面白いの?」と言われれば、もちろん人によって向き不向きはあると思いますが、少なくとも個人的には「すっげー面白いです」と答えます。F14はロールタイプのMMOでして、パーティメンバーに自然と「役割」が割り振られています。そして、現れる様々な障害に、それぞれが暗黙裡の了解で役割をこなしつつ対処していくことになります。逆に、面倒なコミュニケーションがなくても、チームプレイの一番面白いところが大体味わえるんですよ。いいとこどり過ぎませんかね?
もちろんチームプレイ以外のコンテンツも冗談かと思う程充実しておりまして、純然ソロプレイで進められる部分も相当あります。「MMOでここまでコミュニケーションコストを引き下げられるもんなのか…!!」と感動したくらいなんですよ。
恐らくこれは、かつてFF11や様々な先行するMMOが、「コンテンツの大部分にコミュニケーションを必要とする(これだって途中から随分改善されましたが)」ということに対して疲弊したプレイヤーがたくさんいて、それに対応しようと開発者さんが工夫を重ねた成果なんだと思います。それについてはちゃんと評価してあげたいなーと、私なんかは思うんですよ。
そしてこれは、恐らくFF14に限らない話です。
当然、これだけでゲームを100%遊べるわけではなく、上記したように「絶」や「零式」のようなエンドコンテンツでは事情が変わってくるんで、必ずしも「コミュニケーションコストゼロでいけます」とは言い難いのは確かなんですが。
ただ、個人的には「いうてもエンドやろ…?」という感じでして。正直エンドコンテンツなんて「やりたいガチの人たちだけがやりにいく」ものだというイメージで、エンドコンテンツに挑まなくても何も不都合は感じていないので、例えば雨宮さんの記事を読んで「MMOこわ…」とか言われるのもちょっと違うかなーと思った次第なのです。
そういう意味で、シロクマ先生のおっしゃる
ところがオンラインゲームというジャンルは、あたかも誰でも卓越した冒険者になれるかのような雰囲気でプレイヤーを迎え入れる。本当は、ギスギスやグダグダを避けるために高度な社会性や計画性やコミュニケーションの機敏が──いってしまえば人間力が──必要になる遊びだというのに……。
という一節について、
「そういう側面が全くないとは言いませんが、最近は相当軽減されているんで、一概にそうとも言えないと思いますよ」
ということは書いておきたいなーと。
そう思った次第なのです。
今日書きたいことはそれくらいです。