2021年09月21日

【ウマ娘】ところでアグネスデジタルのシナリオがあまりにも面白すぎました&シナリオのバランス感覚がものすごいと思いました

シナリオ無料分が余りにも面白かったので、溜まってたウマ娘ガチャチケットと石を突っ込んでアグネスデジタルを引きました。


で、実際遊んでみたんですが、正直「このシナリオのバランス感覚すげーな……」と軽く戦慄したので、ちょっと個別シナリオについての感想を書いてみます。

ポイントは以下のような感じです。

・既存の描写から一切ブレない、統一感あふれまくるアグネスデジタルのキャラクター
・ゴルシと同等かそれ以上のネタ&パワーワードの嵐
・それでいてネタに終始するわけではなく、育成中盤〜終盤にはきちんとスポ根的な展開が入ってシリアス分も導入されて、しかもそれがデジタルのキャラからブレてない
・最終的には史実まで織り込んできちんと「デジタルならではのエンディング」に着地する

ということで、以下の記事には、ウマ娘における「アグネスデジタル」のシナリオについてのネタバレが割と容赦なく叩きこまれますので、自分で引いて遊ぶ予定のある方には参照をお勧めしません。ご注意ください。

以下折りたたみます。





まず指摘しておきたいのが、アグネスデジタルというキャラの「統一感」「納得感」です。

アグネスデジタルと言えば、従前から様々なキャラクターと絡んでおり、都度その存在感を発揮していたわけですが、なんといってもそのキーワードは「ウマ娘オタ」。自身ウマ娘でありながら、自身以外の様々なウマ娘をアイドルの追っかけのごとく推しており、グッズを買いあさり関係性を妄想し、他のウマ娘たちの尊い姿をみかけては尊みのあまり尊死する。

「またデジタル殿が死んでおられるぞ」などというタグや「デジタルが〇人尊死する」などという単位が出来てしまう程の、「他のウマ娘に対するファン活動」という要素がデジタルというキャラクターの中核。そうユーザーたちは読解してきたし、そのようにアグネスデジタルのキャラクターイメージを形作ってきた訳です。

で、これについては、無料公開分のウマ娘シナリオを観ていただければわかる通り、「一糸乱れぬ統一感」と言ってよいレベル。既存の文脈から1ミリたりともブレることなく、「俺たちが思い描いていた通りのアグネスデジタル」がシナリオ上に描写されます。本当に、最初から最後まで一切ブレません、彼女。この点は保証出来ます。

ウオッカとダスカの関係性に悶えるアグネスデジタル。このノリが、一切手加減されることなくシナリオ中でも描写されます。描写内容や発言もいちいちツボをおさえていまして、端的に言って「関係性を妄想するオタク」の解像度が高すぎる。

このパフォーマンスはネタ的な部分でも発揮されておりまして、正直言ってアグネスデジタル、パワーワードやネタ展開の宝庫です。ゴルシと同等か、もしかするとそれ以上かも知れないと思わせるぶっ飛び具合です。

「ファル子さんを世界遺産登録したい」とかすごーく好き。

この辺とか、観客まで巻き込んだ限界っぷりとか滅茶苦茶いい味を出し過ぎている。まさか「ほ、ほーっ、ホアアーッ!! ホアーッ!!」を今の時代に自前でやらかすとは思いませんでした。

一方シナリオの短縮バージョンも多彩なネタ感にあふれておりまして、


少女漫画風ナレーションからドラゴンボール風、アニメの次回予告パロやらなにやら、このネタ濃度には瞠目させられました。

ただ、アグネスデジタルシナリオの真価はここから。ただ「ネタに走っている」だけではなく、きちんと「スポ根としてのウマ娘」の側面も、「成長物語としてのウマ娘」としての側面も見せてくれて。しかもそれを「アグネスデジタルのキャラクターを一切崩すことなく、かつ元ネタまで考慮して」実現しているんです。

これが、本当にものすげーーバランス感覚だと感じまして。ちょっと、この点について詳説したいと思います。

まずはシナリオのおさらいから。

アグネスデジタルと言えば、原作の時代からその凄まじいオールラウンダー性が異彩を放っていたわけですが、その点はシナリオでも完全に再現されています。

元よりアグネスデジタルは「他のウマ娘たちへの推し活動」が行動原理でして、自分自身が栄光を掴むことについてはそれ程意欲がありませんでした。当初デビューしていなかったのも、「芝もダートもどちらも走れてしまう」が故に、「芝とダート、どちらのウマ娘のおっかけも諦めたくないから」ということが最大の理由でした。

トレーナーと出会ったアグネスデジタルは、「どちらも諦めない」という選択肢を提示されて、自らの推し心に逆らわない道を見出します。そして、トレーナーを「オタ活の同志」と認識した上で、ウマ娘の尊さの理由を知る為に、自分自身も走り始めます。

しかし、レースを走る以上は、それまでの自分の戒律だった「推しに必要以上に近付くべからず」というスタンスばかりではいられません。時には自分自身が推しを負かしてしまうこともあるし、自分がレースに出ることで他の誰かの席を奪ってしまうこともある。他ならぬ、自分自身が推しているウマ娘のそれすら。

レースに出ることで、他のウマ娘を傷つけてしまう。けれどレースに出なければ、推しの輝きをすぐ間近で堪能することは出来ない。

これにアグネスデジタルは悩みますし、葛藤します。しかし、テイエムオペラオーやメイショウドトウ、キングヘイローなどのウマ娘たち、もちろんトレーナーの言葉もあって、アグネスデジタルはついに結論を見出します。

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その結論とは、アスリートにとって一つの王道ともいえる、「他を顧みずに我が道を行く」という言葉の真逆ともいえるスタンス。「徹底的に周囲に共感し、同情し、涙し、その上でそれを背負ってレースに向かう」という、まさに「推し活」の権化ともいえるスタンスを貫くことを決意するのです。「自分が得たもの、自分が失ったものまで、全てを忘れないし、全てを諦めない」。それが、アグネスデジタルの答えでした。

凄い。これ凄い。

何が凄いって、「成長と葛藤」「壁にぶつかり、その壁の前で思い悩む」「それを、ライバルや仲間たち、またトレーナーの言葉で克服する」という、ウマ娘に数見られる王道シナリオの文法をきっちりと踏襲しつつ、かつその克服の内容自体は「アグネスデジタルというキャラクターなら、絶対にこう思考してこう結論するに違いない」という、既存のキャラクターの完全な延長線上におかれたものだということです。

さらにそれは、史実でアグネスデジタルが見せた「ありとあらゆる条件のレースを制覇する」という道と重なってさえいる。

デジタル以外は到底突き当りそうにない葛藤と、それに対するデジタルならではの解答。デジタル独特のキャラクターも、シナリオのテイストも一切殺すことなく、しかも史実の展開をしっかりと取り入れて、かつ「王道」的展開を外さずにシナリオを着地させる。

これ、相当物凄いことやってると思いませんか?正直、ここまでネタくさい要素を大量に取り入れながら、シナリオとしての完成度はウマ娘全体を見渡してもトップクラスなんじゃねえかと思ったくらいなんですが。

アグネスデジタルの物語は史実をなぞるように進み、最終的には天皇賞でテイエムオペラオー・メイショウドトウと激突することになります。ここでの展開からエンディングまでを含め、全てが「オールラウンダー・アグネスデジタル」の名前通りに着地する展開、つくづくウマ娘のシナリオライターの人すげー上手いなあ、と軽く感動した次第なわけです。


ちなみに、史実の展開的に当前ですが、デジタルのシナリオではキングヘイローとテイエムオペラオー、メイショウドトウが主に絡んできます。一方、最後の天皇賞では「最近デジタルが推していた後輩ウマ娘ちゃんが、ギリギリ条件を満たせなくて出走出来ない」という展開が描かれます。劇中では「4番ちゃん」と称されているんですが、これアレですよね。史実でも「最強のダート馬」と呼ばれるに至ったあの馬です。こういう史実の取り込み方すごーく好き。

あと、フクキタルでさえやっていなかった、「バレンタインチョコを誰かにあげる訳ではなく神棚に祀る」(その後同志のトレーナーと一緒に食べる)という、ビタイチトレーナーに対する恋愛要素を見せないバレンタインをやらかした点も特筆しておきたいところです。デジタル清々しすぎる。

なにはともあれ、「アグネスデジタルシナリオすげーーー出来が良かったので、もし突っ込むかどうか迷ってる人がいたらシナリオ面からは全推しです」という話でした。よろしくお願いします。

今日書きたいことはそれくらいです。

posted by しんざき at 18:47 | Comment(0) | レトロでもないゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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