2007年07月25日

シリーズものの「MP消費」と「MP回復」

話の発端は、ナムコのテイルズシリーズの展開の仕方を耳にしたところに始まる。

幾つかリンク先を挙げてみよう。まずは公式から。

テイルズチャンネル

ページ右側に、ずらり並んだ「製品情報」。なんつーか、圧巻だ。ひとつひとつのタイトルがどういう内容なのか、追っかける気力すら萎えさせる理想的な公式ページといえるだろう。長期シリーズものの公式ページはこうこなくっちゃいけない。過去タイトルの情報など、新規売り出しには邪魔なだけ。一見さんを誘い込むユーザビリティなど、この異質空間には不要なのである。

そういえば昔、「FC・SFC時代、もっともたくさんタイトルが出たシリーズものは何?」ってクイズがあったな。参照リンクはこちら。

テイルズの話に戻る。Wikipediaの解説はもう少し分かりやすい。

テイルズシリーズ

「移植」の欄が聊か凄惨だ、とだけ言っておこう。ずらり並んだ「新要素を追加」の文字列。一体ファンタジアで何度稼ぐつもりだよ、とかその辺の突っ込みは言うだけやぼなのかも知れない。売れてんのかなこれ。

「まこなこ」さんが突っ込んでいる。「ディレクターズカット」についてはちょっと調べてみたが、まあ、なんというか、アレですね。ちょっとアレです。いいけどさ別に。

まこなこ:テイルズオブイノセンス他、テイルズオブシリーズ4タイトル発表


さて、本題にいこう。

大体の長編シリーズものには、「生産・建設」と「消費・消耗」の二つの段階がある様に思う。

前者は、いわばシリーズものが成長していく段階。幾つかの続編が発売されて、知名度・人気ともに「稼げる看板」をシリーズものが獲得していくのが、「生産・建設」の段階と考えられる。いわゆるRPG的な表現をすると、経験値を稼いでMPを上げている状態、と考えていい。

後者は、まあ、収穫段階。シリーズものの看板に頼った作品を発売してみて、売れたはいいものの、シリーズの人気はちょっと減じてしまった、というか利益は出たけど看板にちょっぴり傷がついちゃったね、という段階と考えられる。同じくRPG的な表現をすると、MPを消費して技を繰り出している状態、と考えられるだろう。

この場合の「HP・MP」は、それぞれ企業の体力とシリーズの人気度の言い換えである。大雑把には、MP(シリーズものの人気)を節約・回復する為には相応のHP(開発費・開発期間・人材)が必要となり、逆にHPをケチるとMPは落ちる。当然のことながら、この二つは宿屋で寝るだけでは回復しない。

十分に看板を確立したシリーズは、多少手を抜いてもがんがん売れる。とはいえ、手を抜けば抜いただけ看板には傷がつく。知名度が高くなったシリーズであればある程、稼ぎは大きくなるが「MPの回復」は難しくなる。何でかというと、シリーズものの新作は常に前作、つまりは「過去の名作」と比較されるからだ。

評価基準は人それぞれとはいえ、基本的に「シリーズの最新作」のライバルは非常に強敵である。ご先祖様が優秀であったからこそ、シリーズの看板が確立されるのだから。

故に、「シリーズの看板を背負わせれば売れるから」というだけの理由で、安易な続編を出したりするのは非常に危険である。安易な売り上げは、シリーズ自体への期待度低下に直結する。これを言い換えると、MPを使いまくればHPは温存出来るが、その場合レベルは上がらんよ、という話になる訳だ。


そして、「生産にあたるゲーム」と「消費にあたるゲーム」の間には割とはっきりとした壁があり、消費を始めたシリーズが再び生産を始めるというのは稀なケースなんじゃないか、というのが私の意見なのである。


言ってはなんだが、冒頭で挙げたテイルズシリーズが、私にはどうにも「消費段階末期」に見えてしょうがない。

消費の仕方にも色々あるが、単にシリーズものの名前に頼るだけならまだしも、「過去のシリーズの人気キャラだけ引っ張りだしてきて釣餌にしてみました」なんてことを始めたら、シリーズものとしては末期的というしかない。何故かというに、「過去のキャラ再登場がウリ」というのは完全無欠な内輪ネタであり、新規顧客開拓には殆ど寄与しない上、既存の「キャラに入れ込んでない普通の顧客」からはどどっと引かれる可能性すらあるからだ。


これをRPG風に言い換えると、「過去キャラ再登場」の呪文は滅多矢鱈にMPを食うリスクが高いワザであり、その割に一部の相手にしか効果がない、ということとなる。

その他、シリーズものには「数ヶ月後にインターナショナル版発売でもうひと稼ぎの呪文」とか「ちょびっと新要素を追加してマルチハード展開の呪文」とか、「新作を全部買うと限定アニメディスクプレゼントの呪文」とか「新作と抱き合わせで旧作まとめてパッケージ発売の呪文」とか、「他社から看板だけ買い取ってダメリメイクの呪文」とか、知名度にモノを言わせたMP大量消費の呪文は古今東西色々ある。いや、どれがどのシリーズのものかは知らないが。


ただ、MPが切れたその先にあるものは一体何か、ということには時に思いを馳せて欲しいものだ。HPの回復が出来るのも、MPが残っていればこそである。

看板シリーズのMPが切れた時、「しんでしまうとはなさけない!」などと理不尽な言葉を投げかけられる事態は、すぐそこに迫っているのかも知れない。


・・・ところで、日本ファルコムって最近大丈夫なんかなあ。株価はちょっとアレなことになってるけど。
posted by しんざき at 17:56 | Comment(2) | TrackBack(0) | レトロでもないゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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この記事へのコメント
はじめまして                テイルズシリーズは既にファンの間でもあきれられてますね。いくらキャラゲーであっても
あそこまでやってしまうと・・・
それと下手に人気があるせいで製作するチームが増えて一年間に何本もソフトが出るので
さすがに呆れてファンをやめる人もいるでしょうね。
Posted by syoo at 2007年07月26日 14:26
>syooさん
「テイルズがキャラゲー」というのは既に共通認識なのですか?

>で製作するチームが増えて一年間に何本もソフトが出るので

あ、その話聞いたことあります。なんですか、人気ゲームに携わるとボーナスが出るんで皆がテイルズやりたがるとか。
いいんかなあナムコ。

Posted by しんざき at 2007年07月27日 11:02
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