音、なのである。
音の話題は鬼門だ。何故というに、Wavデータをアップでもしない限り、同じ経験をしていない人間には一生かかっても理解出来ない話題なのであり、ただでさえいい感じにグレードアップしているサイトの閉鎖性がより一層ナチュラルに高まる。
それにしても曲げられない話題というのはどうしてもある訳であって、私にとってはハイドライドスペシャルは「音」なくしては語れないのである。
スライムを倒した時のあの「ピチッ」という感じの音。アイテムをとった時の低音から高音に駆け上がっていく効果音。動く岩に突っ込んでみたら一瞬未満で返り討ちにされた時のあの暴力的な破壊音。妙に明るい感じのハイテンポな死にメロディ。「TURN」を使った時のゴーッという不似合いな響き。これら全てが子供の頃の私の耳を侵食し、ハイドライドスペシャルに関する動かし難いイメージを形成していると言ってもいいだろう。
ともあれ、まずはゲームの話だ。
「ハイドライドスペシャル」。アクションRPG。PCゲーム「ハイドライド」のファミコンへの移植版で、1986年3月、東芝EMIより発売されたタイトルである。
っつーか東芝EMIって今でも普通にHPがあることにちょっと一瞬びっくりしてしまったのだが、これはアレか、レトロゲーオタが世間から取り残されている証という奴か。トップページのFlashはどうもランダムの様だが、私の場合いきなり矢沢永吉が眼前に現れて2ドットくらいのけぞった。そういえば2000年くらいにも普通にゲーム出してたな。なんだっけ、多分音ゲー。
最近はどうだかちょっと分からないが、特にファミコン時代は音楽業界の会社がゲームを出すということが結構あった。例えばキングレコードやビクター音楽産業とか。
ただこの辺はPCからの移植ゲーが主体で(ジーザスとかイースとか)自社での開発はあんまりやっていない筈だが、流石音楽畑からの発売だけのことはあり、ファミコンでの「音」にこだわった移植が随所に見受けられる。ジーザスやイースも勿論そうなのだが、東芝EMIなら例えば「ディーヴァ」の移植なんかが有名だ。これも曲が評判のゲームである。まあ、実際の移植スタッフがどこの人間だったのかはよく分からないが。
そしてこの「ハイドライドスペシャル」でも、限定版だったかなんだか、主題歌を収めた「レコード」というものがゲームに同梱されるという、恐るべき歴史的なことをやっていた。家庭用ゲームに音楽媒体が付属するのって、多分これが初めてではなかったろうか。曲のタイトルはその名も「Angel Blue」歌はちわきまゆみ。こちらも公式ページがきちんとあり、しっかりとAngel Blueの文字もあるので、興味がある方はごらんになるといいだろう。
さて、いつものことだが前置きがとんでもネエ長さになった。致命的なことに、まだゲーム本編について触れてない。無理矢理本筋に戻そう。
ハイドライドスペシャルはアクションRPGである。見下ろし型の広大なフィールドを主人公の「ジム」君がうろついて、あちこちに隠されているアイテムを取り、敵を倒して経験値を稼いでレベルを上げて、魔王を倒してお姫様を助ける。ゲーム展開は以上。このシンプルさがレトロゲームの真髄である。
ジム君はAボタンを押していると「攻撃」状態になり、それ以外では「防御」状態になる。で、基本的には体当たりをして敵を倒す。攻撃状態は当然のことながら攻撃力が強いが、その分防御力が激ミニマムなので、攻撃状態で正面から敵に突っ込むと清々しいくらいあっさりと死ぬ。
故に、敵の動きを慎重に見切って背後から敵に切りかかるのが基本中の基本。騎士道ってなんですか、生きるのに騎士道って必要ですか、という哲学的な疑問を我々の胸に呼び起こしてくれるゲーム性である。
ドルアーガ直後のアクションRPGというだけあって、この辺りの操作性はドルアーガにちょっと通じるものがある。が、ドルアーガには存在しなかった「経験値稼ぎ」と「レベル上げ」という概念が、このゲームに存在することは敢えて特筆するべきだろう。多分ワルキューレに先んじて、ファミコンでは初めて登場する概念の筈だ。以後国内家庭用RPGに呪いの様に付きまとうこの概念は、ここに端を発しているのである。セーブ&ロードとパスワードの併用、というシステムも画期的なものだった。
当時まだガキだったこの私は、「主人公が強くなる」というこの要素にはまって随分とこのゲームをやりこんだ。そりゃもう、何かにとりつかれたかの如くコボルトやスライム、ローパーを「ピチッ」「ピチッ」と倒して経験値を稼いではウォータードラゴンに返り討ちにされたものだ。
このゲーム、攻略するには結構厳格な攻略ルートを通る必要があり、いわゆる「攻略本」というものナシではなかなか難しいものがあるのだが(ウォータードラゴンが倒せネエとか、魔術師が死なネエとか、バラリス城に入れネエとか)、当時の私は序盤だけでも結構満足していた。いきなり強行突破でウィスプの迷宮に突入し、逃げ回りながらSWORDを取得するのが好きであった。で、大体ゴールドナイト辺りで死んでいた。
ということで、まさかこれからやりこむ人も日本には数少ない少ないとは思うが、かつての私の失敗を再び生み出さない様参考ページを挙げさせて頂こう。そういえばWindows版でも先日復刻されていた様な気がする。忘れていたが。
ハイドライド・スペシャルのコーナー
ゼルダやFF1・2攻略の密度もすばらしい。
ハイドライドスペシャル
画面イメージや全体マップを見ることが出来る。
さて、この辺でちらっとだけ冒頭の話に戻るのだが、レトロゲームの効果音って結構存在感がものすごいと思う。音源のチープさがあればこそなのかも知れないが、音楽を遥かに越えて耳に残っている効果音というものが私には結構ある。
その辺の効果音は時折音楽を遥かに越えてしつこく響き続け、私の脳内では週一回くらい効果音合戦が始まることがある。アルカノイドの「キン、カン」というシャープな跳ね返し音とか、ロードランナーで穴掘った時の音とか、ポパイのジャンプ台で跳ねた時の音とか。ドラクエ3の攻撃音なんかが耳に残っている人も結構多いのではあるまいか。
で、私の場合最も「耳から離れない音」ってのが業務用「熱血硬派くにおくん」のドスに刺された時の一発死にの効果音なのだが、誰かこれ分かる人いませんか。ちょっとあの音は、ほんとーに痛いんで勘弁してください。っつーか夢に出てくんな。泣くぞコラ。
2005年07月08日

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[駄文]ハイドライドスペシャルの曲の謎が解けた
Excerpt: ハイドライドスペシャルの曲の謎が解けましたよ、奥さん(笑)。 以前、昔懐かしいファミコンのゲーム「ハイドライドスペシャル」のCMソングで、もう一度聞いてみたい曲という日記ネタがありましたけども、いろ..
Weblog: SATOXのシテオク日記
Tracked: 2007-01-08 07:48
しかし!パッケージの裏にこんな文句が書かれていたとは覚えてますか?
『シーンに合わせた多彩な音楽』
他に、美しいグラフィックだかスピーディなアクションだか書いてあったと思うのですが、まったくのウソは『シーンがどこだろうとずーーーーーっとおんなじ音楽だったこと』!!ラスボス登場まで、1つの曲だけだったのだから、そりゃショック。
それでもなぜか好きなゲームでして。無敵になる手順、まだ覚えてますorz
バラリスの倒し方がわからずクリアできなかったのですが、「防御状態でちびちびHPを削る」ことに気づきクリアしたのは購入から2年後でした。
ちなみにワルキューレの冒険をクリアしたのは買ってから6年後でした。
難しいゲームはよく「自力でクリアできない」と言われますが、このゲームはまさにそれ、ドルアーガやファルコムの悪影響をうけた理不尽なリドルが満載でした。
確かに延々メジャー調の割とノー天気な音楽で、あわせられた覚えはあんまりねえですね。いや、あの曲はあの曲で結構好きなんですが。
無敵手順は私も覚えてます、が、「3DGOLFSUPER」とかでしたっけ。3D GOLFってなんなんでしょ?当時出てた他のゲームかな?
>スマウグさん
コメントありがとうございます。っつか、ハイドライドスペシャルって何故か中古屋での流通量がすごかったですね。出荷数の問題なんだろか。
ワルキューレは、クジラ呼び出しとかあの辺が評判よろしくないですね。分かるかと。
当時T&Eが出していたゴルフゲームのことですね。
後に「遥かなるオーガスタ」とかゴルフの名作を出したので、その先代に当るゲームだと思います。
そういえば、昔、私がゲーム製作の仕事してたときにも、協力会社は音楽関係のプロダクションだったりしました。
どうしようもなくレスが遅れてしまいまして申し訳ありません。
そ れ だ!!>パスワード 私も腕がなまっていた様です。手順は覚えてますが。
レトロゲームカテゴリ読みまくりました(^^;
昔々T&E GOLF TAPE版で遊んでたものでw
今探したらハイドライド2終了認定証もまだありましたwww
コメントありがとうございます。
なんだか小難しい話も出ますが、うちは基本的にレトロゲームブログですので、レトロげー話題を喜んで頂けるとうれしいです。今後とも、よろしければごひいき下さい。
>今探したらハイドライド2終了認定証もまだありましたwww
恐るべき物持ちの良さッΣ(・ω・ノ)ノ
あ、でも私もフラッピーの200面クリア認定証どこかにありますよ。多分(オイ
あのフラッピーをクリアされたんですか!? 尊敬しちゃいますw
アクションが苦手で投げ出し、デーモンズリング(ADV)と交換してもらった
ヘタレですからwww
初めてクリアできたActionRPGがハイドライドでした。
ハイドライド3買ったときにもらったT&E 10th Music Tapeのクレジットにある
朝倉大介が、accessやTMRevolutionの人と同一人物だと知ったのがつい最近です(^^;
>フラッピー
あれで一生分のパズル脳を使い尽くしました。もーパズルボブルさえ出来ません。
ハイドライドでRPGに入った人も多そうですよね。
>朝倉大介
ゲームとポップス界がどうしても結びつかなかったあの頃、といいますか。こんな人がー!?みたいの、他にも結構ありそうですね。