2023年02月24日

ウマ娘のミスターシービーの育成シナリオが大変素敵だったので語る

シービーシナリオがひじょーーーーに良かったので、ちょっとそれについて語らせてください。

以下にはウマ娘のシナリオについて若干のネタバレが含まれる可能性がありますので、シービーを引く可能性がある人はシナリオを終わらせてからお読みになることをお勧めします。よろしくお願いします。





いや、シービーって、非常に「自由」「天衣無縫」が前面に押し出されているウマ娘でして、キャラクターとしてもそこがコアになってるところがあったじゃないですか?雨の中で散歩するシービーを訝るルドルフとか、まだ実装される以前から、そこについては明確でしたよね。

ただこれ、シナリオを作る側からすると結構困るっていうか、特にウマ娘って基本的にはスポ魂を下敷きにしているので、その点シービーの育成シナリオって、かなりお話を作りにくい部分があったんじゃないかと想像するんですよね。

何故かというと、シービーには「レースに望む目的」とか、「勝敗に対するこだわり」とか「ファンの声に答えたいという欲求」みたいなものがなくって、ただひたすら「自由に走りたい」ということが動機で、それは本来「勝負」のエッセンスを煮詰めたようなものであるレースの動機としては弱い筈だから。

「勝ちたい」とか、「レースを通じて何かを実現したい」という目的がある、だからトレーナーと二人三脚で頑張る、みたいな王道描写って、恐らくシービーでは難しい筈なんですよ。

例えばスペシャルウィークには「日本一のウマ娘になる」というとても分かりやすい目標がありますし、キングには「一流のウマ娘になる」という分かりやすいこだわりがある。テイオーに代表されるキラキラウマ娘に対するコンプレックスを背景として、「自分もキラキラになりたい」という夢を持つナイスネイチャだって、自分の家に対する使命感をバックボーンにするマックイーンやサトノダイヤモンドだってそこは同じです。

目標やこだわりがあると、「壁」にもぶつかりやすく、そこにドラマが生まれる。

「悩み」「壁に突き当たる」「それを乗り越える為に、ほんの少しのトレーナーの助力が必要とされる」「トレーナーと一緒に壁を乗り越える」って、スポ魂の、あるいはウマ娘のシナリオの一つの王道であって、そこをどう作りこむのかなあ、というのは以前から気になってました。

いやもちろん、そういう文脈に一切乗らないウマ娘もいるんですけどね。ゴルシとか。


で、シービーシナリオの凄いところはどこかというと、シービーの「自由であること」という欲求を真正面からテーマにして、しかもそれをちゃんと育成シナリオとして仕上げているところだと思うんですよね。

「自由でありたい」という欲求自体には何の迷いもないけれど、シービーだって一人のウマ娘であって、時には迷うこともある。その迷いというのは、自分の「欠落」に対する迷い。ルドルフやマルゼンスキーを見ていて思う、「目標を持って、何かを実現する為に走る」という、それを感じられない自分には何かが欠けているんじゃないか?という迷い。

シービー1.png

「こだわりがない」ことへのこだわりというか、自由でありたいからこその不自由さ。そういうところが多分ミスターシービーにはあって、実はすごーーく不器用なウマ娘でもあるんですよね。

そこをきちんと、しかもウマ娘の育成シナリオという文脈で書き切られているのってまず凄いと思うんですよ。シナリオにおけるキャラクターの解像度が尋常ではない。

そしてその上で、

シービー4.png

ただ、「自分に夢を見続けてくれる」というトレーナーが、シービーの背中を押す。

もともと、「何かを望まれる」ということを嫌うシービーが、唯一受け入れたトレーナー。そのたった一言が、何よりもシービーのスタンスを勇気づける存在になるって、この構図美し過ぎじゃありませんか?

他のウマ娘とはちょっと違う形だけど、「ウマ娘が持っていないものを提供できるのがトレーナー」ということを、ここまで綺麗に実現しているシナリオもなかなかないと思うんですよね。これこそ、今まで見せてきた「ミスターシービー」というウマ娘がトレーナーを持つ理由として、これ以上ないくらい納得感がある一節ではないかと。

当初はそれをシービー自身もきちんと認識していなくって、それに気づいた時、シービーが口に出した「約束」という言葉。これがシナリオ上どういう風に帰結するのかって、ぜひぜひ皆さん読んでいただきたいと思う次第なんですよ。

そういう点で、シービーが「トレーナーにレースの景色を見せたいが為に、トレーナーを背負って走る」というシーン、ここも本当良かった。理解出来たと安易には言わないトレーナーの誠実さみたいなものも、このトレーナーだからこそシービーのトレーナーになれるんだよな、みたいな納得感があって大変素敵。

ちなみに、このシナリオ上、シービーと真逆の方向で「こだわり」という名の壁を持ち続けて、しかし他ならぬシービーの手でその壁を乗り越える、という存在がカツラギエースなのもまた熱いなーと思う次第です。

まさにシービーと正反対のこだわりで「壁」としてシービーを捉えるカツラギエース、それに対して「自由にレースを楽しみたいから」こそその目を覚まさせるシービー。シービーのことを「壁ではなく強敵」だとカツラギエースが気づくシーン大変に好き。

いやー、以前からシービー実装は楽しみにしていたんですけど、期待通りでした。引き続きイベント回収に励みたいと思います。



ちなみになんの関係もないんですが、親紹介RTAで言うとシービーも相当早く、フラッシュやファイン程ではないにせよジュニア級の8月というのは十分に展開が速い方だと思うのですが、

自宅訪問RTAでいうと今後シービーを越え得る存在は現れないのではないか(そもそも一人暮らし描写されてるウマ娘がシービーとマルゼンスキーくらいだし)。その辺も大変注目度が高いと考える次第なのです。

今日書きたいことはそれくらいです。


posted by しんざき at 19:07 | Comment(0) | TrackBack(0) | レトロでもないゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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