2023年04月15日

サクラローレルシナリオが、「史実を越えたif」を描くウマ娘シナリオとしても出色の出来だった件(途中からネタバレあり)

ところで、あまりにもキャラストーリーが良すぎたので、気が付いた時にはついうっかりサクラローレルを引いてしまった後でした。ジュエルに中ダメージ。来るマーベラスサンデーとナリタトップロードも引かなくてはいけないというのに……!

ローレル1.png  ローレル2.png

で、育成シナリオも大変に素晴らしかったので、ちょっと記事を書きたくなりました。

まず先にネタバレなしの感想箇条書きだけ書いておきますと、

・「史実を下敷きにしたウマ娘同士の関係性と、さらにその先のif」を描いたシナリオとしては、ウマ娘全体を見渡してもトップレベルの出来かも知れない
・「壁にぶつかり、トレーナーと一緒にそれを乗り越える」というウマ娘基本展開の、更に「その次の段階」が来た感じで大変に素晴らしい
・ナリタブライアン、ヒシアマゾン、マヤノトップガン、マーベラスサンデーあたりとの絡みも大変に期待通り過ぎた
・バクシンオーやチヨノオーも頻繁に出てきてとても満足です
・同室設定のセイウンスカイはもうちょっと絡んできて欲しかった気もする
・テイストとしては、アドマイヤベガシナリオやメジロアルダンシナリオにちょっと似てるかも。その辺と、あとちょっと方向性は違うけどナイスネイチャシナリオが好きな人なら引きにいってもいい気がします
・事前にヤンデレ風味が予想されていたりしたけどそれはそうでもなかった
・あとサクラローレルがシンプルに可愛い
・「いたずらっぽいお姉さんなんだけど幼さも残している」みたいなキャラクター造形が大変良いと思います。あとデザインが良すぎる。
・トレーナーに対してぐいぐい来る度合いでもこれまたウマ娘界トップクラスかも知れない
・親紹介RTAどころか式場RTAとは
・サクラチヨノオーの「なんだかよく分からない格言を使う」要素とか、バクシンオーのバクシン要素なんかも盛り込まれていて盛りだくさんでした
・バクシンオーのことバクちゃんって呼んでるの好き

一旦これくらいです。
以下、ちょっとサクラローレルの育成シナリオの内容に踏み込むんですが、どうしてもネタバレにならざるを得ないので、引く予定がある方にはここから先を読むことをお勧めしません。よろしくお願いします。







いやもう。「弱い脚の克服」と「ナリタブライアンとの関係性」の二つの要素が、史実を元にしつつも「ありえたかも知れない未来」をきちんと描写していて、もう本当に素晴らしかったです。

ウマ娘のサクラローレルは、当然史実のサクラローレル号の存在を元にしています。同期に「ナリタブライアン」という怪物がいる中、脚部不安でデビューが遅れ、同期の活躍をただただ見ていることしか出来なかった。幾度も怪我に悩まされ、それでもついに重賞を勝ち取り、天皇賞春という大舞台でナリタブライアンとマヤノトップガンを破って見せた。

ウマ娘ストーリーでもそこは忠実に描写されまして、ストーリー序盤、サクラローレルは思うように走れないまま、けれど「凱旋門賞を走る」ということを目的に、同期たちの活躍を観察しつつ日々を過ごしていました。「同情ではなく、一緒に夢をかなえたい」というトレーナーの言葉が大変すばらしい。

で、育成ストーリーでもそこは踏襲されていて、サクラローレルは幾度も「走りたいけれど今の自分では走れない」という場面に直面し続けます。全力で走りたくても、走れない。全力を出そうとすると、すぐに足に異常が発生して体調を崩してしまう。走るために生まれてきたウマ娘にとって、それがどれだけのストレスなのか。

そんな中で、同期で最高の活躍をしているブライアンの姿は、憧れや目標でもあり、超えるべき壁でもありました。

ローレル9.png ローレル10.png

ブライアンの視界に自分は入っていないことを承知で、ブライアンの走りを観察し続けるサクラローレル。そんなローレルは、クラシックの終盤になって、ついに足の状態を回復させて、全力で走れるようになります。この時の、自分を支え続けてくれたトレーナーとの想いの交換も滅茶苦茶良い。

ここでようやく、ローレルにとって全てが始まる。ここまでに散々足の不調で苦労したからこそ、自由に走れるようになったローレルが本当に嬉しそうで素晴らしい。「私たちだから勝ち取った未来」という言葉がめちゃ好きです。

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しかし、これも史実通り、ナリタブライアンはクラシックで圧倒的な活躍をしながら、故障によって長く戦線を離脱してしまいます。
夏合宿でブライアンは戻ってきて、周囲は「復活した」ブライアンの迫力に圧倒されるのですが、

ローレル12.png

けれどローレルは、誰よりも真剣にブライアンを見続けてきたローレルだけは気づく。ナリタブライアンが自分の走りを取り戻せていないことを。ブライアンの中で何かが壊れてしまって、それをなんとか取り戻そうと、ブライアンが必死にもがいていることを。

自分の一番の憧れ、一番の目標にしていたウマ娘が、けれど自分の走りを失って苦しんでいる。「全力で走れない」ということの苦しさを誰よりもよく知っているローレルは、その苦しさを、絶望を知っている。そして、その中で、「追いかけたい光」があったから頑張れた、ということを知っている。


ここでローレルは、「今度は自分が、ブライアンにとって「追いかけたい光」になる」と決めるのです。

ローレル13.png

これ。

これ。

これがもう、ウマ娘というゲームのシナリオとしても、「叶えられなかったif」としても、色んな意味でもう最高過ぎるんですよ。

ウマ娘って、基本的には「トレーナーと共に壁を乗り越える」というスポ魂展開が主軸になっていると思うんです。レースに勝って叶えたい思いがあって、けれどそれを一人の力だけでは乗り越えられないから、トレーナーと二人で乗り越える。その点、サクラローレルのシナリオは、この段階の前までだけでも十分にウマ娘らしい理想のシナリオです。

けれど、ここには「その先」があった。「壁を乗り越える」というのは自分が頑張れる理由でもあったから、今度は「その理由を作る側になってあげる」。憧れだった人の為に、今度は自分がその憧れになる。自分を頑張らせてくれた相手の為に、今度は自分が「頑張れる理由」になる。

よりによって、それをやるのがサクラローレルとナリタブライアンだというのが、史実を知っている人間としてもものすごい「そう来るか」だったんですよね。実際には最後まで自分の走りを取り戻しきれなかったナリタブライアンと、全力のブライアンと勝負できなかったサクラローレル。本当なら、全盛期の二者が正面からぶつかる姿をみたかったって、それは多分当時、色んな人が思っていたと思うんですよ。

そして、二人の対決は、史実では起きなかった「ジャパンカップでの対決」という形で実現するのです。

ローレル15.png

この一言もう最高に好き。この後のブライアンとサクラローレルの会話もめちゃくちゃ好き。「今まで追いかけていたモノと違うなら、これまでと違う私になればいい」っていうナリタブライアンの言葉、ちょっともうさわやか過ぎるのではないかと思います。本当に素晴らしい。

この二人が、こういう形で想いを遂げるんだというのが、本当シナリオライターさんの仕事が凄すぎる。

そして最後の最後、有馬記念ではマーベラスサンデーやマヤノトップガンも含めて、「憧れのその先」を求めてローレルが走るわけです。ちょこちょこ出てくるマヤノとマベサンも大変いい味を出しています。

いやあ本当、引いた甲斐があったという一言しかありません。最高だった。

唯一、サクラローレルと同室設定らしいセイウンスカイがほとんど絡んでこなかったことだけちょっと残念ですが、まあそれはまだ私が見てないイベントがあるかも知れませんし、期待しつつ待ちたいと思います。

それはそうと、サクラローレルはトレーナーとのいちゃいちゃ路線でも相当ぐいぐい押してくるキャラでして、

ローレル7.png ローレル8.png

この辺も大変素敵なイベントばかりですので、恋愛強者ウマ娘の迫力を感じたい人に対してもおススメです。セイウンスカイとのこの方面の実力差が大きすぎる。今回は親紹介RTAどころか式場RTAが見れます。

なにはともあれ、「サクラローレルシナリオ超良かったので皆さんにもお勧めです」ということが言いたいだけの記事でした。よろしくお願いします。

今日書きたかったことはこれくらいです。








posted by しんざき at 10:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | レトロでもないゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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