2007年08月07日
「主流でないこと」こそがブログの価値を上げる。
なんか、色んなところと微妙に話題が被る様な気もするけれど、まあ折角書いたのだからアップしてみよう。
「注目を引かない話題」それ自体に価値を認めてもいいんじゃないかなーという話。私自身の指標である。
5年ぶりくらいに会った知人が、ブログをやっていた。
かつてよく顔を合わせていた頃は、WebのWの文字もタイピング出来ない様なヤツだったので、ちょっとびっくりした。はてブの注目エントリで見かけたこともあるブログだったので、二度びっくりした。取り敢えず名前は出さないが、その内こっそりリンクするかも知れない。
で、その知人と一つ二つ、ブログに関して話をした。一点が、反応欲求と送信欲求の話。以前にもちらっと書いたけど、また折を見て補足する。とはいえ、「ブログを書くモチベーションは、書きたいという欲求と、反応が欲しいという欲求の二軸で説明出来る」ということと、「二種の欲求のバランスが崩れるといい結果を招かない」という考えに特段変化はない。
で、もう一つが、ブクマされる記事、されない記事という話だ。
話はソーシャルブックマーク、例えばはてなブックマークに収束する。
本来、注目される・されないということに関して、書き手は決定権を持っていない。記事が注目されるかどうかということは、結局の所おまけ的要素に過ぎない。とはいえ、はてブにブクマされやすいエントリーというものに、ある種の傾向があるのは事実だと思う。それこそ色んな場所で考察され尽くしていることだろうからいちいち書かないが、はてブに時折、「注目を浴びやすい」話題のストリームというものが出来ることも確かだろうし、注目を浴びることが反応欲求を満足させる一因になることも事実だろうと思う。
注目を浴びやすい話題は元来面白い。それは当然だし、それについて書くのが悪いことだとは、私はぜんっぜん思わない。色んな流れが加わることで、話題が更に加速度と面白さを増すことも、SBMの楽しさの一つだろう。私だって、注目されている記事群に興味を掻き立てられて、無い頭をひねってエントリーを書いたことが何度もあるし、今後もそういうエントリーを書くことはあるだろう。
しかし、上記知人がどうも悩んでいたらしいことなのだが、「自分の本当に書きたいこと」があまり注目を引かないからという理由で、つまりは「反応欲求が満足しない」というそれだけの理由で、そういった「注目されやすい」ストリームにわざわざ乗るというのは、ちょっと勿体無いことなんじゃないかなあ、と私は思うのだ。
ブクマが欲しいというだけの理由で、はてなブックマークの話題に無理に乗っかる人がいたとしたら、無理しない方がいいんじゃないかなあ、と思う。無理をした話題ばかりが継続的に続いて、その人が普段書いていた話題がだんだん読めなくなる様だったら、更に更に勿体無いなあ、と思う。
無理をして得たブックマークなんか、結局自らのブログを希釈する水道水にしかならないんじゃないだろうか。ただ持ち味が薄まるだけならまだしも、この水道水は時として、流し続けることをブログ主に強制までするらしいのだ。馬鹿らしい限りではないか。
私は、自分のブログのマイナーなカテゴリーが好きだし、誇りに思ってもいる。例えばレトロゲームだとか、ゲームブックだとか、本気で書いてもそれ程たくさんの人には注目されない様な話題こそ、あるブログを「そこでしか読めないブログ」にするものだと考えている。
一応断っておくと、日記の話じゃない。ある人の日記は確かに「そこにしかない」記事かも知れないが、今私が書いているのは話題についてだ。
私は、OKINIIRIのバブシカさんを尊敬する。今の時代、2007年夏という今の時代に、本気で忍者くんの開幕パターンの考察をしたバブシカさんを尊敬する。失礼な書き方かも知れないが、どこをどうひっくり返して考えてもWebの主流とは思えない、まさしく「コアな注目」しか浴びない様に思えるエントリーに、バブシカさんはごく平然と、とんでもない労力を割いている。この記事をこの全力っぷりでブログにアップ出来る人が、今の日本に一体何人いるだろうか。
バブシカさんに限らず、Webで「その人にしか書けない」話題をもっている人は、須らく尊敬を受けるべきだと私は思う。彼らはまさしく、彼らのフィールドにおける第一人者に他ならないのだ。
私は、自分の文章力なんぞに幻想はもっていないつもりである。私より面白い発想が出来る人は世の中に山ほどいるし、たとえ同じ題材でも、私よりずっと面白い書き方が出来る人は、やっぱり山ほどいる。
でも、世界で私以外に誰の興味も惹かない様な話題がもしあるならば、その話題に関して世界一面白いエントリーを書く自信はある。
私は、これからも書きたいことだけを書こう。注目されないエントリーを喜んで書こう。ブクマが一つもつかないエントリーを、世界で私以外誰も興味をもっていない様な話題に関するエントリーを書こう。2000本も売れなかったレトロゲームについて全力で考察しよう。
大して強くもない「私の持ち味」を、ブログに帯磁させる唯一の方法だと思うから。私が口に出したことで、そういったものに新たに興味をもってくれる人がいるかも知れないと思うから。それが偶然誰かに拾ってもらえた時の価値ってものは、また格別だと思うから。
揶揄でもないし、卑下でもない。注目されないことが、時折最大の価値を持つ。そんな思考法があってもいいんじゃないかと私は思う。
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コメントしづらい引用してすみません。
>通行人さん
筋金入りのオタクなら、こんなエントリーは歯牙にもかけないと思います。