2025年01月08日

それでもやっぱり、学マスの最大の魅力は「その歌にたどり着くまでの道筋」だと言わせて欲しい

先日、結騎了さんが書かれたこんな記事を拝読しました。



やはり『Luna say maybe』も衝撃的で。すごいですよねこれ。作詞作曲の美波、『カワキヲアメク』『アイウエ feat. 美波, SAKURAmoti』等が好きでよく聴いていたのですが、アイドルひとりの造形にここまで力を発揮するとは。



いやね、分かってるんですよ。実際に『学園アイドルマスター』をプレイすれば解釈メリケンサックが装着されて曲のダメージが2倍にも3倍にも膨れ上がることは......。分かってるんです、はい、すまない。もうちょっとあらゆるリソースに余裕があればなぁ、なんて。


まず前提として、「学マスの楽曲がめちゃ良い」という点については何の異論もなく、また筆者さんご本人が「邪道」と表現されている「曲だけ聴いてゲームやってない」というのも、正直致し方ないところだとは思うんです。どんな人にとってもゲームを遊ぶ為のリソースは限られており、しかもソシャゲとなればより一層時間リソースや金銭リソースを食う可能性が高いことは否定し得ない事実、そんな中曲だけでも聴いてもらえるというのは、一ファンとしてもありがたい限りとしか申し上げられません。

いや、マジで、遊んでない人も曲だけでも聴いていただけないかというのは本当その通りで、やっぱりMVとしての完成度はLuna say maybeが頭一つ抜けているとは思っております。これについてはもう色んな人がおっしゃっているんですが「月村手毬」というキャラクターを的確に表現した歌詞とメロディと歌い方と映像シナリオ、これは本当に試しに聴いてみる価値しかないと思う次第でして、公式がyoutubeで公開してくれてるの本当何もかも捗り過ぎて感謝百兆トンって感じです。

https://www.youtube.com/watch?v=Sq5Dj0U06vQ&ab_channel=%E5%88%9D%E6%98%9F%E5%AD%A6%E5%9C%92

個人的に曲として一番好きなのは「アイヴイ」でして、ここでも結局手毬かよと言われるかも知れませんがイヤホント、手毬というキャラクターは「言動がひどいし、根は素直というわけでもなく割とシンプルに挙動もひどく、一見ストイックなようで実は知れば知るほど怠惰で、振る舞いとメンタルは小学校低学年か赤ちゃんかな?って感じ、じゃあどこに褒めるところがあるのかっていうと顔と歌」ということがゲーム中これでもかこれでもかと強調されるキャラクターでして、だからこそ声と歌は振り切れてないとシナリオが成立しないわけです。そこでLuna say maybeやこの曲を平然と投入出来る、この声の声優さんを平然と引っ張ってくるところは本当物凄いですよね学マス。


「冠菊」についても、前週三年生メンバーが「キミとセミブルー」で夏のアイドル王道路線を歌ったかと思えば、藤田ことね・花海咲季・葛城リーリヤという一年生面子、しかも咲季以外の2人は割と可愛い系の楽曲に振れていたところで、突如として和風ロックバリバリに死ぬ程かっこいい曲をお出しされてどうしようかと考えた次第です。「忘れたくない繚乱の高揚を」の辺りとか好き過ぎる。「暗闇に咲く葛藤と見つめ合っていたい」っていうフレーズ、「咲」「葛」「藤」の文字が全部含まれてますねって指摘してた人がいて好きーーー!!!ってなりました。ちなみにこのフレーズの個所、MVでもちょうどことね咲季リーリヤの三人がズームアップされる演出になっていて超エモい。



ことほど左様に、ただ「曲を聴く」というだけでも十分学マスを楽しんでいただけるというのは前提なのですが、ただその上で、とはいえやはり「実際にプレイすれば見えてくるもの」が非常に大質量大破壊力であることもまた、元記事の筆者さんがおっしゃっている通りだとは思いまして、本記事ではそこについてちょっと書かせていただきたいと思っているのです。

前提として、一部キャラのシナリオ・展開のネタバレが混じることはご容赦ください。もうN.I.A.も出てるし多少は書いちゃってもいいよね……!!

まず一つ特筆したいこととして、学マスの恒常SSRのシナリオが全て、「その歌にたどり着くまでの道筋」を語っているところ、これがあるからこそ「その曲がそのキャラだけの曲であり、そのキャラだからこそこう歌えたんだ」という説得力をライブシーンに詰め込んだ作りになっているという点があります。

その筆頭として挙げたいのが葛城リーリヤの「白線」です。正直私、リーリヤについては、ゲームプレイするまでそこまで注目してなかったし、解像度も高くなかったので、この「白線」も浅く聴き流しちゃってたと思うんですよ。


公式でも何度も語られていますが、学マスというゲームは、「育成している間にアイドルの歌とダンスが上手くなるゲーム」です。つまり、歌もダンスも皆最初は下手、あるいはなにかしら能力が発揮されていない理由がきちんと描写されるし、レッスンやライブでもそれがちゃんと表現されているんですね。

けれど、だからこそ、「プロデューサーと一緒にアイドルも歩んでいるんだ」ということを、ゲームを遊んでいる内にこれ以上ないほど実感できる作りになっている。何度も何度もレッスンと失敗を重ねて、その末にtrue endのライブにたどり着けたとき、その時初めて自分の中で楽曲が完成するって側面は、やはりどうしてもあると思うんです。

このシステムに最高に合致しているキャラがリーリヤだと思っていて、リーリヤって自分でもたびたび「不器用」「才能なんてない」となどと言っており、当初は本当に内気で引っ込み思案で、どう見てもアイドル向きではない、アイドルに対する憧れだけが唯一の強みみたいに語られるキャラクターなんですね。

でも、ゲームを進めていく内に、実はこの「憧れ」こそが葛城リーリヤというアイドルの最強の武器であって、彼女がトップアイドルになり得る最大の理由で、「本当に憧れだけで頑張れてしまう」というリーリヤが普通の女の子どころか一種の特異点だということが理解出来ていくわけなんです。

リーリヤ1.png リーリヤ2.png リーリヤ3.png


学マスでは、恒常SSRでのゲーム内イベントでは、「そのキャラの持ち歌を渡されて、ステージを作っていく」エピソードが語られることになります。リーリヤは、ここでも引っ込み思案と、「憧れ」「意志」を発揮させます。「上手く歌える気がしない」「自分よりもっとこの曲を上手く歌える人はいる筈」と言いながら、「わたしなんかでいいのか」と悩みながら、でも「この曲を歌えたらきっと気持ちいいから」と練習を積み、プロデューサーや親友の清香に助けられながらライブに臨むわけです。

で、この「白線」って曲、聴いていただければわかると思うんですが「めっちゃ音程高いし、声優さんめちゃめちゃ大変そう」というのがすごーーく良くわかる曲なんですよ。ゲーム内で「難しい曲」と言われているのに、実際聴いてみるとそんなでもない、とかだったらやっぱ多少は盛り下がっちゃうじゃないですか?でもこの曲は、聴いてるだけでもガチで大変な曲ということがよくわかる。フレーズは長いし高低激しいし、ブレスポイントは限定されるし、キーは高いしキープ大変そうだし。「もっと高く、高くまで羽ばたいてみたい」のところとか、誰がキーまで高くしろと言った??という感じだし、その上転調して更に高くなるに至っては「加減しろ莫迦!」って感じだし、多分声優さんも本当必死。

でも、その「必死に自分の歌を歌いこなす」「自分よりもっと上手く歌える人はいるかも知れないけれど、だけどこの曲を私が歌うことに意味がある」と決意するところ、これがまさにゲーム内のリーリヤと、ずっと「歌も踊りも上手くない」といっていたのに、憧れ一つだけでアイドルへの道を歩んで見せた葛城リーリヤと、恐ろしい程解釈完全一致しているわけなんです。

そしてなんといってもこのライブシーン。あの引っ込み思案だったリーリヤが、「みんな、盛り上がっていくよー!」とちゃんと観客に呼びかけている!コール煽ってる!ファンサしてる!!リーリヤステップ踏んでる!!!

リーリヤ4.png

「あんなに自信がなかったリーリヤが、ちゃんとアイドルやってる……」と、まるで成長した娘を見るような目でライブを見られる、「この歌にたどり着くまでの道筋」があってこそ曲の解像度が上がる、という側面は、やはり学マスの最大の味わいだと考える次第なのです。

この点でいうと、もちろん「Luna say maybe」の手毬や「光景」の広、というか全員シナリオでライブの解像度が滅茶苦茶上がることは保証していい出来だと思っていて、特に「Luna say maybe」手毬シナリオの解像度の高さは本当に素晴らしい。当初「ひねくれた子を歌ってる歌詞で、私と真逆」などと宣って、プレイヤー全員から「どの口が???」と総突っ込みを受けたであろう手毬。チワワ精神を丸出しにして、プロデューサーにも周囲にも散々迷惑をかけた手毬が、「歌ってきます、プロデューサー」と宣言して臨んだライブシーン。

このライブがもう、本当素晴らしくって是非みていただきたいと思う他ないんですが、「3秒前バックステージ 震える背中を君に預けて」の歌詞のところで、一瞬こっちを振り向いて手を伸ばすんですよ。あの!!手毬が!!!!

手毬.png

もうLuna say maybeについては、歌詞も場面もライブまでの過程も手毬とのシンクロ率が1000%くらいに達しているであろうことは間違いなく、歌もめちゃ高難度で「手毬しか歌えない」ということが良くわかるし、ライブでもMVでも最後息切れするところまで歌い切っている。これがまた、「ステージで全力を出し過ぎてスタミナが最後まで持たない」アイドルだった手毬が、プロデューサーと共にぎりぎりでそこを乗り切ってみせた、その解像度の高さが超解釈一致

当初は「プロデューサーのことを信頼したわけじゃない」などと言っていた手毬が本当に「背中を預ける」ところまで来てくれたというのは、リーリヤと同等かそれ以上に「一緒に歩んできた」ということが実感できるステージになっていて、ここについては本当「このゲームやって良かった」と実感する他ないシーンだったわけです。

まあここに至るまで本当紆余曲折があって直前にもゲーム最強レベルの大ボケかましているわけなんですが。

手毬2.png

いや本当、当初「素直になれない、ひねくれものの歌を」のところでLuna say maybe流れ始めた演出、めっちゃくちゃ感動したんですけど、後で冷静になって考えるとこれ、「遠回しに自分の歌だと気づいたことをPに伝えている」ではなく「ガチで自分と真逆だと思ったまま」な可能性も微粒子レベルで存在するな……と思わせるのが手毬の凄いところです。

まあ他にも、広もことねも千奈も花海姉妹も三年生組も清香も会長も、まあ割と全キャラ育成シナリオ素晴らしいし、遊べば遊んだだけ曲に入り込めることは疑いない、という話なのです。

ただやっぱ、持ち曲持ったキャラで遊ぶ為にSSRを引かなくてはならない(引き換えのシステムもいろいろ出てきたし、最低1キャラはゲーム開始時に確保出来るとはいえ)というのは大きなネックで、その点手放しで「始めてください!」と言いにくいところではあります……大変ですよねソシャゲ……

ということで長々書いてきましたが、私が言いたいことは

・学マスの曲めちゃくちゃいいですよね!!!
・曲を聴いていただくだけでも全然アリだと思います
・でも遊んだら遊んだで解像度は上がります!!リソース食うこともよくわかるんでお勧めはしにくいですが
・ゲーム遊ぶ前と後で一番感情移入度が上がったのは多分リーリヤ
・N.I.A.のシナリオも本当めちゃくちゃ良かった、特にことねPは血反吐を吐いてでも親愛度20にたどり着くべき

ということだけであって、他に言いたいことは特にありません。よろしくお願いします。

今日書きたいことはそれくらいです。



posted by しんざき at 23:28 | Comment(0) | TrackBack(0) | レトロでもないゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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