「ば、馬鹿な、この俺を道連れに!」
「こ、今度ばかりはタネはありません。ほ、本当にさよならです!!」
「すがたーーーっ!!(爆弾パンチでごうだを巻き込んでリングアウト)」
↑
このゲームに対する個人的イメージ。
正直なところ、テクノスジャパンすげー勿体無かった。
FC中期〜後期において、データイーストから分派した彼らが作ったアクションゲーム・スポーツゲームって凄い質が高かったと思うんだけど、どういう訳か「ダブルドラゴン」「くにおくん」以外のタイトルでは鳴かず飛ばず。
その二つのシリーズにおいても、SFCでの華々しいスタートに若干失敗した感のある「くにおたちの挽歌」、落ちものに特攻して撃沈した「くにおのおでん」、完全な対戦格闘となったけど微妙に外してしまったネオジオ版「ダブルドラゴン」辺りで失墜し、二大看板を失ったテクノスジャパンはさくっと倒産してしまった。
「ファイナルファイト」系のゲームだけでは生き残れないという経営判断があったんだと思うんだが、ダウンタウンシリーズであそこまで明確に培ったノウハウがあったのだから、いっそSFCでもデフォルメ系アクションゲーム路線に突っ走れば良かったんじゃないかとか強く思う。いや、すごろクエストも割と好きでしたけどね。
それはそうと、「熱血行進曲」についてである。
「ダウンタウン熱血行進曲 それゆけ大運動会」。アクションゲーム。1990年10月、FCにてテクノスジャパンから発売。
「くにおくん」がテクノスジャパン社長の名前を冠したキャラクターであり、当初不良格闘ゲームとして「熱血硬派くにおくん」に華々しく登場したのは著名である(みすずばっか印象に残ってるが)。その後、流石に社長の名前で不良路線を押し通すのはまずかったのか、「熱血高校ドッジボール部」で可愛らしいデフォルメキャラに華麗な転進を図り、以降のくにおくんはRPGとの折衷を図った「ダウンタウン熱血物語」の路線、スポーツものに進んだ「ドッジボール部」の路線の二つの道を歩んだ。
その二つの路線が絶妙にマッチングされて生まれたのが、ごった煮的な「運動会」を舞台にした、この「熱血行進曲」だった。
くにお達「ダウンタウン」のキャラクターは、「熱血高校」「花園高校」などの4チームに分かれて「クロスカントリー」「障害部屋競争」「玉割り競争」「格闘大会」の4種目を戦い、走ったり殴ったりとび蹴ったり鉄アレイをぶん投げたりしながら順位点などの得点を奪い合い、熾烈な競争を繰り広げる。当時、小中学生男子から一部の女子まで巻き込んで対戦が大流行し、一部ではリアルでの大喧嘩まで発生させるヒートっぷりだった。
スポーツもののノウハウと格闘もののノウハウを結集した、FC後期の名作だったと言っていいだろう。
まずは参照リンクを挙げておこう。Wikipediaはこういう時には凄く使える。
Wikipedia:ダウンタウン熱血行進曲
Wikipedia:テクノスジャパン
画面写真については、
ダウンタウン熱血行進曲
こちらのページで紹介されている。
さて、ゲームの話に行こう。
・仁義なき(マジで)運動会。
このゲーム、多分ファミコンのあらゆるタイトルの中でも、最高レベルに「対戦」に特化したゲームじゃなかったろうか。
先述したが、熱血行進曲には4つの種目がある。前半二つは「クロスカントリー」と「障害部屋競争」、基本的にはキャラクターを突っ走らせてゴールを目指すゲームであり、勿論普通に遊んでもそれなりに楽しめるのだが、プレイヤーが熱くなり始めると走るより殴れという種目に化け、それはもう物凄いことになる。
下水道から一般宅のお茶の間までが舞台となるクロスカントリーにおいても、「殴る」「投げる」「飛び蹴る」などの行為は全て基本操作としてそのまま使える(しかも敵を倒すとボーナス得点)為、プレイヤーにとっては「自分以外全員リタイヤさせれば勝ち」というとても単純明快な目標が生じる。特にクロスカントリーにおいては、ある程度煮詰まると4画面目時点で生き残り一人(選択キャラクターにもよる)という事態が日常茶飯事。たとえ4画面目を越えても下水道素潜りシーンでは百発百中皆リタイヤしているという、実に清々しい光景が常だった。リアルファイトが勃発するのも、むべなるかな。
プレイスタイルによっては、そういった殺伐とした殴り合いの目を掠めて素早くゴールするというプレイヤーもおり、最速の足を誇る冷峰チームの「もちづき」をどう止めるかであるとか、虚虚実実の友情なき争いがこのゲーム全編を貫いていた。
スポーツと格闘の折衷、という地点で高い自由度を確保した、テクノスジャパンのゲーム作りには感心する他ない。残念ながら、自由度の高さ故に部分的には穴もあったが(得点を限界まで稼げたりとか)、基本的には極めて出来のいい対戦ツールだったといえるだろう。
・ダブルニーハメ?固め投げ?ぬるいわ!!(ごだい談)
ところで、上記の評価は取り敢えず置いといて、勝ち抜き格闘はある意味ひどかった。いや、マジで。
対戦格闘における「ハメ技」論が盛り上がった時代が、一時期あった。私の記憶によると、ストIIダッシュで対戦が盛り上がり、主にベガの一連のハメ技がクローズアップされてからのことだったから、大体92年以降の話か。以後の格闘ゲームには、決まって「ハメ技」的なものの発見とそれに対する論争、というものがつきまとうことになる。
けど、FC格闘のハメはそんなもんじゃなかった。いや、熱血行進曲に限らず、ジョイメカとかケルナグール辺りもいろいろとアレだったけどさ。
このゲーム、「勝ち抜き格闘」においては各キャラの「必殺技」が解禁され、それこそダブルドラゴン的なバトルロイヤルが繰り広げられることになる訳だが、この時のキャラ差がそりゃもうものすげえ。
倒れた敵の真上で延々とマッハチョップを連打出来る「こばやし」や、触れるもの全てを拒否する「りゅういち・りゅうじ」の龍尾嵐風脚、延々と飛び続けられる「格闘の指輪」やすがたの「爆弾パンチ」辺りもさることながら、個人的には全方向の敵を問答無用で撃墜する「ごだい」の棒術スペシャルの記憶が濃い。一対一で木刀を持ったごだいと向き合う時、そこには地獄への道が見える。「木刀持ちごだい対たかみね(必殺技なし)」という組み合わせは、蛇ににらまれたカエル的な一種のことわざとして採用してもいいくらいのキャラ差だったと思う。他ゲーで例えるとすれば、そうだな、「カイザーナックル」のジェネラル対ファイナルファイトの雑魚、くらいの差だろうか(分からん)。
いや、木刀が必要ってのはそれなりにハードル高かったけどさ。
当時はまだ、キャラごとのバランス調整のノウハウなんてものが地平線上に存在していなかったからこそ起きた事態でもあろう。そんな中でも、4人でのバトルロイヤルという形式を利用して、弱キャラを用いて強キャラ群を出し抜く熱さなど、格段の面白さがあったことも事実だと思う。よくも悪くも、「熱血行進曲」というゲームを象徴する種目だった。
さりげに音楽の作りも良かったり、熱血高校で1Pクリアした時の寸劇がお決まりで楽しかったり、各チームの応援チアガール達が密かにカルト的な人気を誇っていたり(特に、連合の「きりしま」の3位と4位での反応の違いには一見の価値がある)と、様々に語ることが多いゲームだったが、取り敢えず長くなったので今回はこれくらいにしておこう。
次回はハドソンかも。
2007年09月01日

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兄と一緒にやってたよ。
今度DSでドッジボール部が復活するらしいね。
わくわく。
ドッジボール部は熱かったねえ。
さり気に時代劇もいいゲームだった覚えがあったり。
歩数を数えたり
アッパーを連続で何回出せるか挑戦したり
ごだいは4位でもいいから木刀持ってゴールしたら勝ちと思う私は連合メイン。
う。私も連合使いでした。
ごだいは慣れた連中には狙われるので、如何に木刀を手に生き残るかという勝負。むしろヤラレル前にヤル感じでした。
りゅういちのジャンピングニーで壁キャッチボールとかも楽しかったなあ。
対冷峰包囲網が出来上がっていました。
また、対戦中に友人2人とちょっとしたことで、いざこざになり
頭突きと嵐風脚で袋叩きにあったのが少年期の軽いトラウマになっています(笑)
>頭突きと嵐風脚で袋叩きにあったのが少年期の軽いトラウマになっています(笑)
うわー。連合と冷峰の二者を敵に回すというのはシビアですね。