2007年10月02日

レトロゲーム万里を往く その69 サラダの国のトマト姫と、ハドソン帝国の盛衰



すいません、「サラダロンに食わせる」っていうコマンドないですか?>柿っぱち
(インゲンボムを食わせる>柿っぱち でも可)

アドベンチャーゲームにおける助手の必要性、というものにはちょっと論じる価値があるんじゃないかと思う。古くはポートピアにおけるヤスに始まり、デッドゾーンにおけるフォジー、さんまの名探偵におけるさんま、ミシシッピー殺人事件のワトソンからメタルスレイダーのエリナに至るまで、無口無反応な主人公に代わって感情表現をしてくれる助手は古今東西たくさんいる(エリナはちょっと違うが)。

そんな中でも、勝手に荷物持ちをして片っ端から所持品を落としてくれる柿っぱちはなかなか異彩を放っている。PC版ではいなかったんですよこいつ、覚えてますか?


まあ、置いといて。


サラダの国のトマト姫。アドベンチャーゲーム。1988年5月、ハドソンよりFC版発売。1984年に発売された同名の8ビットPC版タイトルの移植であり、「デゼニランド」からの路線であったシークワード式のゲームから、殆ど別物に近い程のアレンジが施されていた。

登場キャラクターは二人を除いて全員擬人化野菜、主人公はキュウリの戦士でお供は柿の少年「柿っぱち」、トマト姫からナスの護衛に至るまで、世界観はメルヘンチックに統一されている。当時、その特徴的なビジュアルから、女の子への人気も割と高かったという話を聞く。

特筆すべきは、どの場面をとっても素晴らしいBGMと「とんがった」部分の無い丁寧な語り口とビジュアルで、派手な印象こそないが非常に高いレベルでまとまったAVGだった。PCものの移植ということを考えても、そのアレンジ具合は「最適化」というにふさわしい。迷宮組曲と並んで、ハドソンオリジナルタイトルの傑作と評するべきだろう。

後述するが、ハドソンのゲームって、キャラクターもの(高橋名人含む)とそれ以外のゲームの出来の差が総じて激しい様に思う。ファンの方には申し訳ないが、私にはBugってハニーとこのゲームを同じメーカーが作ったとはとても信じられない。

画面写真を参照出来るサイト様があった。ちょっと引っ張ってみる。
サラダの国のトマト姫(ファミコン版)攻略チャート

取り敢えずゲームの話をしよう。



・「哀・ダイコーン」作曲希望(初音ミクボーカルで)

オープニング→1面のBGMの流れは神。

レジスタンスの曲もキャロット高原の曲も好きだが、このゲームのBGMの素晴らしさはなんといってもオープニングに尽きる。のどかで素朴な管楽器の音の裏で、ゆったりと流れる伴奏。そして、ゲームを開始すると青空をバックに平原が現れ、流れ始めるオルガン調の三色BGM。

迷宮組曲にせよ、「ドラえもん」魔境編にせよ、ボンバーマンのアイテムとった後の曲にせよ、ハドソンゲーのBGMというのは、時折物凄くピンポイントに私のツボをついてくるから侮れない。忍者ハットリ君のBGMアレンジにも度肝を抜かれたが(微妙な意味で)。以前、ハドソンゲーの多くのBGMに「迷宮組曲」作者の方が関わっているという話を聞いたが、サラトマもその内に含まれるのだろうか。笹川氏の最近の作曲を聴いてみたいものである。

最低でもサラトマオープニングの曲だけは、Midiサイトを漁ってでも一聴をオススメしたい。


と、サラトマは私にとって基本的に「音ゲー」であるのだが、勿論テキストにも語るべき部分はいろいろとある。

上で「とんがった部分がない」と言ったが、それは飽くまで語り口の話で。内容に目を移してみると、結構エキセントリックな展開が色々とある。

薬屋の店長イチジクであるとか、ヤサイ通りの浮浪者マイシェルとシャクソンの描写なんかも結構色々とアレだが、個人的にはサラダロアの町のキャバレーからトウガラシの水責めまでの展開も、子供向けゲームとしてはそれなりにエグかったと思う。あと、レジスタンス基地のブドウは割とグロい。


そして、エキセントリックといえばそれよりなにより「モビルヤサイスーツダイコーン」!白く輝くアイツを操り、襲いくるのは悪のモビルヤサイスーツ軍団とウォーメロン将軍。熱い。熱過ぎる。というかここだけなんかゲーム違いませんか。

モビルヤサイスーツに乗っていても戦闘はあっち向いてホイであることとか、戦闘が終わると伝説のモビルヤサイスーツがあっさり壊れることには目をつぶろう。っつーか、何でここでまで柿っぱちがじゃんけんをしているのか不思議でならない。いいけどさ。



・アドベンチャーゲームの変遷。


PC版との比較の話をば。

PC版の攻略をやっておられるサイトがあった。ちょっと紹介させて頂こう。

「サラダの国のトマト姫」完全攻略

以前ポートピア連続殺人事件の回でも書いたが、かつてのAVGは単語探しゲームだった。それを「コマンド入力による推理/総当りゲーム」に変えたのが、ほかならぬ堀井雄二氏のポートピアだった、ということになっている筈だ(実際にルーツがポートピアなのかどうかは私は知らない)

かつて「単語探しパズル」とでもいうべきゲームだったAVGが「コマンド選択型テキストゲーム」に変わったのは、当然のことながら次のステップへの助走距離だった。「単語探し」から「テキストを読む」というゲーム性の普及に成功した開発者が、より入力部分を減らした「ゲームの小説化」に辿り着くのは必然の流れだった筈だ。

私はエロゲーの歴史には詳しくないのだが、ポートピアの流れから最初に「コマンド選択の徹底的なスリム化→テキストの純増」という形式に辿り着いたのは、恐らく一連の18禁ゲームだったのではあるまいか。その後、それをもっとシャープな「サウンドノベル」という形にしたのが「弟切草」で、それがまたエロゲー業界に流れてリーフとかあの辺のゲームが生まれたということじゃないかと思っているのだが、残念ながらどうも資料がない。昔のエロゲーでそんな資料を見た覚えがあるのだが。


関係ないが、FC中期頃のAVGって「殴る」「叩く」コマンドが標準装備である様な印象がある。実際調べてみればそれ程でもないのかも知れんが、何でかなこれ。何故そこまで暴力的な印象か。さんまの名探偵のせいだろうか。



・ハドソン帝国の盛衰。

ハドソンも不思議なメーカーだったなあ。(過去形)


ファミコン最初期のサードパーティーとして、ハドソンの功績はすげー大きかったと私は思う。

PCものの移植や周辺機器の開発を原点として、「ナッツ&ミルク」や「ボンバーマン」などのオリジナル佳作アクションの流れから、かの高橋名人の登場→活躍に至るまで、ファミコン人気の内に占めるハドソンの大きさというものは論を俟たないだろう。

一方で、ゲームそのものの評価、及びその後の変遷という点で、ハドソンがナムコ・コナミといったメーカーに大きく水を開けられていることも事実である。

ファミコン最初期〜初期における立ち位置という点では、おそらくこの三社は拮抗、あるいは少年誌(というかコロコロ)とのタイアップなどの戦略で、ハドソンが若干上回っていたかも知れない。何故その後道が分かれたか。私自身は、高橋名人や一部キャラクターものの成功具合が大きすぎて、ハドソンが間違った成功体験を得てしまったからじゃないだろか、などと思っている。

「迷宮組曲」や「サラダの国のトマト姫」などを見れば分かる通り、ハドソンには良ゲーを作る力が十分にあった。しかし、実際に市場でばかすか売れたのは「ドラえもん(115万本)」「忍者ハットリくん(150万本)」であるとか、セガと裁判沙汰になった「高橋名人の冒険島(ミリオンは行ってた様な気がする)」など、人気のあるキャラクターを前面に押し出したゲームだった。

ここからハドソンが、「ゲームの作りに工夫するよりも、アニメや雑誌とタイアップして人気のあるキャラクターを極力引っ張る方が効果が高い」という教訓を得てしまっていたとしても、まあそれは不思議なことではない(そして発売されるBugってハニー)。 惜しい、実に惜しい。ちなみに、キャラクターを引っ張りまくるというハドソンの体質は、天外魔境や桃鉄などを見ても分かる。

まあ、ドラえもんはドラえもんでいいゲームだったけど。特に二面中盤の曲が。


迷宮組曲やサラトマの様な、キャラクターに走らない単発の佳作タイトルをリリースし続ける体制がハドソンに育っていれば、今のゲーム業界は多少違った姿をしていたかも知れない。つくづく、惜しかった。



と、長くなってきたので今回はこの辺で。一応関連エントリーを幾つか挙げておく。

レトロゲーム万里を往く その3 〜迷宮組曲〜
レトロゲーム万里を往く その4 〜ハドソン帝国の陰謀〜
レトロゲーム万里を往く その21 〜ボンバーマン〜

次回は引き続きタイトル関連のお題になりそうな予定です。



posted by しんざき at 19:31 | Comment(0) | TrackBack(0) | レトロゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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