ところで私は横シューターである。
まず、用語の話から始めよう。一般的な2Dシューティングゲームには、ざっくり分けて二種類のカテゴリーがある。
一つが画面が縦に流れていく「縦スクロール型シューティング」いわゆる縦シュー。例えばゼビウス、ツインビー、ザナックなどなどを始め、究極タイガーやら19XXやらバトルガレッガに至るまで、古今東西色々ある。
一方、画面が横に流れていく「横スクロール型シューティング」いわゆる横シュー。古くはコナミの「スクランブル」やグラディウスを草分けとして、いわずと知れた「ダライアス」からエリア88、中華大仙だの戦国ブレードだのプロギアの嵐に至るまで、こちらも無数にある。多分タイトル数で言うと縦シューに遠く及ばないとは思うが。
縦シューに「打ち込み型」のゲームが多いとするならば、横シューには「パズル型」のゲームがやや多いかも知れない。何でかというと、横シューには上下に地形というものがあるのが基本的な形(グラディウスで既定路線となった)であって、その地形がゲーム性と大きく絡むからだ。地形をかわしながら敵を倒していく部分に細かいテクニックが要求されることが多い。
で、私はシューターとしては、前者の縦シューよりは横シューを好む、若干マイナーな部類の人であって、ついでに私が横シューの世界に引きずり込まれたのが「R-TYPE」からだ、という話なのである。
話は変わる。
突然変異、という現象がゲームの世界にも稀にある。
どう考えても進化の系統樹から外れたタイトル。普通に考えるとその時代に生まれる筈のないオーパーツ。ゲームというものは多かれ少なかれ既存のゲームになんらかのアレンジを加えて生まれるものなのだが、その「アレンジ」が一定以上の閾値を超えるとそれは「突然変異的ゲーム」と評される。
そして、この「突然変異的ゲーム」は二種類に大別される。突然変異してみたけどうまくいかなかった、いわゆる「早過ぎたゲーム」「突飛なゲーム」と言われる奴と、突然変異してうまくいった、いわゆる「斬新な名作」という奴。当然前者の方が多い。
私が思うに、前者の代表格というとバンゲリングベイだろう。まだファミコンのタイトルがろくに出揃っていない段階で発売された戦略フライトシミュレータ、これはどう考えても早過ぎた。
あと、多分あまり知られていないと思うが「ブリーダー」なんてゲームもある。ロボットのパーツを組み合わせて、動きのロジックをプログラミングして戦うというまんま「アーマードコア」の原型的ゲームなのだが、ディスクという媒体であることも手伝って見事にどマイナーである。
じゃあ後者にはどんなゲームが当てはまるかというと、これが意外に難しい。どんな名作であれ、多かれ少なかれ斬新な視点を持っているものだし、多かれ少なかれある種の「ご先祖様」をもっているものだ。
例えばドラクエは画期的な名作だが、ウルティマや一部のPC畑RPGの存在を考えると、ゲームの歴史から見れば突然変異とまでは言えないかも知れない。グラディウスにもゼビウスにも同じことが言える。とはいえソロモンの鍵は突然変異的名作なのかも知れないし、キャプテン翼やバーチャファイターもそうなのかも知れない。要はけっこーファジーな話なのだ。
それを承知の上で断言してしまうのだが、「R-TYPE」はシューティング業界における突然変異である。
「R-TYPE」。横スクロール型シューティング。1987年、アイレムよりアーケード版が発売し、物凄い勢いでヒット。その後PCエンジンのキラーソフトとして移植された後は、しばらく他のメジャー家庭用機には移植されなかった。
R-TYPEのどこが突然変異か。勿論、アイレムのお家芸である緻密な書き込みを基調にしたグラフィックであるとか、巨大戦艦であるとか波動砲であるとか反射レーザーであるとか衝撃的な部分は色々あるのだが。
基本的には、話は「フォース」に集約される。
R-TYPEの自機「R-9」は基本的に脆い。グラディウスなどと違ってバリアがつくわけでもないし、当たり判定も大きいので敵の攻撃が激しくなると割と一瞬で死ねる。それを助けてくれるサポート的存在が「フォース」で、アイテムをとると自機につかず離れずのオプションとして出現する。
フォースは敵弾を消すシールドとして用いることが出来るし、装着すれば反射レーザーや対空・対地レーザーなどの強力な攻撃が可能になり、自機から離して別の位置で攻撃させることも任意に出来た。非常に高機能かつ融通が利く代物だったのである。
R-TYPEはフォースに始まりフォースに終わる。この「着脱可能なオプション」はありとあらゆる場面で縦横無尽な活躍を見せ、プレイヤーにも使いこなすスキルを要求し、ゲームの深度をとてつもないレベルまで高めることに成功した。自機+αという、言ってしまえばたったそれだけの要素で完全に「グラディウス」の束縛を破壊した、それこそが「突然変異」の理由である。
演出面も凄まじい。ゲームスタート時の無闇に盛り上がる音楽に始まり、エイリアンめいた生物的な敵キャラ群と硬質な世界観の融合。前述したばかばかしい程の緻密な描き込み。序盤のクライマックス、ステージ全体を占めるボス「巨大戦艦」などなど、ものすげえ完成度の世界観がプレイヤーの前に出現する。難易度は何の遠慮会釈もなしに高いが、その世界観に魅了された数多のプレイヤーが、次々横シューの世界に引きずりこまれることになるわけである。ちなみに私もそうだった。
余談になるが、上に書いた通りこのゲームの難易度は凄く高い。そして自機は凄く脆い。よって、終盤のステージで死んでしまうと、敵の激しい攻撃に素っ裸の自機、という割と「終わった」状況になる。
この状況から元の状態までパワーアップすることを「復活」と呼び、極まった人の復活パターンは殆ど芸術であったらしい。私なんぞは全然そのレベルには達していないが(終盤で死ぬと詰む)、一度そのパターンをみてみたいものだ。
横シューとして初めて「グラディウス」を越えたタイトルは、もしかするとこのR-TYPEなのかも知れない。
2005年08月19日
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全機体を出しきれていない・・・。
縦シューの「パズル型」として、クォースを推したい!!
シューティングぢゃないですが、3画面横スクロールの忍者ウォリアーズが好きでした。 あと、ベラボーマンとか。 当時、100円玉を何枚使ったか分かりません。 でわでわ。
R-TYPEだとLEOが好きだったなぁ。
一番お気に入りはレィディアントシルバーガン。
これとデスクリムゾンしかサターンのゲーム持ってないや。
こんばんは。無事にお帰りのようでお疲れさまでした。
> R-TYPE
私のPCエンジン思い出のベストゲームに挙げたいくらいです。
1はクリアーできるけど、2は無理です。激ムズですよ。
ゲームボーイ版はハードの制限も何のその、良く出来てました。
> 忍者ウォリアーズ&ベラボーマン
こちらもPCエンジンの名作でしたね。
良くやりました。ベラボーな頃のナムコ大好きデス。
> クォース
これまたゲームボーイ版で猿のようにやり混みました。
中高生の頃だったかなぁ。
> デスクリムゾン
2をDC本体ごと購入しましょう!!!
ビミョーに遊べる完成度で高感度大幅ダウンですが。
それでは、失礼しました。
セガマーク3版やMSX1版がありましたね
む。私、実はR-TYPE FINALに
>えっけんさん
認定しました(何 クォースには打ち込み感もあってなかなかいい感じですね。惜しむらくは敵が弾を撃ってきませんが。
>TAKOさん
R-TYPEは、たまーに無闇にあのオープニング音楽が聴きたくなるんですよね。ちなみに私は反射レーザーuserでした。
>あと、ベラボーマンとか。
私はベラボーマンだけの為にPCEを所持していましたよ(えっへん
帰って参りました。ありがとうございます。
>1はクリアーできるけど、2は無理です。激ムズですよ。
2はアレ、どー考えても普通の人がクリア出来る様に作られてないですね。最初からあれって一体。
1も、普通にクリア出来る時点で物凄いやりこみ具合だとは思います。
>とむさん
情報ありがとうございます。あれ、マーク3にも移植されてたんでしたっけ。
なんの関係もないですが、X68000はマイナー機の内に含むんでしょうか。
>ぷえるさん
そういえば、雑魚敵にもキュベレイっぽいのがいた様な気がします。なんか影響受けてるんでしょうか。
おそらく一番出荷本数が少ないでしょう。
出来はとてつもなく良かったのですが・・・。
PC-88ッ!?Σ(・口・) それは知りませんでした。素で。
あれも8ビット機なんですよねえ。AVGは少し知ってるんですが。
X68000とほぼ同時期に発売された機種で、どちらかというとPC-98に近い設計(CPUがV30の上位コンパチ版だったり、拡張バスが98と同じCバスだったり)なんだけどスプライト機能があったり、多色表示(65536色)ができたりとゲームに強い、88でも異色な存在でした。
何故か何度も書き込まれちゃいました。
消しておいていただけますか。m( __ __ )m
おわ、私勘違いしてましたね。情報ありがとうございます。正直PCゲーは9821Ap2くらいから始めたもので、けっこー疎いです。
Cバスという言葉にエラい郷愁を感じてみたりとか。ローカルバスはいずこ。
『FINAL』がかなりナニだったせいか、俺のあのシリーズは『凵xで終わってます。
03年の家庭用のSTGって(廉価版による再販を除けば)、『FINAL』と『ボーダーダウン(ボダソ)』、そして『超兄貴』の3作だけしか発売されてませんでしたが、個人的にランク付けすると、
1位、『ボダソ』。
2位、『FINAL』となりますかな。『超兄貴』は論外です。
『ボダソ』は元タイトースタッフの制作だった事もあって、違和感無く遊んでいられた記憶があります。曲も『メタルブラック』のYack氏が手掛けたものだっただけに、03年のベストタイトルに勝手に決定してます(笑)。