武者ゼータを倒せる気がしない。
おかしい。何かがおかしい。私が得意とする戦術は元来遊撃戦であって、主戦線から外れた所でこっそり百式やR=ジャジャ辺りを進軍させておいて、長駆敵の本陣をつくのが勝ちパターンであった筈である。百式級が3体もあれば、昔なら勝負はついていた筈なのだ。
ところがどうだ、百式3体はビームナギナタとファンネルの前に一矢すら報いずに圧殺され、敵陣のガチャベースで急遽生産してきたドライセンは敵のバリアを外すことも出来ずに2秒で瞬殺、あまつさえνガンダムすら余裕で食われた。これは一体どんなチートだ。それとも武者Zにダグラス・カイエンでも乗っておるのか。続き描け、いや描いてください永野護。
まあ分析するに、今考えるべきは「私がファンネルつきのMSにからきし勝てなくなっていること」ではなく、「「作戦名星一号」というマップに何故ギラドーガがわらわらひしめいているのか」ということですらなく、百式やリックディアスが自力で大気圏を離脱出来るのはちょっとどうなんだ、ということなのである。いや、私が知らないだけで、ちょっと根性入れればザクでもグフでも大気圏の一つや二つ離脱出来るのか知らんが。
ということで、今回は一見するとガンオタっぽい用語が飛び交いますが、すいません、実はしんざきあんまりガンダム見たことがありません。私の知識は基本的に、ゲーム版のSDガンダムシリーズとWikipedia由来です。なるべくボロが出ない様気をつけて知ったかぶります。
「SDガンダム ガチャポン戦士2 カプセル戦記」。シミュレーションゲーム+アクションゲーム。1989年、バンダイ(現バンダイナムコゲームス)より発売。これに先立ってディスクで発売されていた「ガチャポン戦士 スクランブルウォーズ(1987年)」及び「マップコレクション(多分1988年)」のROM版であり、ほぼファミコンにおけるSDガンダムの完成形だったと言ってしまって間違いないだろう。
とかく、ファミコンにおけるバンダイ作品というものは、巨大な売り上げに比して完成度の低さを指摘されることが多い。その理由の一つに、雑誌やアニメとタイアップしたキャラゲーが中心であったことが挙げられるだろう。タイアップものというのは例外なく旬が短く、大体の場合開発期間にしわ寄せが来る。結果、粗製乱造との非難を受けやすいペースになりがちである。ファミコン時代のキャラゲー・芸能人ゲーに、作りこまれたタイトルが非常に少ないことは周知の通りだ。
だが、「カプセル戦記」はそういった中でも例外的に、非常に高い完成度と奥の深さを有していた。というか、バンダイの歴代ファミコンゲームの中でも、殆どぶっちぎりトップの完成度だったのではないだろうか。この完成度は、後のSFCタイトル「SDガンダムX」や「SDガンダムGX」に受け継がれ、一方ではバンプレストからの「スーパーロボット大戦」シリーズにも影響していると思う。
まずはゲームの内容にいってみよう。
・そこにあったのは、ガンダム版大戦略。
当時のバンダイに、天才が一人いた、と思う。
ゲームとしての「ガチャポン戦士」は、基本的には「大戦略をガンダムでやってみました」という一言で表現出来るゲームである。ヘクス(六角形)ではなく四角の升目であるという違いこそあれ、ターン制、ユニットの生産、進軍と占領、間接攻撃と、そこには大戦略にあった要素が大体用意されている。
最大の違いは戦闘である。
ファミコンウォーズがそのまま踏襲した、「プレイヤーの手は介在しない数値戦闘」という手法を、ガチャポン戦士はとらなかった。ガチャポン戦士が取り入れたのはアクションゲーム。戦略要素など知ったことかと言わんばかりの、モビルスーツ同士の一騎打ちアクションが、SDガンダムシリーズのまさに中核となったのだ。
このシステムと「SDガンダム」という舞台が、神がかり的な好相性だった。
各モビルスーツの差別化の材料として、「持っている武器が強いかどうか」「実際に動かしてみて速いかどうか」という以上のものはなかった。戦闘フィールドを縦横無尽に暴れ回ることは、実際にプラモを動かして戦わせている様な「おもちゃ感覚」を実現し、一方でパイロットとしての気分を味わえるゲーム素材として絶好だった。
足が遅いけれどバカみたいなミサイルの威力を誇る「パラス=アテネ」であるとか、ビームナギナタを駆使して大物を食う「ゲルググ」「ドライセン」であるとか、上級機キラー「エルメス」であるとか、色々なMSを動かす楽しみというのも、アクション画面あってのものだったといえるだろう。
画面上でモビルスーツ同士が全自動射撃戦をやっているだけでは決して味わえない面白さが、そこにはあったのだ。そういう意味では、後の「SDガンダム3」以降のタイトルが、この「おもちゃ的アクション」を排除してしまったことは残念と言う他ない。当時も余り評判はよくなかった様に思う。その一方で、「SDガンダムX」が「最大3vs3」という予想外の形でこのアクションバトルを導入してくれた時には、何人もの旧作ファンが快哉を叫んだことだろう。
ちなみに、「生産・進軍」という要素自体も、「SDガンダム」との相性が非常に良かったと思う。ドズル・ザビの信念の如く低予算モビルスーツを量産するも良し、ZZガンダムやサザビーを主軸にした少数精鋭部隊を構成しても良し、この辺は人それぞれで実に面白かった。
まあ、どれだけ戦略的な勝利を満たしてもアクション画面で勝てなければどうしようもない訳で、そればっかりは対人戦でどうにもならないハンデではあったが、カプセル戦記では戦闘をCPUに肩代わりしてもらうこともデフォルトで出来た筈である。ディスク版では裏技だった。
・ハマーンとシャアとバスクはまあいいとして、マ・クベ浮いてね?
一人だけムンクだし(多分アニメ版のネタなんだと思うが)。
カプセル戦記は、ディスク版からの大幅なパワーアップ要素を幾つも謳っている。動かせるユニット数の増加、モビルスーツの種類の増加、モビルスーツの攻撃方法の増加、生産拠点の増加(ガチャベース)と、色々と増加三昧な訳ではあるが、CPUの思考速度が大幅に加速されていることは評価してしかるべきだろう。
ディスク版のガチャポン戦士は、「カンガエテマース!」の言葉と共に1分2分待たされるのはザラで、その割に動かせるユニットは3機まで(書き換え版は6機だったっけか)だったので、一回のゲームには非常に時間がかかった。それに対しROM版のカプセル戦記は、戦闘画面での読み込みもなく、CPUの思考速度も速く、ゲーム自体が非常にスムーズだった。ディスクの敗北を強く印象づける、一つの象徴的なタイトルであるともいえるだろう。
まあ、CPUの思考ルーチン自体は割とおかしなことになっていて、前線の上の方に鬼の様に戦力を集中させている一方、下の方はガラ空きだったり、毎ターン欠かさず戦艦の遠距離攻撃を使ったり、時として平気で行動可能回数を余らせたりする。
だからこそ冒頭で書いた様な遊撃戦法が成立する訳ではあるが、戦闘でのCPU自体は結構強い。私の対戦相手はデフォルトでシャアだが、彼の射撃精度は流石赤い彗星と言うべきものである。ただ、パターンにさえはめてしまえばザクでもグフでも、敵のボスである武者Zを倒せる様である、筈なのだが、そのパターンのハメ方を完全に忘れてしまった。ガチでやると強いですよ武者Zマジで。νガンダム量産しないとダメかも知れん。
・OPの音楽は結構名曲だと思う。
カプセルが開く「カポッ!」って音と共に、結構耳に残ります、アレ。
youtubeを漁ってみたら、最初だけだけど動画があった。お暇な方は見てみるのがいいのではなかろうか。
SDガンダム ガチャポン戦士2 カプセル戦記 MS紹介
エンディングはこちら。
SDガンダム ガチャポン戦士2 カプセル戦記 エンディング
カプセル戦記には全部で30のマップが用意されているのだが、どのマップもバラエティに富んでおり、その点でも完成度が高かったと思う。定番なんだけどよく考えてみるとどんな地形なんだかよく分からない「2大ワクセイ ゲキトウヘン!」であるとか、タイトルからそのまんま発想されているとしか思えない「宇宙ノ渦」であるとか。
「NEW HONGKONG」でサイコガンダムが生産出来るとか芸が細かい点もある一方、「キリマンジャロ ノ アラシ」でどういう訳かZZが大活躍だったりするのだが、まあ深く考えると知ったかぶりがバレそうだからやめておこう。
余談だが、私は当時、ファミマガのアンケートか何だかに応募して、抽選で1000名様だか何だかの「スクランブルウォーズ 特集ビデオ」とかいうものをもらった。おそらくメーカーの販促品だったと思うのだが、内容はSDガンダムのキャラが10分ばかりゲームの紹介を行う、だかなんだかというものだったと思う。アレ、実際はどれだけ出回ってたのかしらん。気がむいたらダンボールを引っ掻き回して探してみる。
カプセル戦記について、参照URLはこちらを。すげー参考になります。
ガチャポン戦士2 カプセル戦記
ということで、随分長くなったので今回はこれくらいで。次回はまたタイトルものかなあ。
2007年12月05日

この記事へのトラックバック
>たぶんほとんどのユニットのA, B, ABの武器が何だったか、今でもほとんど空で言えますね。
覚えました覚えました。昔だけど。ジオン系のMSはグレネードが多いんだよね、とか、どうも実際には間違った知識みたいなんだけど、今でも印象にあります。
>弱いCPUはいったん近づけばサーベルで切りまくるだけでどんな奴でも倒せた覚えがあります。
私もそう記憶してたんで、試しにと思って百式でバウンドドッグとかに突入してみたんですが、余裕で撃退されてしまいました。なんだろう、腕が鈍ったんだろうか。
ただし障害物が多いところ限定で。
何より、戦闘がアクションなので、
勝った負けたがすごく説得力ありました。
何せ当時ちびっ子でしたからね。
私も文句なしに同意です。
戦艦とMSが殴りあいするのは
この世界だけだと思います。
個人的なお気に入りMSはドライセン、カプール、サザビーでした。
>対CPU最強兵器はグフだと思う。
あー。ヒートロッド最強伝説ですね。
ビームナギナタも相当強かった覚えがありますが。
>名無しさん
>勝った負けたがすごく説得力ありました。
戦術の勝ち負け、というよりアクションゲームの方が分かり易いんですよね。
>そうてんさん
>戦艦とMSが殴りあいするのは
この世界だけだと思います。
レウルーラとザクがガチのタイマンやってるのって、よく考えると凄くシュールな構図ですよね。
グフ強いですよね、多分ガチでゲルググくらいまでなら勝てる、2・3体つぎ込めばかなりの上級MSでも勝てるからコスト的に最強。
ビームナギナタはディスク版1だと強いですが、ROM版2だとだいぶ弱体化してると思います、とにかく威力が低くて相当腕がないと切り負ける、巧い人だと強いんだけど。
後はオススメはムサイでしょうか、移動に砲撃に戦闘にと猛威を振るえます。
特にCPUはビームを避けるのは巧いけどミサイルを避けるのが下手なので、ムサイあればほとんど押し切れるはず。
序盤のグフ、中盤のムサイ量産がこのゲームの肝だと思う。
後半はファンネル系ならまあ値段相応でなんでも。
それから、バウンドドッグがハメ難いのは拡散ビーム(ファンネル系やバルカンも)は予備動作なしで打ってくるから、CPUだと詐欺くさい連射してくるせいかと。
弱いCPUでも拡散持ちは強いですが、シャア辺りに使わせると手がつけられません。
シャアの使うバウンドドッグは下手すると最強クラスのMSつぎ込んでも負けます。(後は戦艦のバルカンに巻き込まれたり、武者Zのファンネルもたまにヤバイ連射してくる)
なんにしろ、今でも相当面白く遊べるし、やっぱガンダムゲームの中でも最高峰の一つですね、このゲーム。
>それから、バウンドドッグがハメ難いのは拡散ビーム(ファンネル系やバルカンも)は予備動作なしで打ってくるから、CPUだと詐欺くさい連射してくるせいかと。
おお、なるほど。そういえば、CPUの射撃連射はエラいことになってますよね。
ファンネルがあればどうとでもなるんですが。
>なんにしろ、今でも相当面白く遊べるし、やっぱガンダムゲームの中でも最高峰の一つですね、このゲーム。
おっしゃる通りだと思います。
友達とビームナギナタを「太陽拳」と呼んでいた気がします(笑)
初めて触ったシュミレーションゲームがこれだったので、続編でアクション要素がなくなった時は悲しいというか状況が理解出来ませんでした…
このシステムはゲームバランスを取るのが大変で続かなかったんですかね?
アクションならではの一戦一戦の緊張感がたまらなかったんだけどなぁ…またやりたい。