ちょっと思うところがあったのでメモ。
バリバリ働いて出世するのが良い人生とは限らないというゆとり的な風潮も手伝ってか、特に仕事で評価されることも求めない。そういえばそうだったなー、と思った。色んなところでずっと語られてきたことだと思うんだけど、すとんと腑に落ちた。
大きな企業に入って働いてー、出世してー、という「いわゆる成功のビジョン」が色んなところでぶっ壊されてきたなあ、と。自分がやりたいことをしよう、と言われ続けてきたなあ、と。
「働いて出世するのが良い人生とは限らない」というのは実にその通りだ。自分がやりたいことをやれ、というのも全くその通りなんだが、実際の所、やりたいことが特にない人というのも、どうやら世の中には割といる。
そういう人の為には、「やりたいこと」を無理やり考えさせるよりは、「いわゆる成功のビジョン」というのを一応提示してあげた方がずっといい。「いわゆる幸せのビジョン」というものを見せてあげた方がずっといい。目標があるかないかでは楽しさが違う、という意味では本人の為でもあるが、むしろ本人よりも周囲の人々の為に。
「取り敢えず目指すもの」があり、その為にパワーを使ってくれた方が、周りに迷惑をかけないで済む。冒頭リンクの様な満たされない社会欲に悩まされることもないし、時には周囲にその成果をフィードバックしてくれたりもする。周囲の為なのだ。
そこんとこを誤魔化して、「本人の本当の幸せの為に」という口当たりのいいお題目の元、無理やり「やりたいこと」をひねり出させようとしたって、そりゃ上手くいかないだろう。やりたいことっていうのは、デフォルトで誰にでもあるものじゃないんだから。沸いて来るときは勝手に沸いて来る、そうでない時はいくら掘っても出てこない、そんなものなんだから。
いわゆる付の「成功のビジョン」というものが社会の共通認識として存在すれば、それはある種の受け皿として働く。別にそれが人生の唯一解だなどと主張する必要はない、ただ「そこにある」だけでいいのだ。「デフォルト値としての目標」が存在すればいい、ということだけ。
「好きなこと」「やりたいこと」というものは、多分温泉に似ている。どこを掘っても吹き上がってくる人もいれば、掘っても掘っても出てこない人もいる。デフォルトで「やりたいこと」を常備している人には、その辺が理解しにくいんじゃないかと思うことがある。
多分、私も、気付かなかったのだ。
子供に何を伝えようか、気が早い話だが、ちょっと迷う。彼は「沸いてくる」人だろうか。それとも、幾つか分かりやすい例を示してあげた方がいいのだろうか。少なくとも、「沸いてくる」ところに変な蓋を被せてしまう様な、そんなことだけはしたくない。
息子を顔の前にもってきて、お前は将来何がしたいんだろうなー、と話しかけてみた。しかめっつらをして、「んまーー」と言った。
目下彼は母乳が飲みたいらしい。
今日も母は、
泣きの要求が出るまで何もせず待っておるのであります!
今日も今日とて彼の「んまー!!」の声がこだまする…。
(いいのかそれで…!?)
その形をどう取らせるか。上手く取らせないと犯罪や世間に迷惑をかけることになるのは同意。ただ、「いわゆる成功のビジョン」に納得できるなら多分そんな問題は起こらないと思う。出来ないからこそ、鬱屈した日々を送っているのじゃないかな。
ま、テラ牛丼はそういったこととは無関係で、昔からあるモラルハザードの一種だと思う。ニコ動で認められたいのは立派な目的だし、仕事より重要でも構わないけど、やってはいけないことがわからない馬鹿だっただけの話。
いずれにせよ、世界は共通解を持たない。だから人生は過酷で、同時に救いがある。願わくはYour Babyが上手くやっていけるような才能を持っているといいな、と思う。
>今日も母は、泣きの要求が出るまで何もせず待っておるのであります!
下でコメント頂いているが、将来息子さんがこのコメント読んだらどんな感想をもつかガクブルです。
>えー、彼が自分の中の要求に気付いて&外に出せるよう
現状で既に要件が満たされている件。
>g3閣下
>やりたいことが無い=欲求が無い。そんな人が本当にいるとは思えないけど。定義の違いかもしれないが、結局欲求を目的という形にする能力がないだけの話じゃないかな。
やりたいことが無い、じゃなくて、「やりたい仕事がない」の方が明確だったかな。実際には仕事よりももうちょっと広い範囲を包括したかったから「やりたいこと」って書いたけど。
「欲求を目的という形にする能力がない」という表現は、そうかも知れないと思った。そういう人は多分結構いる。
>ただ、「いわゆる成功のビジョン」に納得できるなら多分そんな問題は起こらないと思う。出来ないからこそ、鬱屈した日々を送っているのじゃないかな。
いやあ、それはタマゴニワトリ問題だと思うな。いわゆる成功のビジョンを選ぶかどうかはともかくとして、納得出来ない様にしたのは後天的な問題じゃないかと思う。「会社で出世するのが幸せとは限らない」っていう後天的な周囲の声。
>ま、テラ牛丼はそういったこととは無関係で、昔からあるモラルハザードの一種だと思う。
それはそうかも。
>ROM君さん
息子バレしない様気をつけます。
そして今も。
ただ闇雲に言葉にされる「夢を持て」「目標を作れ」「やりたいことを探せ」に漠然と反発してたね。
結果ただ自分がイヤでないことをしたい、という目標に僕は辿り着いたが、実際何にも辿り着いた実感を持てなくて悶々してる人はいっぱいいると思うよ。
子供が産まれたら、考えることに抵抗を覚えない事を伝えたいね。
>ただ闇雲に言葉にされる「夢を持て」「目標を作れ」「やりたいことを探せ」に漠然と反発してたね。
そういう言葉が、一時期いろんなところで氾濫してたなあ、と思います。
言葉自体に罪があるとは全然思わないんだけど。
>子供が産まれたら、考えることに抵抗を覚えない事を伝えたいね。
いい言葉だなあ。
だらだら底辺で暮らしたいという。
そんな強い欲求ではなくて、なんとなく。
なので、「いわゆる成功のビジョン」というのが僕を苦しめますね。
俺こんなんでいいのか?
社会に出てバリバリ働いてお金を稼いで上を目指すべきじゃないのか!(やりたくないけど)
僕と同じように、だらだらと底辺で生きたいと思う人の割合が増えたら
「成功のビジョン」が逆に足枷になって動きが取れなくなるんじゃないかと
思いついたのでコメントさせてもらいました。