2008年03月04日
ある漫画雑誌編集者さんから愚痴を聞いた話。
ちょっと気になることがあったので、許可を受けてメモ書きする。
以下、とある少年漫画雑誌の編集者さんの愚痴。
漫画の展開に関する「企画書」が送られてくることは結構頻繁にある、という。読者からである。
企画書というのは読んで字の如くで。通常のアンケートの様な内容を遥かに越えて、「○○はどうすれば面白くなる」「こういう展開にすると面白い」といった「企画」を、編集部に送りつけてくる読者さんがしばしばいる、という話なのである。
単なる他愛ない中二病かというと、まあ99.4%くらいはそうなんだろうと思う。とはいえレベルは案外天から地まであり、どこからどう見てもノートの裏表紙の落書き、というレベルのものもあれば、実はよその出版社の編集者なんじゃねえか、と思うくらい体裁の整ったものも稀にあるという。
どんなものであれ、殆どはその作品への愛から書かれたものだろうし、参考になることも(極めて稀に)あるので、基本的には「ファンレター」として扱うそうなのだ、が。
なんか、「このキャラを殺すと面白くなる」という「企画」をすげー勢いで送りつけてくる読者さん、というのがいるらしいのだな。どんな死に方をさせれば作品が感動的になるー、とか。これこれこういう場面、こういう描写で殺すべきだー、とか。
ありゃ、と思ったのは、最近3人くらいの別々のルートから、数ヶ月毎くらいに同じ話を聞いていたからだ。雑誌はバラバラなので、継続的にどの雑誌でもあることなのか、ここ最近の傾向でもあるのか、あるいは一人の読者さんが偏執的に暴走しまくっているのか、その辺の所は良くわからん。昔から良くある話なのかも知れん。ただ、偶然それを目にした作家さんが結構へこんだ、という話を聞くと、むうと考えこんでしまう。
以下、幾つか考えこんだこと。基本的に未整理。
確かに、「キャラクターが死ぬ」という場面を描写するのが上手い漫画家さん、というのは、いる。でも、それは飽くまで「○○を作品から退場させる」という覚悟をした上での演出なのであって、読者がそれを求めるのは結構えぐいよなあ、とか。
作家さんは当然自分のキャラクターには愛情をもっている訳で、そういう言い方をされるとへこむ人もやっぱりいるんだなあ、とか。(新谷かおる辺りはどうか知らんが)
読者には、「作家さんに自分の言葉が届いた時の影響」まで考えてファンレターを出すべきなのだろうか、とか。まあ普通はそんなこと考えないよなあ、とか。
そもそも「○○を殺すと作品が感動的になる」なんて思考に、どんな経緯を辿れば辿り着くのだろう、とか。
深く考えると色々テーマがありそうなので、その内また検討してみる。以上、メモ。
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まるで死のバーゲンセールだな……
Excerpt: 「死のインフレ」なのか「死のデフレ」なのか、経済用語に疎い僕にはどっちなのか分からなくなってしまったので……親戚縁者全員が超サイ...
Weblog: やまなしなひび−Diary SIDE−
Tracked: 2008-03-08 19:08
普段は止めてる筈なんですけどね。ただまあ、時期を考えて頂けば分かると思うんですけど、不可抗力というのもあるのかな、と。ミスではあると思うんですが。
手塚治虫先生の発言そのままじゃないかー
最後で殺す→盛り上がる
もともと、作品のタイトルから、
そういうものなんだろうな〜と。
単純に感情移入して没入するというよりも、評論家的、ないしプロデューサー側っぽい感覚を持って、一歩引いて作品をみているということでしょう。
巧拙はともかく、感覚としては通というか。
退場してもらいたいけど、編集やファンがそれを許さないとか。
私としては絶対に死なない(負けない)ってのは緊張感無いんでイマイチなんですが。
単行本の一巻と最終巻読めば満足しちゃいそうです。
「○○を殺して盛り上げるべき!」というメールと
どっちが進化或いは退廃なのか
決めるのは結局個人の感覚なんじゃないかな
アイドルの追っかけでも全国のコンサートに顔を出すのなら許せても、自宅にまで押しかけられたらストーカーになる。
常識の範囲を逸脱した企画書ってのが送られて来ているんじゃないかな?一度見てみたい。たぶん二度と見たくなくなるだろうけど。
ようするに「そこまで書くならてめえで書け」といいたいんじゃないかと。出来るならそっちでどうぞって感じだわ、俺がその立場なら。
結局「他人の土俵」でしか相撲が取れない「二次創作」って事に気付いてない痛い人。でかい口叩くなよと言いたい。
作品は確かに作者と読者が居て成り立つけれど、「物語」はあくまで「作者」のもの。受け手はその与えられた情報に一喜一憂すればいい。だって「物語」だしね。
なん・・だと・・
反応してくれた人の意見を読んだけど、そういや「泣きゲー」の影響ってどっかにあるのかも知れないですな。
ブリーチは最近あんま読んでないですが、この前チラ読みしたらなんか剣八さんが戦ってたからきっと剣八さんの勝ちなんじゃないかと思います。相手は知らない人でした。
「キャラを殺したらおもしろくなる。」というような意見はもったことないですね。
だいだい、こうしたらもっとおもしろくなるのに・・・。という感想をもったことがなかったですね。良いものは良いというか。
新谷かおるさんってエリア88の作者ですよね。
兄が持っていて、何回か読んだことあります。
なつかしいな〜〜。
そうですねー。キャラの死の描写が上手くて、結果として感動を呼ぶことはあるかもですが、読者がそれを望むってやっぱちょっと違う気が。
>エリア88
最終巻の怒涛の展開は必見です。
この投稿者はともかく、日本人は死を美化する傾向があるようで
宇宙戦艦ヤマトの海外のファンから
みかたキャラの死が受け入れられないという反応があったと聞いたことがあります
>宇宙戦艦ヤマトの海外のファンから
みかたキャラの死が受け入れられないという反応があったと聞いたことがあります
ああ、海外の読者さんとの意識の違い、みたいな分析は面白いですよね。
宗教観があんまり土着してない方が、「死」というのを演出として素直に受け取れる、ということはあるのかも知れないなあと思いつきました。いいか悪いかは別問題ですが。
殺さないと、返答しておきながら、皆殺しに
作者がしたと言うのは、本当なのだろうか?
ちなみに、特攻は日本独自と思われていますが
第二次大戦日米戦で最初に特攻したのは
実はアメリカ艦載機の日本空母への体当たり。
>エリア88は殺さないで、と言う読者の要望に
殺さないと、返答しておきながら、皆殺しに
作者がしたと言うのは、本当なのだろうか?
どーなんでしょ。「皆殺しの○○」とか自称しちゃうくらいだからなあ。
特攻の話は知りませんでした。勉強になります。
なんて意見、ネットでもよく見かけますねえ
でもその時は盛り上がるかもしれないけど長い目で見たらどうなのって場合も多々あるような・・・
笑いました。
「死ねば泣ける」っていうのは「安直」の一言ですね。
最近の日本映画の難病ブームなんか目も当てられない状態でしたし。
特に日本では「自分が感動した」のではなく「周りがそうしてるんだしそう感じなければいけない」という風潮も少なからずあるので
死の描写が上手い作家というのはそのキャラクターの人生をどれだけ上手く描写できたで決まる事が多いと思います。
パッとでのキャラに悲しい過去があったなんていっても読者はいまいちピンと来ないだろうし
何より死の描写を嫌うのもいるはずです。
ワンピースなんかは今まで主要人物を現在系で退場させないことで有名でしたが
10年位前から登場した主人公の兄を物語から退場させました。
この世界観じゃ死人はでないよなー→主人公の兄が死亡。
かなり効果的な演出ですよね。
最近は全く読んでませんがブリーチなんかは
致命傷を受けて倒れた→生きてた
なんてパターンを主要キャラ一人に3回ずつ位あるもんだから
どうせ生きてるんだろと、なり
仮に死んだとしても「これで死んだの?」とどうにも味気ない方向にしか演出が向かっていない気がします。