で、話はここからな訳で。
Wizardry話はちょっと置いといて、少し「集めるゲーム」話をしてみたいと思う。前段は昨日のエントリーを参照して頂きたい。「集める」と「育てる」の内、まずは「集める」の方に照準を合わせて進めてみる。っつーか、考え始めると結構底なし沼な気がしてきたこの話。長いのでお暇な時に。
取り敢えず前提条件から拾ってってみよう。
・ゲームにおける「面倒」論。
まず前提。
別にゲームに限らないのだが、遊びの最大の敵は「飽き」及び「面倒」である。
人間のエネルギー保存欲求は元来かなりの強さで、「面倒くさい」という抑制はどんなことに対してもひじょーに強い。どんなに楽しい遊びでも、「面倒」の方が上回ってしまうと大抵の人は楽しめない。更に「飽き」が入ってくると「面倒」は増加する傾向にあり、面倒くささに対して「飽きた」がアクセルをかける、という様な構図になる。
ゲームに関しても当然これは同じで、世の中の全てのゲームは「面倒くさい」に勝たないことには売れないし遊んでもらえない。ディスクシステムが没落したのも、ファミリーベーシックが時代の徒花と化したのも、つまるところこれが原因だ。
どんなゲームにも面倒くささはある。ゲームを始めること自体がそもそもある程度手間だ。それに勝てるかどうかがゲームのキモであって、世の中のあらゆる人気ゲームは「(遊び始め当初の)楽しさ > 面倒くささ」という条件を満たしている、ということが言える。面倒くささを遥かに圧して楽しいゲームこそずーっと遊びつづけられるゲームな訳である。
余談になるが、simpleシリーズとかお手軽ゲームが売れる全ての要因はここにある。動作やインターフェースが手軽であれば手軽である程面倒くささは減ずる。「面倒くさくない」ことが売りのゲームも、昔からそれなりに売れてきた訳である。
・「集めるゲーム」の必須要件。
で、「集める」に戻る。そもそも「集めるゲーム」って何ですか、という話。
上の面倒くささ話は、「集める」議論にもそっくりそのまま当てはまる。日本人の普遍的な収集欲の話は取り敢えず置いとくにしても、大体のゲームにおいて何かを「集める」には結構手間がかかる。「集める面倒さ」よりも「集める楽しさ」の方が高くないと集めゲーにはならない。
例えばドラクエ1はあまり「集めゲー」とは言えない。何でか。「集める面倒さ」に対して「集める楽しさ」が小さ過ぎるからだ。
ドラクエ1で「集める」要素は何かというと、まあゴールドとかアイテムだろう。アイテムは8個持つともう一杯だから、ゴールドを集めてみるとする。
99999だっけ65535だっけ、ゴールドの最大値が幾つなのかは知らないが、まあゴールドマンを狩りまくってそこまで集めたとする。非常に面倒くさい。それに対しての報いは、単に画面上に「65535G」と表示されて、それ程多数はない商品が何でも買える、ということだけだ。これじゃあわざわざ「集める」人は多くない(喜んで集める人もたまにいるが)。ファミコン初期の大概のRPGに同じことが言える。
それに対して、ドラクエ5には集めゲー要素が結構あるかも知れない。小さなメダルを集めれば報酬に強いアイテムが手に入るし、強い仲間モンスターを集めればガリガリと強くなれる。
FF6なんてより一層集めゲーだ。ガウの「あばれる」とか魔石システムとか。集めることによって強くなれるという報酬もあるが、リストが埋まっていくこと自体に対する満足・楽しさも大きい。
ここまでを整理するとこういうことだ。
○集めゲーとは、「集める楽しさ > 集める面倒くささ」が成り立つゲームである。
○ゲームにおける「集める楽しさ」には色々ある。代表的なものは、「集めることによって何らかの報酬(アイテムがもらえる、強くなれる等)がある」「集めた跡が形になって残る」など。
○「集める面倒さ」に対する耐性は人によって差がある。
○集めゲーであることを企図してみたものの、集める面倒さがデカ過ぎて失敗したゲーム、というのも結構数ある気がする。
以上を定義にしてみる。
・レトロゲームにおける「集めゲー」理論。
前置き長過ぎという訳で、ちらっと集めゲーの歴史について考えてみよう。
どこから「集めゲー」になるか、というのは結構難しい。
「集め要素」を持ったゲーム自体は、ファミコンの歴史においてもかなり早くから出ていたんではないかと私は思う。例えばクルクルランドのコインとか、パックマンみたいなドットイートゲームのエサも「しらみ潰し」という点では「収集」に通じるものがある。
といっても、勿論これらは通じるもの止まりなんであって、「収集」と呼ぶにはちょっと違和感がある。ゲームの目的とは離れて、「集めなくてもクリアは出来る」「多少の手間と報酬効果を伴う」という様な条件を加えてみたい。となるとドルアーガの塔も外れる。
点数稼ぎを収集と考えるのも違う気がする。
とか思いながらファミコンの歴史を考えてみると、私は一つ衝撃のタイトルに突き当たった。実は、家庭用ゲームの歴史において、最初の「集めゲー」というのはこれなのではあるまいか。
そう、フィールドコンバット。
・ファミコン最初期の代表的集めゲー群。
以下リスト及び補足。
○フィールドコンバット
1985.7.9 ジャレコ
キャプチャービームを用いて敵軍の兵士を収集。「使い魔」的に派遣して敵と戦わせることが出来る。実際は自機がショットを撃ちまくって敵を撃退した方が早い、という点もポイント高い。
家庭用業界初の集めゲーではないか説。
○ボコスカウォーズ
1985.12.14 アスキー
岩や木に変えられている自軍兵士を収集。それぞれ操作して敵と戦わせ、敵に勝利した兵士は強くなっていく。対ボスはジャンケン以外の何者でもない。
家庭用業界初の集め+育てゲーではないか説。
○ゼルダの伝説
1986.2.21 任天堂
やや微妙かも。命の器・ルピー・アイテムなどを収集。主人公が強くなっていく、ということに関しては分かりやすい、家庭用業界初のRPG。
○マイティボンジャック
1986.4.24 テクモ
マイティコイン、隠しアイテムなどを収集。初の偏差値ゲーである点もポイントが高い。でもジャックの格好はちょっとおかしいと思う。
大分長くなったので取り敢えず今回はこれくらいで。集めゲーリストに関しては、またもーちょっと細かい分類とかリストアップをやってみたい。
あ、今回から万里を往くのタイトルから「〜」を外してみました。紹介して頂く際、文字化けが起きることがたまにあったんで。対応遅くてすいませんすいません。以前のも追って直します。
2005年11月09日
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