2005年11月17日

レトロゲーム万里を往く その46 WizardryIII


やっぱりマイルフィックと戦いたい訳でして。

さて、今回はファミコン版Wizardry、主に「III」の話。ファミコン版のWizardryの流れとPC版のWizardryの流れの間には、単なる「PCゲームの移植」という言葉では括れないものがあった、と私は思う。

まずは歴史の話からいこう。


・ターボファイルのマニアックさについて。

ご存知の通り、ファミコン版「2」と「3」ではPC版と順序が入れ替わっている。PC版の#2,「Knight of Diamond」がFC版で言うところの3である。

PC版の#2は、第一作「狂王の試練場」からそのまま(レベルが上がった状態で)キャラを持ち込むことを前提として作られている為、FC版に移植するには敷居が高い、というのがその理由だったと思う。PSやSSのリルガミンサーガなどでプレイされている方は分かると思うが、確かに#2の難易度はかなり高い。

つまりは#1の地下9階の延長線上に#2の地下一階がある訳で、割と序盤からマハリトだのダルトだの使ってくる敵がサクサクと出てくる。そりゃまあ、ターボファイルなしで一から#2を始めるファミコン小僧にとっては、単なる被殺戮ゲームにしかならんだろう。当然といえば当然である。

そこで、#2は一回飛ばして、キャラクター転送が前提とされていないPC版#3を先に移植してしまい、一般のファミコン小僧にも遊べるバランスにしよう、というのがファミコン版Wizardryの流れだった訳である。

この辺の正確な経緯は、私はあんまり正確には知らない。取り敢えず、以下の三つの事実だけ抑えておけば十分だろう。

○#2は、本来「狂王の試練場」を発展させた、今で言うパワーアップキットに近い存在だった。
○#3は、それに比べると大分「Wizardry」にアレンジを加えた作品であった。
○ファミコン版では結果的に、#3→#2のアレンジ、という順番で移植されることになった。


補足する。#3、FC版で言うところのウィザードリィ2は、例えば善・悪の属性によって入れない階があったり、絶対に倒せない敵がいたり、各階ごとの特色にかなり工夫が凝らしてあったりと、#1とは大分趣きを異にする「Wizardry」であった。当時のFCユーザーにはつかめない感覚だったかも知れないが、今から見てみると「5」のバラエティ豊かな迷宮の前段階だったのかな、と思うところもある。そういえば「はかばはくらく・・・」も2だったかな。

アークエンジェルやゼノもいいのだが、やっぱマイルフィックと戦いたいなあ、というのは「2」に対する正直な意見ではある。

一方の#2は、原点にして到達点だった#1を素直に発展させた形だった。アイテムやモンスターの充実、謎解きの存在、各階ごとのボスモンスター「KOD's アイテム」の存在、初代に引き続き出現する強敵群などなど、その面白さは正に王道。例えばマイルフィックやフラックなど、初代でパーティを苦しめた強敵群もオールスターキャストである。

これをファミコン視点から見るとこーゆーことになる。

○「最強の基本形」であるところの1の出現
○「結構変化した続編」であるところの2の出現
○「王道回帰」である3の出現

つまり、ファミコンというハードにおけるWizardryは「王道に始まり、王道に戻ってきて」終わった。意図してのことだったのかどうか、その後のGB版や「外伝」などで見受けられる「基本的なWizardry」の流れには、結構この影響が大きかったのではないかと私は思うのだ。美しい迷宮グラフィックと深化したアイテム探しやモンスター退治。1990年というファミコン後期にこのゲームが現れたことは、決して小さな事件ではなかったのである。


・ゲームスタジオの底力について。

ところでFC版「3」の出来は物凄かった。いや、マジで。

あのバランス感覚のどこからどこまでが移植スタッフの手によるものだったのか、私は家庭用しかやったことがないからよく知らないのだが、「ファミコン版のWizardryは出来がいい」という評価の5割くらいは「3」が占めているのではあるまいか。

「Wizardry」が本来もっている理不尽性(これも味なのだが)をある程度ラッピングして、序盤からのスーパーハードな展開をスムースコート程度に多少軟化。ユーザーを引き込みつつ、後半はザクザクと生の「Wizardry」を詰め込む。慣れた頃に程よく出てくる強力なアイテム達と、マイルフィックやフラック、サイデルだのアイアンジャイアントだの、とにかく山の様に出てくる終盤の強力な敵たち。どれだけ強くなっても地下6階の探索には常に死の危険が伴ったし(ポイズンジャイアントの大軍に先制攻撃されたりとか)、一方でどかっと経験値を稼ぐ楽しみも味わえた。ありとあらゆるWizardryの楽しみを内包したFC版「3」は、確かに家庭用業界におけるWizardryの、一つの完成形だったのである。

音楽やグラフィックについても言うに及ばない、とは思うが、私は実はシリーズを通してこの「3」の音楽が一番好きだったりもする。特にオープニングの重厚な曲調から、訓練場やギルガメッシュの酒場などのライトな曲調への移行などは今でも耳に残る。元来PC版WizardryにはBGMがなく、移植の際に「音つきなど邪道」と考える原作スタッフがいたが、FC版のあまりの出来に降参せざるを得なかった、などという話も聞く。長いゲームの間ずっと聴き続けても飽きることのない、まさに「必要十分」なBGMの典型だったと言っていいだろう。


・個人的な「ウィザードリィ3」について。

地下6階までは目ぇつぶったままいけます。

いや、私は元々縁者の薦めでこの「3」からWizardryに入った人なのだが、エラいことやりこんだ。毎夜の如く地下6階にしけこんでは、「ぶき」だの「つるぎ」だのといった不確定名のアイテムを探しまわっていた筈だ。一方このゲームは縁者とファイルを共用していたこともあり、縁者の最強戦士が地下6階のどこか(当時は本当に手探りでしかマップを知らなかった)で行方不明になってしまい、青息吐息で地図を書きながら6階周辺を探しまわったりもした。

当時のマッピング跡が私のノートにはまだ残っていて、今見てみると回転床をワープゾーンと勘違いしており、回転する度に1Fにマロールしては座標を確認し、挙句の果てには1マス勘違いして複雑怪奇なワープアウト構造を地図に書き込んだりしていることが目にとれる。「マッピング」というのはWizardry最大の楽しみの一つだと思うのだが、それをファミコン時代に楽しめたことは、つくづく幸運だったと私は今でも思っている。当時は幸運どころじゃネエというのが正直なところではあったが。

例えば伝説の篭手の余りの強さとか、多少賛否の分かれるところもあった#2だが、私にとってはまさにこれがWizardryの世界への入り口だった。「1」でなかったのは不運なんだか幸運なんだかというところではあるが、私のパーティーが今でも時折「ひとりでまいれ」を聞きにダンジョンに降りていくことがある、ということは申し添えておくとしよう。


・そして迷宮はどこまでも続く。

「3」で華麗なフィナーレを迎えた家庭用ゲーム業界は、やがてSFCで更に姿を変えた「Wizardry5」に出会うことになる訳だが。

取り敢えずそれはまた別のお話ということで、今回はここまでにしておこう。またその内「5」についてもつらつらと書いてみたいと思っている。

posted by しんざき at 23:46 | Comment(12) | TrackBack(0) | レトロゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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この記事へのコメント
FC版のウィザードリィは遠藤雅伸さんが具体的に監修していた筈でしたので、やはり氏のセンスによるところが大きいのではないでしょうか。

PC版はバランスとテンポがかなり悪いですね。
それをアクションゲーム的なアレンジで纏めたのがFC版だと思っています。

私はPC版を諦めてFC版に移った口なので、未だにFC版が最高傑作だと信じています。
ここ何年かはWIN版で遊んでいますが、これもFC版をまたアレンジしたものとなっているので良く出来ていますよ。
Posted by バブシカ at 2005年11月18日 03:27
Wizardryは、FC版は全部やったけど、私もVが一番好きかなあ。
手書きマッピング作業って、楽しかったですよね!
今それをさせてくれるゲームがほとんどなくなってしまったのは少し残念だったり。
Posted by しょうた at 2005年11月18日 08:23
マッピングの快感を若い頃に味わえたのはワタシも幸運でしたねえ。今じゃちょっと気力が…。体壊して入院中に他にすることがねえので、むさぼるが如くやった外伝Iの地図作りが一番思い出深い。今その方眼紙見ると、少々鬼気せまるものがありやす。

マイルフィックは「BUSIN」で登場してくれたのがちょっと嬉しかったです。BISIN地下一階の「マイルフィックのスマイリー商店」というネタ、かなーり初代Wizに近い腰砕け感覚でよござんした。
Posted by 通りすがりおやじ at 2005年11月19日 00:43
>バブシカさん
>PC版はバランスとテンポがかなり悪いですね。
むう、そうだったんですか。それはディスクロードとかも含めての話ですか?

私も一応、5インチ時代のAVGとかはやっている身なので、あのディスク入れ替え系の手間もけっこーしんどかったですが。

>未だにFC版が最高傑作だと信じています。
FCからWizに入った人、というのもけっこーいるみたいですね。遠藤さん恐るべしです。

>しょうたさん
>今それをさせてくれるゲームがほとんどなくなってしまったのは少し残念だったり。
これがなくなったせいで方眼紙の売れ行きが確実に悪くなった筈だ(断言
Wizardryも5からオートマッピングつきましたしね。5は5で好きですし、あのマップで手書きはキツいってのも分かるんですが。うーん。

>通りすがりおやじさん
>マイルフィックは「BUSIN」で登場してくれたのがちょっと嬉しかったです。BISIN地下一階の「マイルフィックのスマイリー商店」というネタ、かなーり初代Wizに近い腰砕け感覚でよござんした。
その軽薄なネタっぷりがWizの本質ですよね。カシナートとか。
でもスマイリーなマイルフィックにはあんまりお目にかかりたくありません。個人的には。

Posted by しんざき at 2005年11月19日 03:00
>それはディスクロードとかも含めての話ですか?

当時はディスクのアクセスに関して煩わしさを感じた事はありませんでした。pc88版でやってたのですが、エンカウント時の読み込みが逆に緊張感を煽る形になっていました。

FCディスクのメトロイドやレリクスほど酷くはなかったと思います。

魔法を使用する際にその名称をキーボードで打ち込まなくてはないのですが、慣れるとテクニカルで面白かったですね。格闘ゲームのコマンドみたいな感じでした。

でも洗練されていない感が拭えないんですよ。だからこそあるマニアックな楽しさは認められるもののFC版の軽快さには敵いませんね。

と云いながらもWIN版に入っているpc版にはまっていた時期もありました。
Posted by バブシカ at 2005年11月19日 04:26
>バブシカさん
>FCディスクのメトロイドやレリクスほど酷くはなかったと思います。
FCディスクはひどかったですねえ。当時なんで平気(という程でもなかったですが)だったのか、今ひとつ分かりません。

>魔法を使用する際にその名称をキーボードで打ち込まなくてはないのですが、慣れるとテクニカルで面白かったですね。
略称が熱かったらしいですね。最強呪文は「t」とか。
Posted by しんざき at 2005年11月19日 23:22
こんにちは。

Wiz3はハマリました。2が経験値が低め(大きなカマキリさんとか)
だったのでちょっと不満だったのですが、3はそのバランスが
絶妙でしたね。
1の強敵どもとの再会は身震いしましたよ。

またやってみたいなぁ。
それでは、失礼しました。
Posted by USHIZO at 2005年11月20日 15:50
>USHIZOさん
>Wiz3はハマリました。2が経験値が低め(大きなカマキリさんとか)
>だったのでちょっと不満だったのですが、3はそのバランスが
>絶妙でしたね。
2はレベル上げ大変でしたもんねえ。やっぱグレーターデーモン稼ぎの醍醐味がないと、とか思ってしまう私は微妙にヌルいですか。
Wil'o Wispもいませんでしたっけ。

Posted by しんざき at 2005年11月21日 08:55
そうですね、3まではしっかりした作りだと思います。サウンドも悪くないです。
5や外伝以降はどうにもスーパーサイヤ人かと思うような
モンスター戦闘力のバブル化に辟易しました。
AC-21ってなんですか?
冷めても美味しくいただけるものですか?

わたしは#3ことファミコン版2からやりこみ始めた口です。
モートモンスターで経験値稼ぎという荒業苦行を経て先に進みました。
(後半は蝶のナイフで大きいカマキリとかヒドラ優先に戦っていました)

Wizがなかったら、わたしは女神転生シリーズも楽しめていなかったと思います。
Wizによってようやく3Dダンジョンをこなせるようになったものですから。(月風魔伝のダンジョンですら厳しかった)
Posted by さぼりやさん@面影屋 at 2005年11月23日 00:07
>さぼりやさん
コメントありがとうございます。

>AC-21ってなんですか?
>冷めても美味しくいただけるものですか?

要冷凍となっております。マポーフィックで更に美味しく召し上がれます。
いや、5を異端たらしめているのはマップでもNPCでもなく地下777階の存在ではないかと思いますね。まあ、それでも違う楽しみ方が色々と出来る辺り、げにWizardry恐るべしという感はありますが。

>Wizによってようやく3Dダンジョンをこなせるようになったものですから。(月風魔伝のダンジョンですら厳しかった)

月風魔伝は、アレはなんかwizとはまた別種の妙な難しさをもったダンジョンだった覚えがあります。っつーかぶっちゃけ蛇s(略
Posted by しんざき at 2005年11月23日 08:46
明けましておめでとうございます。
正月って事で久々のまとまった休みにダラダラとネット探索してたらココに行き着きました。
いやー、書いてあることが完全に自分のツボで楽しく拝見させていただきました。

マッピングとかやったなー。未だにPC98版のKING BREEDERとFC版のウルティマ3の手書きマップが残ってます。当時10代前半ー半ばのアホ少年が書いたにしては中々良い出来ですw。
んでFC版のウルティマ3ですが過去何度か挑戦しているのですが未だにクリアしてません。
しんざき氏はクリアしてますか?クリアしてたら今度ココで取り上げてください。それでクリアした気分に浸りますんでw。

wizシリーズで一番思い出深いのはGB版の外伝1ですね。半端無くやりこみました。GB版のwiz外伝シリーズも出来がかなり良いです。オートマッピングですけどw。
確か外伝1はやらなくなった頃のキャラの平均LVが300超えていた記憶が。本当アホだな、昔の俺。

wiz的な楽しみ方を理解出来る方には”変愚蛮怒”や”TOME”がオススメ。ググれば色々出て来ますので知らない方は是非。
かく云う私も数年前に出会って当時無職って事も有り3日ぶっ続けで朝から晩までやったりしてました。ちょっと前もやっぱりアホです、俺。

最新プラットフォームでこういう楽しみ方の出来るゲームってもう出ないんでしょうかね。xanaduの名前に惹かれて買ったnextは恐ろしくクズだったし・・・。
Posted by とおりすがりおやじMk2 at 2006年01月01日 02:52
> とおりすがりおやじMk2さん
コメントありがとうございます。明けましておめでとうございます。

>しんざき氏はクリアしてますか?クリアしてたら今度ココで取り上げてください。それでクリアした気分に浸りますんでw。

おわ、ウルティマですか。恐怖のエクソダスですか。いや、私がクリアしたのは「聖者への道」だけですねえ。その内取り上げたいとは思っているんですが。

>確か外伝1はやらなくなった頃のキャラの平均LVが300超えていた記憶が。本当アホだな、昔の俺。

外伝は出来よかったですねえ。アレが正統派「wiz」の続編だという声も、むべなるかな。
Posted by しんざき at 2006年01月01日 21:59
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