色々ありまして、花巻の宮沢賢治記念館に行ってきました。
こちら、旅行自体がどんなものだったかは別途日記として書こうと思っているんですが、取り急ぎ記念館の印象と感想について書いてみたくなりました。
・常設展示室と特別展示室に分かれていまして、常設展示室では体育館程の大きなホールの周囲の壁に、賢治関連の色んな資料が展示されていました
・常設展示室は大きく「科学」「芸術」「宇宙」「宗教」「農」のエリアに分かれていまして、それぞれのテーマに沿って、資料の肉筆のノートやら手紙やらスケッチやら賢治が愛用していたセロやらが展示されていました
・特に、「法華経に傾倒していた宗教家としての賢治」「農学に注力し農村の為に尽力した賢治」の展示に大きなスペースが割かれているように思いました
・それぞれのコーナーで、賢治の文学のバックグラウンドとなる様々な思想や賢治の心象に触れられるように思いました
・これはこれで大変見ごたえがありました、あったんですが
・個人的には、「賢治の文学とその解題」というテーマの展示がもっと見たかったなあと……いわば、「文豪としての賢治」というコーナーがもう一つがつんと用意されていて、そこで賢治の表現について色々な論考が見れることを期待していたのです
・いやもちろん、賢治肉筆の原稿とか色々見れてそれはそれで眼福だったんですが
・ただこれは私的な印象なんですが、文学者としての賢治の強みってその表現、自分の思いや心象を童話のような語り口でどのように表現していて、それをどんな言葉に変換しているかという点での強烈な独自性だと思っているんですね
・つまり「賢治のバックグラウンドが、賢治の文章にはどう活きているのか」というのが滅茶苦茶知りたいしすごーーく興味ある
・そこから考えると、賢治の法華経についてがーーーっと展示した後で、「じゃあその法華経への傾倒が、賢治の作品のこういう表現にこういう影響を及ぼしています」みたいなところを見たかったんだけどそれがなかった
・作品一つ一つの解題についてももうちょっと読みたくって、「銀河鉄道の夜に出てくるジョバンニの切符は、あれは時期的に考えると法華経と関連つけて解釈するべきだよね」みたいな説についても読んでみたかったんですが、そういう作品の細かい解釈や論説についてはあまり見られなかったと思うんですよ
・例えばグスコーブドリの伝記なんかも、あれ賢治の農学に対する情熱と経験が丸々ぶち込まれている強烈な農学漫画で、作中のクーボー大博士についての講義と考課とかもっと掘り下げられそうなのでそういうのも読んでみたかった
・「なめとこ山の熊」なんかも法華経の思想ですよね
・いや別に宗教観と作品を紐づけて欲しい、という話じゃなくって、単に「文学者としての賢治展をもうちょっと見てみたかった」「農学や宗教をどうせクローズアップするなら作品の解題とそれを紐づけて欲しかった」という話です
・まあ銀河鉄道の夜の特別展で、作品が四稿に分かれていてそれぞれのバージョンの特徴はこれこれ、みたいなのもそれはそれですごく面白かったんですけどやっぱり表現の解釈とかにあんまりは踏み込んでいなかった
・そこがちょーーっとだけ物足りなかったな……
・と思っていたら、併設のイーハトーヴ館の方で、何故か無料展示でますむらひろし先生が描いた銀河鉄道の夜についての展示がやったたんですけど、そちらが「ますむらひろし先生による銀河鉄道についての論考」みたいな感じでめちゃ面白かったです
・例えば、「銀河鉄道はロングシートなのかボックスシートなのか?例えば鳥捕りの「この席に座ってよろしいですか?」みたいな発言を見るとボックスシートっぽいけど、モデルの岩手軽便鉄道はロングシートの筈で、ジョバンニとカンパネルラが窓の外を見る時の描写とかでもロングシートと解釈するべきところもある」みたいなめちゃマニアックな話を延々としている
・ますむらひろし先生すげえ
・ちなみにジョバンニの切符についてもますむらひろし先生は大変直接的な描き方をされていて、けれどその描き方をするべきだったかどうかは分からなくて、みたいな話も大変面白かった
・ということでイーハトーヴ館のますむらひろし先生の展示超楽しかったです
・全体的にとても見ごたえのある展示だったことは確かなので皆さん行ってみてください
以上です。よろしくお願いします。
今日書きたいことはそれくらいです。
posted by しんざき at 11:38
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