アト王「人助けのようなふりをしてあちこち占領している様だな」
ユリシーズ「せやな」
アリエス「一理ある」
テレーズ「知ってた」
チュウタツ「正直図星としか」
クリストフ「今更感強い」
セキシュウサイ「お前ら…」
アト王の仰せは正直もっともだと思うんです。ゲーム内では暗君ぽい扱いですが、実は結構根は鋭いんじゃないでしょうか、アト王。
魔界塔士サ・ガの頃から、サガシリーズ、ロマサガシリーズは「一見あっさりしているようで、実は結構ぶっ飛んでいる台詞回しとシナリオ展開」が魅力の一つだと思うんですが、ロマサガ2も当然その遺伝子を継いでいます。カンバーランドのあの辺の展開とか、「もう帰る」とか、「ははっザマアミロ」とか、ちょっとFFや聖剣では出てこない台詞・展開だと思います。個人的には、こういったぶっ飛び展開をサガ節と呼びたい。
ロマンシング・サ・ガ2。RPG。1993年2月10日、スクウェアよりスーパーファミコンで発売。「ファイナルファンタジー4 イージータイプ」を除くと、SFCにおけるスクウェアの7本目のタイトルになる筈です。
前作「ロマンシング・サ・ガ」に続き、FFシリーズとはまた一味違った様々な独自色・独自路線で、「FF」「聖剣」と並ぶスクウェアの人気RPGシリーズとなりました。ゲームボーイ時代の「サ・ガ」、続編の「ロマサガ3」、更にその後の「サガフロンティア」まで全てひっくるめて、非常に熱狂的なファンの多いシリーズとなった、と言ってしまっていいと思います。「ロマサガ」「ロマサガ2」「ロマサガ3」と、タイトルを追うごとに遊びやすさが飛躍的に増していったシリーズでもあります。
皆さまよくご存知の通り、先日、「ロマサガ2」のスマホアプリ版・PS Vita版のリメイクが発売されました。私はVita版をプレイしているのですが、リメイクの出来は総じて上々で、SFCの頃の感覚で楽しむことが出来ます。若干の追加要素などもあり、ロマサガシリーズに興味があるけれどまだプレイしたことがない、という人にもお勧め出来る出来です。まあ、ゲーム後半のバランス的には初心者にお勧め出来るとは必ずしもいいがたいのですが…。
ちなみに、以前、バレンヌ帝国の国家戦略については書きました。興味がある方は下記を一読ください。
ロマサガシリーズは非常に著名なタイトルですので、ゲームの細かい話は今回あんまりしません。
やたら長文になるのでちょっと頻繁に段落分けをしようと思います。
1.SFC時代のスクウェアのゲーム作りについて
歴史の話から始めさせてください。
SFC時代、スクウェアのゲーム作りは、「RPG」「シミュレーション(SRPG)」の二つに偏っています。
RPGは、言わずと知れたFF、聖剣、ロマサガの三大シリーズの他、ミスティッククエスト、ライブ・ア・ライブ、クロノトリガー、ルドラの秘宝、ガンハザード、トレジャーハンターGなど。
SRPGは、半熟英雄、バハムートラグーン、フロントミッションあたり。これらも、FC時代の続編である半熟英雄を除くと、多くの面でRPGタイトルの流れを汲んだゲーム達です。唯一ほぼ純粋なアクションゲームと言ってよさそうなアルカエストは、元々はHAL研から発売される筈だったゲームです。
FC時代の手探り感、PS時代の様々なジャンルへの拡張と比べてみると、SFC時代のスクウェアが「RPG」というジャンルのゲームを自分たちの得意分野として規定し、深く掘り下げようとしていた、ということがよくわかると思います。そこには、様々な試みの跡が見てとれます。
「ロマサガ」に先立って発売されたFF4、「ロマサガ2」に先立って発売されたFF5は、どちらも主人公キャラクター達に強いキャラクター性を持たせ、FC時代以上に「映画的」なシナリオ展開を意識されていたタイトルでした。
キャラクターとキャラクターの会話、関わり、互いの感情などの描写が、FFシリーズのシナリオ上で非常に重要な要素となっている、ということは論を俟たないでしょう。その傾向は、4以降、タイトルを経るごとに強くなっていきました。
主人公格キャラクターのクローズアップと掘り下げ。それが、SFC以降のFFが選んだ道でした。
2.ロマサガシリーズの「キャラクターの見せ方」
一方、「ロマサガ」及び「ロマサガ2」は、FFが志向していたように思える「キャラクターをクローズアップした映画的な筋立て」とは全く性格を異にするタイトルでした。
初代ロマサガは、「イベントによるキャラクターの掘り下げ」という方法をとりませんでした。
勿論、アルベルトにも、ホークにも、グレイにも、クローディアにも、アイシャにも、シフにも、バーバラにも、ジャミルにも、それぞれの事情や背景がありました。しかしその大部分は、劇中で明確に掘り下げられていくのではなく、様々なイベントにおける彼らのふるまいという形で少しずつ提示され、後はプレイヤーの想像に任せられる、という形式をとっていました。全ての主人公は、殆どのイベントを共通して経験することが出来、そこでの微妙な差異が、ロマサガにおける最大のキャラクター付けでした。
当時、ロマサガが「フリーシナリオシステム」を前面に押し出していたことを考えれば、恐らくスクウェア内部でも「非FF路線」を求めた結果の「ロマサガ」だった、という側面はあったのだろうと思います。
そしてロマサガ2は、FFシリーズとは全く違った意味で、驚く程「映画的」でした。
そこにあったのは、「国」と「歴史」を描く為の群像劇。キャラクター一人一人にスポットライトを当てるのではなく、(レオンとジェラールを除けば)逆にキャラクター達一人一人のシナリオにおける重要性を薄めることによって、ロマサガ2はバレンヌ帝国という「国家」をRPGの主役にしてみせたのです。
その最大の表れ、ロマサガ2のまさに中核となる二つのシステムが、「皇位継承」システムと「年代ジャンプ」システムでした。この二つのシステムが、RPGとしてのロマサガ2というゲームを形作っている、といってしまっていいと思います。(「ひらめきシステム」も非常に重要なんですが、これは一旦置いておきます)
3.「継承システム」と「年代ジャンプ」がRPGに持ち込んだもの。
ロマサガ2において、主人公はバレンヌ帝国の皇帝です。そして、とある事情によって、彼らは「自分が死んでも、自分の能力や記憶は次の皇帝に受け継がれる」という特性を得ることになりました。
プレイヤーは、様々な職業から「皇帝」となるキャラクターを選び、操りながら、数千年に及ぶバレンヌ帝国の歴史を自ら形づくっていくことになります。
皇位継承は、「イベントがある程度経過して、大きく年代が進む」いわゆる年代ジャンプ発生時と、パーティ全滅時・皇帝のLPが0になった時等に発生します。ある皇帝が世を去った後、プレイヤーは新たに4人の候補者の中から、「次の皇帝」を選びます。
ある時はバレンヌ帝国の戦士たちが。
ある時は武装商船団が。
ある時は格闘家が。
ある時は遠くヤウダのイーストガードが。
ある時はコムルーン火山に居住するサラマンダーが。
時には他国出身のものまで、継承システムの対象となってバレンヌ帝国をしょって立つ存在になるのです。全然バレンヌと関係ないどころか、時には人外ですら自国の皇帝に迎え入れる、バレンヌ国民の懐の深さには感嘆を禁じえません。というか、以前も書いたんですが、バレンヌ皇帝は他国で死にまくったり人魚と駆け落ちしていなくなったりするので、バレンヌの国民感情が結構心配です。
皇帝の能力や成長はどんどん次の皇帝に受け継がれていく他、例えば新しい陣形が使えるようになったり、例えば武器防具が量産されるようになったり、例えば経過した世代によって街やイベントが変化したりと、「年代ジャンプ」と「皇位継承」はゲーム攻略上非常に重要な位置づけになります。
その為、プレイヤーによっては「意図的に皇帝を殺しまくって皇位継承を発生させる」みたいなことをする人もおり、皇帝の墓場として有名なルドン高原に皇帝の死体が死屍累々、というような惨状も発生し得るわけです。恐ろしい話ですね。他国で国のトップが死にまくるとか、普通に考えれば国際問題だと思うんですが、大丈夫なんでしょうかルドン。
しかし。「世代がどんどん経過していき、キャラクターがどんどん入れ替わる」というのは、決してキャラクターの「浅さ」を意味しません。様々な職業のキャラクターが皇帝職を経験し、多くのキャラクターを部下にし、多くの人々と接していくうちに、やがてプレイヤーは、「自分がバレンヌ帝国の皇帝という、一人のキャラクターと化している」ということに気付くのです。
「国」という視点から見れば、レオンやジェラールのような一部の例外を除いて、皇帝にせよ臣下にせよ、歴史の中で一瞬過ぎていくだけのキャラクターに過ぎない。しかし、彼らは決して、「歴史に名を残せなかった人たち」ではない。
臣下としての、皇帝としての彼らのキャラクターは、プレイヤーが想像する他ない。しかし、だからこそ、バレンヌ帝国という一つの帝国を経営する内に、プレイヤーはどこまでも「バレンヌ国民」への思い入れを強くしていくことが出来る。
イベントについても、例えば「力が強く、どちらかというと粗野な職業の皇帝」と「魔力が高く、どちらかというと理知的な皇帝」で全く展開が変わったりということもあり、そのバリエーションは初代ロマサガ以上にバラエティ豊かです。私がロマサガ2を「群像劇」と考える所以でもあります。
4.バレンヌ帝国を経営しよう!!!
一方、ロマサガ2においては、バレンヌ帝国の国家戦略も重要な要素になります。
細かい話は冒頭リンクでも書いているのですが、プレイヤーはバレンヌ皇帝として、強大な敵と戦うと同時に、帝国を強大にする役割も負っています。彼、内政的にはお買い物の指示程度の仕事しかしてないのですが、外征・外交においては八面六臂、およそ皇帝職として許されるのかというくらいのハイパーハードワークをしていますので、バレンヌ皇帝に選ばれた人は生命保険に欠かさず入っておくべきだと思います。
ある時は他国の後継者問題に介入して内乱を平定したり。
ある時は武装商船団と交渉して支配下に置いたり。
ある時はでかいアリを退治して地域平和に貢献したり。
ある時は火山に氷をぶち込んで大問題を起こしたり。
皇帝は様々な地域で様々な活躍をするのですが、結果としていろんな地域がバレンヌの支配下になってしまっているので、「人助けのようなふりをしてあちこち占領している」という指摘は図星という他ありません。人助けには変わりないからね。仕方ないね。
ちなみに、バレンヌ帝国においては勿論財政も重要なのですが、バレンヌ国民は基本的に定期的な納税というものを行ってくれず、なぜか皇帝が戦いに買った時だけチリがつもるように収税が行われていく、というシステムなので、お金を貯める為には並々ならぬ苦労が必要とされます。
それでいて、高額の買い物をする機会は結構多いので、皇帝の中には「シティシーフの上前をひたすらハネ続ける」などという非道な行いに手を染める者もいると聞きます。政治だから仕方ないね。
5.みんなが豆電球を待っている
RPGとしてのロマサガ2には、もう一つ重大なシステムがあります。皆さまご存知「ひらめきシステム」です。
ロマサガシリーズの華が、なんといっても武器ごとの多種多彩な「必殺技」であることは論を俟たないところです。
ロマサガ1では、武器ごとに熟練度をひたすら溜めていって、ある程度その武器を鍛えると必殺技が使えるようになる、というシステムでした。
一方、ロマサガ2以降では、「敵と戦っている間に、キャラクターが新しい技をランダムでひらめく」というシステムをとっています。以降、ロマサガ3からサガフロまで、このシステムはロマサガシリーズの最大の特徴の一つであり続けています。
弱い敵ではひらめきにくい。
強い技はひらめきにくい。
この二つの要素と、「ランダム性」という最大の関門が、プレイヤーに「技のひらめき」を渇望させることになりました。ただ技をひらめく為だけに、序盤に無理して強い敵と戦う、といった行為もロマサガシリーズならではのものです。
キュピーン!という豆電球が発生した時、プレイヤーは思わずガッツポーズをとることになります。(そして登録を忘れていたパリイで意気消沈)
6.超絶ドット絵と超絶BGMについて。
ロマサガシリーズの戦闘時のドット絵は芸術という他ありません。
ロマサガ1でも「戦闘時のクローディアのドット絵は至高」というのが私の意見でして、クローディアめっちゃかわいいと思うのですが、本作でもそのクオリティはいや増しています。戦闘時のキャラクターの様々な挙動が、プレイヤーの心を奪った側面は決して否定出来ません。特にコマンド待ちのキック絵のクオリティ半端ない。
ちょっとここでは、軽く動画を紹介してみます。ご存知ない方は是非ご参照ください。
BGMについても言うまでもない伊藤賢治先生でして、全編すばらしい曲しか存在しません。伊藤賢治先生は、どうもご自分では「戦闘曲は得意ではない」とおっしゃっているということなのですが、ロマサガシリーズの戦闘曲のすばらしさはみなさん周知のとおりでして、七英雄戦の曲なんか聴いている側が震えてくる程の名曲です。超絶ドット絵と超絶BGMは、SFCで数あるRPGの中でも最高峰の一本と言ってしまってもいいでしょう。
さて、あきれ返る程の長文になりました。
取り敢えず私が言いたいことは
・帝国軽装歩兵もいいけどホーリーオーダー♀可愛いですよね、
・七英雄コラ(わかっていただろうにのう ワグナス)めっちゃ好き
という二点だけであり、他に言いたいことは特にない、ということを最後に申し添えておきます。
今日はこの辺で。