色々とアレな話なので雑談的に。
まず前提として、「ブログのゴーストライター」という仕事は実在します。というか、最近はもうあんまり珍しくないみたいです。
以下常態。
私が昔実際に聞いた「ブログ代筆」という仕事については、まだブログがあまり一般化していない時期の話でもあり、既存のライターさんの仕事の延長として「これもついでによろしくー」的なシロモノだったので、正直あんまりいい仕事っていう印象がないのだが。
ここ最近は、
ブログライター
こんな仲介が成立するくらいだから、多分相場も安定してきて、それなりに美味しい仕事になってるんじゃないだろうか。まあ、「誰の」代筆をするかによって料金なんて千差万別だろうけど。
一応念押ししておくのだが、このサイトさんは多分企業ブログやECサイトのライターさんの仲介業をされているのであって、芸能人ブログの話に関わってくることなど多分ないであろう。このサイトさん自体がどうこうということは全くない。もにょもにょ。
さて。その上で、先日こんな記事を拝見した。
喫茶店に入ったことのない人が喫茶店をはじめてはいけない
私は芸能人の人についてあんまり詳しくない。無知をさらす様だが、私はこの新山千春という人を知らない。この人の普段の芸風を私は知らないし、この人がご自分で文章を書く人なのかどうかも勿論知らないし、この人が現在も芸能活動をされているのかどうかすら良く知らない。
なので、以下は新山千春ブログがどうこうという話ではなく、飽くまで一般論として読んで頂ければと思う。
実際の所、「痛い」芸能人ブログがあったとして、それを本人が書いてない確率と本人が書いた確率は、多分大体同じくらいなんじゃないかと思う。
「痛い内容」だからといって、それをプロが書いていないとは限らない。何故かというに、芸能界には時折「演出としての痛さ」というものが存在するからである。
売り出す為のキャラクター作りとして「ちょっとオバカ」な芸風を確立させようとする、という手法は勿論ある。単なる話題作りとして、「ちょっと痛い」発言をさせる、という手法も勿論ある。普段テレビで「ちょっと頭があったかい人かなー」という発言をしているのに、プライベートではやたらと明晰な話し方をされる、というのは多分そんなに珍しい例ではない。
その延長として、アイドルやタレントが本を出す時、ライターに「ちょっとオバカな感じで」という注文がいくことは、実際によくあるのだ。いや、というか、少なくとも昔はあった、筈なのだ。
私本人がどうこうという訳ではないが。そういう場合、例えば女子高の卒業文集なんぞを参考に、「ピーカンな女の子」風な文章を違和感なく書き出すのに四苦八苦したりするライターさんも出てくるのだ。というか、私はかつてそんな光景を実際に見た。
ある意味詐称といえば詐称だが、まあ演出の話である。演出にどうこう言うつもりは私にはない。
問題なのは、そういった「かつての売り方」がWebに進出した時どう見えるか、いまいち「売り手」が把握していない様に見えることがある、ということである。
例えばブログの炎上であるとか。mixiの悪行自慢であるとか。最近は流石に人口に膾炙し過ぎて下火になった様にも見えるが、Webは時折「イタい言動」に対して予想外の反応を示すことがある。というか、かつての出版・芸能界で「演出」として許容されていた「イタさ」に関して、Webのファールラインはだいぶ食い違っているのだ。
この「ファールラインのズレ」を正確に把握せずに、昔の球場と同じつもりで「演出」を行うと、場合によっては大火事が起きかねない。この辺、変化についていけてない演出家がまだ大勢いる様に、私には見えるのだ。
さらに付け加えると。例えば「炎上」に関して、「させ得」と考える演出家すら、未だに残っているのではないか、という疑念も私にはある。Webの永続性を認識せずに、「話題を作ったもん勝ち」という意識で脚本を書いている人が未だにいたりするんじゃないか、というぼやっとした危惧が私にはある。
つまり、「イタい芸能人の人ブログ」を見かけた時は、その芸能人の文章に思いを致すその前に、その芸能人の事務所がそれを許容している、ということの意味に思いを馳せてみると面白かったりするんじゃないか、と私は思う訳なのである。
そういったファールラインの食い違いを十分把握した上で敢えてやっている場合もたまーにあるという話もあるが、まあ怖いのでやめとこう。今日はこの辺で。
2008年06月16日
2007年05月11日
作者から見た漫画と小説の違い。
要は、開かれた作業か一人での作業か、というところが最大の違いらしい。で、それに伴って色々影響があると。
この前の続き。編集者さん愚痴の補足なのだが、ちょっと面白いなと思ったので紹介してみる。例によって、又聞きなんで結論が出る様な話ではない。
以前、「ラノベの隆盛によって、小説の創作過程は漫画のそれと共通する部分が多くなっている」みたいな文章をどっかで読んだ。ぱっとソースが提示出来ないんだが、ほー?と思った覚えはある。2ちゃんだったかも知れない。
ただ、創作活動としてみると、漫画と小説の間には、当然のことながら色んな厚さの壁がある。
まあ作者によって例外は幾らでもあるんだろうが(富樫さんとか)、絵と文章の違いとか当然のことを除くと、
・漫画の創作は基本的には複数人による共同作業であることが多いが、小説の創作は基本的には一人で完結する作業である
・漫画の創作はいくつかのステージ(ネームとかペン入れとか)に明確に分けることが出来るが、小説は各ステージ間が不分明であることが多い
この辺の違いが大きいと思う。当然ジャンルにもよるのだが、ざっくりと作業過程だけ見ると、おそらく小説の方が「煮詰まりやすい」構造になっている筈だ。
で、こっから編集者さんサイドの話。
一人の編集者さんが漫画家と作家を同時に担当するということは、そもそもあんまり一般的じゃないんじゃないかと思うんだが、彼の話では「漫画家に対する気遣い」と「小説家に対する気遣い」は全然質が異なるそうなのだ。
漫画家は編集者以外にも相談出来る相手がいることが多い(アシさんとか)が、小説家は執筆過程では人に相談出来ない場合が多い。必然的に、小説家は編集者への依存度が漫画家のそれよりだいぶ高くなる、んだとか。一言で言うと、小説家へのケアは漫画家へのケアより大変なことが多い、ってことになるだろか。
この際、要注意なジャンルが小説と漫画に一つずつあるとか。曰く、小説では「推理小説」、漫画では「4コマ漫画」。
推理小説についてはなんとなく分かる。推理小説というものは、一つのトリックが作品全体を成立させる程、独創的なトリックへの依存度が高い。故に頭も激しく使うし、「ネタ被り」「ネタ切れ」への恐怖感も非常に大きい。要領のいい人は適当に手を抜くらしいが、真面目な人にはさぞかしキツいだろう。神経症を患う人の話もしばしば聞く。
一方の4コマ漫画についてなのだが、コスト対効果の問題で、「作業工程は割と多いのに一人で書いている」という漫画家さんがどうも結構いるらしい。へーって感じなのだが、特にギャグ系の4コマなんて、一人で書き続けるのは相当大変だろう(やってみるとわかるが、ギャグ系の創作というのはすげー神経を使う)。
4コマ漫画誌には「体を壊すことによる入れ替わり」がしばしばあると聞くが、アシさんを使わずに一人で続けている人が危ないのかも知れない。まあ勿論、ある程度以上売れてる人は話が別なんだろうが。
じゃあ、一人でやってる4コマ漫画家さんのケアってどんな感じなんですかね、と聞いてみると、
「まあ先生の性格によるんだけどねー。基本的には、愚痴はきちんと聞いてあげるってのと、頻繁に声かけするってのと、助けて欲しそうなサインがあったら見逃さないとか」
なんか、子育てにストレスを感じてる奥さんに接する旦那さんみたいですね。
「ああ、似てるのかもね。前、父親不在気味になったらギャグ系だった子供がものすげえグレた作家さんがいたし」
話し方からすると私も知っている人らしかったんだが、誰のことかは怖くて聞かなかった。
しかし、母子家庭どころか子供が行方不明になったジャンプの某漫画家さんとか、編集者さんは一体どの様に接してたんだろか。ちょっと気になる。
誰か集英社にコネがある方、今度こっそり聞いてみてください。
この前の続き。編集者さん愚痴の補足なのだが、ちょっと面白いなと思ったので紹介してみる。例によって、又聞きなんで結論が出る様な話ではない。
以前、「ラノベの隆盛によって、小説の創作過程は漫画のそれと共通する部分が多くなっている」みたいな文章をどっかで読んだ。ぱっとソースが提示出来ないんだが、ほー?と思った覚えはある。2ちゃんだったかも知れない。
ただ、創作活動としてみると、漫画と小説の間には、当然のことながら色んな厚さの壁がある。
まあ作者によって例外は幾らでもあるんだろうが(富樫さんとか)、絵と文章の違いとか当然のことを除くと、
・漫画の創作は基本的には複数人による共同作業であることが多いが、小説の創作は基本的には一人で完結する作業である
・漫画の創作はいくつかのステージ(ネームとかペン入れとか)に明確に分けることが出来るが、小説は各ステージ間が不分明であることが多い
この辺の違いが大きいと思う。当然ジャンルにもよるのだが、ざっくりと作業過程だけ見ると、おそらく小説の方が「煮詰まりやすい」構造になっている筈だ。
で、こっから編集者さんサイドの話。
一人の編集者さんが漫画家と作家を同時に担当するということは、そもそもあんまり一般的じゃないんじゃないかと思うんだが、彼の話では「漫画家に対する気遣い」と「小説家に対する気遣い」は全然質が異なるそうなのだ。
漫画家は編集者以外にも相談出来る相手がいることが多い(アシさんとか)が、小説家は執筆過程では人に相談出来ない場合が多い。必然的に、小説家は編集者への依存度が漫画家のそれよりだいぶ高くなる、んだとか。一言で言うと、小説家へのケアは漫画家へのケアより大変なことが多い、ってことになるだろか。
この際、要注意なジャンルが小説と漫画に一つずつあるとか。曰く、小説では「推理小説」、漫画では「4コマ漫画」。
推理小説についてはなんとなく分かる。推理小説というものは、一つのトリックが作品全体を成立させる程、独創的なトリックへの依存度が高い。故に頭も激しく使うし、「ネタ被り」「ネタ切れ」への恐怖感も非常に大きい。要領のいい人は適当に手を抜くらしいが、真面目な人にはさぞかしキツいだろう。神経症を患う人の話もしばしば聞く。
一方の4コマ漫画についてなのだが、コスト対効果の問題で、「作業工程は割と多いのに一人で書いている」という漫画家さんがどうも結構いるらしい。へーって感じなのだが、特にギャグ系の4コマなんて、一人で書き続けるのは相当大変だろう(やってみるとわかるが、ギャグ系の創作というのはすげー神経を使う)。
4コマ漫画誌には「体を壊すことによる入れ替わり」がしばしばあると聞くが、アシさんを使わずに一人で続けている人が危ないのかも知れない。まあ勿論、ある程度以上売れてる人は話が別なんだろうが。
じゃあ、一人でやってる4コマ漫画家さんのケアってどんな感じなんですかね、と聞いてみると、
「まあ先生の性格によるんだけどねー。基本的には、愚痴はきちんと聞いてあげるってのと、頻繁に声かけするってのと、助けて欲しそうなサインがあったら見逃さないとか」
なんか、子育てにストレスを感じてる奥さんに接する旦那さんみたいですね。
「ああ、似てるのかもね。前、父親不在気味になったらギャグ系だった子供がものすげえグレた作家さんがいたし」
話し方からすると私も知っている人らしかったんだが、誰のことかは怖くて聞かなかった。
しかし、母子家庭どころか子供が行方不明になったジャンプの某漫画家さんとか、編集者さんは一体どの様に接してたんだろか。ちょっと気になる。
誰か集英社にコネがある方、今度こっそり聞いてみてください。
2006年10月19日
「ゴーストブログライター」に必要とされる技術
ブログライター
なるほど、今じゃこんなページも商売が成立するんだな。会社設立は今年の8月らしいが。
ちょっと前の話になるが、知り合いの編集者さんに、「ブログ用のゴーストライターの需要は年々増えてる」という話を聞いた。大体において、普通の企業が新技術を活用しようとするのは一般ユーザーより2テンポくらい後だから、まあこの時期に広告媒体としてのブログに目をつけるのは不思議なことではない。
ただ、話を聞いてみると、企業やその他著名な方々が求めているのはどちらかというと「炎上などのリスクを負わないで有効なアクセスを得られるスキル」であって、かつてのゴーストライターの様な「本人として、本人以上に面白く、かつ破綻のない文章を書くスキル」は二の次らしい。ゴーストライターと「ゴーストブロガー」の資質は全然違うのだ。
故に、一応「ライターさん募集」として人づてに斡旋の話は来るが、依頼主の要望を満たせる才能というのは紹介出来るライターさんの実績の範囲外の為、いざ斡旋となると結構困る、ということだそうだ。それで冒頭リンクの様な商売が成立するんだろう。
ってことは、冒頭企業さんの会社研修とかでは、「はてなブックマーカーに目をつけてもらえる方法」とか「ニュースサイトに紹介してもらえる手法」とかが出てきたりするんだろか。
かつての私の様な何でも屋的ゴーストライターが今の業界にどれくらいいるのか知らないが、ライターやWebデザイナーも、それぞれ新しいスキルを身につけないと食っていけない時代ってことなんだろう。隔世の感。
余談だが、「ゴーストブロガー」の報酬基準はまだ全然相場が出来ていないので、交渉次第でそれなりに割りのいい仕事も出来るという話もちらっと聞いた。かつてのゴーストではとても考えられなかった、「アイドルっぽい顔文字や絵文字を活用するスキル」なんてのも必要とされる場合があるとか。
怖いのであんまり踏み込まないが、盗作騒ぎとかの裏でこーゆー企業相手の裁判なんか起きてたらイヤだな。
(追記 10/20)----------------------------------------------
リアルで聞かれたので追記。
あるアイドルのブログは実はゴーストライターが書いていましたが、ある時他のブログからの表現盗用が判明して炎上してしまいました。
事務所からすればエラい損害ですが、「ゴーストがやったので本人は悪くありません」と発表する訳にもいきません。さて、どうしましょう。(注:事務所側が承知の上でわざとこーゆーことをさせる場合もたまにあるらしい。怖いので踏み込まないが)
世間にバレなければよくある話。ブログではまだそんなに聞かないが、単に表に出てきてないだけかもシレン。
(追記 10/20 18:17)----------------------------------------
追記の追記。
上の話は飽くまで喩え話であって、実際にブログでそーゆー事例があったのかどうかは知らない。
ただ、「ブログ」を他の単語に置き換えてみると似た様な事例はあるのかもあったのかも。差し控えるが。
なるほど、今じゃこんなページも商売が成立するんだな。会社設立は今年の8月らしいが。
ちょっと前の話になるが、知り合いの編集者さんに、「ブログ用のゴーストライターの需要は年々増えてる」という話を聞いた。大体において、普通の企業が新技術を活用しようとするのは一般ユーザーより2テンポくらい後だから、まあこの時期に広告媒体としてのブログに目をつけるのは不思議なことではない。
ただ、話を聞いてみると、企業やその他著名な方々が求めているのはどちらかというと「炎上などのリスクを負わないで有効なアクセスを得られるスキル」であって、かつてのゴーストライターの様な「本人として、本人以上に面白く、かつ破綻のない文章を書くスキル」は二の次らしい。ゴーストライターと「ゴーストブロガー」の資質は全然違うのだ。
故に、一応「ライターさん募集」として人づてに斡旋の話は来るが、依頼主の要望を満たせる才能というのは紹介出来るライターさんの実績の範囲外の為、いざ斡旋となると結構困る、ということだそうだ。それで冒頭リンクの様な商売が成立するんだろう。
ってことは、冒頭企業さんの会社研修とかでは、「はてなブックマーカーに目をつけてもらえる方法」とか「ニュースサイトに紹介してもらえる手法」とかが出てきたりするんだろか。
6.トラックバック・コメントの監視この辺を依頼主は気にするんだろうなあ。
ブログ運営で避けられないリスクの一つに、誹謗中傷のコメントを付けられたり、アダルトサイトなどから大量にトラックバックを付けられる危険性があります。
お客さまのブログを1日1回巡回して、これらのトラックバックスパム・誹謗中傷コメントの監視をいたします。
かつての私の様な何でも屋的ゴーストライターが今の業界にどれくらいいるのか知らないが、ライターやWebデザイナーも、それぞれ新しいスキルを身につけないと食っていけない時代ってことなんだろう。隔世の感。
余談だが、「ゴーストブロガー」の報酬基準はまだ全然相場が出来ていないので、交渉次第でそれなりに割りのいい仕事も出来るという話もちらっと聞いた。かつてのゴーストではとても考えられなかった、「アイドルっぽい顔文字や絵文字を活用するスキル」なんてのも必要とされる場合があるとか。
怖いのであんまり踏み込まないが、盗作騒ぎとかの裏でこーゆー企業相手の裁判なんか起きてたらイヤだな。
(追記 10/20)----------------------------------------------
リアルで聞かれたので追記。
あるアイドルのブログは実はゴーストライターが書いていましたが、ある時他のブログからの表現盗用が判明して炎上してしまいました。
事務所からすればエラい損害ですが、「ゴーストがやったので本人は悪くありません」と発表する訳にもいきません。さて、どうしましょう。(注:事務所側が承知の上でわざとこーゆーことをさせる場合もたまにあるらしい。怖いので踏み込まないが)
世間にバレなければよくある話。ブログではまだそんなに聞かないが、単に表に出てきてないだけかもシレン。
(追記 10/20 18:17)----------------------------------------
追記の追記。
上の話は飽くまで喩え話であって、実際にブログでそーゆー事例があったのかどうかは知らない。
ただ、「ブログ」を他の単語に置き換えてみると似た様な事例はあるのかもあったのかも。差し控えるが。
2005年05月29日
あるゴーストライターの日常・十一徹目
後書きを書いたことが二回ある。
何度かネタにしているが、昔ゴーストライターのバイトをやっていたことがある。仕事でてこずったことは実はあんまりなかった。昔からでっち上げるのも文章をこねくり回すのも好きだったから、ある意味では天職だったのかも知れない。
ただ、何年かやった仕事の中でも、たまーーに「すげえ厄介だった」仕事というものが幾つかある。
そのうちの一つが「後書き」である。
続きを読む
何度かネタにしているが、昔ゴーストライターのバイトをやっていたことがある。仕事でてこずったことは実はあんまりなかった。昔からでっち上げるのも文章をこねくり回すのも好きだったから、ある意味では天職だったのかも知れない。
ただ、何年かやった仕事の中でも、たまーーに「すげえ厄介だった」仕事というものが幾つかある。
そのうちの一つが「後書き」である。
続きを読む
2005年04月10日
あるゴーストライターの日常・十徹目
週末恐ろしい勢いで飲みや花見が立て込んでいたこともあり、今日は一日寝ていました。すいませんごめんなさい(私信懺悔)
ゴーストライター話。閑話休題である。
情報の出力というものは、入力の性質と量によるものだとつくづく思う。
続きを読む
ゴーストライター話。閑話休題である。
情報の出力というものは、入力の性質と量によるものだとつくづく思う。
続きを読む
2005年03月03日
あるゴーストライターの日常・九徹目
この話は、「あるゴーストライターの日常」というシリーズの9作目である。
ゴーストライターもどきというものが普段どんな仕事をしているのか、ということに興味がおありの方は、下記もご参照頂けると幸いだ。
あるゴーストライターの日常・八徹目
あるゴーストライターの日常・七徹目
あるゴーストライターの日常・六徹目
あるゴーストライターの日常・五徹目
さて、私の手元には大学ノートが三冊ある。内容はというと、ちょっと電波が入ったストーカー気味の女の子が、追っかけている対象の男性に書くラブレターとほぼ同程度の密度で書かれた手書きの密集メモである。笑えることに、近視の人が2メートル離れたところから見ると全体がほぼ黒一色に見えるらしい。私はかなりの視力を誇る方だが、それでもヘビナワ程度には見える。私の今回の仕事は、このメモをI先生の文体に落とし、連載記事の一部として違和感ない程度にブラッシュアップすることな訳だ。そう私は納得した。甘い考えであった。
続きを読む
ゴーストライターもどきというものが普段どんな仕事をしているのか、ということに興味がおありの方は、下記もご参照頂けると幸いだ。
あるゴーストライターの日常・八徹目
あるゴーストライターの日常・七徹目
あるゴーストライターの日常・六徹目
あるゴーストライターの日常・五徹目
さて、私の手元には大学ノートが三冊ある。内容はというと、ちょっと電波が入ったストーカー気味の女の子が、追っかけている対象の男性に書くラブレターとほぼ同程度の密度で書かれた手書きの密集メモである。笑えることに、近視の人が2メートル離れたところから見ると全体がほぼ黒一色に見えるらしい。私はかなりの視力を誇る方だが、それでもヘビナワ程度には見える。私の今回の仕事は、このメモをI先生の文体に落とし、連載記事の一部として違和感ない程度にブラッシュアップすることな訳だ。そう私は納得した。甘い考えであった。
続きを読む
2005年02月13日
バレンタイン特集雑感
どうぶつ島ブログ様で、こんな記事を見かけた。
岩波書店のバレンタイン特集
あーあったあった、こーゆー企画。っつーかすげえ自分で書いた覚えがあります。これとちょーど似た様なタイトルの企画記事。ゴーストっつーか、その時は担当さんがインフルエンザと称して福島の温泉に行きやがったので代行ででっち上げたんですが、この手の「性格分析をして、その結果からお勧め商品を」という記事は基本的に超いい加減なので皆さんご注意ください。大抵の場合分析という言葉は2光年くらい向こうに置いておいて、その場の思いつきオンリーで大体は買って欲しい商品から順番に並べます。
それはそうと、元ネタの記事はこれですね。
http://www.iwanami.co.jp/moreinfo/valentine05/top.html
すげーな、っちゅーかここにリストアップされた本を送られた男は例外なく落ち込むんじゃないかと思うんですけど気のせいですか。
「コミュニケーション力」とか送られた日には男性側としては一体どうすればいいんだ。その晩は泣きながら会話練習とかするべきなのだろうか。「ホラー映画の魅力」とかも、悲観的な男性なら「あなたの顔はちょっとホラーだけど、でもそこにもちゃんと魅力はあるのよ」みたいな意味ではないかと勘違いするのではないかという感がちょっとだけ。
ちなみに、私が恋愛診断をやったら結果はこんな感じでした。
----------------------------------------------------
眩暈がするような,激しく官能的な情熱に生きるあなたにおすすめする本は
『トリスタン・イズー物語』です.
----------------------------------------------------
多分「眩暈がする様な」というのはHTMLのソースを見た感じ「19.好きな人のためなら命をかけられる」だけに依存しているのはまだいいとしても(つーか「恋愛に関心がない」を選択してる人にこれスか)、煽りが34文字とゆーのは幾らなんでも手抜き過ぎです先生。俺に書かせろ。
岩波書店のバレンタイン特集
あーあったあった、こーゆー企画。っつーかすげえ自分で書いた覚えがあります。これとちょーど似た様なタイトルの企画記事。ゴーストっつーか、その時は担当さんがインフルエンザと称して福島の温泉に行きやがったので代行ででっち上げたんですが、この手の「性格分析をして、その結果からお勧め商品を」という記事は基本的に超いい加減なので皆さんご注意ください。大抵の場合分析という言葉は2光年くらい向こうに置いておいて、その場の思いつきオンリーで大体は買って欲しい商品から順番に並べます。
それはそうと、元ネタの記事はこれですね。
http://www.iwanami.co.jp/moreinfo/valentine05/top.html
すげーな、っちゅーかここにリストアップされた本を送られた男は例外なく落ち込むんじゃないかと思うんですけど気のせいですか。
「コミュニケーション力」とか送られた日には男性側としては一体どうすればいいんだ。その晩は泣きながら会話練習とかするべきなのだろうか。「ホラー映画の魅力」とかも、悲観的な男性なら「あなたの顔はちょっとホラーだけど、でもそこにもちゃんと魅力はあるのよ」みたいな意味ではないかと勘違いするのではないかという感がちょっとだけ。
ちなみに、私が恋愛診断をやったら結果はこんな感じでした。
----------------------------------------------------
眩暈がするような,激しく官能的な情熱に生きるあなたにおすすめする本は
『トリスタン・イズー物語』です.
----------------------------------------------------
多分「眩暈がする様な」というのはHTMLのソースを見た感じ「19.好きな人のためなら命をかけられる」だけに依存しているのはまだいいとしても(つーか「恋愛に関心がない」を選択してる人にこれスか)、煽りが34文字とゆーのは幾らなんでも手抜き過ぎです先生。俺に書かせろ。
2005年02月07日
あるゴーストライターの日常・八徹目
ところで新崎は今週末北海道に行きます。
雪祭りなるものを奥様と共に見学しに行くという予定なのだが、その際に北海道出身の奥様の友人に色々と名所などを教えて頂く予定である。
その方に、「北海道ではこれを知らないとモグリだ」という触れ込みで「水曜どうでしょう」という番組の特集DVDを渡され、いくまでの予習ということで今観ており、今まさにハノイの街中にカブで走り出そうとしているところなのだが、北海道にお住まいの方、この番組ご存知ですか。観てないと本当にモグリなんでしょうか。なんか4時間くらいあるらしいんですけど。
それはそうと、ゴーストライター話の続き。
いわゆる替え玉作家としてのゴーストライターが、代理著述をする為にまず何をするかご存知だろうか。
少なくとも私に関する限り、まず読む。書く前に読む。地の果てまで読みつづけるのである。何をというと、勿論替え玉をする対象の作家さんの文章をだ。続きを読む
雪祭りなるものを奥様と共に見学しに行くという予定なのだが、その際に北海道出身の奥様の友人に色々と名所などを教えて頂く予定である。
その方に、「北海道ではこれを知らないとモグリだ」という触れ込みで「水曜どうでしょう」という番組の特集DVDを渡され、いくまでの予習ということで今観ており、今まさにハノイの街中にカブで走り出そうとしているところなのだが、北海道にお住まいの方、この番組ご存知ですか。観てないと本当にモグリなんでしょうか。なんか4時間くらいあるらしいんですけど。
それはそうと、ゴーストライター話の続き。
いわゆる替え玉作家としてのゴーストライターが、代理著述をする為にまず何をするかご存知だろうか。
少なくとも私に関する限り、まず読む。書く前に読む。地の果てまで読みつづけるのである。何をというと、勿論替え玉をする対象の作家さんの文章をだ。続きを読む
2005年01月25日
あるゴーストライターの日常・七徹目
先日のエントリーの続き。ゴーストライターもどきの仕事の一部に興味がおありの方は、下記のエントリーにも目を通して頂けると幸いである。
あるゴーストライターの日常・四徹目
あるゴーストライターの日常・五徹目
あるゴーストライターの日常・六徹目
ところで、先日これらのエントリーに関して、幾つか質問を頂いた。その中にあったのが、
「何でまたゴーストライターなんぞ始めたん?」
という様な質問である。
まあ、世間一般で言うところの「ゴーストライター」と、私がやっていた何でも代筆産廃業とは多少イメージが重ならない部分があるのではないかと思う。実のところ私自身、私が本当に「ゴーストライター」と呼べる職業であったのかどうかに関しては些か不分明である。判断は読んでくださっている皆さんにお任せしたい。
ということで、チベット話の続きに入る前に、この出版社と出版社における私の立ち位置に関して軽く触れておこう。
出版社の名前を、仮にS社としておく。
S社はいわゆる子会社である。他のもう少し有名な出版社の名前の、下に幾つかアルファベットがつく様な類の会社だ。自社でも幾つかの雑誌や書籍を編集・出版している筈だったが、どうもS社自体他の企業の下請け的扱いをされている部分があったらしく、一体どこからこんな仕事が、と思える様な摩訶不思議な仕事が来ることもままあった。この辺り、「摩訶不思議な仕事」に関してはいずれまた触れることもあろう。
ただ、戦国もののど真ん中一回だけを人に書かせるのは勘弁しやがれお願いします、ということだけはこの場を借りて強く主張しておきたい。主人公討ち死にさせるぞこの野郎。次回から主役は名も無き農民兵Aでタイトルは「天と地と」だざまあみろ。
続きを読む
あるゴーストライターの日常・四徹目
あるゴーストライターの日常・五徹目
あるゴーストライターの日常・六徹目
ところで、先日これらのエントリーに関して、幾つか質問を頂いた。その中にあったのが、
「何でまたゴーストライターなんぞ始めたん?」
という様な質問である。
まあ、世間一般で言うところの「ゴーストライター」と、私がやっていた何でも代筆産廃業とは多少イメージが重ならない部分があるのではないかと思う。実のところ私自身、私が本当に「ゴーストライター」と呼べる職業であったのかどうかに関しては些か不分明である。判断は読んでくださっている皆さんにお任せしたい。
ということで、チベット話の続きに入る前に、この出版社と出版社における私の立ち位置に関して軽く触れておこう。
出版社の名前を、仮にS社としておく。
S社はいわゆる子会社である。他のもう少し有名な出版社の名前の、下に幾つかアルファベットがつく様な類の会社だ。自社でも幾つかの雑誌や書籍を編集・出版している筈だったが、どうもS社自体他の企業の下請け的扱いをされている部分があったらしく、一体どこからこんな仕事が、と思える様な摩訶不思議な仕事が来ることもままあった。この辺り、「摩訶不思議な仕事」に関してはいずれまた触れることもあろう。
ただ、戦国もののど真ん中一回だけを人に書かせるのは勘弁しやがれお願いします、ということだけはこの場を借りて強く主張しておきたい。主人公討ち死にさせるぞこの野郎。次回から主役は名も無き農民兵Aでタイトルは「天と地と」だざまあみろ。
続きを読む
2005年01月15日
あるゴーストライターの日常・六徹目
以下のエントリーは、私がゴーストライターをやっていた時代の様々な適当エピソードに関するエントリーの一部である。ゴーストライター(もどき)というものが如何なる仕事をやっているのか、興味がおありの方はこちらもご併読頂けると幸いである。
あるゴーストライターの日常・四徹目
あるゴーストライターの日常・五徹目
チベット。
Tさんの一言は、私にとって割と重かった。
着の身着のままでチベットに放り出された時、我々は通例何を思い、何を行うだろうか。
断言出来る。私なら取り敢えず途方に暮れる。おそらく5分くらいは途方に暮れる時間をとると思う。
その時の私の気分が丁度そんな感じであった。
人間には、知っている国と知らない国とがある。「知っている」「知らない」というのは飽くまで程度の問題ではあるが、国名と首都と国旗を知っているだけでは、それは知っているとは言えない。そして我々にとって、よく知らない国というのは意外な程多い。世界の広さに対して我々は余りにも無力である。
例えば、あなたはチリという国に対してどれだけの知識を持っているだろう。
「サンティアゴ」という言葉が取り敢えず出てくる人はなかなかのものだ。「内紛」とか「クーデター」という言葉が出てくる人はかなりのものだ。「インティ・イリマニ」とか「キラパジュン」という言葉が出てくる人は多分私の知り合いだ。
およそチリという国に対して、大部分の人が取り敢えず思い浮かべるのはこんな言葉ではないだろうか。
「なんか細長い」
続きを読む
あるゴーストライターの日常・四徹目
あるゴーストライターの日常・五徹目
チベット。
Tさんの一言は、私にとって割と重かった。
着の身着のままでチベットに放り出された時、我々は通例何を思い、何を行うだろうか。
断言出来る。私なら取り敢えず途方に暮れる。おそらく5分くらいは途方に暮れる時間をとると思う。
その時の私の気分が丁度そんな感じであった。
人間には、知っている国と知らない国とがある。「知っている」「知らない」というのは飽くまで程度の問題ではあるが、国名と首都と国旗を知っているだけでは、それは知っているとは言えない。そして我々にとって、よく知らない国というのは意外な程多い。世界の広さに対して我々は余りにも無力である。
例えば、あなたはチリという国に対してどれだけの知識を持っているだろう。
「サンティアゴ」という言葉が取り敢えず出てくる人はなかなかのものだ。「内紛」とか「クーデター」という言葉が出てくる人はかなりのものだ。「インティ・イリマニ」とか「キラパジュン」という言葉が出てくる人は多分私の知り合いだ。
およそチリという国に対して、大部分の人が取り敢えず思い浮かべるのはこんな言葉ではないだろうか。
「なんか細長い」
続きを読む
2005年01月13日
あるゴーストライターの日常・五徹目
前回の続き。遠い遠いお空の向こうでの出来事と思われていたトラブルが、物凄い勢いで私の頭上に落っこちてきたところからの話である。
I先生の代筆を受けるに至った顛末に関しては、こちらもご併読頂きたい。
あるゴーストライターの日常・二徹目
あるゴーストライターの日常・三徹目
あるゴーストライターの日常・四徹目
さて、連載についてである。
私にとって致命的なことに、旅行好きグルメなI先生の連載は「食から見た旅行記」という様な内容のものであった。世界各国様々な土地の文化を、「食事」をメインに据えて紹介するコラムだ。
ゴーストをやる際にも書きやすいジャンルと書きにくいジャンルというものが当然存在する。私に関する限り、小説というものは筋さえ揃っていれば意外に書きやすい。作者の文体というものが凄くストレートに出るからだ。また、エッセイとかコラムというのも同じ理由で、テーマにもよるがまあ割とトレースしやすい。レビューとか評論辺りは基本的に客観的な代物だから、資料さえあればそんなに苦戦はしない。
問題は、旅行記や書評といった、多分に「実録」的な主観視点がメインになる記事だ。これらは、まず「見た」とか「読んだ」「行った」という具体的な経験が下敷きにあり、それに対して作者がどう感じたか、何を思ったかという内容になる訳だから、単に作者の脳内をコピーするより気にしなくてはいけない項目数が一桁増える。続きを読む
I先生の代筆を受けるに至った顛末に関しては、こちらもご併読頂きたい。
あるゴーストライターの日常・二徹目
あるゴーストライターの日常・三徹目
あるゴーストライターの日常・四徹目
さて、連載についてである。
私にとって致命的なことに、旅行好きグルメなI先生の連載は「食から見た旅行記」という様な内容のものであった。世界各国様々な土地の文化を、「食事」をメインに据えて紹介するコラムだ。
ゴーストをやる際にも書きやすいジャンルと書きにくいジャンルというものが当然存在する。私に関する限り、小説というものは筋さえ揃っていれば意外に書きやすい。作者の文体というものが凄くストレートに出るからだ。また、エッセイとかコラムというのも同じ理由で、テーマにもよるがまあ割とトレースしやすい。レビューとか評論辺りは基本的に客観的な代物だから、資料さえあればそんなに苦戦はしない。
問題は、旅行記や書評といった、多分に「実録」的な主観視点がメインになる記事だ。これらは、まず「見た」とか「読んだ」「行った」という具体的な経験が下敷きにあり、それに対して作者がどう感じたか、何を思ったかという内容になる訳だから、単に作者の脳内をコピーするより気にしなくてはいけない項目数が一桁増える。続きを読む
2005年01月07日
あるゴーストライターの日常・四徹目
ちょっと間が開いたが、前回の続きのお話。昔ゴーストライターをやっていた際、いつも通り職場に顔を出したら作家が失踪していたという話の続きなのだが、興味がある方はこちらもご参照頂きたい。
あるゴーストライターの日常・二徹目
あるゴーストライターの日常・三徹目
例によって実名や具体名は出せないので、話三分の二程度のつもりで読んで頂けると幸いである。
私が「作家の失踪」という場面に実際立ち会ったのは、実はリアルタイムでは2回しかない。うち一回が、前回の「半年間の予定で連載枠をとっていたI先生」であった。
いきなり余談になるが、このI先生、どうもこの時は本当にヨーロッパだかどこだかに行ってしまっていたらしい。前々から神経衰弱だか何か(と私は聞いているが、もしかするともうちょっと重たい症状であったのかも知れない)の兆候があって皆さん結構心配だか警戒はしていたらしいのだが、つきっきりで見張る訳にも当然いかず、仕事と仕事が詰まった瞬間にふらっと・・・というパターンであった様だ。
本気で一時期業界から姿を消されていたが、いつの間にやら某大手S社の編集者件校正作家の様な職に就かれ、現在でも元気に活動されているとのことである。
さてここで問題。連載途中、作者が何らかの要因(逃げたり倒れたり死んだりとか)で執筆できなくなってしまった場合、連載自体は一体どうなるか?
続きを読む
あるゴーストライターの日常・二徹目
あるゴーストライターの日常・三徹目
例によって実名や具体名は出せないので、話三分の二程度のつもりで読んで頂けると幸いである。
私が「作家の失踪」という場面に実際立ち会ったのは、実はリアルタイムでは2回しかない。うち一回が、前回の「半年間の予定で連載枠をとっていたI先生」であった。
いきなり余談になるが、このI先生、どうもこの時は本当にヨーロッパだかどこだかに行ってしまっていたらしい。前々から神経衰弱だか何か(と私は聞いているが、もしかするともうちょっと重たい症状であったのかも知れない)の兆候があって皆さん結構心配だか警戒はしていたらしいのだが、つきっきりで見張る訳にも当然いかず、仕事と仕事が詰まった瞬間にふらっと・・・というパターンであった様だ。
本気で一時期業界から姿を消されていたが、いつの間にやら某大手S社の編集者件校正作家の様な職に就かれ、現在でも元気に活動されているとのことである。
さてここで問題。連載途中、作者が何らかの要因(逃げたり倒れたり死んだりとか)で執筆できなくなってしまった場合、連載自体は一体どうなるか?
続きを読む
2004年12月14日
あるゴーストライターの日常・三徹目
不勉強にして、ネットの知人に教えて頂くまで、松永英明氏がゴーストライターについて書かれているのを知らなかった。
いわゆる代理著述というものを実に分かりやすく説明してくださっていて、私としてもほほううむうむと頷かされることしきりであった。考えてみると、ゴーストライターが具体的に何をやっているかという情報の露出はあまり見ない。こういった開示を機に、ゴーストライターという影の職に対する先入観が少しでも好転することを望むこと切である。
いや、頷いてる立場じゃないだろう、お前も元ゴーストライターちゃうんかと思われる向きもあるやも知れない。正直言って氏のエントリーなど見ていると、私などがゴーストライターを名乗るのもおこがましいとも思うのだが、まああれだ。世の中には日向と日陰があって、私はどちらかというと世間一般に知られるとゴーストライターの評判を落としそうな類のゴーストライターなのである。
なんにせよ昔の話ではあるので、話三分の二程度に聞いて頂けると幸いだ。
続きを読む
いわゆる代理著述というものを実に分かりやすく説明してくださっていて、私としてもほほううむうむと頷かされることしきりであった。考えてみると、ゴーストライターが具体的に何をやっているかという情報の露出はあまり見ない。こういった開示を機に、ゴーストライターという影の職に対する先入観が少しでも好転することを望むこと切である。
いや、頷いてる立場じゃないだろう、お前も元ゴーストライターちゃうんかと思われる向きもあるやも知れない。正直言って氏のエントリーなど見ていると、私などがゴーストライターを名乗るのもおこがましいとも思うのだが、まああれだ。世の中には日向と日陰があって、私はどちらかというと世間一般に知られるとゴーストライターの評判を落としそうな類のゴーストライターなのである。
なんにせよ昔の話ではあるので、話三分の二程度に聞いて頂けると幸いだ。
続きを読む
2004年12月09日
芸能人の人の盗作騒ぎについて。
どーも。新崎です。職場で、他社様が作ったシステムの障害がえらいことになってるのであんまり満足に家に帰ってません。なんか死屍累々って感じ。
さて、それはいいとして。
バブシカ様、コメントありがとうございました。いきなりお邪魔してしまってすいません。
折角なのでもう一つ、見つけた記事に絡ませて頂きたいと思います。
以下常態。
私はあまりテレビを観なかったり観る暇がなかったりする人なので、芸能界に関する素養や興味は極めて薄い。故に今回の話に関しては予備知識が全くなく、よく言えば客観的、普通にいえば無知無責任な憶測になるかと思うが、まあゴシップ記事でも物すつもりで適当に書き殴ってみたい。
私は問題の芸能人の人をよく知らないのだが、これ普通に考えれば本人が書いたものではあるまい。芸能人が自叙とかエッセイとかを出版する場合、9割8分くらいの割合でゴーストライターに仕事が飛んでくる。例え本人が文章書ける人であっても、である。各ケースの違いは契約の内容と、主体(一言で言うとチェック機構)が芸能人側と編集者側のどちらになるか、くらいの話でしかない。編集の方針次第で5%から10%くらい本人の文章が混じることがあるので、ゴーストライターと編集者の腕によっては文章の随所に明らかなレベルの違いが見られることがあって面白い。
続きを読む
さて、それはいいとして。
バブシカ様、コメントありがとうございました。いきなりお邪魔してしまってすいません。
折角なのでもう一つ、見つけた記事に絡ませて頂きたいと思います。
以下常態。
私はあまりテレビを観なかったり観る暇がなかったりする人なので、芸能界に関する素養や興味は極めて薄い。故に今回の話に関しては予備知識が全くなく、よく言えば客観的、普通にいえば無知無責任な憶測になるかと思うが、まあゴシップ記事でも物すつもりで適当に書き殴ってみたい。
私は問題の芸能人の人をよく知らないのだが、これ普通に考えれば本人が書いたものではあるまい。芸能人が自叙とかエッセイとかを出版する場合、9割8分くらいの割合でゴーストライターに仕事が飛んでくる。例え本人が文章書ける人であっても、である。各ケースの違いは契約の内容と、主体(一言で言うとチェック機構)が芸能人側と編集者側のどちらになるか、くらいの話でしかない。編集の方針次第で5%から10%くらい本人の文章が混じることがあるので、ゴーストライターと編集者の腕によっては文章の随所に明らかなレベルの違いが見られることがあって面白い。
続きを読む
2004年12月04日
あるゴーストライターの日常・二徹目
ゴーストライターを昔やっていた、という話をすると、「どんなものを書いてたんですか?」と聞かれる。必ず聞かれる。
この質問、意外に困るのだ。一般的な認識がどういうものであるにせよ、少なくとも私における限り、ゴーストライターというものは文筆業上の何でも屋であり、後片付けの専門職であり、もっと言ってしまえばゴミ拾いである。それ以上でも以下でもない。どんなものといわれても、「何でも書きます」以外に答え様がない。他人様の小説の続きだろうがコラムだろうが、乗ったことのない車のレビューから行ったことのない風俗街の紹介、チラシの広告のコピーまで、仕事さえあれば何でもやる。
ゴーストライターというと、「有名人の自伝」であるとか、「芸能人の暴露本」であるとか、とかくある人物の替え玉作家としてのイメージを持たれ勝ちである。実際そういった仕事を専らとしている人もいるのであろうが、少なくとも私が知っている限りでは、純粋に「替え玉作家」のみで食っている人はいなかった。断言は出来ないが、大部分の人はゴースト以外にも何かしらのライターの仕事や、それ以外の収入源を持っているのではないか。何故かというに、ゴーストの仕事というのは基本的には不規則不安定、収益不明お先真っ暗ぶっちぎりな仕事なのであり、それだけで安定した老後を送れようという方はなかなかに巡り合わせが良い人なのではなかろうかと思うのである。
以下、このシリーズでは「ゴーストライター」というものが実際どんな仕事をしているのか書き連ねていきたいと思う。ただし、書かれる内容は全て、かつて私が下請け会社でゴーストのアルバイトをやっていた頃の経験に基づいており、書けないことは書けないし、基本的には業界中でも日陰中の日陰にしかいなかった為に、書かれる内容も若干偏るかも知れない。それでもよければ、お付き合い頂ければ幸いである。
この質問、意外に困るのだ。一般的な認識がどういうものであるにせよ、少なくとも私における限り、ゴーストライターというものは文筆業上の何でも屋であり、後片付けの専門職であり、もっと言ってしまえばゴミ拾いである。それ以上でも以下でもない。どんなものといわれても、「何でも書きます」以外に答え様がない。他人様の小説の続きだろうがコラムだろうが、乗ったことのない車のレビューから行ったことのない風俗街の紹介、チラシの広告のコピーまで、仕事さえあれば何でもやる。
ゴーストライターというと、「有名人の自伝」であるとか、「芸能人の暴露本」であるとか、とかくある人物の替え玉作家としてのイメージを持たれ勝ちである。実際そういった仕事を専らとしている人もいるのであろうが、少なくとも私が知っている限りでは、純粋に「替え玉作家」のみで食っている人はいなかった。断言は出来ないが、大部分の人はゴースト以外にも何かしらのライターの仕事や、それ以外の収入源を持っているのではないか。何故かというに、ゴーストの仕事というのは基本的には不規則不安定、収益不明お先真っ暗ぶっちぎりな仕事なのであり、それだけで安定した老後を送れようという方はなかなかに巡り合わせが良い人なのではなかろうかと思うのである。
以下、このシリーズでは「ゴーストライター」というものが実際どんな仕事をしているのか書き連ねていきたいと思う。ただし、書かれる内容は全て、かつて私が下請け会社でゴーストのアルバイトをやっていた頃の経験に基づいており、書けないことは書けないし、基本的には業界中でも日陰中の日陰にしかいなかった為に、書かれる内容も若干偏るかも知れない。それでもよければ、お付き合い頂ければ幸いである。
2004年11月13日
あるゴーストライターの日常
広告理論、というものをご存知だろうか。
筆者は昔ゴーストライターなどという酔狂なアルバイトをしていたことがあって、およそ文筆業の最下層にて、結構様々な仕事をやらせてもらった。
ゴーストライターというのは基本的に物書きの下請けで、与えられた材料を元に注文通りのものを仕上げるのが仕事である。例えば連載物の穴を埋める場合であれば、語尾・文体まで指定された通りのものを書かなくてはいけない。それが出来なくては金にはならぬ。そこには創造性が割って入る余地はあまりない。純粋に技術的な仕事である。
一方、筆者が出入りさせてもらっていた出版社はそこ自体業界の下請けで、いわゆるゴーストの仕事以外にも、摩訶不思議な文筆依頼が幾つもきていた。
例えば、怪しげな新製品の解説文の依頼であるとか。
例えば、どこかの商用サイトのメールマガジンの巻頭コラムであるとか。
笑えるのが女性誌の三者対談形式のコラムの代筆などという仕事で、とある編集者の人が担当していたのだが。
「いやーー、すっかり女子高生の言葉使いに詳しくなっちゃったよーー」
などと、にこやかに笑いながら三人分の少女言葉を一人でひねり出す無骨な3×歳独身体育会系の姿に、思わず寒気とか乾いた笑いとか、色々なものが背筋を走る会社であった。
私が三度程担当させてもらった仕事に、「通販の商品のアオリ文」というものがあった。
ここでようやく一行目の文章にたどり着くのだが、広告というものには、様々な「売る為の」文章のノウハウというものが存在する。電車の中の吊り広告にも、テレビCMにも新聞の一面広告にも色々な大系がある。
細かい話をしていると余りにも長くなってしまうので別項に譲るが、商品の宣伝文句の法則の一つに、「良く知られた専門用語を使え」というものがあった。
専門用語というのがポイントで、意味はいまいちわからないけれど、なんとなく聞いたことがある、知ってはいる、という単語を混ぜておく。勿論細かい意味は説明しない。これだけで面白い様に売上が伸びる、ということなのである。
今ではすっかり定着してしまったが、一昔前には「マイナスイオン」というものが流行った。
「活性酸素」とか「界面活性剤」などというのも良く聞く言葉だ。意味は知らないが。
例示をすればキリがないのだが、科学的な言葉もあれば殆ど信仰でしかない謳い文句もあり、根拠があるものもあれば驚く程無根拠な言葉もある。探してみると色々な検証サイトがあって面白い。
まあ一つ言えるのは、「良く知らない専門用語を観たらまず身構えましょう」ということであり、自分で書いたこともある立場としては、警戒心に一層の磨きがかかりもする、という話なのである。
いや、今回のこの長々しいエントリーを一言で総括すると、通販で買った新しいルータが全然認証しねえぞふざけんな金返せってことなのだが。何だよGBICって。
筆者は昔ゴーストライターなどという酔狂なアルバイトをしていたことがあって、およそ文筆業の最下層にて、結構様々な仕事をやらせてもらった。
ゴーストライターというのは基本的に物書きの下請けで、与えられた材料を元に注文通りのものを仕上げるのが仕事である。例えば連載物の穴を埋める場合であれば、語尾・文体まで指定された通りのものを書かなくてはいけない。それが出来なくては金にはならぬ。そこには創造性が割って入る余地はあまりない。純粋に技術的な仕事である。
一方、筆者が出入りさせてもらっていた出版社はそこ自体業界の下請けで、いわゆるゴーストの仕事以外にも、摩訶不思議な文筆依頼が幾つもきていた。
例えば、怪しげな新製品の解説文の依頼であるとか。
例えば、どこかの商用サイトのメールマガジンの巻頭コラムであるとか。
笑えるのが女性誌の三者対談形式のコラムの代筆などという仕事で、とある編集者の人が担当していたのだが。
「いやーー、すっかり女子高生の言葉使いに詳しくなっちゃったよーー」
などと、にこやかに笑いながら三人分の少女言葉を一人でひねり出す無骨な3×歳独身体育会系の姿に、思わず寒気とか乾いた笑いとか、色々なものが背筋を走る会社であった。
私が三度程担当させてもらった仕事に、「通販の商品のアオリ文」というものがあった。
ここでようやく一行目の文章にたどり着くのだが、広告というものには、様々な「売る為の」文章のノウハウというものが存在する。電車の中の吊り広告にも、テレビCMにも新聞の一面広告にも色々な大系がある。
細かい話をしていると余りにも長くなってしまうので別項に譲るが、商品の宣伝文句の法則の一つに、「良く知られた専門用語を使え」というものがあった。
専門用語というのがポイントで、意味はいまいちわからないけれど、なんとなく聞いたことがある、知ってはいる、という単語を混ぜておく。勿論細かい意味は説明しない。これだけで面白い様に売上が伸びる、ということなのである。
今ではすっかり定着してしまったが、一昔前には「マイナスイオン」というものが流行った。
「活性酸素」とか「界面活性剤」などというのも良く聞く言葉だ。意味は知らないが。
例示をすればキリがないのだが、科学的な言葉もあれば殆ど信仰でしかない謳い文句もあり、根拠があるものもあれば驚く程無根拠な言葉もある。探してみると色々な検証サイトがあって面白い。
まあ一つ言えるのは、「良く知らない専門用語を観たらまず身構えましょう」ということであり、自分で書いたこともある立場としては、警戒心に一層の磨きがかかりもする、という話なのである。
いや、今回のこの長々しいエントリーを一言で総括すると、通販で買った新しいルータが全然認証しねえぞふざけんな金返せってことなのだが。何だよGBICって。